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神の世界
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カイウスは「神…か?」と思いつく人物を口にしていた。
ゲームを作ったのはさすがに神ではないのは分かってる。
でも、この世界に俺達を呼んだのは神かもしれない。
神の結界の中にいるなら、神の自由に出来る筈だ。
俺を殺すために…そう考えるといろいろと納得出来る。
神が乙女ゲームの存在を知っていたのは驚いたけど…ゲームを知っているわけではないのかもしれないけど…
「さすがにあの本は恋愛モノだから神が書けるとは思えないけど、俺達をここに連れてきたのは…」
「神だろうな…ライムの事を狙うために選んだのか」
「だとしたらどうやったら帰れるんだろう」
「ここが神の結界の中なら何処かに宮殿がある筈だ」
目に見えないけど、ここが精霊の宮殿の近くなら宮殿の中に入ればカイウスの力で内側から結界を壊せる。
そう言ったカイウスは宮殿を探すために、仕事をしつつ探しているみたいだけどそれっぽい気配はないみたいだ。
神もそう簡単に見つかるところを宮殿にしないか。
俺達がなかなか行かない場所なんて、あるのかな。
随分長くここにいるから知らない場所なんてないと思うけど…
俺も外を出て探したいけど、マリーを連れていかないと兵士達が屋敷から出してくれなさそうだし…どうしようかな。
カイウスに会えたからもう女装はしたくないけど、ローベルト家に戻ったらカイウスに頻繁に会えなくなる事は分かっている。
だってゲームでもカイウスとライムはほとんど接点がない。
あったとしても、俺が死亡フラグになる時だから穏やかじゃない。
「カイウス、俺…」
俺が口を開くと、カイウスは口に指を当てていた。
口を閉ざすと、誰かの足音が聞こえてきた。
こんな場所を誰かに見られたら、また新しい騒ぎになる。
というか俺の今の姿は男だけど、屋敷の関係者じゃないから不審者だと思われるのかもしれない。
とっさにカイウスは俺を壁に移動させて覆いかぶさってきた。
小さくなって、気配を消して廊下にいる人物が過ぎ去るのを待っていた。
コツコツと足音がゆっくりに聞こえて、俺の心臓の鼓動が早まる。
鼻が触れ合うくらい至近距離でカイウスに見つめられる。
そして、足音が聞こえなくなり…静かな時間が戻ってきた。
そのまま戻るのは名残惜しく感じていたら、カイウスにキスをされた。
手を重ねて握り、隠れてしたからいけない事をしているみたいに感じた。
「ライム、メイドは大変じゃないか?他のメイドと過ごすんだろ?」
「う…ん、確かに着替えとかいちいち倉庫に籠ってやらないといけないし、他の女性と寝るのはちょっと恥ずかしいというか」
「……」
「カイウス…?」
「いや、俺の心が狭いだけだから気にするな」
カイウスが眉を寄せているから、なにか嫌な事を言っちゃったかと思って焦った。
でもカイウスは苦笑いして、そんな事を言っていた。
カイウスは俺をカイウス専属の世話係にすると言っていた。
ゲームではマリーがやっていた事だが、カイウスはマリーを普通の仕事に戻したらしい。
今は誰もいらないと言っていたのに、ローズが今カイウスの手伝いをしている。
どうやらカイウスは記憶喪失だと思われているみたいだ。
「ライム、やってくれるか?無理な仕事はさせない」
「カイウスがいいなら、世話係にさせてくれるなら無理な仕事も頑張るよ!俺はカイウスの世話係だから!」
「ありがとう、これで堂々と一緒に居られるな」
その日はそれで、カイウスと別れてメイド服を畳んで早朝になってから屋敷を出た。
カイウスの部屋の前にはローズがいるからだ、一緒にカイウスの部屋に向かう事は出来ない。
俺も屋敷の中にいたら変だから、今から屋敷に行くという事にして自然を装う事にした。
外に出ると、当然兵士達が俺の周りに集まってきた。
理由は分かってる、マリーの事だろう…俺はその事は何もしていない。
「サクヤ様がお呼びです」と言われて、俺の腕を掴まれた。
「ま、まだ何もしていないから!」
「時間が掛かりすぎです、他の作戦に行きます」
「い、いや…」
ローベルト家には帰りたくないと直接言えないけど、抵抗するが弱い俺の力ではどうする事も出来ない。
ゲームを作ったのはさすがに神ではないのは分かってる。
でも、この世界に俺達を呼んだのは神かもしれない。
神の結界の中にいるなら、神の自由に出来る筈だ。
俺を殺すために…そう考えるといろいろと納得出来る。
神が乙女ゲームの存在を知っていたのは驚いたけど…ゲームを知っているわけではないのかもしれないけど…
「さすがにあの本は恋愛モノだから神が書けるとは思えないけど、俺達をここに連れてきたのは…」
「神だろうな…ライムの事を狙うために選んだのか」
「だとしたらどうやったら帰れるんだろう」
「ここが神の結界の中なら何処かに宮殿がある筈だ」
目に見えないけど、ここが精霊の宮殿の近くなら宮殿の中に入ればカイウスの力で内側から結界を壊せる。
そう言ったカイウスは宮殿を探すために、仕事をしつつ探しているみたいだけどそれっぽい気配はないみたいだ。
神もそう簡単に見つかるところを宮殿にしないか。
俺達がなかなか行かない場所なんて、あるのかな。
随分長くここにいるから知らない場所なんてないと思うけど…
俺も外を出て探したいけど、マリーを連れていかないと兵士達が屋敷から出してくれなさそうだし…どうしようかな。
カイウスに会えたからもう女装はしたくないけど、ローベルト家に戻ったらカイウスに頻繁に会えなくなる事は分かっている。
だってゲームでもカイウスとライムはほとんど接点がない。
あったとしても、俺が死亡フラグになる時だから穏やかじゃない。
「カイウス、俺…」
俺が口を開くと、カイウスは口に指を当てていた。
口を閉ざすと、誰かの足音が聞こえてきた。
こんな場所を誰かに見られたら、また新しい騒ぎになる。
というか俺の今の姿は男だけど、屋敷の関係者じゃないから不審者だと思われるのかもしれない。
とっさにカイウスは俺を壁に移動させて覆いかぶさってきた。
小さくなって、気配を消して廊下にいる人物が過ぎ去るのを待っていた。
コツコツと足音がゆっくりに聞こえて、俺の心臓の鼓動が早まる。
鼻が触れ合うくらい至近距離でカイウスに見つめられる。
そして、足音が聞こえなくなり…静かな時間が戻ってきた。
そのまま戻るのは名残惜しく感じていたら、カイウスにキスをされた。
手を重ねて握り、隠れてしたからいけない事をしているみたいに感じた。
「ライム、メイドは大変じゃないか?他のメイドと過ごすんだろ?」
「う…ん、確かに着替えとかいちいち倉庫に籠ってやらないといけないし、他の女性と寝るのはちょっと恥ずかしいというか」
「……」
「カイウス…?」
「いや、俺の心が狭いだけだから気にするな」
カイウスが眉を寄せているから、なにか嫌な事を言っちゃったかと思って焦った。
でもカイウスは苦笑いして、そんな事を言っていた。
カイウスは俺をカイウス専属の世話係にすると言っていた。
ゲームではマリーがやっていた事だが、カイウスはマリーを普通の仕事に戻したらしい。
今は誰もいらないと言っていたのに、ローズが今カイウスの手伝いをしている。
どうやらカイウスは記憶喪失だと思われているみたいだ。
「ライム、やってくれるか?無理な仕事はさせない」
「カイウスがいいなら、世話係にさせてくれるなら無理な仕事も頑張るよ!俺はカイウスの世話係だから!」
「ありがとう、これで堂々と一緒に居られるな」
その日はそれで、カイウスと別れてメイド服を畳んで早朝になってから屋敷を出た。
カイウスの部屋の前にはローズがいるからだ、一緒にカイウスの部屋に向かう事は出来ない。
俺も屋敷の中にいたら変だから、今から屋敷に行くという事にして自然を装う事にした。
外に出ると、当然兵士達が俺の周りに集まってきた。
理由は分かってる、マリーの事だろう…俺はその事は何もしていない。
「サクヤ様がお呼びです」と言われて、俺の腕を掴まれた。
「ま、まだ何もしていないから!」
「時間が掛かりすぎです、他の作戦に行きます」
「い、いや…」
ローベルト家には帰りたくないと直接言えないけど、抵抗するが弱い俺の力ではどうする事も出来ない。
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