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新人メイドさん
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倉庫の場所を見つけて、荷物を立てて置いて扉を開けようとした。
すると、荷物がぐらぐらと揺れて俺が支える前に倒れてしまった。
割れる嫌な音を聞いて、顔を青ざめながら荷物に触る。
どうしよう、高価なものだったら…俺の一生分の給料で払えるかな。
そもそも俺、仕事をした事ないし…大丈夫なのか?
メイドも給料出るから、とりあえずそれでどうにか返せたら…
でも、クビにされるかもしれない…そうなったら返せない。
荷物を抱えて、振り返ると後ろにローズが立っていた。
一気に空気が凍えて、震える。
「何をしているの?」
「あの、これ…落としちゃって」
「それはカイ様が闘技戦で優勝した時にもらった貴重なガラス細工の剣ね」
「……ご、ごめんなさいっ!!弁償しますからっ」
「それは何処にもないカイ様のためだけに作られたものよ、お金で買えるものじゃない」
とんでもないものを壊してしまった。
どうすればいいんだ?ローズは荷物を俺から奪って「クビにするだけじゃ済まないわね」と言っていた。
他のメイド達も俺の周りに集まってきていて、なにがあったか眺めていた。
直接カイウスに謝りたい、それが出来ないならカイウスのご両親とか…とにかく謝ってから何とかガラス細工を作り直せないか考えよう。
ローズは座り込む俺に目線が合うようにしゃがんだ。
男だって知られないために、顔が上げられない。
「これは私がカイ様に届けておく」
「申し訳ございません」
「許されたわけではない、物を壊して直接カイ様に謝りに行くと言うメイドがまた増えたら困るから」
そう言ってローズは俺から壊れた荷物を受け取り、近くにいたメイドになにか話していた。
カイウスに会うために物を壊すメイドがいたのか、知らなかった。
俺もちょっとカイウスに会えるかも…と思っていたから気まずい。
メイドが数人俺の前に立って、俺にあるものを手渡してきた。
「メイド流の反省を教えてあげる」と笑うその声に顔を引きつらせた。
倉庫の掃除を一人で任された。
広くて、長年使っていなかったみたいで埃や汚れが凄い。
これを一日で綺麗にする、出来なければ寝ずにやる…それが与えられた仕事だった。
サボらないように窓を開けっぱなしにされているけど、サボるつもりは元々ないから別にいい。
俺が前に住んでいた寮の部屋よりも酷い状態で、見ていて気が遠くなる。
窓を開けようとするが、接着剤でくっつけたかのようにびくともしない。
空気の入れ替えをしないといけないのに、俺の弱々しい体力ではどうする事も出来ない。
仕方ない、バケツを持って窓に向けてぶっかけた。
「な、何やってんの!イライラしたからって物に当たるなんて!」
「あ…開いた」
窓にぶっかけた水で、乾いて錆びていた窓が少し滑りやすくなって開いた。
俺の行動を見ていたメイドは驚いた声を出していて、俺も驚いた。
壁も床も拭けば大丈夫かと思って水を掛けただけなんだけど…
「大丈夫、です」と言ったら、すぐにメイドは居なくなった。
あんなの見せたらびっくりするよな、悪い事しちゃった。
廊下を出て後ろ姿のメイドに「ごめんなさい」
と謝った。
床を掃除しようと、ほうきで埃やゴミを取り除く。
床掃除だけでも大変だ、もう窓はオレンジ色に染まってるけど一日で終わる気がしない。
徹夜コースまっしぐらだなぁ、と思いながら埃をゴミ袋に溜めていたら廊下がざわざわと騒がしくなった。
キャッキャはしゃいでいる声に混じって「カイ様」と言う声が聞こえた。
カイウスが来たんだってすぐに分かった、俺も出た方がいいよな。
すると、荷物がぐらぐらと揺れて俺が支える前に倒れてしまった。
割れる嫌な音を聞いて、顔を青ざめながら荷物に触る。
どうしよう、高価なものだったら…俺の一生分の給料で払えるかな。
そもそも俺、仕事をした事ないし…大丈夫なのか?
メイドも給料出るから、とりあえずそれでどうにか返せたら…
でも、クビにされるかもしれない…そうなったら返せない。
荷物を抱えて、振り返ると後ろにローズが立っていた。
一気に空気が凍えて、震える。
「何をしているの?」
「あの、これ…落としちゃって」
「それはカイ様が闘技戦で優勝した時にもらった貴重なガラス細工の剣ね」
「……ご、ごめんなさいっ!!弁償しますからっ」
「それは何処にもないカイ様のためだけに作られたものよ、お金で買えるものじゃない」
とんでもないものを壊してしまった。
どうすればいいんだ?ローズは荷物を俺から奪って「クビにするだけじゃ済まないわね」と言っていた。
他のメイド達も俺の周りに集まってきていて、なにがあったか眺めていた。
直接カイウスに謝りたい、それが出来ないならカイウスのご両親とか…とにかく謝ってから何とかガラス細工を作り直せないか考えよう。
ローズは座り込む俺に目線が合うようにしゃがんだ。
男だって知られないために、顔が上げられない。
「これは私がカイ様に届けておく」
「申し訳ございません」
「許されたわけではない、物を壊して直接カイ様に謝りに行くと言うメイドがまた増えたら困るから」
そう言ってローズは俺から壊れた荷物を受け取り、近くにいたメイドになにか話していた。
カイウスに会うために物を壊すメイドがいたのか、知らなかった。
俺もちょっとカイウスに会えるかも…と思っていたから気まずい。
メイドが数人俺の前に立って、俺にあるものを手渡してきた。
「メイド流の反省を教えてあげる」と笑うその声に顔を引きつらせた。
倉庫の掃除を一人で任された。
広くて、長年使っていなかったみたいで埃や汚れが凄い。
これを一日で綺麗にする、出来なければ寝ずにやる…それが与えられた仕事だった。
サボらないように窓を開けっぱなしにされているけど、サボるつもりは元々ないから別にいい。
俺が前に住んでいた寮の部屋よりも酷い状態で、見ていて気が遠くなる。
窓を開けようとするが、接着剤でくっつけたかのようにびくともしない。
空気の入れ替えをしないといけないのに、俺の弱々しい体力ではどうする事も出来ない。
仕方ない、バケツを持って窓に向けてぶっかけた。
「な、何やってんの!イライラしたからって物に当たるなんて!」
「あ…開いた」
窓にぶっかけた水で、乾いて錆びていた窓が少し滑りやすくなって開いた。
俺の行動を見ていたメイドは驚いた声を出していて、俺も驚いた。
壁も床も拭けば大丈夫かと思って水を掛けただけなんだけど…
「大丈夫、です」と言ったら、すぐにメイドは居なくなった。
あんなの見せたらびっくりするよな、悪い事しちゃった。
廊下を出て後ろ姿のメイドに「ごめんなさい」
と謝った。
床を掃除しようと、ほうきで埃やゴミを取り除く。
床掃除だけでも大変だ、もう窓はオレンジ色に染まってるけど一日で終わる気がしない。
徹夜コースまっしぐらだなぁ、と思いながら埃をゴミ袋に溜めていたら廊下がざわざわと騒がしくなった。
キャッキャはしゃいでいる声に混じって「カイ様」と言う声が聞こえた。
カイウスが来たんだってすぐに分かった、俺も出た方がいいよな。
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