冷淡騎士に溺愛されてる悪役令嬢の兄の話

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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翌日の夜、俺は宮殿から元の場所に戻ってきた。

俺はカイウスの役に立ちたい、カイウスは俺の事を心配してやらせたくない様子だった。
でも、ローベルト家にリーズナが一人でうろつく事は無理だ。

よく家の事を知っている人物が一緒にいた方がリーズナもやりやすいだろう。

俺にしか出来ない事が絶対あるんだ、ローベルト家が俺を利用するなら俺もローベルト家の息子という事を利用する。
まっすぐカイウスを見つめると、カイウスは俺の頭をポンポン叩いた。

「分かった、ライムがそうしたいなら構わない……もう指名手配の事は気にしなくていいから」

「それって…」

「ただ、またなにかするかもしれない…それは覚えといてくれ」

カイウスの言葉に、頷くと軽く口付けを交わした。
結局許されたのはリーズナの案内だけだった。

それ以外に危ない事は絶対にしない、神にも近付かない…なにかあったら必ず精霊の宮殿に逃げる事を約束した。
カイウスの役に立ちたいが、迷惑を掛けたくはない。
今まで俺がローベルト家でされた事を考えるとカイウスの気持ちも分かる。

宮殿の入り口をカイウスの家に再び繋げて、カイウスに見送られながらリーズナと歩いた。

「強くなりたいな」

『何だよ、カイに鍛えてもらってるんだろ?』

「そうじゃなくて、カイウスに心配掛けないくらい強くなりたい」

『それは無理だな、カイに心配掛けないくらい強くなるにはカイの力を越えないとな』

冗談なのか本気なのか、リーズナはそんな事を言っていた。
未来のカイウスにもらったあの力が少しでも残ってたら、違ったのにな。

イヤーカフに触れると、あの出来事を鮮明に思い出す事が出来る。

力は変わらないとしても、精神は少しくらい成長出来たのかなと思っている。

人を守りたいと思う力が、人を成長させるんだ…今までもカイウスを守りたいと思っていたが、それよりももっともっと成長出来る。

肌寒くなった夜の道を歩いていた、なるべく怪しまれないようにするためだ。

俺はミロによって外に連れ出された、あれからかなり時間は過ぎているが俺が外に出て行ったのはローベルト家なら誰でも知っている筈だ。
そんな俺が突然部屋にいたら、可笑しい事になる。
今までも何度かあったが、誤魔化してなんとかなったところはあった。

でも今回はミロに言われた事だからローベルト家の命令と変わりない。
突然俺だけ家にいたら、それこそ変な事になる。

ずっと行方不明みたいだと思うと、あまり家には近付きたくない。
でも、神について調べるためには我慢しないと…

いつもみたいに俺の事は気にしていないんだろうけど、ミロがなぁ…

ミロは一人で帰っていると思うけど、俺がいない間に犠牲者が増えていない事を祈るばかりだ。

それと、外を出歩きたかったのはもう一つ理由があった。

俺は指名手配されている、今はどんな状況になっているのか知りたかった。
長く離れているといろいろと状況が変わるのは当然だ。
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