133 / 299
過去編・VSカイウス
しおりを挟む
俺の周りを囲むように突然壁が地面から現れた。
ライムが見えない、なにがあったか分からなくて壁を壊そうと立ち上がる。
神はクスクスと笑っていて、俺の怒りを逆撫でする。
炎を手のひらに出現させて、壁にぶつけるが傷も出来ない。
水や風や、あらゆる属性魔法を放ってもびくともしない。
神はニヤニヤ笑いながら、俺を見つめていた。
「その壁は私の力だ、今のカイウスでは破壊する事なんて出来ないさ」
「なら、お前を殺したら壊れるんだな」
剣を向けて剣に炎をまとい、神に向かって一撃を放つ。
その攻撃は神の手のひらに吸い込まれて消えた。
普通の攻撃は効かないか、とはいえ今リーズナがいないから姿を変える事が出来ない。
……リーズナが目を覚ましていれば、希望はあるが…
ただ、リーズナ達がいる場所がどうなってるのか分からないからな。
ライムを一人にするわけにはいかない、さっさと終わらしてライムのところに行こう。
「何度やってもお前の攻撃は私には通用しない」
「………」
「私を殺したいのなら、ライムを殺してお前の力にしてみろ」
ギリッと剣を握る手に力込めて、俺は地面に剣を突き立てた。
大きく地面が揺れて、ヒビが割れてヒビから鋭く尖った岩が突き出た。
神は身体を浮かして岩を避け…俺は風魔法で飛んだ。
剣を神に向かって振り上げて、刃を神に二本の指で止められた。
神は「何度やっても結果は同じだ」と笑っていた。
武器に頼る事はしない、俺は剣から手を離した。
力を手のひらに集中して、神に向かって放った。
神はもう片方の手でそれを受け止めて、無駄だと言っていた。
その剣はただの剣ではない、俺の力を具現化したものだ。
剣がぐにゃりと曲がり、眩い光が神の目を潰す。
一瞬動きが止まり、その隙に神の両腕を掴んだ。
そしてそのまま、地面に向かって猛スピードで落下した。
俺から逃れようと暴れているが、体力は俺の方が上だ。
地面に叩き落として、再び剣を出現させて向ける。
「…カイウス、勝った気でいるのか?」
「お前が無傷なのは分かってる、腐っても神だからこんなので傷を負わせられるとは思っていない」
「…くくっ、さすがカイウスだ…私を倒せるのはお前の完成された力だ」
神の言っている事は聞く価値はないだろう、倒せるのは俺だけだというのは分かった。
剣に魔法を込める、発光して紋様が浮かび上がる。
神は剣を掴んで、剣の光が一瞬で消えてしまった。
物理ではコイツを倒せない、やはり…リーズナが居ないと…
そう思っていたら、地面が揺れて…身体が少し傾く。
俺は地面を揺らしていない…じゃあいったい誰だ?
神の余裕の笑みが、より深く歪んで不気味に思えた。
「…力が壁越しに溢れているな」
「………」
「私の分身がライムに与えた力だ、気まぐれな男だから重要任務を任せるのは不安だったが」
「……っ!!」
剣を振り下ろして、刃が触れる前に見えないバリアによって神に届く事はなかった。
それでもお構いなく、剣に力を入れるとバリアの向こう側に刃が少しずつ入ってきた。
余裕そうだった神は、目を見開いてバリアの下にバリアを張った。
早く行かないと、早く行かないと……ライムを助けに…
剣が先から黒く染まってきて、俺の瞳が深紅に染まった。
髪の色も黒く染まり、力が溢れて止まらなくなる。
バリアにヒビが入り、パリンと割れて…そのまま神の腹部を貫いた。
口から真っ赤な血を流しているが、これも幻覚だ…本体にはダメージは与えられない。
「…カイ…ウス……何故、その姿に……りー…ずなが…ライ…ムを…ぐぅっ!!」
「リーズナはお前にずっと操られてるほど弱くねぇよ、それより……二度とその汚い口でライムの名を呼ぶな」
剣に力を流し込んで、神の身体が黒く変色していく。
神は清楚な見た目だったからか、黒くなる自分の身体に耐えられなくて叫んでいた。
うるさい、耳障りな声だ…剣を振り首を跳ねた。
動かなくなった神から離れて、後ろを振り返る。
壁は消えていない、倒せば消えるって嘘か…それか本物を倒せばって事か?
面倒だ、こんな薄い壁で俺達を離れさせると思うなよ。
壁に触れる、一気に力を放出するとさっきまでびくともしなかった壁が崩れ落ちた。
「ライムッ!!」
倒れているライムを見つけて、急いで駆け寄る。
ボロボロになったその姿を見て血の気が引いた。
ライムの頬に触れて、優しく声を掛ける…お願いだから俺の声に気付いてくれ。
ピクリとも動かない冷たいライムの唇に口付ける。
俺とライムの唇の間に小さな光が現れて俺達を包み込んだ。
俺の身体から力が抜けていき、髪も瞳も元に戻った。
「ん…んっ」
「ライム、よかった…」
「カイ…ウス?」
ライムの身体を包み込むように抱きしめると、困惑したような声が聞こえた。
ライムの声は俺に安らぎを与えてくれる…本当に良かった。
ライムは自分の手を見て、開いたり閉じたりして不思議そうな顔をしていた。
俺は周りを見渡すと、大男が地面に倒れているのが見えた。
ライムを抱きしめて警戒するが、起き上がる気配がない。
気絶してるのか?何故だ?…もしかしてライムが?
「ライム、なにがあったんだ?」
「えっ…えっと、壁が出てきて筋肉質の男が出てきて」
「アイツはライムが倒したのか?」
「俺だけじゃないよ、カイウスも一緒に戦ってくれたから」
ライムが俺を抱きしめて、嬉しそうだが俺には分からなかった。
何の話か分からないが、ライムが嬉しそうならそれでいい。
ライムは腕が動くとか、当たり前の事を言っていた。
ライムの腕を掴み、どういう事なのか詰め寄る。
腕が動かなかった状態だったのか?何処か怪我でもしたのか?
ライムの身体を調べると「くすぐったい」と笑っていた。
さっきはボロボロに見えていたが、傷は一つもない。
大きな音が響いて、音のした方を見るともう一つの壁が壊れて巨大な猫が現れた。
「おー、お前ら無事だったか!」
猫の上からカイト様が顔を出して、手を振っていた。
ライムが見えない、なにがあったか分からなくて壁を壊そうと立ち上がる。
神はクスクスと笑っていて、俺の怒りを逆撫でする。
炎を手のひらに出現させて、壁にぶつけるが傷も出来ない。
水や風や、あらゆる属性魔法を放ってもびくともしない。
神はニヤニヤ笑いながら、俺を見つめていた。
「その壁は私の力だ、今のカイウスでは破壊する事なんて出来ないさ」
「なら、お前を殺したら壊れるんだな」
剣を向けて剣に炎をまとい、神に向かって一撃を放つ。
その攻撃は神の手のひらに吸い込まれて消えた。
普通の攻撃は効かないか、とはいえ今リーズナがいないから姿を変える事が出来ない。
……リーズナが目を覚ましていれば、希望はあるが…
ただ、リーズナ達がいる場所がどうなってるのか分からないからな。
ライムを一人にするわけにはいかない、さっさと終わらしてライムのところに行こう。
「何度やってもお前の攻撃は私には通用しない」
「………」
「私を殺したいのなら、ライムを殺してお前の力にしてみろ」
ギリッと剣を握る手に力込めて、俺は地面に剣を突き立てた。
大きく地面が揺れて、ヒビが割れてヒビから鋭く尖った岩が突き出た。
神は身体を浮かして岩を避け…俺は風魔法で飛んだ。
剣を神に向かって振り上げて、刃を神に二本の指で止められた。
神は「何度やっても結果は同じだ」と笑っていた。
武器に頼る事はしない、俺は剣から手を離した。
力を手のひらに集中して、神に向かって放った。
神はもう片方の手でそれを受け止めて、無駄だと言っていた。
その剣はただの剣ではない、俺の力を具現化したものだ。
剣がぐにゃりと曲がり、眩い光が神の目を潰す。
一瞬動きが止まり、その隙に神の両腕を掴んだ。
そしてそのまま、地面に向かって猛スピードで落下した。
俺から逃れようと暴れているが、体力は俺の方が上だ。
地面に叩き落として、再び剣を出現させて向ける。
「…カイウス、勝った気でいるのか?」
「お前が無傷なのは分かってる、腐っても神だからこんなので傷を負わせられるとは思っていない」
「…くくっ、さすがカイウスだ…私を倒せるのはお前の完成された力だ」
神の言っている事は聞く価値はないだろう、倒せるのは俺だけだというのは分かった。
剣に魔法を込める、発光して紋様が浮かび上がる。
神は剣を掴んで、剣の光が一瞬で消えてしまった。
物理ではコイツを倒せない、やはり…リーズナが居ないと…
そう思っていたら、地面が揺れて…身体が少し傾く。
俺は地面を揺らしていない…じゃあいったい誰だ?
神の余裕の笑みが、より深く歪んで不気味に思えた。
「…力が壁越しに溢れているな」
「………」
「私の分身がライムに与えた力だ、気まぐれな男だから重要任務を任せるのは不安だったが」
「……っ!!」
剣を振り下ろして、刃が触れる前に見えないバリアによって神に届く事はなかった。
それでもお構いなく、剣に力を入れるとバリアの向こう側に刃が少しずつ入ってきた。
余裕そうだった神は、目を見開いてバリアの下にバリアを張った。
早く行かないと、早く行かないと……ライムを助けに…
剣が先から黒く染まってきて、俺の瞳が深紅に染まった。
髪の色も黒く染まり、力が溢れて止まらなくなる。
バリアにヒビが入り、パリンと割れて…そのまま神の腹部を貫いた。
口から真っ赤な血を流しているが、これも幻覚だ…本体にはダメージは与えられない。
「…カイ…ウス……何故、その姿に……りー…ずなが…ライ…ムを…ぐぅっ!!」
「リーズナはお前にずっと操られてるほど弱くねぇよ、それより……二度とその汚い口でライムの名を呼ぶな」
剣に力を流し込んで、神の身体が黒く変色していく。
神は清楚な見た目だったからか、黒くなる自分の身体に耐えられなくて叫んでいた。
うるさい、耳障りな声だ…剣を振り首を跳ねた。
動かなくなった神から離れて、後ろを振り返る。
壁は消えていない、倒せば消えるって嘘か…それか本物を倒せばって事か?
面倒だ、こんな薄い壁で俺達を離れさせると思うなよ。
壁に触れる、一気に力を放出するとさっきまでびくともしなかった壁が崩れ落ちた。
「ライムッ!!」
倒れているライムを見つけて、急いで駆け寄る。
ボロボロになったその姿を見て血の気が引いた。
ライムの頬に触れて、優しく声を掛ける…お願いだから俺の声に気付いてくれ。
ピクリとも動かない冷たいライムの唇に口付ける。
俺とライムの唇の間に小さな光が現れて俺達を包み込んだ。
俺の身体から力が抜けていき、髪も瞳も元に戻った。
「ん…んっ」
「ライム、よかった…」
「カイ…ウス?」
ライムの身体を包み込むように抱きしめると、困惑したような声が聞こえた。
ライムの声は俺に安らぎを与えてくれる…本当に良かった。
ライムは自分の手を見て、開いたり閉じたりして不思議そうな顔をしていた。
俺は周りを見渡すと、大男が地面に倒れているのが見えた。
ライムを抱きしめて警戒するが、起き上がる気配がない。
気絶してるのか?何故だ?…もしかしてライムが?
「ライム、なにがあったんだ?」
「えっ…えっと、壁が出てきて筋肉質の男が出てきて」
「アイツはライムが倒したのか?」
「俺だけじゃないよ、カイウスも一緒に戦ってくれたから」
ライムが俺を抱きしめて、嬉しそうだが俺には分からなかった。
何の話か分からないが、ライムが嬉しそうならそれでいい。
ライムは腕が動くとか、当たり前の事を言っていた。
ライムの腕を掴み、どういう事なのか詰め寄る。
腕が動かなかった状態だったのか?何処か怪我でもしたのか?
ライムの身体を調べると「くすぐったい」と笑っていた。
さっきはボロボロに見えていたが、傷は一つもない。
大きな音が響いて、音のした方を見るともう一つの壁が壊れて巨大な猫が現れた。
「おー、お前ら無事だったか!」
猫の上からカイト様が顔を出して、手を振っていた。
93
お気に入りに追加
8,302
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。閲覧ありがとうございます。
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
(第2章の改稿が完了しました。2024/12/18)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる