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過去編・二人と一匹
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ぐるぐる喉を鳴らして、俺に身体を擦り付けていた。
可愛い!…カイウスにも見せたい可愛さ!リーズナが嫉妬しちゃうかな。
カイトは膨れっ面でのそりと起き上がった。
俺とカイくんは分けながら仲良く食事をしていた。
ほどいい焼き加減の魚だなぁ…あれ?でも、どうやって焼いたんだろう。
「…ったく、俺はこんな事しに来たわけじゃ」
「そうだ、こんな朝早くから用事?」
「それもこれも全部お前のせいだろ悪霊が!!」
俺に向かって指を差してきて、その指をカイくんに噛まれていた。
涙目になりながら痛みに堪えているカイトが俺を睨んだ。
もしかして、またなにか不幸なエピソードでもあったのかな。
俺の予想は当たっていたらしい。
そのエピソードはどれも大した事ではなかった。
「百戦錬磨だったのに、口説いた女に見向きもされなかったぞ!!」
「………」
「しかも帰りに女に頬を叩かれたんだぞ!王族であるこの俺のな!!」
「……それって、自業自得なんじゃ」
「いいや、お前の呪いのせいだ!」
女好きで、いろんな女性に手を出すからそうなるんじゃないのか?
王族とか関係なくなるほどの酷い事をしたんだろ。
それを全部俺のせいにされても、どうしようもない。
カイトは「早く呪いを解くために、カイウスのペットを強奪する方法を思いついたんだ!」と、満面の笑みでそんな事を言っていた。
なんか、王族なのに盗賊みたいな事を言っている。
そういえばリーズナの事、言っていたな…今すぐ止めないと…
「リーズナの話なんだけど、もういいから」
「…なんで?」
「だって人の猫だし、奪うのは」
「大丈夫だ、お前が成仏したら返しに行く!」
いや、俺成仏しないし…リーズナに話が聞きたいだけなのに…
一応作戦を聞いてみると、壁からよじ登りカイウスの部屋に侵入するというものだった。
作戦がふんわりしすぎていて、失敗する気しかしない。
どうしよう、俺が未来から来て…て説明した方が早いかもしれないが、未来を変えていいのか分からない。
知っている場所なのに、俺…一人ぼっちなんだな。
カイくんを抱きしめて、その温かさで寂しさを埋める。
「俺、別の調べ物をするから手伝ってくれる?」
「…いや、俺はカイウスのペットを…」
「お願い、ね」
俺は文句を言うカイトの腕を掴んで、引きづる。
動きたくなさそうなカイトだったが、カイくんが俺が掴んでいるカイトの腕に噛み付いた。
カイトは痛がっているから、カイくんを抱きながら街に出た。
俺が行くのは精霊の森だ、本当は喋れるリーズナが良かったけど仕方ない。
精霊に聞いて、なにかヒントをもらえないだろうかと思っていた。
カイトは連れてくる理由はないが、ほっとくとカイウスの家に侵入しそうだから連れてきた。
俺のせいでカイトが不法侵入で捕まったら大変だ。
カイトが周りをキョロキョロしながら着いてくる。
精霊の森には来た事がないからか、不安そうにしていた。
街の人達に「カイト様だ!」と言われていて、軽く手を振っていた。
国民へのサービスは忘れないんだな、ちょっと意外だ。
広場を抜けて、街外れまでやってきて…精霊達が集まってきた。
カイトは見えないから精霊には見向きもしていない。
カイくんの周りに精霊が集まってきた、精霊に好かれているんだな。
カイくんを地面に降ろすと、走って行ってしまった。
俺は精霊の子に「聞きたい事があるんだけどいいかな?」と聞いてみた。
横で見ていたカイトは誰と話してるんだ?と不審そうに見ていた。
俺は素直に精霊だよと言うと、カイトは悪霊?と言っていた。
精霊って言ってるのに、何でも悪霊に結びつけないでほしい。
カイトは目を細めて必死に俺の目の前を見ようとしているが、すぐに飽きて俺から離れた。
俺はカイトがカイウスの家に行かないように、そこにいてと言って精霊に聞いた。
カイトが離れたからカイウスの名前を出しても小さい声ならカイトに聞かれる事はないだろう。
「カイウスの魔力は今ないんだ、魔力を満たすためにはどうすればいいのかな」
精霊と会話出来るのはカイウスだけだ、でもゼスチャーをしてくれるからなにかヒントがあれば…
精霊は何処かを指を差していた、あそこにカイウスの魔力の源があるのかな。
精霊が数人で俺を何処かに導こうとしていた。
蝶を見ていたカイトに「行こっ」と言うと渋々着いてきた。
草を掻き分けて、木々の間を通り進んでいく。
するとそこにあったのは、俺にとってとても懐かしいものだった。
開けた広場の真ん中に子供の時はとても高く感じていた大きな岩が見えた。
俺とカイウスが初めて出会ったあの場所の岩の前にカイくんがいた。
可愛い!…カイウスにも見せたい可愛さ!リーズナが嫉妬しちゃうかな。
カイトは膨れっ面でのそりと起き上がった。
俺とカイくんは分けながら仲良く食事をしていた。
ほどいい焼き加減の魚だなぁ…あれ?でも、どうやって焼いたんだろう。
「…ったく、俺はこんな事しに来たわけじゃ」
「そうだ、こんな朝早くから用事?」
「それもこれも全部お前のせいだろ悪霊が!!」
俺に向かって指を差してきて、その指をカイくんに噛まれていた。
涙目になりながら痛みに堪えているカイトが俺を睨んだ。
もしかして、またなにか不幸なエピソードでもあったのかな。
俺の予想は当たっていたらしい。
そのエピソードはどれも大した事ではなかった。
「百戦錬磨だったのに、口説いた女に見向きもされなかったぞ!!」
「………」
「しかも帰りに女に頬を叩かれたんだぞ!王族であるこの俺のな!!」
「……それって、自業自得なんじゃ」
「いいや、お前の呪いのせいだ!」
女好きで、いろんな女性に手を出すからそうなるんじゃないのか?
王族とか関係なくなるほどの酷い事をしたんだろ。
それを全部俺のせいにされても、どうしようもない。
カイトは「早く呪いを解くために、カイウスのペットを強奪する方法を思いついたんだ!」と、満面の笑みでそんな事を言っていた。
なんか、王族なのに盗賊みたいな事を言っている。
そういえばリーズナの事、言っていたな…今すぐ止めないと…
「リーズナの話なんだけど、もういいから」
「…なんで?」
「だって人の猫だし、奪うのは」
「大丈夫だ、お前が成仏したら返しに行く!」
いや、俺成仏しないし…リーズナに話が聞きたいだけなのに…
一応作戦を聞いてみると、壁からよじ登りカイウスの部屋に侵入するというものだった。
作戦がふんわりしすぎていて、失敗する気しかしない。
どうしよう、俺が未来から来て…て説明した方が早いかもしれないが、未来を変えていいのか分からない。
知っている場所なのに、俺…一人ぼっちなんだな。
カイくんを抱きしめて、その温かさで寂しさを埋める。
「俺、別の調べ物をするから手伝ってくれる?」
「…いや、俺はカイウスのペットを…」
「お願い、ね」
俺は文句を言うカイトの腕を掴んで、引きづる。
動きたくなさそうなカイトだったが、カイくんが俺が掴んでいるカイトの腕に噛み付いた。
カイトは痛がっているから、カイくんを抱きながら街に出た。
俺が行くのは精霊の森だ、本当は喋れるリーズナが良かったけど仕方ない。
精霊に聞いて、なにかヒントをもらえないだろうかと思っていた。
カイトは連れてくる理由はないが、ほっとくとカイウスの家に侵入しそうだから連れてきた。
俺のせいでカイトが不法侵入で捕まったら大変だ。
カイトが周りをキョロキョロしながら着いてくる。
精霊の森には来た事がないからか、不安そうにしていた。
街の人達に「カイト様だ!」と言われていて、軽く手を振っていた。
国民へのサービスは忘れないんだな、ちょっと意外だ。
広場を抜けて、街外れまでやってきて…精霊達が集まってきた。
カイトは見えないから精霊には見向きもしていない。
カイくんの周りに精霊が集まってきた、精霊に好かれているんだな。
カイくんを地面に降ろすと、走って行ってしまった。
俺は精霊の子に「聞きたい事があるんだけどいいかな?」と聞いてみた。
横で見ていたカイトは誰と話してるんだ?と不審そうに見ていた。
俺は素直に精霊だよと言うと、カイトは悪霊?と言っていた。
精霊って言ってるのに、何でも悪霊に結びつけないでほしい。
カイトは目を細めて必死に俺の目の前を見ようとしているが、すぐに飽きて俺から離れた。
俺はカイトがカイウスの家に行かないように、そこにいてと言って精霊に聞いた。
カイトが離れたからカイウスの名前を出しても小さい声ならカイトに聞かれる事はないだろう。
「カイウスの魔力は今ないんだ、魔力を満たすためにはどうすればいいのかな」
精霊と会話出来るのはカイウスだけだ、でもゼスチャーをしてくれるからなにかヒントがあれば…
精霊は何処かを指を差していた、あそこにカイウスの魔力の源があるのかな。
精霊が数人で俺を何処かに導こうとしていた。
蝶を見ていたカイトに「行こっ」と言うと渋々着いてきた。
草を掻き分けて、木々の間を通り進んでいく。
するとそこにあったのは、俺にとってとても懐かしいものだった。
開けた広場の真ん中に子供の時はとても高く感じていた大きな岩が見えた。
俺とカイウスが初めて出会ったあの場所の岩の前にカイくんがいた。
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