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過去編・決意
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未来の俺がこの世界でどうやって死ぬのかは分からない。
でも、きっと…俺はいつものように何も出来ずに死んでいったのだろうと思う。
カイウス、俺はね…ずっとカイウスに守られたいんじゃないんだよ。
カイウスと一緒に並んで歩きたい、守られてばかりだとカイウスの背中しか見えないよ。
誰も認めてくれない、俺はカイウスの隣に相応しい男になりたい。
授かった悪魔の力はそのためのものだと思っている。
この力はカイウスの暴走を止める他に、もう一つの使い道がある。
俺はそれを、カイウスを守るために使いたい。
「カイウス、俺は絶対に死なない…約束するよ」
「…でも、実際ライムは死んだ」
「カイウスが過去に来て、俺は未来が変わったと思ってる」
そうだ、俺達の行動一つで未来の運命は変えられる。
もし、未来の俺が死んだ理由があの崖から転落した事だったらカイウスが来て助けられた事で変わっていたとしたら…
運命は自分の手でどうにかするものなのだと思う。
俺は、絶対に死なない…カイウスを置いて絶対に…
頬に触れられた手に手を重ねる。
冷たかった手にだんだん体温が戻ってくる。
「俺を信じて…カイウスを悲しませたりしないから」
「……ライムを信じてる、信じてる…けど」
今度は俺がカイウスの頬に手を添えて、口付けた。
チュッと音を立てて、口を離して…カイウスの額に自分の額をくっつけた。
「俺も、カイウスと一緒に戦う」と言った。
一人で全て追い込もうとしないで、俺にも協力させてよ。
カイウスの邪魔はしないから……今度はちゃんと戦う準備をする。
アイツらに勝てるように…
「ライム、アイツらは普通の人間じゃない…分かってるのか?」
「分かってる、でも俺にとっては普通の人間だよ」
「何言ってんだ!アイツらは神の刺客だぞ!俺と似たような魔法を使える!ライムが戦える相手じゃ…」
「カイウス、忘れちゃったの?」
俺の肩を掴んで大きな声を出すカイウスにちょっとビックリした。
でも、俺を心配してくれているのは分かってる。
だから俺はカイウスの前に、悪魔の紋様がある手の甲を見せた。
俺の悪魔の紋様は魔法が使えない代わりに別の効果がある。
魔力が大きくなったカイウスに触れる事によって正気を戻す力だ。
今は暴走カイウスも受け入れたからか、触れただけじゃ戻らなくなっているけど……
俺の力は魔力を消す力だ。
魔法が使える相手でも、俺には魔法は通用しない。
だから普通のちょっと強い奴と同じなんだ。
崖に落ちた時は魔法じゃなくて武器だったから消す事は出来なかったが、俺だって武装すれば戦える。
だって、国一番の騎士に教えてもらったからだ。
「俺には魔法は通用しないよ」
「……そうだったな、でも…ライム…君は人を殺せるのか?」
俺は、人を殴った事はあるけど…殺した事はない。
正直、そう言われて今でもちょっと怖いと感じた。
でも俺は殺す以外の方法もある事を知っている。
人を殺す事は騎士にしか許されていない行為だ。
…それが例え凶悪な犯罪者であっても変わらない。
俺はカイウスを悲しませたくない、だから本当の悪役にはならない。
「俺は殺さず、捕獲する」
「……ライム、それがどんなに難しい事か分かっているのか?」
「分かってる、でも…殺すより躊躇いはないよ」
「ライム…」
「俺が死んで、カイウスが悲しむなら…俺は俺を守る….守るために未来をこの手で変えて戦うんだ」
まっすぐカイウスを見つめてそう言った。
カイウスは黙ってしまった……不安そうにカイウスを見ると後頭部に触れられて抱きしめられた。
俺もカイウスの背中に腕を回して、ギュッと抱きしめ返した。
「俺もライムと同じ気持ちだったのに、ライムは違うと思い込んでた……悪かった」と言っていた。
カイウスは俺を想って心配してくれたんだから謝る事はないよ。
自分の気持ちがちゃんと伝わって嬉しかった。
カイウスを手伝いながら、カイウスが目覚める方法を探す事になった。
条件として、絶対に別行動しない事と言われ、頷いた。
「これからどうするか」
「どうするって?」
「ずっと野宿というわけにはいかないだろう」
確かに、俺達はこの世界では異端な存在だ。
当然寝るところなんてないし、カイウスは顔がバレているから宿屋というわけにはいかない。
カイくんに戻れば、何処でもいけそうだが…まだ変身出来るほどの魔力は戻ってなさそうだ。
カイウスの家や、俺の住んでいた寮はこの世界の俺達に出会うかもしれないからダメだ。
ローベルト家なんてもっと無理だろ…他に何処かあっただろうか。
精霊の宮殿ならいいんじゃないかと思ったが、カイウスが首を横に振った。
でも、きっと…俺はいつものように何も出来ずに死んでいったのだろうと思う。
カイウス、俺はね…ずっとカイウスに守られたいんじゃないんだよ。
カイウスと一緒に並んで歩きたい、守られてばかりだとカイウスの背中しか見えないよ。
誰も認めてくれない、俺はカイウスの隣に相応しい男になりたい。
授かった悪魔の力はそのためのものだと思っている。
この力はカイウスの暴走を止める他に、もう一つの使い道がある。
俺はそれを、カイウスを守るために使いたい。
「カイウス、俺は絶対に死なない…約束するよ」
「…でも、実際ライムは死んだ」
「カイウスが過去に来て、俺は未来が変わったと思ってる」
そうだ、俺達の行動一つで未来の運命は変えられる。
もし、未来の俺が死んだ理由があの崖から転落した事だったらカイウスが来て助けられた事で変わっていたとしたら…
運命は自分の手でどうにかするものなのだと思う。
俺は、絶対に死なない…カイウスを置いて絶対に…
頬に触れられた手に手を重ねる。
冷たかった手にだんだん体温が戻ってくる。
「俺を信じて…カイウスを悲しませたりしないから」
「……ライムを信じてる、信じてる…けど」
今度は俺がカイウスの頬に手を添えて、口付けた。
チュッと音を立てて、口を離して…カイウスの額に自分の額をくっつけた。
「俺も、カイウスと一緒に戦う」と言った。
一人で全て追い込もうとしないで、俺にも協力させてよ。
カイウスの邪魔はしないから……今度はちゃんと戦う準備をする。
アイツらに勝てるように…
「ライム、アイツらは普通の人間じゃない…分かってるのか?」
「分かってる、でも俺にとっては普通の人間だよ」
「何言ってんだ!アイツらは神の刺客だぞ!俺と似たような魔法を使える!ライムが戦える相手じゃ…」
「カイウス、忘れちゃったの?」
俺の肩を掴んで大きな声を出すカイウスにちょっとビックリした。
でも、俺を心配してくれているのは分かってる。
だから俺はカイウスの前に、悪魔の紋様がある手の甲を見せた。
俺の悪魔の紋様は魔法が使えない代わりに別の効果がある。
魔力が大きくなったカイウスに触れる事によって正気を戻す力だ。
今は暴走カイウスも受け入れたからか、触れただけじゃ戻らなくなっているけど……
俺の力は魔力を消す力だ。
魔法が使える相手でも、俺には魔法は通用しない。
だから普通のちょっと強い奴と同じなんだ。
崖に落ちた時は魔法じゃなくて武器だったから消す事は出来なかったが、俺だって武装すれば戦える。
だって、国一番の騎士に教えてもらったからだ。
「俺には魔法は通用しないよ」
「……そうだったな、でも…ライム…君は人を殺せるのか?」
俺は、人を殴った事はあるけど…殺した事はない。
正直、そう言われて今でもちょっと怖いと感じた。
でも俺は殺す以外の方法もある事を知っている。
人を殺す事は騎士にしか許されていない行為だ。
…それが例え凶悪な犯罪者であっても変わらない。
俺はカイウスを悲しませたくない、だから本当の悪役にはならない。
「俺は殺さず、捕獲する」
「……ライム、それがどんなに難しい事か分かっているのか?」
「分かってる、でも…殺すより躊躇いはないよ」
「ライム…」
「俺が死んで、カイウスが悲しむなら…俺は俺を守る….守るために未来をこの手で変えて戦うんだ」
まっすぐカイウスを見つめてそう言った。
カイウスは黙ってしまった……不安そうにカイウスを見ると後頭部に触れられて抱きしめられた。
俺もカイウスの背中に腕を回して、ギュッと抱きしめ返した。
「俺もライムと同じ気持ちだったのに、ライムは違うと思い込んでた……悪かった」と言っていた。
カイウスは俺を想って心配してくれたんだから謝る事はないよ。
自分の気持ちがちゃんと伝わって嬉しかった。
カイウスを手伝いながら、カイウスが目覚める方法を探す事になった。
条件として、絶対に別行動しない事と言われ、頷いた。
「これからどうするか」
「どうするって?」
「ずっと野宿というわけにはいかないだろう」
確かに、俺達はこの世界では異端な存在だ。
当然寝るところなんてないし、カイウスは顔がバレているから宿屋というわけにはいかない。
カイくんに戻れば、何処でもいけそうだが…まだ変身出来るほどの魔力は戻ってなさそうだ。
カイウスの家や、俺の住んでいた寮はこの世界の俺達に出会うかもしれないからダメだ。
ローベルト家なんてもっと無理だろ…他に何処かあっただろうか。
精霊の宮殿ならいいんじゃないかと思ったが、カイウスが首を横に振った。
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