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騎士団の敷地
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服を着替えて、寮を出て奥に見える赤い教会のような建物の騎士団の敷地に向かう。
カイウスの家から近いから、学校の寮ともそんなに離れていない。
城のすぐ隣だが、城は勿論一般解放はされていないから大きな城壁で騎士団の敷地から侵入出来なくなっている。
騎士団の敷地の前には騎士が二人いて、危険物を持ち込んでいないか軽くチェックが入る。
「ここに名前を記入して」
「は、はい」
誰が今騎士団の敷地に入ってるか分かるために名前を記入する。
別れる前に、カイウスに名前チェックの事を教えてもらっていた。
俺がローベルト家の人間だとバレたら門前払いになるのは目に見えている。
だから「エーデルハイド」の名をつかえと言われたが、ローベルト家よりも有名なその苗字は名乗れない…絶対に嘘だとバレる。
「ライムの名前にもなるのにか?」とよく分からない事を言っていた。
他にいい方法がないかな…と思っていたらカイウスは俺の実の母の姓を教えてくれた。
母がカイウスに捕まった時に聞いた名前、俺の名前でもあると言われた。
そうだな、母の姓なら名乗っても変ではない…ただそれで呼び止められてすぐに立ち止まれるかは疑問だが…
紙に書いて、淡々と軽く体を触られてチェックが終わった。
「ライム・フロマージュ、騎士団の敷地に入る事を許可する」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げて、大きく開いた門を潜り騎士団の敷地に入る事に成功した。
庭がとても広くて、兵舎と訓練所を行き来するには大変そうだと思った。
それも訓練の一つなのかなと、庭で素振りの練習をしている騎士達の横を通った。
あんなに小さい子供まで騎士なんだ、俺より年下が多くて驚いた。
カイウスもあんなに小さな頃から騎士だったんだから、これが普通なのかな。
訓練所は騎士が使う武器によって違って、3つの建物がある。
一つは剣や槍などの手に持って直接敵に向かう武器専用の訓練所。
一つは銃や弓などの飛び道具の武器専用の訓練所で、一番大きい。
一つは鞭やハンマーなどのちょっと特殊な武器専用の訓練所だった。
訓練所のドアは開いていて、そこから見学も出来る…俺は武術を習いたいから特殊な武器専用の訓練所を眺めていた。
力を使う武器が多いからか、体が出来上がっている騎士が沢山いた。
羨ましいな、俺も腹が割れたいな…なんかコツでもあるのかな。
「何を見てるんだ?」
「俺もあんな風に筋肉質な男に」
「ライムはそのままでいてくれ」
後ろから声が聞こえて、振り返るとカイウスが騎士の服で立っていた。
やっぱりこの服はゲームでもよく見ていたから、しっくりくる。
カイウスも腹が割れてたし、どうやったら腹が割れるのかとカイウスに聞いたら困った顔をして「ライムはこのままじゃダメなのか?」と俺のまっ平で面白みがない腹を撫でていた。
カイウスはいつも俺が筋肉質な体になるのを嫌がるなぁ、まだ諦めてないぞ!
カイウスが来ると、外にいた騎士達がカイウスに頭を下げて挨拶していた。
教えたりしてるんだよな、カイウスは皆に慕われていて後でと言っていた。
「ライム、今から兵舎に行くから付いて来い」
「分かった」
カイウスと一緒に教会のような見た目の騎士団の兵舎にやって来た。
兵舎を出ると最初に見えたのはやはり見た目通り教会だった。
横の扉を開くと、食堂がありその奥に厨房があってカイウスが扉を開いた。
「クマ、いるか?」とカイウスが誰かを呼んでいて俺は首を傾げた。
クマって誰だろ、ゲームでは厨房の人達は出て来なかったから分からない。
周りを見渡す……までもなかった、床がドスンドスンと揺れている。
「カイ様、なにかご用で?」
「料理人をほしがっていただろ、まだ見習いだが料理の腕は保証する」
そう言ったカイウスは俺の背中を軽く押して、前に一歩踏み出した。
厨房の天井がとても高いからなんでだろうと思ったが、その理由がやっと分かった。
カイウスの二倍の身長はある大男がいた、失礼だが本当にクマのようだ。
俺は今日からここで働くつもりなんだ…頭を下げて「ここで働かせて下さい!」とお願いした。
クマさんはジッと俺を見つめていて、緊張で汗が頬を伝っていく。
クマさんは、強面の顔を柔らかくして俺に笑いかけて緊張が解けていった。
「助かったよ、カイ様の知り合いなら安心だ…これからよろしくね…名前は?」
「ライム、です」
「そうか、私はクマと呼ばれている…よろしくライム」
クマさんの大きな手を差し出されて、握ると優しく手を包み込まれた。
カイウスは仕事が残っているのか、厨房を後にして俺は制服に着替えるために更衣室に向かった。
これから俺の生活は新しくなにかが変わりそうだった…いい方向に変わってたらいいな。
カイウスの家から近いから、学校の寮ともそんなに離れていない。
城のすぐ隣だが、城は勿論一般解放はされていないから大きな城壁で騎士団の敷地から侵入出来なくなっている。
騎士団の敷地の前には騎士が二人いて、危険物を持ち込んでいないか軽くチェックが入る。
「ここに名前を記入して」
「は、はい」
誰が今騎士団の敷地に入ってるか分かるために名前を記入する。
別れる前に、カイウスに名前チェックの事を教えてもらっていた。
俺がローベルト家の人間だとバレたら門前払いになるのは目に見えている。
だから「エーデルハイド」の名をつかえと言われたが、ローベルト家よりも有名なその苗字は名乗れない…絶対に嘘だとバレる。
「ライムの名前にもなるのにか?」とよく分からない事を言っていた。
他にいい方法がないかな…と思っていたらカイウスは俺の実の母の姓を教えてくれた。
母がカイウスに捕まった時に聞いた名前、俺の名前でもあると言われた。
そうだな、母の姓なら名乗っても変ではない…ただそれで呼び止められてすぐに立ち止まれるかは疑問だが…
紙に書いて、淡々と軽く体を触られてチェックが終わった。
「ライム・フロマージュ、騎士団の敷地に入る事を許可する」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げて、大きく開いた門を潜り騎士団の敷地に入る事に成功した。
庭がとても広くて、兵舎と訓練所を行き来するには大変そうだと思った。
それも訓練の一つなのかなと、庭で素振りの練習をしている騎士達の横を通った。
あんなに小さい子供まで騎士なんだ、俺より年下が多くて驚いた。
カイウスもあんなに小さな頃から騎士だったんだから、これが普通なのかな。
訓練所は騎士が使う武器によって違って、3つの建物がある。
一つは剣や槍などの手に持って直接敵に向かう武器専用の訓練所。
一つは銃や弓などの飛び道具の武器専用の訓練所で、一番大きい。
一つは鞭やハンマーなどのちょっと特殊な武器専用の訓練所だった。
訓練所のドアは開いていて、そこから見学も出来る…俺は武術を習いたいから特殊な武器専用の訓練所を眺めていた。
力を使う武器が多いからか、体が出来上がっている騎士が沢山いた。
羨ましいな、俺も腹が割れたいな…なんかコツでもあるのかな。
「何を見てるんだ?」
「俺もあんな風に筋肉質な男に」
「ライムはそのままでいてくれ」
後ろから声が聞こえて、振り返るとカイウスが騎士の服で立っていた。
やっぱりこの服はゲームでもよく見ていたから、しっくりくる。
カイウスも腹が割れてたし、どうやったら腹が割れるのかとカイウスに聞いたら困った顔をして「ライムはこのままじゃダメなのか?」と俺のまっ平で面白みがない腹を撫でていた。
カイウスはいつも俺が筋肉質な体になるのを嫌がるなぁ、まだ諦めてないぞ!
カイウスが来ると、外にいた騎士達がカイウスに頭を下げて挨拶していた。
教えたりしてるんだよな、カイウスは皆に慕われていて後でと言っていた。
「ライム、今から兵舎に行くから付いて来い」
「分かった」
カイウスと一緒に教会のような見た目の騎士団の兵舎にやって来た。
兵舎を出ると最初に見えたのはやはり見た目通り教会だった。
横の扉を開くと、食堂がありその奥に厨房があってカイウスが扉を開いた。
「クマ、いるか?」とカイウスが誰かを呼んでいて俺は首を傾げた。
クマって誰だろ、ゲームでは厨房の人達は出て来なかったから分からない。
周りを見渡す……までもなかった、床がドスンドスンと揺れている。
「カイ様、なにかご用で?」
「料理人をほしがっていただろ、まだ見習いだが料理の腕は保証する」
そう言ったカイウスは俺の背中を軽く押して、前に一歩踏み出した。
厨房の天井がとても高いからなんでだろうと思ったが、その理由がやっと分かった。
カイウスの二倍の身長はある大男がいた、失礼だが本当にクマのようだ。
俺は今日からここで働くつもりなんだ…頭を下げて「ここで働かせて下さい!」とお願いした。
クマさんはジッと俺を見つめていて、緊張で汗が頬を伝っていく。
クマさんは、強面の顔を柔らかくして俺に笑いかけて緊張が解けていった。
「助かったよ、カイ様の知り合いなら安心だ…これからよろしくね…名前は?」
「ライム、です」
「そうか、私はクマと呼ばれている…よろしくライム」
クマさんの大きな手を差し出されて、握ると優しく手を包み込まれた。
カイウスは仕事が残っているのか、厨房を後にして俺は制服に着替えるために更衣室に向かった。
これから俺の生活は新しくなにかが変わりそうだった…いい方向に変わってたらいいな。
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