冷淡騎士に溺愛されてる悪役令嬢の兄の話

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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ゲームを思い出す

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寮の部屋に戻り、今日の夕飯を作ってベランダに向かった。

早くカイウス帰ってこないかなぁと、向かいの真っ暗に閉ざされたカーテンの向こう側を眺める。
まだ仕事中だろうか、学校と騎士の仕事の両立大変そうだしなぁ…

暇だから久々にゲームの事を考える、カイウスがゲーム外の行動ばかりするからすっかりこの世界がゲームの世界に似ていると忘れてしまっていた。
でも、放課後に見たカイウスとマリーとサクヤを見て改めて思い出した。

カイウスが学校に来る話はなかったが、もう騎士団長就任パレードは終わった。
もしかして本来マリーが契約する筈だったのが俺に変わっただけだとしたら、その後の話がこれから来るんだよな。

だとしたら、マリーとサクヤが初対面のイベントがあった筈だ。

じゃあアレが初対面のイベントだったのか、これからサクヤがマリーとカイウスに大きく関わっていく。
サクヤはカイウスと結婚する気だし、一番カイウスと距離が近いマリーは邪魔でしかないだろう。
ゲームのライムもサクヤにいろいろとやらされて、マリーを陥れようとしていたな。
その度にカイウスによって制裁させられても、最後までサクヤはカイウスを想っていたな。

一途なんだけど、やり方が間違ってるよな…普通に想っても実らない恋だとしても…

カイウスにマリーの事言っておいた方がいいよな、カイウスはマリーの事何とも思ってなくてもサクヤがマリーになにかするかもしれない。
マリーを守れるのはカイウスだけだ、他の攻略キャラクターが出てくればいいが…契約といい、カイウスの暴走といい…なんかこの世界カイウスルートの気がするんだよな。

カイウスルートだとしたら、他の攻略キャラクターがサクヤを止められるとは思えない。

「ライム、そんなところにいたら風邪を引くぞ」

「…カイウス」

どのくらい時間が経ったのか、カイウスが帰ってきて俺の部屋のベランダにやって来た。

暖めるように抱きしめられて、体が冷えている事に気付いた。
冷えた手を握られて、だんだん体温が戻ってきた。
俺もカイウスでエネルギーを補充しようと抱きしめる。

カイウスと一緒に部屋に戻り、冷えてしまった料理を魔法で温めてくれた。

一緒に夕食を食べている時、俺はさっき思っていた事を伝えようと思った。

「カイウス、その…俺の妹の事なんだけど…覚えてる?」

「ライムの家族だからな……なにかされたのか?」

穏やかだったカイウスの瞳が一気に鋭くなり、慌てて首を横に振った。
今日は何もされていない、これからあるかもしれないが不確かな事でカイウスが暴走してしまったら大変だ。
このお願いはカイウスの意思を尊重する、だからやりたくないなら俺は何も言わない。

ただ、頭の片隅には覚えておいてほしいから伝えるだけだ。

カイウスに妹がなにかしようとしてるかもしれないから、マリーを気に掛けてほしいと言った。
強制はしないからカイウスの暇な時でも見てくれたら…とお願いした。

エーデルハイド家を襲った人物についてはまだ分かってないから言えないが、ゲームで決まっているこの後の展開は回避出来る。

食事をする手を止めてカイウスは不思議そうな顔をしていた。

「何故ライムがメイドの事を気にするんだ?」

「…そ、れは…き、今日…三人を見かけて」

「そうか、ライムがそう言うなら見ておく」

これでマリーは大丈夫だろう、カイウスが見てくれるなら妹によって酷い事にならない筈だ。
…後はゲーム通りなら妹は俺になにかさせようとするだろう。
それを事前に止める事が出来たら、何事もなくゲームのストーリーが終わる。

俺の死亡フラグってどうなってるんだろう、カイウスと恋人になって回避されたように感じたが…ゲーム内容が変わった事によってカイウスじゃない誰かに殺される危険も拭いきれない。

そうなったら何に気をつければいいか分からないが、自分の出来る事をしよう。

考え事をしていたら「ライム」と言うカイウスの声が聞こえた。

「えっ、な、何?」

「ボーッとしてどうかしたのか?悩みがあるなら聞くが」

「大丈夫!カイウス、これ食べて!自信作!」

「ん、美味い」

カイウスと時間を過ごしてるのに、別の事を考えてしまい反省しながら食事の時間はあっという間に過ぎてしまった。
カイウスが持ってきた豆茶で食後のティータイムを楽しんでいたら、ふと寂しさを感じた。

カイウスは明日も仕事があるからもう帰るのかな…もっと一緒にいたいな。

コップの中で揺れる豆茶に向けていた目線をカイウスに向けると、いつからなのかカイウスがジッとこちらを見ていた。
心臓がドキドキと高鳴り、誤魔化すように豆茶を一口飲む。

カイウスが俺の名前を呼ぶ声が、普段より甘く感じた。

「目の前にいても学校じゃあまりライムに触れる事が出来なくて寂しかった」

「…俺も、寂しい」

「思いっきりライムに触れて、満たしたい」

カイウスに手を握られて、その暖かさに顔が緩む。

コップをテーブルに置いて、カイウスに導かれるまま歩き出した。
医務室では出来なかった事を、二人っきりの空間で触れる事が出来る。

最初はちゅっ、ちゅと触れるだけの可愛いキスから口を開けて舌を絡める深いキスに変わる。

腰を引き寄せられて震える足を支えられて、気持ちいいキスに夢中になる。
唇を離すと、濡れた唇が目に入り心臓の鼓動が早くなる。

ベッドに押し倒されて、カイウスが見下ろして色気がある笑みを向けた。

「ライム、緊張してるのか?」

「んぁっ、だ…いじょ…ぶ」

「痛くしないから安心して身を任せてくれ」

カイウスに頭を撫でられて、自分では分からないくらいに体が緊張でカチカチになっていた。
カイウスが俺を傷付けるとは思っていないが、今日も最後まですると思うと俺でカイウス気持ちいいかな?とか不安になっていく。

どうやったらカイウスを満足させられるか分からないが、俺は俺なりに性の知識は浅いがやってみようと思った。

カイウスには身を任せてくれと言われたが、俺は服を脱がしてくるカイウスの手を止めた。
どうかしたのか?と言いたげな顔で見てくるから、カイウスを抱きしめてゴロンと狭いベッドの中転がった。

俺とカイウスの位置が逆転して、カイウスの驚いた顔が見える。

「ライム?」

「俺も、カイウスに気持ちよくなってほしいんだ…だから今日は俺がカイウスを可愛がる」

そう言った俺はカイウスのシャツを脱がして裸にする。
一瞬だけ時が止まったように動かなかったカイウスだったが、すぐに理解して俺の頭を撫でていた。
余裕そうだなぁ、俺のテクですぐに余裕なくしてやる!…テクなんて童貞の俺にはないけど…

中途半端に脱げていた俺の服をカイウスに脱がされて、自分のズボンは自分で脱いでお互い何も身につけていない格好になった。
俺の尻の下にカイウスの大きなモノがあり、むずむずする。

でも今日は俺が可愛がるって決めたんだ、いつまでも受け身な俺だと思うなよ。

体を移動させて、カイウスのを握るとビクビクと震えた。
これが自分の中に入っていたと思うと人間って本当に丈夫なんだなと感心した。

軽く擦ると、カイウスの眉が寄り気持ち良さそうに息を吐いていた。
コレもカイウスの一部で、愛しく感じて亀頭をペロッと舐めた。

「はぁ、ライム…俺はいい…から」

「んっ、俺もカイウスを気持ちよくしたいんだ…下手くそで良くないかもしれないけど」

「そんな事はない、ライムに触られているだけで気持ちいい」

その言葉は本当のようでカイウスのが、少ししか触れていないのに大きくなっていた。
先が気持ちいいのかな、ちろちろと舐めて両手でカイウスのを握り擦る。

カイウスのに触っていると、自分まで変な気分になり…足を擦り合わせる。
俺が良くなってどうするんだ、今日はカイウスを気持ちよくさせるんだから!
そう意気込んで奉仕を続けていたら、カイウスにより舐めるのを止めさせられた。

まだカイウス、イってないのに…不満そうにカイウスを見ると嬉しそうに微笑まれた。

「ライム、尻をこっちに」

「えっ!?いや、でも…」

「ライムばかり触っていたら、ズルくないか?」

カイウスにズルいと言われて、そうかな…と思い恥ずかしいけどカイウスの顔に下半身を近付ける。
これってなんて言うんだっけ?なんかとんでもなく恥ずかしい事してないか?

俺の目の前にカイウスの勃起したものが見えて、さっきのように握ると衝撃が下半身に走った。
慌てて後ろを振り返ると、カイウスが俺のを咥えていた。
吸って舌で扱いて気持ちよくて腰が震える。

俺も負けちゃダメだと舌を一生懸命伸ばすが、今度は奥に刺激がやってきた。
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