118 / 299
過去編・目的
しおりを挟む
「…ライム、俺がここにいた事は忘れてくれ」
「どうして、なんでそんな事…」
「ライムを巻き込みたくない」
「……カイウス、なんで…過去にいるの?」
「…っ!?」
「未来の、カイウスなんでしょ?」
俺は見慣れない身体の傷で、そうなんじゃないかと思った。
過去のカイウスも、俺がいた世界のカイウスもそんな傷はなかった。
だとしたら、未来のカイウスが傷を負った事になる。
見た事がない違和感も、カイウスが少し成長したからだと思ったら納得出来る。
俺も未来から来たんだ、カイウスも未来から来ても不思議ではない。
カイウスはシャツの袖を破って、傷口に当てて縛っていた。
「…カイウスが過去にいる理由と、俺を巻き込みたくない理由は一緒?」
「……」
カイウスは何も答えないが、それが何よりの答えだと思った。
傷の理由は気になるが、未来のカイウスがいるって事は俺の今の行動は無駄にはならないと分かり安堵した。
これからどうなるか分からないけど、俺はカイウスを救えるんだ。
カイウスが未来にいるって事は、未来の俺は何をしているんだろう。
それにカイウスはいつからこの過去の世界に居たんだろう。
カイウスがなかなか話してくれないから、気になる!
「カイウス、カイウスがこの過去の世界にいたら未来の国は大丈夫なのか?」
「………」
「…カイウス?」
「この世界にいる時は、未来は時間が進んでいない…だから俺が元の世界に戻っても時間は来る前と変わらない」
カイウスは渋々といった感じで話してくれた。
じゃあ俺がいない間も時間は変わらないんだ、良かった。
俺がいない間に、神がカイウスになにかしたら大変だ。
未来の俺はカイウスが過去に向かってる事を知らないのか。
気になるけど、あまり未来になにが起きたか聞かない方がいいのかもしれない。
カイウスは何しに過去に来たんだろう、それくらい聞いてもいいよな。
カイウスは話したくなさそうだったけど…カイウスが危険な目に合うのは怖い。
「カイウス、俺…頼りないかもしれないけど…カイウスの事を守りたいんだ!」
「……ライムを巻き込んだら、来た意味がなくなる」
来た意味がなくなる?…俺に関連している事って事だよな。
だったら余計に俺に俺に教えてほしい、もしかしたらなにか気をつける事があるのかもしれない。
でも、カイウスは本当に巻き込みたくないのかなかなか口を開こうとはしなかった。
世間話でもして、和ませてからうっかり口を滑らせて話してくれないだろうか……無理か。
無理矢理聞くのは俺もカイウスもいい気はしないのは分かってる。
でも俺に関わる事なら、ちゃんと知りたい…もしかしたら気をつける事で現代のカイウスを助ける事に繋がるかと思った。
俺はカイウスの隣に座り、なるべく明るく言ってみた。
「そういえば、未来のカイウスって何年後のカイウスなの?」
「……三年後だ」
「三年も経ったらいろいろ変わってるよね、未来の俺は元気?」
三年後のカイウスにちょっとテンションが上がって、聞いてみた。
未来の俺が元気かくらいは聞いてもいいよな。
でも、カイウスの空気がまた重くなってしまった。
未来の俺になにかあった、でも…俺はカイウスの顔を見てさっきみたいに深くは聞けなかった。
眉を寄せて苦しげなカイウスに俺は話題を変えようと思った。
そうだ、この過去で知り合った猫のカイくんとカイトの話でもしよう。
猫にカイウスの二文字を使ったらビックリしちゃうかな。
「俺、過去に来て友達が出来たんだ」
「……知ってる」
「え…カイウス、見てたの?」
「ずっと傍に居た」
少し顔を和らげて、カイウスが俺の頭を撫でていて言った。
傍にいたって…でも俺がいたのはカイくんとカイトだけだった。
そういえば、リーズナも人間に変身していたな。
もしかして、カイウスが…カイくんだった?カイウスに似ていると思ったのは本人だったから?
目を丸くして驚いたが、ずっと一緒にいてくれた事が嬉しかった。
なにかの鳥の鳴き声が暗い闇の中に聞こえた。
眠くなってきて、うとうととしてきた…今はカイウスが近くにいると分かるからすぐに深い眠りの底に沈んでいった。
朝起きたらカイウスが居なくなっていないように、ギュッと腕を握りしめた。
「守ってやれなくて、ごめん」
ふと、カイウスの声が聞こえた…俺はいつもカイウスに守ってもらっているのになんでそんな事を言うんだろう。
力が抜けて、添えているだけになっていた指に力を入れてギュッと手を握った。
すると、しっかりと手を握り返されて…体温が伝わってくる。
俺は、何となく察していたけど…カイウスの言葉を聞くまで信じる事が出来なかった。
カイウスに辛い事を聞いてしまって、今はとても反省している。
なにがあった経路までは分からない…でも、カイウスが謝る事はないんだ。
俺の事をカイウスは話してくれない、一般的に理由は二つ考えられる。
一つは俺達が別れて別々の道を歩んだという事。
でも、カイウスはわざわざ過去までやって来て俺のためになにかしようとしている。
別れた恋人にそこまでするだろうか、カイウスならやりそうだが…俺を見るカイウスの顔でその理由は消えた。
俺の事を愛しげに見つめるカイウスは今も昔も何も変わっていない。
俺だってこんなにカイウスが好きなんだ、三年という短い年月で心変わりするとは思えない。
たとえカイウスがどんな存在になろうと、俺はカイウスを愛している。
そうなると、残りはやっぱりアレしかなくなる。
俺はきっと、三年後にはこの世にいないのだろう。
「どうして、なんでそんな事…」
「ライムを巻き込みたくない」
「……カイウス、なんで…過去にいるの?」
「…っ!?」
「未来の、カイウスなんでしょ?」
俺は見慣れない身体の傷で、そうなんじゃないかと思った。
過去のカイウスも、俺がいた世界のカイウスもそんな傷はなかった。
だとしたら、未来のカイウスが傷を負った事になる。
見た事がない違和感も、カイウスが少し成長したからだと思ったら納得出来る。
俺も未来から来たんだ、カイウスも未来から来ても不思議ではない。
カイウスはシャツの袖を破って、傷口に当てて縛っていた。
「…カイウスが過去にいる理由と、俺を巻き込みたくない理由は一緒?」
「……」
カイウスは何も答えないが、それが何よりの答えだと思った。
傷の理由は気になるが、未来のカイウスがいるって事は俺の今の行動は無駄にはならないと分かり安堵した。
これからどうなるか分からないけど、俺はカイウスを救えるんだ。
カイウスが未来にいるって事は、未来の俺は何をしているんだろう。
それにカイウスはいつからこの過去の世界に居たんだろう。
カイウスがなかなか話してくれないから、気になる!
「カイウス、カイウスがこの過去の世界にいたら未来の国は大丈夫なのか?」
「………」
「…カイウス?」
「この世界にいる時は、未来は時間が進んでいない…だから俺が元の世界に戻っても時間は来る前と変わらない」
カイウスは渋々といった感じで話してくれた。
じゃあ俺がいない間も時間は変わらないんだ、良かった。
俺がいない間に、神がカイウスになにかしたら大変だ。
未来の俺はカイウスが過去に向かってる事を知らないのか。
気になるけど、あまり未来になにが起きたか聞かない方がいいのかもしれない。
カイウスは何しに過去に来たんだろう、それくらい聞いてもいいよな。
カイウスは話したくなさそうだったけど…カイウスが危険な目に合うのは怖い。
「カイウス、俺…頼りないかもしれないけど…カイウスの事を守りたいんだ!」
「……ライムを巻き込んだら、来た意味がなくなる」
来た意味がなくなる?…俺に関連している事って事だよな。
だったら余計に俺に俺に教えてほしい、もしかしたらなにか気をつける事があるのかもしれない。
でも、カイウスは本当に巻き込みたくないのかなかなか口を開こうとはしなかった。
世間話でもして、和ませてからうっかり口を滑らせて話してくれないだろうか……無理か。
無理矢理聞くのは俺もカイウスもいい気はしないのは分かってる。
でも俺に関わる事なら、ちゃんと知りたい…もしかしたら気をつける事で現代のカイウスを助ける事に繋がるかと思った。
俺はカイウスの隣に座り、なるべく明るく言ってみた。
「そういえば、未来のカイウスって何年後のカイウスなの?」
「……三年後だ」
「三年も経ったらいろいろ変わってるよね、未来の俺は元気?」
三年後のカイウスにちょっとテンションが上がって、聞いてみた。
未来の俺が元気かくらいは聞いてもいいよな。
でも、カイウスの空気がまた重くなってしまった。
未来の俺になにかあった、でも…俺はカイウスの顔を見てさっきみたいに深くは聞けなかった。
眉を寄せて苦しげなカイウスに俺は話題を変えようと思った。
そうだ、この過去で知り合った猫のカイくんとカイトの話でもしよう。
猫にカイウスの二文字を使ったらビックリしちゃうかな。
「俺、過去に来て友達が出来たんだ」
「……知ってる」
「え…カイウス、見てたの?」
「ずっと傍に居た」
少し顔を和らげて、カイウスが俺の頭を撫でていて言った。
傍にいたって…でも俺がいたのはカイくんとカイトだけだった。
そういえば、リーズナも人間に変身していたな。
もしかして、カイウスが…カイくんだった?カイウスに似ていると思ったのは本人だったから?
目を丸くして驚いたが、ずっと一緒にいてくれた事が嬉しかった。
なにかの鳥の鳴き声が暗い闇の中に聞こえた。
眠くなってきて、うとうととしてきた…今はカイウスが近くにいると分かるからすぐに深い眠りの底に沈んでいった。
朝起きたらカイウスが居なくなっていないように、ギュッと腕を握りしめた。
「守ってやれなくて、ごめん」
ふと、カイウスの声が聞こえた…俺はいつもカイウスに守ってもらっているのになんでそんな事を言うんだろう。
力が抜けて、添えているだけになっていた指に力を入れてギュッと手を握った。
すると、しっかりと手を握り返されて…体温が伝わってくる。
俺は、何となく察していたけど…カイウスの言葉を聞くまで信じる事が出来なかった。
カイウスに辛い事を聞いてしまって、今はとても反省している。
なにがあった経路までは分からない…でも、カイウスが謝る事はないんだ。
俺の事をカイウスは話してくれない、一般的に理由は二つ考えられる。
一つは俺達が別れて別々の道を歩んだという事。
でも、カイウスはわざわざ過去までやって来て俺のためになにかしようとしている。
別れた恋人にそこまでするだろうか、カイウスならやりそうだが…俺を見るカイウスの顔でその理由は消えた。
俺の事を愛しげに見つめるカイウスは今も昔も何も変わっていない。
俺だってこんなにカイウスが好きなんだ、三年という短い年月で心変わりするとは思えない。
たとえカイウスがどんな存在になろうと、俺はカイウスを愛している。
そうなると、残りはやっぱりアレしかなくなる。
俺はきっと、三年後にはこの世にいないのだろう。
176
お気に入りに追加
8,302
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。閲覧ありがとうございます。
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
(第2章の改稿が完了しました。2024/12/18)

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる