37 / 299
クッキング
しおりを挟む
「ぎゃっ!!」
「ごめんなさい!お怪我はありませんか?」
「…だ、大丈夫です…私もよそ見していたので」
黒いローブを見にまとっていた大きいメガネの少年が笑い、本を拾っていた。
俺もしゃがんで本を拾い、その本をジッと見つめる。
少年に本を返すと頭を下げていた。
同じ歳っぽいけど、クラスメイトの中にはいなかった。
一人で借りたのか、かなりの量の本があった。
ジャンルも様々で恋愛小説から難しい辞書まで様々だ。
「あの、この本に興味がおありですか?」
「…え?」
少年は床に本を置いて、俺がさっき見ていた本を取り出した。
それは『初心者でも簡単!お手軽家庭レシピ』という本だった。
生前の時でも料理をした事がなくて、初心者でも出来る料理から始めたいと思っていた。
まさにぴったりの本でつい見てしまっていた。
でも少年が借りようとしていた本ではなかったのか?
少年は俺にどうぞと本を差し出していた。
「あの、でもこれ貴方が借りようとした本じゃ」
「え?いえいえ、これが私の仕事なので」
「…仕事?もしかして司書さん?」
「はい!カナデと申します、よろしくお願いします」
まさか同じ歳だと思ったら司書さんだったなんて驚きだ。
司書さんなら欲しい本を利用者に貸し出すのが仕事だから料理本を受け取った。
司書さんの話を聞くともう大人のようで、カナデさんと呼ぶ事にした。
カナデさんに本の貸し出しの許可をもらい、料理本をカバンに入れて図書館を後にした。
そして作ろうと思っている料理の材料をメモした紙を持ち買い出しに行こうとしたら黒子達に出会った。
あれからいろいろあり、今ようやく俺の初めての調理が始まる。
キッチンに置くと万が一汚れたら大変だからテーブルに本を置いて目当ての料理のページを開いたままにする。
調味料と食材をキッチンに並べて、包丁を手にした。
調味料や調理器具は備え付けられたものがあるから食材だけの出費で抑えられた。
一口サイズに野菜や肉を切り、鍋に本で書かれた調味料の量を入れる。
これで合っているか不安になりながら、野菜や肉を鍋の中に入れる。
蓋をして、よく味を染み込ませたら完成だ。
待っている間、料理本を眺めた。
「うーん、これは美味しそうだなぁ…あ、これなんていいかも」
そこまで考えて、自分のために料理を学んでるんじゃない事を思い出した。
俺の飯はただのついでだ。
そろそろ完成かなと、時計を見つめてキッチンに戻る。
そして味見をして、初めてにしては不味くはない……美味いかと言われたら微妙だけど…
美味しく作れるにはかなり練習しなきゃなと思いながら、一人で食事をした。
食べ終わり、外ががやがやと騒がしくて食器を洗った手を止めてベランダに向かった。
目の前はカイウスの屋敷だから、右側を見ると城下町が見える。
城下町は準備で大忙しだった。
そういえばカイウスの騎士団長就任パレードが始まるからだろう。
俺も見に行こうかな、ゲームでは見ていたが実際にも見たい。
カイウスの晴れ舞台を想像しながらキッチンに戻った。
「ごめんなさい!お怪我はありませんか?」
「…だ、大丈夫です…私もよそ見していたので」
黒いローブを見にまとっていた大きいメガネの少年が笑い、本を拾っていた。
俺もしゃがんで本を拾い、その本をジッと見つめる。
少年に本を返すと頭を下げていた。
同じ歳っぽいけど、クラスメイトの中にはいなかった。
一人で借りたのか、かなりの量の本があった。
ジャンルも様々で恋愛小説から難しい辞書まで様々だ。
「あの、この本に興味がおありですか?」
「…え?」
少年は床に本を置いて、俺がさっき見ていた本を取り出した。
それは『初心者でも簡単!お手軽家庭レシピ』という本だった。
生前の時でも料理をした事がなくて、初心者でも出来る料理から始めたいと思っていた。
まさにぴったりの本でつい見てしまっていた。
でも少年が借りようとしていた本ではなかったのか?
少年は俺にどうぞと本を差し出していた。
「あの、でもこれ貴方が借りようとした本じゃ」
「え?いえいえ、これが私の仕事なので」
「…仕事?もしかして司書さん?」
「はい!カナデと申します、よろしくお願いします」
まさか同じ歳だと思ったら司書さんだったなんて驚きだ。
司書さんなら欲しい本を利用者に貸し出すのが仕事だから料理本を受け取った。
司書さんの話を聞くともう大人のようで、カナデさんと呼ぶ事にした。
カナデさんに本の貸し出しの許可をもらい、料理本をカバンに入れて図書館を後にした。
そして作ろうと思っている料理の材料をメモした紙を持ち買い出しに行こうとしたら黒子達に出会った。
あれからいろいろあり、今ようやく俺の初めての調理が始まる。
キッチンに置くと万が一汚れたら大変だからテーブルに本を置いて目当ての料理のページを開いたままにする。
調味料と食材をキッチンに並べて、包丁を手にした。
調味料や調理器具は備え付けられたものがあるから食材だけの出費で抑えられた。
一口サイズに野菜や肉を切り、鍋に本で書かれた調味料の量を入れる。
これで合っているか不安になりながら、野菜や肉を鍋の中に入れる。
蓋をして、よく味を染み込ませたら完成だ。
待っている間、料理本を眺めた。
「うーん、これは美味しそうだなぁ…あ、これなんていいかも」
そこまで考えて、自分のために料理を学んでるんじゃない事を思い出した。
俺の飯はただのついでだ。
そろそろ完成かなと、時計を見つめてキッチンに戻る。
そして味見をして、初めてにしては不味くはない……美味いかと言われたら微妙だけど…
美味しく作れるにはかなり練習しなきゃなと思いながら、一人で食事をした。
食べ終わり、外ががやがやと騒がしくて食器を洗った手を止めてベランダに向かった。
目の前はカイウスの屋敷だから、右側を見ると城下町が見える。
城下町は準備で大忙しだった。
そういえばカイウスの騎士団長就任パレードが始まるからだろう。
俺も見に行こうかな、ゲームでは見ていたが実際にも見たい。
カイウスの晴れ舞台を想像しながらキッチンに戻った。
283
お気に入りに追加
8,176
あなたにおすすめの小説
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる