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爽やかな朝

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ゆらゆらと揺れる意識の中をさ迷っていた。

暖かい温もりに包まれて、どんどん意識が遠退いていく。
でも、もうそろそろ起きなきゃと頭では理解できるが体は動かない。

モゾモゾと体を動かすと、いつもの優しい手でポンポンと撫でられた。
意識がだんだんと戻ってきて、目蓋を開けた。

すると目の前には眩しいくらいのイケメンの姿が…

「おはよう、ライム」

「…っっ!!!???」

カイウスがいた……のはまぁいい、でもなんで裸なんだ!?

よく見たら俺も裸で、なんでだろうと思っていたら昨日の記憶が思い出される。
顔を隠すために毛布を頭から被る、このまま引きこもりたい。

「今日は休みだろ?もう少し寝てろ」とカイウスに毛布越しに抱き締められた。

そうだ、今日は休みだから自炊の勉強をしようと思っていたんだ。
結局変な気分になってしまい、忘れていた。

「うっ…」

「大丈夫だ、ちゃんと体は綺麗にした」

「…うぅ…」

「それに床に置いてあった食材も保存しといた」

カイウスは全部やってくれたようで、寒くないように俺の全身を毛布でくるんだ。
顔だけ出すとカイウスは起き上がり、床に脱ぎ捨てられた服を掴んで着替えた。

俺は学校が休みだけど、カイウスは仕事なんだろう。

俺もいつまでも全裸のままは嫌だから服を着ようと起き上がる。

しかし体が上手く動かない、かなり過労していた。
あんなにイけば、そりゃあ怠くなるだろう。

「ライム大丈夫か?」

「…うっ、うん…大丈夫…」

「ジッとしてろ」

大丈夫とは言っても腕を伸ばすが全然服まで届いていなかった。

代わりにカイウスが取ってくれて、受け取るだけだと思った。
しかしカイウスは急に布団をめくり、俺の体が露になった。
とっさに両手で下半身を隠すと、俺の服を持ったカイウスに押し倒された。

片足を持ち上げられて、変な格好になりパンツを穿かせようとしていた。
俺の下半身を隠している手を掴まれて剥がされた。

「穿かせられないから、少しだけ我慢しろ」

「俺が穿くからいいって!!」

「服も持てないのに無理するな」

カイウスに言われて、実は足も自力で動かない状態だから悔しいけど黙って従う事にした。
ズボンを穿かされて、シャツに腕を通す。
脱がされるより着せられる方が恥ずかしいと知った。
しかも皆のカイ様にさせてるとなると申し訳ない。

「終わったぞ」というカイウスの声と共に、離れていった。
まだ体は動かないが、カイウスにお礼を言って笑った。
カイウスはどんな時でもクールな表情をしていた。

「俺がライムに無理させたんだ、これくらい当然だ」

「いや、俺も…変だったから…ごめん、発作みたいなものなんだ」

「発作?」

今後またカイウスの前で変な事になる前に止めようと思った。
病気のようなもので、カイウスに近付くと変な感じになってしまうと説明した。
意味が分からないだろう、なんでカイウス限定なんだと…言ってる俺でさえ何言ってるか分からない。

カイウスは俺の体を気遣い病院に行く事をすすめている。
それが普通だ、変な病気はすぐに治した方がいいからな。
でも俺は病院に行く金もないし、カイウス限定で興奮するなんて誰にも思われたくなかった。

それに原因は何となく分かってる、悪魔の紋様がカイウスに反応したんだ。
それをカイウスに説明すると悪魔の紋様もバレてしまう。
ヒロインにも同じものがおそらくあると思うから、俺はひたすら使わない道を選ぶ。

カイウスには悪いが、俺は病院に行ったと説明した。

「医者は対象物に会わなければ大丈夫なんだって……だからごめんカイウス」

「………」

俺があの状態にならないためにはカイウスともう会わない方がいいんだ。
俺はカイウスに会えなくなるのは寂しいが、カイウスにあんな事させないためにも…

今ならカイウスに想いを伝えなくて良かったと思っている。
別れは寂しいから…

そう思ったらカイウスに抱きしめられた。
いつもと違い、ちょっと荒々しい抱きしめだった。

「俺がいるとライムは体が熱くなるだけか?」

「えっ……うん、そうだけど」

「だったらライムだけじゃない、俺もだ……昨日みたいにすっきりすればライムは落ち着くんだろ?」

突然のカイウスの質問に正直に答えた。
確かにすっきりしたら落ち着いた、それはカイウスも見ているから誤魔化せないだろう。

カイウスが発情したのは俺の発情に誘発されたからだと思う。
だから俺とは少し違うが、カイウスも理性が消えかけていたのは確かだ。

カイウスは一人で納得したように頷いていた。

「なら俺がライムを治す、今は俺の前だけだけど他の奴を前にしてならないとは限らないからな」

カイウスの精霊の力に俺の悪魔の紋様が反応しただけだから他の人に反応するとは考えにくい。
しかし、もし他の人の前であんな事になって…相手も理性がなくなったとしたら…

俺が平凡とか男とか関係なく、ヤバい事になる。
絶対に嫌だ、カイウスとしかこんな事したくないのに…
想像するだけで鳥肌が立ち、嫌な気持ちになる。

カイウスを見ると、カイウスも嫌そうな顔をしていた。

「カイウスにあんな事、させられないよ」

「俺はライムに触れられる事が今、一番好きなんだが」

「男なのにあんな…気持ち悪かっただろ?」

「可愛かった、もっと見たいと思った…一度も気持ち悪いなんて思ってない……俺は嘘は付いてないぞ」

カイウスは俺の背中を撫でて安心を与えてくれた。

俺の事好きだと言ってくれたから気持ち悪いって思わないのかもしれない。
俺もカイウスのを見ても気持ち悪いとは思わなかった。

すっきりしたらしばらくは大丈夫だとカイウスに言うと「少し残念だな」と笑みを浮かべていた。

カイウスと離れなくていいと分かり、俺の胸の痛みが和らいでいく。

体も動かせるくらいに回復して、カイウスがベランダから屋敷に戻っていくところを見送った。

俺は昨日出来なかった料理をしようとキッチンに立った。
この世界の料理は生前の世界とは似ている料理はあるが、作り方が全く違う。
似てるのは外見だけで、名前も調味料も聞いた事がない。

だから学校の校舎の裏に図書館があるのを、校舎壁に貼ってある校内地図を見て向かった。
図書館はとても広くて、三階まであった。
壁一面にいろんな本が並べられていて、料理本を見つけるのは至難の技だろう。

司書さんに聞いてみようと思ったが、広すぎて何処にいるのか分からない。
大きい図書館だからか、学生以外の人も多く利用していた。
少し見回ると、誰かとぶつかってしまいその人の手にしていた本がバラバラと床に散らばった。
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