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愛の自覚
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「えっ、アイツら付き合ってるの?」
生前の学生だった頃、友達と恋愛話で盛り上がっていた。
誰と誰が付き合ってるとかそんな会話だった。
好きな女の子はいたが、夢中だったかと言われたら答えに困ってしまう。
クラスの中で、仲が悪かった二人の男女がいた。
目が合うといつも喧嘩をしていて、気が合わないと思っていた。
それが付き合っているなんて驚いた。
付き合っている今も喧嘩をしているからよく分からなかった。
でも、時々見せるその顔は恋をしている人そのものだった。
心配したり嫉妬したりときめいたり……まるで今の俺のようだ。
久しく感じていなかったから、恋とはどういう事なのか忘れていた。
俺は転生して今まで周りの人に疎まれて生きてきた。
なんで悪役に生まれてしまったんだろうと、ずっと思っていた。
酷い事を言われたし、痛い事もされたけど俺は天涯孤独ではなかった。
俺が死にそうになった時、辛い時、いつもカイウスが傍にいてくれた。
まっすぐと俺の目を見て、好きと言ってくれた。
カイウスを見ると、ドキドキしたりモヤモヤしたり気持ちが不安定になる時がある。
カイウスもそうなると言っていた。
でもそれはカイウスに好きと言われたからではない、言われる前からそうだった。
さっきは意識してしまったから、顔が真っ赤になってしまったが俺が安心出来るのはカイウスがいた時だけだった。
他の誰かじゃダメだ、カイウスだから俺は……
買い物袋を指にぶら下げて帰る途中、エーデルハイド公爵家の前を通った。
もうカイウスは帰ったのかな、今日は訓練の約束をしていないから会えないが今はそれで良かった。
どんな顔をして会えばいいか分からない。
「おかえり、ライム」
「ひぇっ…」
恐怖で引きつった顔をしていた。
まさか部屋に帰って早々、こんな顔をするとは思わなかった。
朝、家を出る時にカーテンを開けたままにしていて向こう側にカイウスがいた。
俺のベランダに来てはいないが、周りを飛んでいる精霊が光っていてカイウスを照らしている。
窓を開けると、カイウスが手を振っていた。
食事じゃなさそうだけど、俺になにか用なのか?
「カイウス、どうかしたの?」
「ロマンチックではないのか?」
「……はい?」
「光る場所にときめきを感じると聞いたんだけどな」
カイウスは悩んでいた。
俺もカイウスの考えがよく分からず悩んでいた。
無表情で首を傾げられてもどうかしたか?としか言えない。
光る場所ってイルミネーションとかそういう事?
確かに精霊が集まって光り輝いていたら綺麗なのかもしれない。
しかし、俺からしたら暗がりで顔に懐中電灯を当てる人のように怖かった。
誰に聞いたんだ?そんな事…
「普通でいいのに…」
「そうか?…愛してる、ライム」
「…っ」
カイウスは演出なんてしなくても十分魅力的だと思ったから普通でいいと伝えた。
するとカイウスは突然愛の告白をしてきて、不意討ちでびっくりした。
なんて言えばいいか分からず口をパクパクと金魚のように開ける事しか出来なかった。
カイウスは気にしていないのか、俺を愛しそうに見つめていた。
俺も好きだって言えば、不安定に揺れる心を落ち着かせる事は出来るだろうか。
俺達の距離は遠くはない、お互い思いっきり腕を伸ばせば触れられる。
ずっと俺の傍にいてほしい、何もしなくてもカイウスが居てくれるだけで安心出来る。
それはきっと俺がカイウスに……
「カイウス、俺っ……っ!?」
「ライム?」
口を開こうとしたら、ずくっと下半身が重くなった。
この感覚には覚えがあり、顔を青くしてその場に座り込む。
しばらくないから油断していた、なんでまたこんな事に…
カイウスが俺の部屋のベランダに飛び移る足音が聞こえた。
心配性なカイウスなら来るだろうが、俺の変なところは見られたくない……変態だと失望されたくない。
カイウスに肩を触れられただけで、ビクッと体が跳ねた。
「ライム、大丈夫か?医者を呼ぼう」
「いっ、いい!大丈夫!少ししたらおさまるから!」
「…でも辛そうな顔をしている、ほっとけない」
カイウスは何の病気か分からないからどうすればいいか分からなかった。
俺は自慰をすれば一時的におさまるから、一人にしてほしかった。
しかし、心配したカイウスが俺を一人にする筈はなかった。
「…ライム、もしかしてまたか?」
「………うっ」
ずっとカイウスにほっといてと言って、カイウスにほっとけないと言われる事の繰り返しだった。
でも俺がずっと両腕を足の間に挟んで隠していて、時々もじもじと擦り合わせていたらバレるよな。
カイウスは風呂場での事を言っているのだろう、忘れてくれていいのに…
外は冷え込み、寒いだろうとカイウスは上着を脱いで俺の肩に掛けてくれた。
カイウスにとって、今の会話の中の何に興奮したのか分からないだろう。
当の本人である俺にも分からないんだ、どうしようもない。
紋様のせいだとは思うが、カイウスには言えないから「一人にして…」と弱々しい声で言うしかなかった。
しかしカイウスは離れるどころが、俺をギュッと抱き締めていた。
久々だったから不安を感じていた事がカイウスにバレていたようだ。
「なにが原因か分からないが、俺のせいか?」
「………っえ?」
「俺と会ってからライムが可笑しくなったように見えた」
確かに買い物をしていた時は何ともなかった。
カイウスの瞳に見つめられるとどうしようもなくなる。
違うと言いたいが、呂律もうまく回らなくてカイウスを見つめる事しか出来ない。
その熱はカイウスにも感じたのか、俺の首筋に顔を埋めた。
「甘いにおいがする」とカイウスが甘い声で囁いていた。
甘いにおい?自分の腕のにおいを嗅いでみたが、何のにおいもしない。
カイウスの勘違いでは?と思ってカイウスの瞳を見て、下半身の熱がより強くなる。
頬に触れられた手がとても熱かった、カイウスの瞳も興奮していた。
「俺が、責任とる」
「だ、だめっ…今は……ぁ」
カイウスの手が太ももに触れて、びっくりして変な声が出てしまった。
そのまま持ち上げられて姫抱きされた。
開けっ放しだった窓から俺の部屋に入り、ベッドに寝かされた。
お互いの息が重なり、カイウスが「…いいか?」と聞いてきた。
さすがにこの状況で聞かれる事と言ったら、さすがの俺も分かる。
だから頷いたらどうなるか、分かっている。
だけど、俺は早くこの熱から逃れたくて…熱で訳が分からなくなった頭で呆然とカイウスを見つめる。
どちらが先だったのか、唇を合わせて舌を差し込んで絡み合った。
まだ想いを伝えていない状態でこんな事、しちゃいけないのかもしれない。
でも、カイウスは「これは治療だ」と言い…俺の罪悪感も薄れていく。
「脱がしていいか?」
「…ぅ、いちいち…聞くなよぉ」
「ライムの嫌な事はしたくない」
そう言ったカイウスは、シャツに手を掛けてボタンを一つ一つ外していく。
前は風呂場で元々裸だったから恥ずかしくなかったが、今はカイウスに見られながら露になっていく裸を見ると恥ずかしい。
カイウスは「俺の体も熱いな」と呟いて、俺の首筋で再びにおいを嗅いでいた。
俺のにおいでカイウスは興奮しているのか?俺の太ももにカイウスの張りつめたものが当たっている。
シャツを広げられて、上半身を露にされた。
胸の上を手が這い、乳首をキュッて軽く摘ままれると甘い声が漏れる。
「痛かったか?」
「……い、たくは…ない…けど」
そこで口ごもり、カイウスから目を逸らす。
男なら感じる筈はないところを触られただけで、俺のが少し大きくなったのが分かる。
風呂場でカイウスに触られたから感じるようになったのか?
でもだとしたら服を着た時大変な事になるよな。
そんな事には一度もならず、カイウスに触られた時だけ感じてしまう。
俺は男なのにカイウスの前では女のようになってしまうのか?
心当たりがあるとすれば、この悪魔の紋様はヒロインのものだから…?
「悪かったな」
「ひぅっ!」
申し訳なさそうに言ったカイウスは、摘まむのを止めて乳首を舐めた。
熱い舌で軽く押し潰されたり、吸われて変な声が出ないように口を手で塞ぐ。
下半身がびくびくと震えると、ズボンの上から包み込むように触られた。
その時、暴発したような気持ち悪い感触が肌にまとわりついた。
まさか、ズボン越しに触られただけでイッちゃった?
肌に張り付く下着が気持ち悪くて今すぐにでも脱ぎたかった。
俺の心の声が届いたのか、カイウスはズボンを脱がしてくれた。
汚れた下半身なんて見せたくないけど、気持ち悪さが和らいで安堵していた。
早く拭こうとサイドテーブルに手を伸ばしてティッシュを取ろうとしていた手がピタリと止まった。
「あっ、か…カイウスッ、何してっ」
「んっ、舐めとればいいだろ」
そんな当たり前だと言わんばかりに太ももに付いた俺の精液を舐めていた。
ぬるぬるとした感触に、たまらず喘いだ。
太ももから舌が移動して俺のに触れて丁寧に舐めた。
足を伸ばして、堪えていたが俺のは堪え性がないようにトロトロと先端から涙を流していた。
カイウスはそれを見て、亀頭に口付けて吸い付いた。
俺の熱は再び爆発寸前まで上り詰めていた。
「ふっ、ぁ…んっ、だ…だめ、離して出ちゃうからぁ」
カイウスに舐められているとはいえ、直接口内に出すのは抵抗がある。
でもカイウスの頭を離そうとするが、やめる気配はなく腰がびくびくと震えた。
再び絶頂を迎えて、頭の中が真っ白になる。
カイウスの方を見ると喉が上下に動いていた。
俺はすぐに顔を青ざめて、起き上がってカイウスの肩を掴んだ。
まさか、カイウス…の、飲ん…
「今すぐ吐き出せ!汚いから!」
「もう飲んだ」
「…ぅぅ」
カイウスは全く気にした様子ではなく、普通に答えていた。
カイウスに大変な事をしてしまったと、罪の重さに押し潰されそうになっていたら頭を撫でられた。
俺ばかり恥ずかしいところを見られて、なんか悔しいとチラッとカイウスの下半身を見つめる。
もう限界なのか、ズボン越しでもその存在を主張している。
カイウスは全裸の俺とは違い、ちゃんと着ているからそれも腹が立つ。
シャツに手を掛けるとカイウスの手で止められた。
「…そんな事しなくていい」
「えっ、でも…」
「ライムはただ気持ちよくなればいい」
そう言ってカイウスは再び俺を寝かせた。
俺の首筋に舌を這わせて、指が乳首をかすめてびくりと反応する。
俺だって、いつも余裕なカイウスが余裕なくなる姿を見たかったのに…
カイウスは俺に触られるのは嫌なのか?
それとも、俺がカイウスに想いを伝えていないから遠慮してるのかな。
俺はカイウスと対等な立場でいたい、ただ奉仕されるだけなんて嫌だ。
口を開いてちゃんと言おうと思ったら、ドロッとしたなにかが体の中を支配する。
それはやがて熱になり、腹の奥底が疼いてきた。
「あっ…あぁ、ふぁっ…」
「ライム?」
「な、んだこれ…ぁぐっ」
上手く話せない、今すぐ腹の奥を擦って楽になりたい。
心配しているカイウスの下で、それしか考えられなかった。
さすがにさっきと違う反応の俺になにかする気はないのか、俺の名前を呼んでくれた。
でもカイウスが言っていたにおいが濃くなったのか、手で顔を覆い眉を潜めていた。
カイウスの吐息もだんだん、荒くなる…俺はもう乱れっぱなしだ。
カイウスが何もしてくれないから、手が自然と下半身に向かった。
自慰するのかと自分でも思っていたが、手はその奥にまで伸びていく。
指先が触れたのは、誰も触れる事がない場所だった。
びくびくと震えているそこに、何をするのか自分でもよく分かっていなかった。
俺の意思とは関係なく、無意識に指をそこに埋めた。
すると痒いところに手が届いたように、この刺激を待ちわびていた。
男なのに変だと思いつつ、俺はさらに指を進めていく。
カイウスに告白、とか考えていたのに今は脳内が麻痺して考えられない。
「んっ、ん、んぁっ」
「ライム、何をしてるんだ?」
カイウスはよく分かっていないみたいで、変な事をする俺の手を止めようとしている。
ゆっくりと上下に動かすと中がびくびくと震えてとても気持ちいい。
俺は生前友人達と面白半分で「男は中でも感じる」と話していて知っていた。
当時は冗談だと思って信じていないが、まさか本当に気持ちいいんだって転生後に知るとは思わなかった。
でも、貴族のカイウスがそんな下品な事を知っているわけがなく俺を本気で心配している。
だから俺はカイウスにも知ってもらいたかった。
もう自分でも何を思っているのか分からない。
欲望に、支配される。
自分の指を引き抜くと切なそうにひくひくと震えていた。
俺の頬に触れていたカイウスの手に手を重ねて、微笑んだ。
カイウスに俺の全てを知ってほしい、外側も誰にも触れさせた事がない内側も…
カイウスの手をそこに導き、ゆっくりと入れるとさっき入れていたそこはすぐにカイウスの指を受け入れた。
自分で触れた時よりも大きくて、カイウスのだと思うとキュッと締め付けた。
「あふっ、あっ、あんっ」
「温かい……痛くないのか?」
まだ気遣いが残るカイウスに俺みたいに理性が飛べばいいのに…とカイウスの頬に触れた。
キスの仕方なんて分からない、ただ触れるだけのキスをした。
すると、後頭部を掴まれて噛みつくようなキスを繰り返された。
息継ぎが出来なくなるような激しいキス、さっきの俺の動きを真似るように俺の中をカイウスの指が引き抜いて押し込んでいた。
それを繰り返されて、ゴリッとしたしこりに触れられた瞬間前よりも刺激が強くて頭が真っ白になった。
内腿がびくびくと痙攣する、なんだこれ…俺は知らない。
「あぁぁぁっ!!!!」
「…ライム、ここが気持ちいいのか?」
「やっ、強く擦っちゃ…変なるからぁ」
まさか中を触られただけでイくなんて、俺自身もびっくりだったがカイウスも驚いただろう。
こりこりっとしこりばかりを狙って触るから、魚のように腰が浮いた。
こんなに気持ちいいなんて、知りたくなかった……女のようにイかされて…それを俺自身が望んでいる。
いや、俺じゃない…俺の手の甲にある悪魔の紋様に潜むヒロインの意志がそうさせているんだ。
……でも、今…カイウスに愛撫されているのは間違いなく俺だ。
イきっぱなしで気持ちよくて喘いでカイウスにもっともっととねだる。
カイウスはいつの間にか、自分のを取り出して自慰していた…俺の姿に興奮して…
カイウスのはとても大きくて、見ただけで中がキュンキュンと欲している。
アレを入れたら本当に戻れなくなる、俺が俺でいられなくなる。
こんなの俺じゃないと何度も思ってもカイウスの指で気持ちいい場所を擦られると、何も考えられなくなる。
何度イっただろうか、性欲に体力が持たず意識が真っ暗になった。
生前の学生だった頃、友達と恋愛話で盛り上がっていた。
誰と誰が付き合ってるとかそんな会話だった。
好きな女の子はいたが、夢中だったかと言われたら答えに困ってしまう。
クラスの中で、仲が悪かった二人の男女がいた。
目が合うといつも喧嘩をしていて、気が合わないと思っていた。
それが付き合っているなんて驚いた。
付き合っている今も喧嘩をしているからよく分からなかった。
でも、時々見せるその顔は恋をしている人そのものだった。
心配したり嫉妬したりときめいたり……まるで今の俺のようだ。
久しく感じていなかったから、恋とはどういう事なのか忘れていた。
俺は転生して今まで周りの人に疎まれて生きてきた。
なんで悪役に生まれてしまったんだろうと、ずっと思っていた。
酷い事を言われたし、痛い事もされたけど俺は天涯孤独ではなかった。
俺が死にそうになった時、辛い時、いつもカイウスが傍にいてくれた。
まっすぐと俺の目を見て、好きと言ってくれた。
カイウスを見ると、ドキドキしたりモヤモヤしたり気持ちが不安定になる時がある。
カイウスもそうなると言っていた。
でもそれはカイウスに好きと言われたからではない、言われる前からそうだった。
さっきは意識してしまったから、顔が真っ赤になってしまったが俺が安心出来るのはカイウスがいた時だけだった。
他の誰かじゃダメだ、カイウスだから俺は……
買い物袋を指にぶら下げて帰る途中、エーデルハイド公爵家の前を通った。
もうカイウスは帰ったのかな、今日は訓練の約束をしていないから会えないが今はそれで良かった。
どんな顔をして会えばいいか分からない。
「おかえり、ライム」
「ひぇっ…」
恐怖で引きつった顔をしていた。
まさか部屋に帰って早々、こんな顔をするとは思わなかった。
朝、家を出る時にカーテンを開けたままにしていて向こう側にカイウスがいた。
俺のベランダに来てはいないが、周りを飛んでいる精霊が光っていてカイウスを照らしている。
窓を開けると、カイウスが手を振っていた。
食事じゃなさそうだけど、俺になにか用なのか?
「カイウス、どうかしたの?」
「ロマンチックではないのか?」
「……はい?」
「光る場所にときめきを感じると聞いたんだけどな」
カイウスは悩んでいた。
俺もカイウスの考えがよく分からず悩んでいた。
無表情で首を傾げられてもどうかしたか?としか言えない。
光る場所ってイルミネーションとかそういう事?
確かに精霊が集まって光り輝いていたら綺麗なのかもしれない。
しかし、俺からしたら暗がりで顔に懐中電灯を当てる人のように怖かった。
誰に聞いたんだ?そんな事…
「普通でいいのに…」
「そうか?…愛してる、ライム」
「…っ」
カイウスは演出なんてしなくても十分魅力的だと思ったから普通でいいと伝えた。
するとカイウスは突然愛の告白をしてきて、不意討ちでびっくりした。
なんて言えばいいか分からず口をパクパクと金魚のように開ける事しか出来なかった。
カイウスは気にしていないのか、俺を愛しそうに見つめていた。
俺も好きだって言えば、不安定に揺れる心を落ち着かせる事は出来るだろうか。
俺達の距離は遠くはない、お互い思いっきり腕を伸ばせば触れられる。
ずっと俺の傍にいてほしい、何もしなくてもカイウスが居てくれるだけで安心出来る。
それはきっと俺がカイウスに……
「カイウス、俺っ……っ!?」
「ライム?」
口を開こうとしたら、ずくっと下半身が重くなった。
この感覚には覚えがあり、顔を青くしてその場に座り込む。
しばらくないから油断していた、なんでまたこんな事に…
カイウスが俺の部屋のベランダに飛び移る足音が聞こえた。
心配性なカイウスなら来るだろうが、俺の変なところは見られたくない……変態だと失望されたくない。
カイウスに肩を触れられただけで、ビクッと体が跳ねた。
「ライム、大丈夫か?医者を呼ぼう」
「いっ、いい!大丈夫!少ししたらおさまるから!」
「…でも辛そうな顔をしている、ほっとけない」
カイウスは何の病気か分からないからどうすればいいか分からなかった。
俺は自慰をすれば一時的におさまるから、一人にしてほしかった。
しかし、心配したカイウスが俺を一人にする筈はなかった。
「…ライム、もしかしてまたか?」
「………うっ」
ずっとカイウスにほっといてと言って、カイウスにほっとけないと言われる事の繰り返しだった。
でも俺がずっと両腕を足の間に挟んで隠していて、時々もじもじと擦り合わせていたらバレるよな。
カイウスは風呂場での事を言っているのだろう、忘れてくれていいのに…
外は冷え込み、寒いだろうとカイウスは上着を脱いで俺の肩に掛けてくれた。
カイウスにとって、今の会話の中の何に興奮したのか分からないだろう。
当の本人である俺にも分からないんだ、どうしようもない。
紋様のせいだとは思うが、カイウスには言えないから「一人にして…」と弱々しい声で言うしかなかった。
しかしカイウスは離れるどころが、俺をギュッと抱き締めていた。
久々だったから不安を感じていた事がカイウスにバレていたようだ。
「なにが原因か分からないが、俺のせいか?」
「………っえ?」
「俺と会ってからライムが可笑しくなったように見えた」
確かに買い物をしていた時は何ともなかった。
カイウスの瞳に見つめられるとどうしようもなくなる。
違うと言いたいが、呂律もうまく回らなくてカイウスを見つめる事しか出来ない。
その熱はカイウスにも感じたのか、俺の首筋に顔を埋めた。
「甘いにおいがする」とカイウスが甘い声で囁いていた。
甘いにおい?自分の腕のにおいを嗅いでみたが、何のにおいもしない。
カイウスの勘違いでは?と思ってカイウスの瞳を見て、下半身の熱がより強くなる。
頬に触れられた手がとても熱かった、カイウスの瞳も興奮していた。
「俺が、責任とる」
「だ、だめっ…今は……ぁ」
カイウスの手が太ももに触れて、びっくりして変な声が出てしまった。
そのまま持ち上げられて姫抱きされた。
開けっ放しだった窓から俺の部屋に入り、ベッドに寝かされた。
お互いの息が重なり、カイウスが「…いいか?」と聞いてきた。
さすがにこの状況で聞かれる事と言ったら、さすがの俺も分かる。
だから頷いたらどうなるか、分かっている。
だけど、俺は早くこの熱から逃れたくて…熱で訳が分からなくなった頭で呆然とカイウスを見つめる。
どちらが先だったのか、唇を合わせて舌を差し込んで絡み合った。
まだ想いを伝えていない状態でこんな事、しちゃいけないのかもしれない。
でも、カイウスは「これは治療だ」と言い…俺の罪悪感も薄れていく。
「脱がしていいか?」
「…ぅ、いちいち…聞くなよぉ」
「ライムの嫌な事はしたくない」
そう言ったカイウスは、シャツに手を掛けてボタンを一つ一つ外していく。
前は風呂場で元々裸だったから恥ずかしくなかったが、今はカイウスに見られながら露になっていく裸を見ると恥ずかしい。
カイウスは「俺の体も熱いな」と呟いて、俺の首筋で再びにおいを嗅いでいた。
俺のにおいでカイウスは興奮しているのか?俺の太ももにカイウスの張りつめたものが当たっている。
シャツを広げられて、上半身を露にされた。
胸の上を手が這い、乳首をキュッて軽く摘ままれると甘い声が漏れる。
「痛かったか?」
「……い、たくは…ない…けど」
そこで口ごもり、カイウスから目を逸らす。
男なら感じる筈はないところを触られただけで、俺のが少し大きくなったのが分かる。
風呂場でカイウスに触られたから感じるようになったのか?
でもだとしたら服を着た時大変な事になるよな。
そんな事には一度もならず、カイウスに触られた時だけ感じてしまう。
俺は男なのにカイウスの前では女のようになってしまうのか?
心当たりがあるとすれば、この悪魔の紋様はヒロインのものだから…?
「悪かったな」
「ひぅっ!」
申し訳なさそうに言ったカイウスは、摘まむのを止めて乳首を舐めた。
熱い舌で軽く押し潰されたり、吸われて変な声が出ないように口を手で塞ぐ。
下半身がびくびくと震えると、ズボンの上から包み込むように触られた。
その時、暴発したような気持ち悪い感触が肌にまとわりついた。
まさか、ズボン越しに触られただけでイッちゃった?
肌に張り付く下着が気持ち悪くて今すぐにでも脱ぎたかった。
俺の心の声が届いたのか、カイウスはズボンを脱がしてくれた。
汚れた下半身なんて見せたくないけど、気持ち悪さが和らいで安堵していた。
早く拭こうとサイドテーブルに手を伸ばしてティッシュを取ろうとしていた手がピタリと止まった。
「あっ、か…カイウスッ、何してっ」
「んっ、舐めとればいいだろ」
そんな当たり前だと言わんばかりに太ももに付いた俺の精液を舐めていた。
ぬるぬるとした感触に、たまらず喘いだ。
太ももから舌が移動して俺のに触れて丁寧に舐めた。
足を伸ばして、堪えていたが俺のは堪え性がないようにトロトロと先端から涙を流していた。
カイウスはそれを見て、亀頭に口付けて吸い付いた。
俺の熱は再び爆発寸前まで上り詰めていた。
「ふっ、ぁ…んっ、だ…だめ、離して出ちゃうからぁ」
カイウスに舐められているとはいえ、直接口内に出すのは抵抗がある。
でもカイウスの頭を離そうとするが、やめる気配はなく腰がびくびくと震えた。
再び絶頂を迎えて、頭の中が真っ白になる。
カイウスの方を見ると喉が上下に動いていた。
俺はすぐに顔を青ざめて、起き上がってカイウスの肩を掴んだ。
まさか、カイウス…の、飲ん…
「今すぐ吐き出せ!汚いから!」
「もう飲んだ」
「…ぅぅ」
カイウスは全く気にした様子ではなく、普通に答えていた。
カイウスに大変な事をしてしまったと、罪の重さに押し潰されそうになっていたら頭を撫でられた。
俺ばかり恥ずかしいところを見られて、なんか悔しいとチラッとカイウスの下半身を見つめる。
もう限界なのか、ズボン越しでもその存在を主張している。
カイウスは全裸の俺とは違い、ちゃんと着ているからそれも腹が立つ。
シャツに手を掛けるとカイウスの手で止められた。
「…そんな事しなくていい」
「えっ、でも…」
「ライムはただ気持ちよくなればいい」
そう言ってカイウスは再び俺を寝かせた。
俺の首筋に舌を這わせて、指が乳首をかすめてびくりと反応する。
俺だって、いつも余裕なカイウスが余裕なくなる姿を見たかったのに…
カイウスは俺に触られるのは嫌なのか?
それとも、俺がカイウスに想いを伝えていないから遠慮してるのかな。
俺はカイウスと対等な立場でいたい、ただ奉仕されるだけなんて嫌だ。
口を開いてちゃんと言おうと思ったら、ドロッとしたなにかが体の中を支配する。
それはやがて熱になり、腹の奥底が疼いてきた。
「あっ…あぁ、ふぁっ…」
「ライム?」
「な、んだこれ…ぁぐっ」
上手く話せない、今すぐ腹の奥を擦って楽になりたい。
心配しているカイウスの下で、それしか考えられなかった。
さすがにさっきと違う反応の俺になにかする気はないのか、俺の名前を呼んでくれた。
でもカイウスが言っていたにおいが濃くなったのか、手で顔を覆い眉を潜めていた。
カイウスの吐息もだんだん、荒くなる…俺はもう乱れっぱなしだ。
カイウスが何もしてくれないから、手が自然と下半身に向かった。
自慰するのかと自分でも思っていたが、手はその奥にまで伸びていく。
指先が触れたのは、誰も触れる事がない場所だった。
びくびくと震えているそこに、何をするのか自分でもよく分かっていなかった。
俺の意思とは関係なく、無意識に指をそこに埋めた。
すると痒いところに手が届いたように、この刺激を待ちわびていた。
男なのに変だと思いつつ、俺はさらに指を進めていく。
カイウスに告白、とか考えていたのに今は脳内が麻痺して考えられない。
「んっ、ん、んぁっ」
「ライム、何をしてるんだ?」
カイウスはよく分かっていないみたいで、変な事をする俺の手を止めようとしている。
ゆっくりと上下に動かすと中がびくびくと震えてとても気持ちいい。
俺は生前友人達と面白半分で「男は中でも感じる」と話していて知っていた。
当時は冗談だと思って信じていないが、まさか本当に気持ちいいんだって転生後に知るとは思わなかった。
でも、貴族のカイウスがそんな下品な事を知っているわけがなく俺を本気で心配している。
だから俺はカイウスにも知ってもらいたかった。
もう自分でも何を思っているのか分からない。
欲望に、支配される。
自分の指を引き抜くと切なそうにひくひくと震えていた。
俺の頬に触れていたカイウスの手に手を重ねて、微笑んだ。
カイウスに俺の全てを知ってほしい、外側も誰にも触れさせた事がない内側も…
カイウスの手をそこに導き、ゆっくりと入れるとさっき入れていたそこはすぐにカイウスの指を受け入れた。
自分で触れた時よりも大きくて、カイウスのだと思うとキュッと締め付けた。
「あふっ、あっ、あんっ」
「温かい……痛くないのか?」
まだ気遣いが残るカイウスに俺みたいに理性が飛べばいいのに…とカイウスの頬に触れた。
キスの仕方なんて分からない、ただ触れるだけのキスをした。
すると、後頭部を掴まれて噛みつくようなキスを繰り返された。
息継ぎが出来なくなるような激しいキス、さっきの俺の動きを真似るように俺の中をカイウスの指が引き抜いて押し込んでいた。
それを繰り返されて、ゴリッとしたしこりに触れられた瞬間前よりも刺激が強くて頭が真っ白になった。
内腿がびくびくと痙攣する、なんだこれ…俺は知らない。
「あぁぁぁっ!!!!」
「…ライム、ここが気持ちいいのか?」
「やっ、強く擦っちゃ…変なるからぁ」
まさか中を触られただけでイくなんて、俺自身もびっくりだったがカイウスも驚いただろう。
こりこりっとしこりばかりを狙って触るから、魚のように腰が浮いた。
こんなに気持ちいいなんて、知りたくなかった……女のようにイかされて…それを俺自身が望んでいる。
いや、俺じゃない…俺の手の甲にある悪魔の紋様に潜むヒロインの意志がそうさせているんだ。
……でも、今…カイウスに愛撫されているのは間違いなく俺だ。
イきっぱなしで気持ちよくて喘いでカイウスにもっともっととねだる。
カイウスはいつの間にか、自分のを取り出して自慰していた…俺の姿に興奮して…
カイウスのはとても大きくて、見ただけで中がキュンキュンと欲している。
アレを入れたら本当に戻れなくなる、俺が俺でいられなくなる。
こんなの俺じゃないと何度も思ってもカイウスの指で気持ちいい場所を擦られると、何も考えられなくなる。
何度イっただろうか、性欲に体力が持たず意識が真っ暗になった。
応援ありがとうございます!
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