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離れて気付く変化
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翌日、部活が終わり皆それぞれ仲のいい人達と帰る時俺は一歩踏み出した。
いつもだと、声を掛けたいが恥ずかしくてそのまま一人で帰っていた。
でも、俺が歩み寄らないと友達が出来るわけないんだ!
俺に友達が出来たらわざわざカイウスに料理を作ってもらわなくてもいいから、カイウスも好きな子と過ごせる時間が増える。
お互い悪い話ではない筈だ、カイウスに訓練を付き合ってもらっているがそれはどうしよう。
俺がカイウスに頼んだんだ、カイウスが辞めたいと言うまで俺はやりたい。
まだ不良達にはすれ違い様に殴られたりするから、避けられるくらいにはなりたい。
「…あ、の……一緒に帰ってもいい?」
俺の言葉に部員の男の子達は一瞬驚いた顔をしていたが、受け入れてくれた。
こんなに簡単な事だったんだと嬉しかった、今日は一緒に下校した。
表では謎に包まれているローベルトについて気になっていたのか質問攻めをされた。
でも話せる事があまりなく、笑って誤魔化すだけだった。
俺が食堂を出禁になってる事を皆知っているから、夕食は料理が得意な子の部屋で皆で食べる事にした。
いつも通りカイウスが夕食を持ってくるから、後で行くと友人達に伝えた。
カイウスはいつもこの時間に来るよなとベランダに出てカイウスを待つ。
するとカイウスの部屋のカーテンが開いて、カイウスが顔を出した。
いつもはカイウスが俺の部屋に入るが、今日は俺が出迎えていたから驚いていた。
「どうしたんだ?」
「カイウス、今日は夕飯いらない…ごめん」
「腹空いてないのか?」
「…そうじゃなくて、友達と食べる約束したから」
俺に良くしてくれているカイウスの言葉を断るのは心がとても痛かった。
でももうすぐカイウスは騎士団長になるだろうし、忙しくなるから今のうちに離れた方がいいだろう。
俺が傷付かないために離れる、自分勝手でカイウスの気持ちも考えない自分がとても嫌だ。
カイウスは怒る事も悲しむ事もなく、いつものように一言「そうか」とだけ言って自分の部屋に入っていった。
言ったのは俺なのに、俺の方が傷付いているのはなんでなんだ?
部屋のドアをノックする音が聞こえて、早く行かないととベランダを出る前にカイウスの部屋を見て背を向けた。
「…でさぁ、その時先生が…」
「あははっ!!マジかよ!」
皆で楽しい雑談を交わしながら美味しい食事を取っていた。
楽しい筈なのに、俺は全く会話の内容が頭に入って来なかった。
美味しい筈の食事の味もしなくて、一口二口で食べるのを止めた。
カイウスの事を気にしているからか?いや、カイウスは何とも思ってない様子だったから気にする事もないだろう。
違うんだ、当たり前だったのにそこにいないから、俺は楽しくないんだ。
俺の目の前に座って、食事をする俺を微笑ましそうに見つめるあの瞳がいないんだ。
俺の知らない会話が続いて、愛想笑いをするしか出来なくて食事が終わった。
これは俺が望んだものだ、贅沢なんて言えない…彼らの輪に馴染めるようにならないと…
朝食も一緒に食べようとなり、その日はそのまま解散した。
またカイウスに断らないとな、と気分が沈んだまま自分の部屋に戻ってきた。
いないだろうと思いつつカーテンを開けると、そこにはカイウスがいた。
自分の部屋にいたカイウスは上を見上げて、空に散りばめられた星屑を見つめていた。
その横顔はとても美しくて、見とれてしまっていた。
カイウスに声を掛けようと思ったが、邪魔しちゃ悪いと思いカーテンを閉めた。
腹が鳴るほどお腹が空いていたが、昔はよくあったから全然苦ではない。
カイウスと食事する時は空腹とは無縁だったからつい忘れてた。
明日の朝食はちゃんと食べよう、もしカイウスと会った時に顔色が悪かったら心配掛けてしまうから……
次の日、カイウスに朝食もいらない事を伝えたら昨日と同じ反応だった。
カイウスってもしかして、俺に興味がないのか?男だから興味がないのも頷けるが……友達ならもうちょっとなにかないのか?
まぁ、ゲームのカイウスも他人に無関心だったから不思議ではない。
ちょっと俺だけ、寂しさを感じていたら夕飯が終わったら訓練に付き合ってくれると言ってくれた。
寂しさが一気に晴れて、何度も頷いた…素直に嬉しかった。
その日の朝食も夕飯も楽しく過ごせた、なんでだろう……カイウスに会えるって思ったらこんなに楽しくなるのは不思議だ。
皆で一緒に帰っている時、友人の一人が最新情報だと教えてくれた。
今度の週末に、新しい騎士団長の就任パレードが開かれるそうだ。
騎士団長がカイウスなのは俺は知っているが、周りはまだ知られていないから誰だろうと予想していた。
ほとんど全員がカイウスを予想していたのには笑った。
神の子だからという理由が全てだと会話をしている隅で俺は違うと思った。
確かにカイウスが神の子だからという理由が全くないとは言わない。
カイウスは剣術も強くて、優しくて、俺のためだけに料理を作ったり気遣ってくれる。
騎士団長はただ強いだけじゃダメなんだ、そういう優しさも必要だ。
「カイウスは、神の子だから騎士団長に選ばれたんじゃないよ」
「…え?」
皆驚いた顔をして今まで話していた会話を中断させて俺の方を見ていた。
まさかただの呟きがこんなに注目を集めるとは思わなくて俺も驚いた。
ただ、カイウスが神の子ってだけじゃなくて他にもいいところはいっぱいあると伝えたかっただけなんだけど…
でも俺はカイウスと知り合いだと言えない、ローベルトの息子とカイウスが友達だなんてマイナスイメージにしかならない。
だから「俺もよく知らないんだけどね!」と付け加えた。
すると皆「ライムくんも想像じゃん」と笑ってくれた。
カイウスが努力している事、ゲームをしていた俺は知ってる……皆は知らないのは当たり前なんだけど…嫌だった。
それは、俺が悪口言われて殴られた時よりも心の奥がじくじく気持ち悪かった。
いつもだと、声を掛けたいが恥ずかしくてそのまま一人で帰っていた。
でも、俺が歩み寄らないと友達が出来るわけないんだ!
俺に友達が出来たらわざわざカイウスに料理を作ってもらわなくてもいいから、カイウスも好きな子と過ごせる時間が増える。
お互い悪い話ではない筈だ、カイウスに訓練を付き合ってもらっているがそれはどうしよう。
俺がカイウスに頼んだんだ、カイウスが辞めたいと言うまで俺はやりたい。
まだ不良達にはすれ違い様に殴られたりするから、避けられるくらいにはなりたい。
「…あ、の……一緒に帰ってもいい?」
俺の言葉に部員の男の子達は一瞬驚いた顔をしていたが、受け入れてくれた。
こんなに簡単な事だったんだと嬉しかった、今日は一緒に下校した。
表では謎に包まれているローベルトについて気になっていたのか質問攻めをされた。
でも話せる事があまりなく、笑って誤魔化すだけだった。
俺が食堂を出禁になってる事を皆知っているから、夕食は料理が得意な子の部屋で皆で食べる事にした。
いつも通りカイウスが夕食を持ってくるから、後で行くと友人達に伝えた。
カイウスはいつもこの時間に来るよなとベランダに出てカイウスを待つ。
するとカイウスの部屋のカーテンが開いて、カイウスが顔を出した。
いつもはカイウスが俺の部屋に入るが、今日は俺が出迎えていたから驚いていた。
「どうしたんだ?」
「カイウス、今日は夕飯いらない…ごめん」
「腹空いてないのか?」
「…そうじゃなくて、友達と食べる約束したから」
俺に良くしてくれているカイウスの言葉を断るのは心がとても痛かった。
でももうすぐカイウスは騎士団長になるだろうし、忙しくなるから今のうちに離れた方がいいだろう。
俺が傷付かないために離れる、自分勝手でカイウスの気持ちも考えない自分がとても嫌だ。
カイウスは怒る事も悲しむ事もなく、いつものように一言「そうか」とだけ言って自分の部屋に入っていった。
言ったのは俺なのに、俺の方が傷付いているのはなんでなんだ?
部屋のドアをノックする音が聞こえて、早く行かないととベランダを出る前にカイウスの部屋を見て背を向けた。
「…でさぁ、その時先生が…」
「あははっ!!マジかよ!」
皆で楽しい雑談を交わしながら美味しい食事を取っていた。
楽しい筈なのに、俺は全く会話の内容が頭に入って来なかった。
美味しい筈の食事の味もしなくて、一口二口で食べるのを止めた。
カイウスの事を気にしているからか?いや、カイウスは何とも思ってない様子だったから気にする事もないだろう。
違うんだ、当たり前だったのにそこにいないから、俺は楽しくないんだ。
俺の目の前に座って、食事をする俺を微笑ましそうに見つめるあの瞳がいないんだ。
俺の知らない会話が続いて、愛想笑いをするしか出来なくて食事が終わった。
これは俺が望んだものだ、贅沢なんて言えない…彼らの輪に馴染めるようにならないと…
朝食も一緒に食べようとなり、その日はそのまま解散した。
またカイウスに断らないとな、と気分が沈んだまま自分の部屋に戻ってきた。
いないだろうと思いつつカーテンを開けると、そこにはカイウスがいた。
自分の部屋にいたカイウスは上を見上げて、空に散りばめられた星屑を見つめていた。
その横顔はとても美しくて、見とれてしまっていた。
カイウスに声を掛けようと思ったが、邪魔しちゃ悪いと思いカーテンを閉めた。
腹が鳴るほどお腹が空いていたが、昔はよくあったから全然苦ではない。
カイウスと食事する時は空腹とは無縁だったからつい忘れてた。
明日の朝食はちゃんと食べよう、もしカイウスと会った時に顔色が悪かったら心配掛けてしまうから……
次の日、カイウスに朝食もいらない事を伝えたら昨日と同じ反応だった。
カイウスってもしかして、俺に興味がないのか?男だから興味がないのも頷けるが……友達ならもうちょっとなにかないのか?
まぁ、ゲームのカイウスも他人に無関心だったから不思議ではない。
ちょっと俺だけ、寂しさを感じていたら夕飯が終わったら訓練に付き合ってくれると言ってくれた。
寂しさが一気に晴れて、何度も頷いた…素直に嬉しかった。
その日の朝食も夕飯も楽しく過ごせた、なんでだろう……カイウスに会えるって思ったらこんなに楽しくなるのは不思議だ。
皆で一緒に帰っている時、友人の一人が最新情報だと教えてくれた。
今度の週末に、新しい騎士団長の就任パレードが開かれるそうだ。
騎士団長がカイウスなのは俺は知っているが、周りはまだ知られていないから誰だろうと予想していた。
ほとんど全員がカイウスを予想していたのには笑った。
神の子だからという理由が全てだと会話をしている隅で俺は違うと思った。
確かにカイウスが神の子だからという理由が全くないとは言わない。
カイウスは剣術も強くて、優しくて、俺のためだけに料理を作ったり気遣ってくれる。
騎士団長はただ強いだけじゃダメなんだ、そういう優しさも必要だ。
「カイウスは、神の子だから騎士団長に選ばれたんじゃないよ」
「…え?」
皆驚いた顔をして今まで話していた会話を中断させて俺の方を見ていた。
まさかただの呟きがこんなに注目を集めるとは思わなくて俺も驚いた。
ただ、カイウスが神の子ってだけじゃなくて他にもいいところはいっぱいあると伝えたかっただけなんだけど…
でも俺はカイウスと知り合いだと言えない、ローベルトの息子とカイウスが友達だなんてマイナスイメージにしかならない。
だから「俺もよく知らないんだけどね!」と付け加えた。
すると皆「ライムくんも想像じゃん」と笑ってくれた。
カイウスが努力している事、ゲームをしていた俺は知ってる……皆は知らないのは当たり前なんだけど…嫌だった。
それは、俺が悪口言われて殴られた時よりも心の奥がじくじく気持ち悪かった。
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