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雪平@冷淡騎士2nd連載中

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傀儡との戦い

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銃を構えて撃つと鬼将軍の肩に命中して、少しだけバランスを崩した。

少しでも幹部を減らす事が出来たら、楽になる。

もう一度銃の引き金を引こうとしたが、手のひらが燃えるように熱くなった。
銃を離して、手のひらを見ていたら酷い火傷をしていた。

なんでいきなり、誰かに攻撃されたのかと周りを見ても幹部しかいない。

シリウスの炎で鬼将軍達が怯んで、攻撃を続けるのが出来なくなった。

「レイン、手当てする」

「ありがとう」

シリウスが俺の腕を掴んで、火傷に軽くキスをしてゆっくり舐めていた。
こんな緊急事態で思うのは可笑しいが、ゾクゾクしてきた。

俺の腕を掴むシリウスの手に微かに力が加わった。

シリウスの方を見たら、眉を寄せて不機嫌な顔になった。

もしかして、この程度で火傷して大袈裟だと思われたのか?

治療が終わり、腕を離されて床に落とした銃を拾おうとした。
指先が触れる前に、シリウスによって拾われた。
そのまま銃を消して、受け取ろうとした俺の手は空のままだった。

「えっと、シリウス?」

「レインの銃はここにある、これでいけるか?」

「あ、あぁ…大丈夫だけど……その、怪我をしてごめん、足手まといにならないって言ったばかりなのに」

「レインは悪くない、君は今スライムに変えられたから」

シリウスの言葉に、次に言おうとした言葉を飲み込んだ。
どういう事だ?俺が今、スライム?あの赤髪の男と同じという事か?

心当たりと言えば、あの男にさっき腕に触られた事ぐらいだ。
あの時にスライムにされたのか?普通の人間と同じか、それ以下のスライム。

だからシリウスの銃に触れただけでこんな火傷をしたのか。

足止めしていたシリウスの炎はだんだんと弱まり、幹部の傀儡の影がユラユラと見えていた。

俺もシリウスも本気の力が奪われた状態だ、でも変わらないものがある。
俺が俺として忘れていなければ、何も変わる事はない。

「不安なら下がっていろ、このくらいなら俺一人で何とかなる」

「スライムになっても俺は俺だ、シリウスの相棒には頼りないか?」

「戦えるならそれでいい」

銃を構えると、シリウスが手を上げて炎を消した。
軽い攻撃でも、今の俺にとって瀕死になる危険がある。

だったら、無傷でクリアしてやるよ!このままバカにされて終わるのは納得出来ない。

シリウスと同時に一歩踏み出して、シリウスが剣を横に振った。

ジャンプして、シリウスの剣に足を乗せてさらに上に飛び上がった。
上から銃で幹部達を撃ち抜いて、シリウスの剣の波動が蹴散らした。

半分の幹部まで減らす事は出来たが、厄介なのは鬼将軍の傀儡だ。

床に着地して、シリウスと挟み撃ちするために動いた。
傀儡達は、シリウスよりも明らかに弱いスライムである俺に向かってきていた。
赤髪の男みたいに消えたり出来たらいいけど、そんな技を取得していない俺が出来るわけがない。

レベル1のスライムだって、鬼将軍を倒せる事を証明してやる。
そうしたら、少しでもシリウスの側にいる事を認めてくれるかもしれない。

先に他の幹部から倒そうと思っていたら、鬼将軍の大剣が他の幹部の傀儡を巻き込んで俺に向かってきた。
足を止めて壁に向かって蹴り上げて、天井に吊るされているシャンデリアを掴んで上に乗った。

俺の体重を支えられないシャンデリアはすぐに落ちて飛び降りた。
鬼将軍の傀儡の上に落とすにはタイミングが悪い。

なら、無理矢理鬼将軍にゴリ押しするしかない。

シャンデリアが床に落ちる前に、足蹴りして鬼将軍の傀儡に向かって飛んでいった。

痛みを感じないのか、ガラスの破片が肌に刺さっても剣でシャンデリアごと俺に向かって押し切ろうとしている。

シリウスに返してもらった銃しかない、これでやるしかない。
俺は元々魔法使いではない、スライムになったところで魔力なんて関係ない。

シャンデリアが邪魔で、視界は使い物にならない。
瞳を閉じて、強い殺気だけを感じながら銃を構えた。

引き金を引き、ゆっくりと目を開けたら鬼将軍が動きを止めていた。

腹に穴が開いていて、命中したんだと分かった。

シリウスがやったように、傷口から緑色の液体が出るだけで姿は消えていない。
まだ生きているかもしれないと気付いた時には剣が動いていた。

視界いっぱいに緑色の液体が見えて、床と壁が染まっていく。

鬼将軍が消えて手を向けているシリウスが見えた。

「悪い、シリウス」

「何を謝る必要があるんだ?レインが動きを止めたから倒せたんだ」

「シリウス、怪我してるのか!?」

シリウスの腕が赤い染みで広がっていて、シリウスならすぐに治りそうなほどの傷だ。
でもシリウスは治す事をせずに、先に行こうとしていた。

怪我をしている状態で行かせるわけにはいかない。

止血ぐらいなら俺にでも出来ると、シリウスの袖を捲った。
思ったより酷い状態で、平然としていたのが不思議だ。

腕を布で縛ってから止血するだけではダメだな。
俺の部屋に行けば薬がある、とりあえず戻るか。

シリウスを見ると、俺と目が合って逸らされた。

「シリウス、俺の部屋で手当てしよう」

「必要ない」

「でもシリウス、自分で治せない傷なんだろ?」

「……」

さっきから傷を治す素振りがないから、シリウスも治せない傷なんだと分かる。

シリウスの魔力の宝玉を盗まれただけで、こうはならない。
なにか言われる前に腕を掴んで、部屋に向かって歩いた。
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