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悪魔の傀儡
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さっさと確認して終わらせてほしいが、双子はゆっくり本物か偽物かを確認していた。
黒いスライムのようなものを倒し続けて、どのくらい経っただろうか。
スライムは死んでも自分の体のカケラを集めて何度も復活する。
完全に消す事は出来ないから、復活する前に逃げるしかない。
ゲームでは雑魚中の雑魚から逃げるのは嫌だけど、現実がそうなんだから仕方ない。
双子が二人で会話していて、俺は地面に座り込んだ。
この近くには黒いスライムはいなさそうで、少し休める。
別の魔物はいるが、俺がシリウスの力を感じる銃を持っているから近付きもしない。
「いないね」
「いないね」
「…はぁ、次は何処に行くんだ?」
『シリウス様のところ』
双子が声を合わせて言うから、さっきまでの俺の疲れが何処かに吹き飛んだ。
シリウスにやっと会えるなら、疲れている場合じゃない。
双子がもう俺に用がなくなったと言いたげに手を振っているが関係ない。
絶対に引き下がらない、何のためにここまでやったと思ってるんだ。
シリウスの役に立ちたい、それだけなんだ。
「俺も行く」と言うと、双子はお互いの顔を見合わせていた。
困っているようにも、面倒くさそうにも見える顔だ。
俺は、もう一度双子の悪魔に自分の気持ちを伝えた。
「シリウスのところに行く、一緒に連れて行ってくれ」
「どうする?」
「人間に借りは作りたくないしね」
双子はお互いの顔を見て、シンクロするように何度も頷いていた。
シリウスのところに連れて行くとは直接言われたわけではないけど、さっきの会話からして俺も連れて行ってくれそうだ。
地上に戻ってきて、暗闇に慣れた瞳には外の明るさが眩しかった。
この城がある場所そのものが薄暗いのに、それでも明るく見える。
目を細めていたら、双子がシリウスの名前を呼ぶ声が聞こえた。
声のした廊下の先を見ると、その光景に目を見開いた。
シリウスに寄る双子の姿と、壁や床に飛び散った血のような緑色の液体が見えた。
死体は何処にもないけど、こんなに汚れていたら無事では済まないだろう。
シリウスには液体が飛び散っていないけど、シリウスがやったんだとすぐに分かった。
自分を汚さず相手を倒す事が出来るのがシリウスだ。
「レインもいたのか」
「なにがあったんだ?シリウス」
「……」
シリウスは双子の方を見ていて、双子がシリウスに謝っていた。
ここまで無理を言って来たのは俺だから、双子が謝る事はない。
「俺が付いて来たから、この二人は悪くない」とシリウスに伝えた。
小さくため息を吐いたシリウスは、双子から話を聞いていた。
話が終わると、双子はそのまま走って何処かに行ってしまった。
もしかしたら、また侵入者を探しに行ったのかもしれない。
残された俺とシリウスは少しの間、口を閉ざしていた。
なんて言ったらいいのか、挨拶…はわざとらしいか。
「おはよう」「元気か?」くらいしか思いつかない。
もっと話したい事があったのに、思い出せない。
このままこうしていても仕方ないから口を開くと、その前にシリウスが口を開いた。
「あの二人から何処まで聞いているんだ?」
「…え?シリウスが仲間に化けてる侵入者を探しているって事ぐらいだな」
「そうか、分かった」
シリウスは「誰が敵かも分からない間は部屋にいた方がいい」と言っていた。
俺の力を甘く見てもらったら、シリウスの手伝いなんて出来ないだろ。
俺は今まで双子の用心棒をしてたんだ、部屋に引き籠もって守られてるお姫様じゃない。
ずっと手にしている銃を指で軽く回して、握った。
少しの間しか使ってないのに、もう指先に馴染んでる気がする。
この銃も、俺の事を認めてくれたって事だよな。
銃をそのまま背後に向かって構えて、引き金を引いた。
後ろから小さな悲鳴が聞こえて、振り返ると緑色の水溜りが出来ていた。
一瞬の殺気を感じて引き金を引いたが、シリウスの仲間でない事はすぐに判断出来た。
近くにシリウスがいる状態で俺を殺そうとする相手なんて普通じゃない。、
理性がない魔物ならシリウスに気付かないのかもしれない。
でも、俺はこの殺気についさっきまでの身に覚えがあった。
俺を襲った淫魔の少年と全く同じ殺気に、死体も何もないのはシリウスのと同じだ。
淫魔の少年は溶けて消えたけど、もしかして死んでも溶けて消える魔物なのかもしれない。
「さっきも似たような淫魔の少年を見たけど、もしかして同じだったのか?」
「これは傀儡だ、実体がないから消えてなくなる……元はスライムのように姿がないが、魔物の姿と能力をコピーする事が出来る」
「だから他の魔物と見分けられないのか」
「片っ端から傀儡を倒して、アイツを嫌でも出させる」
「俺もやる!絶対に足手まといにはならないから」
「レインの力は俺も分かってる」
シリウスがジッと見つめる先は俺の後ろの方だった。
後ろを振り返ると、そこには見慣れた悪魔達がいた。
鬼将軍や双子の悪魔などの魔王軍の幹部達がいた。
加勢するために来たのか?心強い仲間だと思ってシリウスの方に振り返った。
黒いスライムのようなものを倒し続けて、どのくらい経っただろうか。
スライムは死んでも自分の体のカケラを集めて何度も復活する。
完全に消す事は出来ないから、復活する前に逃げるしかない。
ゲームでは雑魚中の雑魚から逃げるのは嫌だけど、現実がそうなんだから仕方ない。
双子が二人で会話していて、俺は地面に座り込んだ。
この近くには黒いスライムはいなさそうで、少し休める。
別の魔物はいるが、俺がシリウスの力を感じる銃を持っているから近付きもしない。
「いないね」
「いないね」
「…はぁ、次は何処に行くんだ?」
『シリウス様のところ』
双子が声を合わせて言うから、さっきまでの俺の疲れが何処かに吹き飛んだ。
シリウスにやっと会えるなら、疲れている場合じゃない。
双子がもう俺に用がなくなったと言いたげに手を振っているが関係ない。
絶対に引き下がらない、何のためにここまでやったと思ってるんだ。
シリウスの役に立ちたい、それだけなんだ。
「俺も行く」と言うと、双子はお互いの顔を見合わせていた。
困っているようにも、面倒くさそうにも見える顔だ。
俺は、もう一度双子の悪魔に自分の気持ちを伝えた。
「シリウスのところに行く、一緒に連れて行ってくれ」
「どうする?」
「人間に借りは作りたくないしね」
双子はお互いの顔を見て、シンクロするように何度も頷いていた。
シリウスのところに連れて行くとは直接言われたわけではないけど、さっきの会話からして俺も連れて行ってくれそうだ。
地上に戻ってきて、暗闇に慣れた瞳には外の明るさが眩しかった。
この城がある場所そのものが薄暗いのに、それでも明るく見える。
目を細めていたら、双子がシリウスの名前を呼ぶ声が聞こえた。
声のした廊下の先を見ると、その光景に目を見開いた。
シリウスに寄る双子の姿と、壁や床に飛び散った血のような緑色の液体が見えた。
死体は何処にもないけど、こんなに汚れていたら無事では済まないだろう。
シリウスには液体が飛び散っていないけど、シリウスがやったんだとすぐに分かった。
自分を汚さず相手を倒す事が出来るのがシリウスだ。
「レインもいたのか」
「なにがあったんだ?シリウス」
「……」
シリウスは双子の方を見ていて、双子がシリウスに謝っていた。
ここまで無理を言って来たのは俺だから、双子が謝る事はない。
「俺が付いて来たから、この二人は悪くない」とシリウスに伝えた。
小さくため息を吐いたシリウスは、双子から話を聞いていた。
話が終わると、双子はそのまま走って何処かに行ってしまった。
もしかしたら、また侵入者を探しに行ったのかもしれない。
残された俺とシリウスは少しの間、口を閉ざしていた。
なんて言ったらいいのか、挨拶…はわざとらしいか。
「おはよう」「元気か?」くらいしか思いつかない。
もっと話したい事があったのに、思い出せない。
このままこうしていても仕方ないから口を開くと、その前にシリウスが口を開いた。
「あの二人から何処まで聞いているんだ?」
「…え?シリウスが仲間に化けてる侵入者を探しているって事ぐらいだな」
「そうか、分かった」
シリウスは「誰が敵かも分からない間は部屋にいた方がいい」と言っていた。
俺の力を甘く見てもらったら、シリウスの手伝いなんて出来ないだろ。
俺は今まで双子の用心棒をしてたんだ、部屋に引き籠もって守られてるお姫様じゃない。
ずっと手にしている銃を指で軽く回して、握った。
少しの間しか使ってないのに、もう指先に馴染んでる気がする。
この銃も、俺の事を認めてくれたって事だよな。
銃をそのまま背後に向かって構えて、引き金を引いた。
後ろから小さな悲鳴が聞こえて、振り返ると緑色の水溜りが出来ていた。
一瞬の殺気を感じて引き金を引いたが、シリウスの仲間でない事はすぐに判断出来た。
近くにシリウスがいる状態で俺を殺そうとする相手なんて普通じゃない。、
理性がない魔物ならシリウスに気付かないのかもしれない。
でも、俺はこの殺気についさっきまでの身に覚えがあった。
俺を襲った淫魔の少年と全く同じ殺気に、死体も何もないのはシリウスのと同じだ。
淫魔の少年は溶けて消えたけど、もしかして死んでも溶けて消える魔物なのかもしれない。
「さっきも似たような淫魔の少年を見たけど、もしかして同じだったのか?」
「これは傀儡だ、実体がないから消えてなくなる……元はスライムのように姿がないが、魔物の姿と能力をコピーする事が出来る」
「だから他の魔物と見分けられないのか」
「片っ端から傀儡を倒して、アイツを嫌でも出させる」
「俺もやる!絶対に足手まといにはならないから」
「レインの力は俺も分かってる」
シリウスがジッと見つめる先は俺の後ろの方だった。
後ろを振り返ると、そこには見慣れた悪魔達がいた。
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