エロゲー主人公に転生したのに悪役若様に求愛されております

雪平@冷淡騎士2nd連載中

文字の大きさ
上 下
76 / 82

双子の悪魔

しおりを挟む
「…何?」

「「本物の人間?」」

「見たままだけど」

「見た目じゃ」

「わからないねぇ」

双子の悪魔は、お互いの顔を見合わせて「ねぇー」と声を重ねていた。
俺が人間だって、この双子は知っているのに今更なんで聞くんだ?

もしかして、今の今まで生き残っているからという理由じゃないよな。
そうだとしたら人間の事を舐め過ぎじゃないか?

初期レベルなら厳しいが、ラストダンジョンに進めるほどのレベルがあるなら簡単だ。

どうやったら人間の証拠になるのか分からない。

耳は尖っている悪魔が多いが、シリウスみたいに人間に化ける悪魔もいるから証明にはならない。
双子の悪魔の言う通り、見た目では人間か悪魔か分からない。

「どうしたらいいんだ?」

「じゃあ、逆立ちして」

「城を一周してきて!」

「それのどこが人間の証明なんだよ!」

だんだん双子の小悪魔達に遊ばれている気がしてきた。
とりあえず俺は人間で、シリウスなら分かってくれる事を伝えた。

なんでいきなり疑い出したのか分からない、なにかあったのか?

双子の悪魔は困った顔をして「「シリウス様は今は忙しいから無理」」と断られた。
ずっと疑われたままだと、お互い納得出来ないよな。

そこで、人間の証明ではないけど俺の証明が出来るものがあった事を思い出した。

腰に下げていたホルダーから銃を取り出して双子の悪魔に見せた。

この銃はシリウスのもので、シリウスの武器に触れられるのは俺くらいだ。
これで証明にならないなら俺には何も出来ない!

「この銃って…」

「シリウス様の気配がする」

双子の悪魔が腕を伸ばして、銃に触れようとした。
指先が銃に触れる前に、小さな結界のようなのが見えた。
手を弾いて、指が焦げて真っ黒に変わっていた。

慌てて手当てをしようと部屋に双子の悪魔を呼んだ。
銃をホルダーに戻して、双子の悪魔を見ると嬉しそうにしていた。
黒焦げになっても痛いような顔をしていなかった。

痛みはあると思うけど、このくらいなら平気なのか?

シリウスが用意してくれた、俺用の救急箱を取り出した。

「なに」

「してるの?」

「指が焦げてるから応急処置しないと」

「このくらい」

「シリウス様に与えられた痛みだと思えば」

「「平気だよ」」

双子の悪魔はキャッキャ笑っていて、俺だけ呆然としていた。

とりあえず俺がレインだと分かってくれたようで良かった。
双子の悪魔は俺がレインだと分かった瞬間に、もう俺に用がなくなったから帰ろうとしていた。

待て待て、俺に何も説明しないで帰るつもりなのか?

シリウスに言われた事が気になっている、何を言われてきたんだ?

俺が本物かどうかとか、まるで俺が偽物だと疑っているようだ。
まさか、そういう事なのかと双子の悪魔の腕を掴んで考えた。

双子の悪魔が暴れているから、腕を離して解放した。

「もう、なに?」

「乱暴な人間だな」

「シリウスに何を言われたか話してくれ」

「えー」

「関係ないのにー」

「俺を調べたんだから、関係はあるよな」

話すまで外に出さないぞとは言っていないが、念じてみた。
双子の悪魔は、小さな声で作戦会議を始めてしまった。

黙って見ていたら、話がまとまったのか俺の方を見つめていた。

シリウスとの話は他言無用だと言われているみたいだ。
でも、俺はシリウスの大切な人という認識のようで話してくれるみたいだ。

大丈夫だ、なにかシリウスに言われる前に俺がシリウスに双子を脅して聞いた話だって言う。
俺は怒られるけど、双子は仕方なく話したと言えば怒られたりはしない。

そこはちゃんと話してくれた双子を全力で守るよ。

「シリウス様は侵入者がいるって言った」

「でも、他の魔物達から侵入者の話は聞かない」

「顔を変えられる悪魔が潜んでいるかもしれない」

「顔真似が得意な悪魔が誰かの真似をしているかもしれない」

双子の悪魔は、機械のように淡々と説明してくれた。
なるほど、だから俺が本物か聞いてきたんだな。

これから他の人にも聞いてみるみたいで、部屋から出ようとした。
双子の悪魔は魔王軍の幹部だ、見た目とは違いそれなりに強い。
用心棒として同行する必要はなさそうではある。

それでも、俺もシリウスの役に立ちたいから一緒に行きたい。

偽物か本物かなんて魔王城に来て日が浅い俺が分かるわけがない。
他になにかアピールポイントがあればいいんだけどな。

考えていたら、双子の悪魔はまた作戦会議をしていた。
俺には戦う力くらいしか役立つものがないな、と改めて思う。

「ねぇ、一緒に」

「ねぇ、行きたい?」

「行かせてくれるなら」

「強い?」

「自分で言うのもなんだけど、賞金首ハンターとして名は知られてるくらいにはな」

「体力ある?」

「…あ、あぁ」

双子の悪魔は俺の言葉に、にっこりと笑って腕を引っ張られた。
どういう意味か分からなかったが、部屋を出て何処かに連れられた。

双子の言葉の意味が分かるのは、意外と早かった。

魔王城の地下に連れられた俺は、とんでもない光景を見た。
ボタボタと天井から黒いスライムのような魔物が落ちてきていた。

双子の悪魔は「「聞き込みするから守ってね」」と言っていた。
この黒いスライムのようなものから双子を守る事を任された。

銃を構えると、地下に住む魔物のところに走っていった。
天井から降ってくる魔物を撃ち落とすと、ジュッと蒸発したような音が地下に響いた。
アレに当たったら軽い火傷では済まないだろうな。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

王弟様の溺愛が重すぎるんですが、未来では捨てられるらしい

めがねあざらし
BL
王国の誇りとされる王弟レオナード・グレイシアは優れた軍事司令官であり、その威厳ある姿から臣下の誰もが畏敬の念を抱いていた。 しかし、そんな彼が唯一心を許し、深い愛情を注ぐ相手が王宮文官を務めるエリアス・フィンレイだった。地位も立場も異なる二人だったが、レオは執拗なまでに「お前は私のものだ」と愛を囁く。 だが、ある日エリアスは親友の内査官カーティスから奇妙な言葉を告げられる。「近く“御子”が現れる。そしてレオナード様はその御子を愛しお前は捨てられる」と。 レオナードの変わらぬ愛を信じたいと願うエリアスだったが、心の奥底には不安が拭えない。 そしてついに、辺境の村で御子が発見されたとの報せが王宮に届いたのだった──。

悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍
BL
異性間でも子どもが産まれにくくなった世界。 子どもは魔法の力を借りて同性間でも産めるようになったため、性別に関係なく結婚するようになった世界。 ファーマ王国のアレン=ファーメット公爵令息は、白銀に近い髪に真っ赤な瞳、真っ白な肌を持つ。 神秘的で美しい姿に王子に見初められた彼は公爵家の長男でありながら唯一の王子の婚約者に選ばれてしまった。どこに行くにも欠かせない大きな日傘。日に焼けると爛れてしまいかねない皮膚。 公爵家は両親とも黒髪黒目であるが、彼一人が色が違う。 それは彼が全てアルビノだったからなのに、成長した教養のない王子は、アレンを魔女扱いした上、聖女らしき男爵令嬢に現を抜かして婚約破棄の上スラム街に追放してしまう。 だが、王子は知らない。 アレンにも王位継承権があることを。 従者を一人連れてスラムに行ったアレンは、イケメンでスパダリな従者に溺愛されながらスラムを改革していって……!? *誤字報告ありがとうございます! *カエサル=プレート 修正しました。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...