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将来有望
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「なんだい、今忙しいんだよ!」
「皿を返しにきたんです」
「皿ぁ?随分礼儀正しい魔物だね、新入りかい」
「はい、レインです…よろしくお願いします」
気さくなタコで、俺も警戒を解いて普通に話す。
魔物ではないが、新入りなのは本当で自己紹介した。
タコの名前は「オクトパース」と言うらしい、正直そのままじゃねぇか…と思うが、まぁゲームの敵キャラなんて幹部以外そんなもんだよな。
忙しそうだったから、挨拶を終えて早々に帰った。
そしてそのまま自分の部屋に帰れるだろうと廊下を歩いていた。
後ろから大きな声で「人間!」と叫ばれるまでは…
俺が後ろを振り返るのと同時に突き刺さるのは、警戒から殺気に変わったものだ。
後ろには俺を指差している淫魔の少年が立っていた。
そういえば、この少年も俺の事が嫌いだったな。
皿を持ったままだと戦いづらかったから、これなら心置きなく戦える。
ホルダーから銃を取り出して、目を瞑り視界を消す。
邪魔な視界より信じられるのは相手の獲物を狙う気配そのものだ。
背後に忍び寄る気配が俺に向かって手を伸ばしていて、銃を後ろに向けて放った。
俺の黒い影に弾丸が当たり、影に潜んでいた黒いものが出てきた。
視界では決して見えなかっただろうと、ため息を吐いた。
だけどホッとするのはまだ早すぎる、俺の弾丸を合図にいっせいに襲い掛かってきた。
獣やさっきの黒いもの、何だか分からないものまで多種多様だった。
替えの弾はないんだ、全員一発ずつで仕留めてやる。
銃を撃つと、核が破壊されて破裂して床に落ちる。
さすがに多くて、疲れたな…と倒した魔物を見下ろした。
元賞金首ハンターとして、これを全部金に変えたらしばらく遊んで暮らせるなと思った。
弾は後二発か、こういう魔物なら核さえ分かっていてそこを破壊すれば死ぬ。
でも、幹部となると簡単に核を壊せるとも思えない。
淫魔の少年は顔を青くしながらも、槍を構えていた。
普段淫魔は戦闘は苦手だ、でも俺を前にして引き下がれないのだろう。
それに、明らかに怯えている相手を倒すのは俺だって嫌だ。
「えっと、もう勝負ついたんだし…やめよう」
「うるさい!人間がシリウス様に近付くなんて許されないんだ!」
これはまともに話が出来ない状態だな、シリウスに忠誠を誓っていれば当然の意見だ。
無理に認めてくれなんて言えない、それほど人間と魔物の溝が深いという事だ。
淫魔の少年が俺に向かって走ってきて、それをかわす。
通り過ぎてから、すぐに俺の方に振り返るが転けた。
慌てて立ち上がる淫魔の少年に銃を向けると、動きを止めた。
全てを諦めた顔をして俺を睨んでいるが、引き金は引かなかった。
このまま淫魔の少年を殺していいのか疑問に感じた。
同情ではなく、さっきまで戦っていた雑魚とは違うものを感じた。
きっと彼はもっと強くなればシリウスの幹部として役に立つ。
「殺せ!お前なんかの同情なんていらない!」
「同情じゃない、惜しいと思っただけだ」
「…は?」
「もっと強くなって俺とまた戦おう、俺は強い奴と戦いたい」
戦闘狂のような言葉だけど、そう思ったのは本当だ。
それに、シリウスにとって将来有望な魔物を殺すのは惜しいだろう。
淫魔の少年に背を向けて歩くと、こちらに近付く足音が聞こえた。
すぐに攻撃を仕掛けるのは想定内で、体を大きく逸らして避けた。
淫魔の少年が床に倒れていて、起き上がらなかった。
大丈夫か心配になって起き上がらせようと腕を伸ばした。
触れる前に、シリウスの部屋にいた触手のように溶けて消えた。
周りを見渡しても、そこには誰一人としていなかった。
なんだったんだ?まさか、さっきのは幻とかいうわけないよな。
魔物の事はまだまだ分からないな、と銃をホルダーに戻した。
先ほどから俺を見ている視線を感じるが、襲ってくる気配はなく放っておいても大丈夫だろう。
そのまま部屋に向かって歩いた。
部屋までの道のりでも、何人かに襲われたが体力を奪われただけで傷は付けられていない。
ここに来てから、普通に過ごすだけで毎日が修行のようだ。
そのおかげで、俺の強さも上がっている気がする。
もう一度シリウスに手合わせしてもらおうかな。
部屋の前に誰かがいるのが見えて、シリウス以外は久しぶりだなと近付いた。
シリウスの幹部である双子の悪魔が俺に気付いてドアノブから手を離した。
「俺の部屋に何の用?」
「「あ、死んでなかったんだ…良かった良かった」」
二人してハモりながら失礼な事を言っていて、聞かなかった事にする。
あの程度で死ぬほど弱かったら、魔王城で暮らす発想にはならないだろ。
この通り無傷だと、二人にアピールすると両手を叩いていた。
褒めているつもりなのか、全く褒められているようには見えない。
まさか、その確認のために来ただけではないだろう。
シリウスに言われて俺のところに来たと話してくれた。
この二人は、俺に対して全く殺意がない珍しい悪魔だ。
双子の悪魔は俺をジロジロと俺の周りを彷徨いていた。
なんだ?言いたい事があるなら言えばいいのに。
「皿を返しにきたんです」
「皿ぁ?随分礼儀正しい魔物だね、新入りかい」
「はい、レインです…よろしくお願いします」
気さくなタコで、俺も警戒を解いて普通に話す。
魔物ではないが、新入りなのは本当で自己紹介した。
タコの名前は「オクトパース」と言うらしい、正直そのままじゃねぇか…と思うが、まぁゲームの敵キャラなんて幹部以外そんなもんだよな。
忙しそうだったから、挨拶を終えて早々に帰った。
そしてそのまま自分の部屋に帰れるだろうと廊下を歩いていた。
後ろから大きな声で「人間!」と叫ばれるまでは…
俺が後ろを振り返るのと同時に突き刺さるのは、警戒から殺気に変わったものだ。
後ろには俺を指差している淫魔の少年が立っていた。
そういえば、この少年も俺の事が嫌いだったな。
皿を持ったままだと戦いづらかったから、これなら心置きなく戦える。
ホルダーから銃を取り出して、目を瞑り視界を消す。
邪魔な視界より信じられるのは相手の獲物を狙う気配そのものだ。
背後に忍び寄る気配が俺に向かって手を伸ばしていて、銃を後ろに向けて放った。
俺の黒い影に弾丸が当たり、影に潜んでいた黒いものが出てきた。
視界では決して見えなかっただろうと、ため息を吐いた。
だけどホッとするのはまだ早すぎる、俺の弾丸を合図にいっせいに襲い掛かってきた。
獣やさっきの黒いもの、何だか分からないものまで多種多様だった。
替えの弾はないんだ、全員一発ずつで仕留めてやる。
銃を撃つと、核が破壊されて破裂して床に落ちる。
さすがに多くて、疲れたな…と倒した魔物を見下ろした。
元賞金首ハンターとして、これを全部金に変えたらしばらく遊んで暮らせるなと思った。
弾は後二発か、こういう魔物なら核さえ分かっていてそこを破壊すれば死ぬ。
でも、幹部となると簡単に核を壊せるとも思えない。
淫魔の少年は顔を青くしながらも、槍を構えていた。
普段淫魔は戦闘は苦手だ、でも俺を前にして引き下がれないのだろう。
それに、明らかに怯えている相手を倒すのは俺だって嫌だ。
「えっと、もう勝負ついたんだし…やめよう」
「うるさい!人間がシリウス様に近付くなんて許されないんだ!」
これはまともに話が出来ない状態だな、シリウスに忠誠を誓っていれば当然の意見だ。
無理に認めてくれなんて言えない、それほど人間と魔物の溝が深いという事だ。
淫魔の少年が俺に向かって走ってきて、それをかわす。
通り過ぎてから、すぐに俺の方に振り返るが転けた。
慌てて立ち上がる淫魔の少年に銃を向けると、動きを止めた。
全てを諦めた顔をして俺を睨んでいるが、引き金は引かなかった。
このまま淫魔の少年を殺していいのか疑問に感じた。
同情ではなく、さっきまで戦っていた雑魚とは違うものを感じた。
きっと彼はもっと強くなればシリウスの幹部として役に立つ。
「殺せ!お前なんかの同情なんていらない!」
「同情じゃない、惜しいと思っただけだ」
「…は?」
「もっと強くなって俺とまた戦おう、俺は強い奴と戦いたい」
戦闘狂のような言葉だけど、そう思ったのは本当だ。
それに、シリウスにとって将来有望な魔物を殺すのは惜しいだろう。
淫魔の少年に背を向けて歩くと、こちらに近付く足音が聞こえた。
すぐに攻撃を仕掛けるのは想定内で、体を大きく逸らして避けた。
淫魔の少年が床に倒れていて、起き上がらなかった。
大丈夫か心配になって起き上がらせようと腕を伸ばした。
触れる前に、シリウスの部屋にいた触手のように溶けて消えた。
周りを見渡しても、そこには誰一人としていなかった。
なんだったんだ?まさか、さっきのは幻とかいうわけないよな。
魔物の事はまだまだ分からないな、と銃をホルダーに戻した。
先ほどから俺を見ている視線を感じるが、襲ってくる気配はなく放っておいても大丈夫だろう。
そのまま部屋に向かって歩いた。
部屋までの道のりでも、何人かに襲われたが体力を奪われただけで傷は付けられていない。
ここに来てから、普通に過ごすだけで毎日が修行のようだ。
そのおかげで、俺の強さも上がっている気がする。
もう一度シリウスに手合わせしてもらおうかな。
部屋の前に誰かがいるのが見えて、シリウス以外は久しぶりだなと近付いた。
シリウスの幹部である双子の悪魔が俺に気付いてドアノブから手を離した。
「俺の部屋に何の用?」
「「あ、死んでなかったんだ…良かった良かった」」
二人してハモりながら失礼な事を言っていて、聞かなかった事にする。
あの程度で死ぬほど弱かったら、魔王城で暮らす発想にはならないだろ。
この通り無傷だと、二人にアピールすると両手を叩いていた。
褒めているつもりなのか、全く褒められているようには見えない。
まさか、その確認のために来ただけではないだろう。
シリウスに言われて俺のところに来たと話してくれた。
この二人は、俺に対して全く殺意がない珍しい悪魔だ。
双子の悪魔は俺をジロジロと俺の周りを彷徨いていた。
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