74 / 82
魔王城は危険だらけ
しおりを挟む
「シリウス…プロテインとかないのか?」
「ぷろていん?」
「えっと、タンパク質とか…とにかく筋肉を作るのに必要なものというか」
「筋肉は鍛えれば自然に出来る、そんなものがなくても…レインならきっとすぐに…」
「……期待してくれてありがとう」
プロテインは諦めて、とりあえず栄養のあるものを食べたいとシリウスにお願いした。
シリウスは頷いて、部屋から出ていった。
人間の限界か、それを超えたら俺は人間じゃなくなるのか?
まぁ、シリウスと同じ存在になれるなら別に怖くない。
でも結局シリウスがなにかしない限り、人間を超えても人間にしかならない。
それでも俺は人間を超える、鬼将軍にシリウスの隣にいる事を認めてもらうために…
シリウスは栄養のありそうなものをいろいろ持って戻ってきた。
どれも俺の知らないものばかりで、魔界に生息するなにかなのだろう。
サラダも青色の葉っぱに、丸くなった小さな茎や赤い野菜のようなものが刻まれていた。
肉も黒いなにかの肉だ、焦げているから黒いというわけではなさそうだ。
「シリウス、なんだこれは」
「庭で採れるものだ、毒物はないから人が食べても平気だ」
「この肉は?」
「魔物の肉だが、食べる人間がいるみたいだから大丈夫だ」
サラダも肉も不安な説明をされたが、食べないと感想が言えない。
これも修行の一部だと思いながら、勇気を出して食べた。
サラダはアスパラのような味の茎で意外と美味しかった。
ドレッシングがないから、野菜本来の味を感じる。
肉は魔物の肉だと言うが、シリウスは同族の肉を食べるのか?
ナイフで肉を切ると、見た目は黒いけど見た感じ蒸した豚肉のようだと思った。
「シリウスは食べた事あるのか?」
「今さっき始めて食べた」
「そうなのか?」
「レインが口にするものだからな、味見をしなくてはいけない」
「魔王なのに、魔物を食べていいのか?」
「ソイツも喜んで体を差し出していたぞ」
シリウスに言われて、余計に食いづらく感じた。
食べるのが俺で、申し訳なく思いながら一口食べた。
豚肉ではなく、ちょっと硬い鶏肉だった。
味はまぁ、美味しい…かな…魔物だって思わなければ…
食事を終わらせて、俺はシリウスの銃を手入れした。
銃は手入れをしないとすぐに威力が失われてダメになってしまう。
俺の銃みたいにぼろぼろになっていなければ俺でも出来る。
「シリウス、明日も頼めるか?」
「構わない、レインが強くなるまで俺は付き合うつもりだ」
シリウスは魔王としての仕事も山積みなのに貴重な時間を俺に使ってくれる。
俺を襲ってきたあの男の事もあるのにな。
シリウスの期待に応えるために、もっと頑張らないとな。
明日はもっと長く避ける練習をしよう、体力勝負になるだろうけどな。
部屋をノックする音が聞こえてシリウスは俺が食べた皿を片しながら招いた。
「失礼します」と言いながら部屋に入ってきたのは鬼将軍だった。
「若様、お迎えに上がりました」
「分かった」
シリウスはこれから用事があるのか、鬼将軍の言葉に頷いて立ち上がった。
鬼将軍は俺を見つけて、睨みつけていた。
敵意が凄いな、多分シリウスに皿を持たせているからだろう。
シリウスは鬼将軍に「レインを強くするから待っていろ」とハードルを上げていた。
いや、鬼将軍を倒す事が目的だから良いけどさ。
俺はシリウスが持っていた皿を掴んだら、部屋から出ようとしていた足を止めた。
「俺が運ぶから、シリウスは用事があるんだろ?」
「ついでだ、気にするな」
「いやこれも修行だから」
「レイン、ここには魔物が大勢いる…分かっているのか?俺の修行と違って本気で殺しにくる奴らだ」
「シリウスこそ忘れたのか?俺の本職」
俺をただの一般人と同じだと思われても困る。
それとも、魔物と一対一じゃないと倒せないくらいの貧弱だと思われているのか?
心外だな、ゲームではシリウスを倒すほど強くなるし今でも鬼将軍クラスを倒す修行をしているんだ。
俺は絶対に殺されない、そんなんで死んでいたらこんなところで住んでいられない。
俺はシリウスに借りた銃をホルダーの上から撫でた。
この城での俺の立ち位置を魔物に教える必要もある。
シリウス以上に魔物は例外なく人間を見下している。
なら、魔物のルールらしく俺は力で自分の立ち位置を決める。
…誰の手も借りない、俺は自分で自分の居場所を作る。
そうシリウスに言うと、何故か嬉しそうな顔をしている。
襲ってきたら問答無用でお前の仲間を殺すって言ってんのに、変な奴だな。
右腕の鬼将軍を倒すのに協力してるからシリウスには仲間という意識はないのかもしれない。
「レインのその強い心にも俺は惹かれたんだ」
「そうか?」
「そうでなくては魔王の妻にはなれないからな」
妻…俺は妻だったのかよ、そこは両方夫で良くないか?
まぁ、細かい事は別に言う必要ないかと食器片しに行くために部屋を出た。
終始鬼将軍に目力で殺されそうになって顔を引きつらせた。
正直人を殺しそうな目力とはいえ、実際に殺すわけではないから俺から攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
難しい、鬼将軍と分かり合える日は一生こなさそうだなと思った。
シリウスに食堂の場所を聞いたからそれを目指して歩いていた。
一歩一歩進む度に周りから俺を探るような目線を感じる。
知らない顔だから警戒しているんだろうが、人間だと知ればその警戒は一瞬で殺気に変わるだろう。
自分から人間だとバラす事もないから、そのまま進む。
俺を知っている奴が現れない事を願うばかりだ。
食堂の扉まで戦闘なしで来れて、中に入ると人ではないなにかが料理を作っていた。
無数の触手を動かして、一度にいくつもの鍋を動かしている。
これって、もしかして…もしかしなくてもタコ…だよな。
タコが海鮮料理を作っているシュールな光景を見ていると顔をコチラに向けていた。
「ぷろていん?」
「えっと、タンパク質とか…とにかく筋肉を作るのに必要なものというか」
「筋肉は鍛えれば自然に出来る、そんなものがなくても…レインならきっとすぐに…」
「……期待してくれてありがとう」
プロテインは諦めて、とりあえず栄養のあるものを食べたいとシリウスにお願いした。
シリウスは頷いて、部屋から出ていった。
人間の限界か、それを超えたら俺は人間じゃなくなるのか?
まぁ、シリウスと同じ存在になれるなら別に怖くない。
でも結局シリウスがなにかしない限り、人間を超えても人間にしかならない。
それでも俺は人間を超える、鬼将軍にシリウスの隣にいる事を認めてもらうために…
シリウスは栄養のありそうなものをいろいろ持って戻ってきた。
どれも俺の知らないものばかりで、魔界に生息するなにかなのだろう。
サラダも青色の葉っぱに、丸くなった小さな茎や赤い野菜のようなものが刻まれていた。
肉も黒いなにかの肉だ、焦げているから黒いというわけではなさそうだ。
「シリウス、なんだこれは」
「庭で採れるものだ、毒物はないから人が食べても平気だ」
「この肉は?」
「魔物の肉だが、食べる人間がいるみたいだから大丈夫だ」
サラダも肉も不安な説明をされたが、食べないと感想が言えない。
これも修行の一部だと思いながら、勇気を出して食べた。
サラダはアスパラのような味の茎で意外と美味しかった。
ドレッシングがないから、野菜本来の味を感じる。
肉は魔物の肉だと言うが、シリウスは同族の肉を食べるのか?
ナイフで肉を切ると、見た目は黒いけど見た感じ蒸した豚肉のようだと思った。
「シリウスは食べた事あるのか?」
「今さっき始めて食べた」
「そうなのか?」
「レインが口にするものだからな、味見をしなくてはいけない」
「魔王なのに、魔物を食べていいのか?」
「ソイツも喜んで体を差し出していたぞ」
シリウスに言われて、余計に食いづらく感じた。
食べるのが俺で、申し訳なく思いながら一口食べた。
豚肉ではなく、ちょっと硬い鶏肉だった。
味はまぁ、美味しい…かな…魔物だって思わなければ…
食事を終わらせて、俺はシリウスの銃を手入れした。
銃は手入れをしないとすぐに威力が失われてダメになってしまう。
俺の銃みたいにぼろぼろになっていなければ俺でも出来る。
「シリウス、明日も頼めるか?」
「構わない、レインが強くなるまで俺は付き合うつもりだ」
シリウスは魔王としての仕事も山積みなのに貴重な時間を俺に使ってくれる。
俺を襲ってきたあの男の事もあるのにな。
シリウスの期待に応えるために、もっと頑張らないとな。
明日はもっと長く避ける練習をしよう、体力勝負になるだろうけどな。
部屋をノックする音が聞こえてシリウスは俺が食べた皿を片しながら招いた。
「失礼します」と言いながら部屋に入ってきたのは鬼将軍だった。
「若様、お迎えに上がりました」
「分かった」
シリウスはこれから用事があるのか、鬼将軍の言葉に頷いて立ち上がった。
鬼将軍は俺を見つけて、睨みつけていた。
敵意が凄いな、多分シリウスに皿を持たせているからだろう。
シリウスは鬼将軍に「レインを強くするから待っていろ」とハードルを上げていた。
いや、鬼将軍を倒す事が目的だから良いけどさ。
俺はシリウスが持っていた皿を掴んだら、部屋から出ようとしていた足を止めた。
「俺が運ぶから、シリウスは用事があるんだろ?」
「ついでだ、気にするな」
「いやこれも修行だから」
「レイン、ここには魔物が大勢いる…分かっているのか?俺の修行と違って本気で殺しにくる奴らだ」
「シリウスこそ忘れたのか?俺の本職」
俺をただの一般人と同じだと思われても困る。
それとも、魔物と一対一じゃないと倒せないくらいの貧弱だと思われているのか?
心外だな、ゲームではシリウスを倒すほど強くなるし今でも鬼将軍クラスを倒す修行をしているんだ。
俺は絶対に殺されない、そんなんで死んでいたらこんなところで住んでいられない。
俺はシリウスに借りた銃をホルダーの上から撫でた。
この城での俺の立ち位置を魔物に教える必要もある。
シリウス以上に魔物は例外なく人間を見下している。
なら、魔物のルールらしく俺は力で自分の立ち位置を決める。
…誰の手も借りない、俺は自分で自分の居場所を作る。
そうシリウスに言うと、何故か嬉しそうな顔をしている。
襲ってきたら問答無用でお前の仲間を殺すって言ってんのに、変な奴だな。
右腕の鬼将軍を倒すのに協力してるからシリウスには仲間という意識はないのかもしれない。
「レインのその強い心にも俺は惹かれたんだ」
「そうか?」
「そうでなくては魔王の妻にはなれないからな」
妻…俺は妻だったのかよ、そこは両方夫で良くないか?
まぁ、細かい事は別に言う必要ないかと食器片しに行くために部屋を出た。
終始鬼将軍に目力で殺されそうになって顔を引きつらせた。
正直人を殺しそうな目力とはいえ、実際に殺すわけではないから俺から攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
難しい、鬼将軍と分かり合える日は一生こなさそうだなと思った。
シリウスに食堂の場所を聞いたからそれを目指して歩いていた。
一歩一歩進む度に周りから俺を探るような目線を感じる。
知らない顔だから警戒しているんだろうが、人間だと知ればその警戒は一瞬で殺気に変わるだろう。
自分から人間だとバラす事もないから、そのまま進む。
俺を知っている奴が現れない事を願うばかりだ。
食堂の扉まで戦闘なしで来れて、中に入ると人ではないなにかが料理を作っていた。
無数の触手を動かして、一度にいくつもの鍋を動かしている。
これって、もしかして…もしかしなくてもタコ…だよな。
タコが海鮮料理を作っているシュールな光景を見ていると顔をコチラに向けていた。
12
お気に入りに追加
1,580
あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

王弟様の溺愛が重すぎるんですが、未来では捨てられるらしい
めがねあざらし
BL
王国の誇りとされる王弟レオナード・グレイシアは優れた軍事司令官であり、その威厳ある姿から臣下の誰もが畏敬の念を抱いていた。
しかし、そんな彼が唯一心を許し、深い愛情を注ぐ相手が王宮文官を務めるエリアス・フィンレイだった。地位も立場も異なる二人だったが、レオは執拗なまでに「お前は私のものだ」と愛を囁く。
だが、ある日エリアスは親友の内査官カーティスから奇妙な言葉を告げられる。「近く“御子”が現れる。そしてレオナード様はその御子を愛しお前は捨てられる」と。
レオナードの変わらぬ愛を信じたいと願うエリアスだったが、心の奥底には不安が拭えない。
そしてついに、辺境の村で御子が発見されたとの報せが王宮に届いたのだった──。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる