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裏の話2
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「あの人間、随分威勢のいい事言ってたのに…所詮はただの人間か」
地面を汚す人間の血を踏みつけて、肉塊を睨みつける。
他にも原形がない肉塊があり、ここでなにかが行われている事は分かる。
この場に生きている人間はいない、皆魔王様に殺られたという事か。
あんなに苦労して宝玉を手に入れたからちょっとは期待したんだけどやはりダメだったか。
人間に頼ろうとした自分も悪いから、使い捨ての駒なんてどうでもいいけど…
肉塊を蹴り飛ばして後ろにいる部下の方を向くと敬礼していた。
「シリウス様は今何処にいる?」
「シリウス様は魔界に帰還致しました」
「あっそ、じゃあ俺も戻ろうかな」
手を前にかざして、空間を歪ませ…魔界へと通じる道を作った。
手がかりを少し人間達に渡したから、もう気付いているかもしれない。
宝玉を盗んで人間に与えたのは誰か…でもバレたとしても慌てる必要はない。
むしろ、見つけてもらう事が目的なんだから…あの無能な魔王軍にも分かりやすいようにやった。
早く俺のところに来て、俺を意識してみせてよ…俺はあの時とは違う。
シリウス様の視界に触れる事がなかったゴミのような自分とは違う。
強くなったんだ、シリウス様に対抗出来るくらいではないにしても側近共を殺せる力はある。
ずっとずっと、あの人の事を考えながら血を流す修行をしていた。
何度も死にそうになりながら、ここまで来たんだ。
シリウス様に一生の傷を残す事を目標に俺は生きている。
魔界に帰ると、相変わらず人間の血と肉が腐ったようなにおいがする。
下級魔族共が俺を見るなりニタニタ気持ち悪い顔で笑っていた。
ここに帰ってくるのは何百年ぶりだろうか、随分民度も低くなったものだ。
オーク共は俺の周りに集まってきて、肩を寄せてきた。
あの時は、こんな豚野郎共にも勝てなくて…下僕のように扱われていた。
オークやゴブリンは性欲も強くて、何度も地獄のような性奴隷になった事もあった。
気持ち悪い行為に今でも胃の中にあるもの全てを吐き出したくなる。
「よぅ…久しぶりじゃねぇか」
「……」
「死んだと思ってたけど生きていて嬉しいぜ!また…」
「……て………な」
「あ?」
「汚い手で触るなよ、下級魔族が」
オーク共は俺からそんな言葉が出ると思っていなかったのだろう。
もうあの頃と同じだと思うなよ、何も変わっていないのはお前らだけだ。
豚の顔が歪み、なにかを仕掛ける前に腕を振り上げると肩を掴んでいたオークの腕が吹き飛んだ。
耳障りな悲鳴を上げながら俺から離れていき、服の袖を見つめた。
返り血を浴びないようにしてたのにちょっと汚れてしまった。
俺と同じ境遇から這い上がった部下達は他のオークを殺していく。
腕を失って地面でもがいているオークを踏みつける。
「昔の俺が恥ずかしいな、こんな奴らに好き勝手させて」
「た、助けてくれっ」
オークの声が聞きたくなくて、首を吹き飛ばした。
俺達を見ていた周りの魔族達は恐怖で俺達を見ていて、それがとても気持ちよかった。
でも、俺が見てほしいのはこんな奴らではなくあの人だけだ。
地面を汚す人間の血を踏みつけて、肉塊を睨みつける。
他にも原形がない肉塊があり、ここでなにかが行われている事は分かる。
この場に生きている人間はいない、皆魔王様に殺られたという事か。
あんなに苦労して宝玉を手に入れたからちょっとは期待したんだけどやはりダメだったか。
人間に頼ろうとした自分も悪いから、使い捨ての駒なんてどうでもいいけど…
肉塊を蹴り飛ばして後ろにいる部下の方を向くと敬礼していた。
「シリウス様は今何処にいる?」
「シリウス様は魔界に帰還致しました」
「あっそ、じゃあ俺も戻ろうかな」
手を前にかざして、空間を歪ませ…魔界へと通じる道を作った。
手がかりを少し人間達に渡したから、もう気付いているかもしれない。
宝玉を盗んで人間に与えたのは誰か…でもバレたとしても慌てる必要はない。
むしろ、見つけてもらう事が目的なんだから…あの無能な魔王軍にも分かりやすいようにやった。
早く俺のところに来て、俺を意識してみせてよ…俺はあの時とは違う。
シリウス様の視界に触れる事がなかったゴミのような自分とは違う。
強くなったんだ、シリウス様に対抗出来るくらいではないにしても側近共を殺せる力はある。
ずっとずっと、あの人の事を考えながら血を流す修行をしていた。
何度も死にそうになりながら、ここまで来たんだ。
シリウス様に一生の傷を残す事を目標に俺は生きている。
魔界に帰ると、相変わらず人間の血と肉が腐ったようなにおいがする。
下級魔族共が俺を見るなりニタニタ気持ち悪い顔で笑っていた。
ここに帰ってくるのは何百年ぶりだろうか、随分民度も低くなったものだ。
オーク共は俺の周りに集まってきて、肩を寄せてきた。
あの時は、こんな豚野郎共にも勝てなくて…下僕のように扱われていた。
オークやゴブリンは性欲も強くて、何度も地獄のような性奴隷になった事もあった。
気持ち悪い行為に今でも胃の中にあるもの全てを吐き出したくなる。
「よぅ…久しぶりじゃねぇか」
「……」
「死んだと思ってたけど生きていて嬉しいぜ!また…」
「……て………な」
「あ?」
「汚い手で触るなよ、下級魔族が」
オーク共は俺からそんな言葉が出ると思っていなかったのだろう。
もうあの頃と同じだと思うなよ、何も変わっていないのはお前らだけだ。
豚の顔が歪み、なにかを仕掛ける前に腕を振り上げると肩を掴んでいたオークの腕が吹き飛んだ。
耳障りな悲鳴を上げながら俺から離れていき、服の袖を見つめた。
返り血を浴びないようにしてたのにちょっと汚れてしまった。
俺と同じ境遇から這い上がった部下達は他のオークを殺していく。
腕を失って地面でもがいているオークを踏みつける。
「昔の俺が恥ずかしいな、こんな奴らに好き勝手させて」
「た、助けてくれっ」
オークの声が聞きたくなくて、首を吹き飛ばした。
俺達を見ていた周りの魔族達は恐怖で俺達を見ていて、それがとても気持ちよかった。
でも、俺が見てほしいのはこんな奴らではなくあの人だけだ。
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