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シリウスの話3
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双子の悪魔はみるみる顔を明るくさせた。
与えられたら、お返しに与える…そうする事で貸し借りがない関係になる。
俺は今、やる事があり…部屋を出ると双子の悪魔も同時に部屋を出た。
すぐに二人とは別れて、廊下を歩いているとレオナルドがいた。
部屋の近くでウロウロしていたのか、ため息が溢れる。
俺はレオナルドを無視して歩き続けると、レオナルドが後ろからついて来る。
「若様、どちらに行かれるんですか?」
「すぐ戻る」
「し、しかし…若様」
「……この城を頼んだぞ、レオナルド」
長年一緒にいると、レオナルドに何を言えばいいか分かる?
思った通り、レオナルドは嬉しそうな顔をしていて「行ってらっしゃいませ」と、頭を下げていた。
レオナルドはレインが気に入らないようだからレインの事は絶対に言わない。
それに、レインとは二人だけで会いたいから正直他人は邪魔だ。
今は大人しく引き下がっているが、いつまたレオナルドの心配が爆発するか分からない…早めに向かおう。
城を出て、何もない空間で手をかざすと黒い空間が出来た。
空間に向かって歩くと、景色が歪み…明るい場所に変わった。
魔界の外に出るのは久しぶりだ、人間のいる世界が嫌いだし…興味もなかった。
だからリール村も何処にあるのか分からないし、レインの事も知らなかった。
でも、レインが住む世界ならとても興味がある。
リール村の場所は双子から聞いている、確か神殿が目印だと言っていたな。
神殿なら知っている、魔物の巣だからな…その神殿近くに魔界と繋げた。
眩しい太陽の光に目を細めていると、声が聞こえた。
聞き覚えがある声で、騒ぐように泣いている。
「ど、どうしよう!ぬ…抜けないぃ~」
素通りをしたいが、彼も城の人間だ…困り事があるなら助けるのは一つの手か。
コイツのペットは鼻がいい、レインを探すのに役立つかもしれない。
神殿の近くをうろうろしているフェザーに近付く。
どうしてこうなったのか、フェザーのペットの魔物が神殿の入り口に顔を突っ込んでいた。
一生懸命ペットを引っ張っているが、フェザーの体力からして一生無理だろう。
小さな羽根を思いっきり振って、飛びながら力いっぱい引っ張っている。
「何をしている、フェザー」
「あっ!シリウス様ぁ!!」
泣きつくようにフェザーがペットから手を離して俺に近付く。
えんえんと泣きながら、どうしてこうなったのか聞いた。
どうやら、食べ物が神殿の中に入り食べようとして抜けなくなったそうだ。
ペットが帰って来ない事を心配したフェザーがやって来て、ペットにいろいろ聞いたそうだ。
人間には分からないが、魔物同士なら言葉ではなく意思で会話が出来る。
このペットに食べさせているのは、草や果物だとフェザーは言っていた。
草や果物は一人で歩いて神殿に向かうわけがない。
俺が人間を喰らう魔物を嫌っているから、嘘を付いたのか。
そういう種族がいるのは分かっているし、人喰いそのものを否定はしない。
ただ、俺の領域が人間の血で汚れるのが無理なだけだ。
人は頼まれても絶対に口にしないし、人喰いの気持ちなど分からないが…フェザーのペットがここら辺で食べ物を探す事は別に構わない。
しかし、ここはリール村とかなり近い…食べ物を探すならもっと別のところに行けとは思う。
仕方ない、レインは俺が自力で探し出そう。
「し、シリウス様でもダメですか?」
「…いや、空間をネジ曲げれば大丈夫だ」
「本当ですか!?さすがシリウス様!!」
「……その代わり」
「…っ」
俺が条件を出す前に、フェザーは分かったのか頬を赤らめた。
フェザーはサキュバスだから、そういう事に持っていくのが自然だ。
……どうやら、何も分かってはいないようだ…全然違う。
俺はフェザーのペットの狩場を変えるように言った。
レインは強いが、フェザーのペットはS級賞金首だ…こんなところでうろうろさせるわけにはいかない。
フェザーは一瞬キョトンとした顔をしていたが、すぐに頷いた。
フェザーも神殿が近くにあるとペットに悪い影響だと考えたのだろう。
俺は神殿の壁に触れて、力を神殿に込めていく。
与えられたら、お返しに与える…そうする事で貸し借りがない関係になる。
俺は今、やる事があり…部屋を出ると双子の悪魔も同時に部屋を出た。
すぐに二人とは別れて、廊下を歩いているとレオナルドがいた。
部屋の近くでウロウロしていたのか、ため息が溢れる。
俺はレオナルドを無視して歩き続けると、レオナルドが後ろからついて来る。
「若様、どちらに行かれるんですか?」
「すぐ戻る」
「し、しかし…若様」
「……この城を頼んだぞ、レオナルド」
長年一緒にいると、レオナルドに何を言えばいいか分かる?
思った通り、レオナルドは嬉しそうな顔をしていて「行ってらっしゃいませ」と、頭を下げていた。
レオナルドはレインが気に入らないようだからレインの事は絶対に言わない。
それに、レインとは二人だけで会いたいから正直他人は邪魔だ。
今は大人しく引き下がっているが、いつまたレオナルドの心配が爆発するか分からない…早めに向かおう。
城を出て、何もない空間で手をかざすと黒い空間が出来た。
空間に向かって歩くと、景色が歪み…明るい場所に変わった。
魔界の外に出るのは久しぶりだ、人間のいる世界が嫌いだし…興味もなかった。
だからリール村も何処にあるのか分からないし、レインの事も知らなかった。
でも、レインが住む世界ならとても興味がある。
リール村の場所は双子から聞いている、確か神殿が目印だと言っていたな。
神殿なら知っている、魔物の巣だからな…その神殿近くに魔界と繋げた。
眩しい太陽の光に目を細めていると、声が聞こえた。
聞き覚えがある声で、騒ぐように泣いている。
「ど、どうしよう!ぬ…抜けないぃ~」
素通りをしたいが、彼も城の人間だ…困り事があるなら助けるのは一つの手か。
コイツのペットは鼻がいい、レインを探すのに役立つかもしれない。
神殿の近くをうろうろしているフェザーに近付く。
どうしてこうなったのか、フェザーのペットの魔物が神殿の入り口に顔を突っ込んでいた。
一生懸命ペットを引っ張っているが、フェザーの体力からして一生無理だろう。
小さな羽根を思いっきり振って、飛びながら力いっぱい引っ張っている。
「何をしている、フェザー」
「あっ!シリウス様ぁ!!」
泣きつくようにフェザーがペットから手を離して俺に近付く。
えんえんと泣きながら、どうしてこうなったのか聞いた。
どうやら、食べ物が神殿の中に入り食べようとして抜けなくなったそうだ。
ペットが帰って来ない事を心配したフェザーがやって来て、ペットにいろいろ聞いたそうだ。
人間には分からないが、魔物同士なら言葉ではなく意思で会話が出来る。
このペットに食べさせているのは、草や果物だとフェザーは言っていた。
草や果物は一人で歩いて神殿に向かうわけがない。
俺が人間を喰らう魔物を嫌っているから、嘘を付いたのか。
そういう種族がいるのは分かっているし、人喰いそのものを否定はしない。
ただ、俺の領域が人間の血で汚れるのが無理なだけだ。
人は頼まれても絶対に口にしないし、人喰いの気持ちなど分からないが…フェザーのペットがここら辺で食べ物を探す事は別に構わない。
しかし、ここはリール村とかなり近い…食べ物を探すならもっと別のところに行けとは思う。
仕方ない、レインは俺が自力で探し出そう。
「し、シリウス様でもダメですか?」
「…いや、空間をネジ曲げれば大丈夫だ」
「本当ですか!?さすがシリウス様!!」
「……その代わり」
「…っ」
俺が条件を出す前に、フェザーは分かったのか頬を赤らめた。
フェザーはサキュバスだから、そういう事に持っていくのが自然だ。
……どうやら、何も分かってはいないようだ…全然違う。
俺はフェザーのペットの狩場を変えるように言った。
レインは強いが、フェザーのペットはS級賞金首だ…こんなところでうろうろさせるわけにはいかない。
フェザーは一瞬キョトンとした顔をしていたが、すぐに頷いた。
フェザーも神殿が近くにあるとペットに悪い影響だと考えたのだろう。
俺は神殿の壁に触れて、力を神殿に込めていく。
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小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
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