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シリウスの話5
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「さぁ、どうぞ…毒は入ってないから安心して」
エルフの長の家の部屋に来ていた。
テーブルに並べられたティーセットや椅子やテーブルが花柄だ……これを見ていると頭が痛くなりそうだ。
ニコニコ笑う胡散臭い笑顔に反吐が出そうになりながら目の前に出された紅茶を睨みつける。
毒があろうがなかろうが、俺がそんなもので死ぬと思ってんのか?
そういう事ではない、俺はレインを何処に連れて行ったのか言え。
しかし、目の前のこの男は俺の話を無視して自分の事ばかり話していた。
無理矢理吐かす事も出来るが、レインが人質になっているかぎり何も出来ない。
エルフの長はニヤニヤ笑っていて、不快でため息を吐いた。
「紅茶を飲んでくれたら、彼には何もしないよ」
「……」
紅茶が入ったカップを掴んで、においを嗅いだ。
飲む気にはならないが、これを飲まないとレインは…
俺はカップを振り、エルフの長の頭に掛けた。
目を丸くして驚いているエルフの長のセンスの悪い服にシミが出来ていて少しすっきりした。
さすがにこんな事をされるとは思っていなかったみたいだな。
カップをテーブルの上に置いて、立ち上がる。
「お前が飲んだからいいだろ、レインの場所を吐け」
「流石は魔王様、ゾクゾクしてしまいます」
舌なめずりする男に眉を寄せて、まだこの地獄のような時間が続くと思うと目の前の男を殺したくなる。
次はお茶菓子だと、俺にケーキを差し出していた。
今度はちゃんと「シリウス様がお食べ下さい」と言っていた。
またこいつの顔面にお見舞してやろうと思っていたのにな。
さっきにおいを嗅いだら、この男のにおいが微かにした。
つまり、何かしらの自分の体液を飲ませようとした事になる。
魔物の体液は特殊な効果がある、たとえば俺は体液全てに効果がある。
エルフの長にどんな効果があるか知らないが、ろくなものではない。
それに、レイン以外の他の奴の体液なんて虫唾が走るな。
「……おい」
「はい、どうかされましたか?…甘いのが苦手ならこちらは」
「この部屋の下は誰がいるんだ?」
「部屋の下?あぁ、ただの物置ですが」
「俺は誰がいるんだと聞いている」
「…な、何故?」
「人の気配がする、誰かは知らないがな」
「あ、あぁ…奴隷ですよ、人間臭くて申し訳ございません」
「……奴隷」
俺は椅子に座り直して、エルフの長をジッと見つめた。
エルフの長は顔を赤らめていて照れた様子だった。
人差し指を伸ばして上に向けると、ケーキが宙を浮いた。
そのまま手を握ると、ケーキが変形してテーブルに落ちた。
「俺に嘘を付いたんだな」とエルフの長に言うと、赤くなった顔がみるみる青ざめていった。
俺とレインの絆を、お前は見誤ったようだな。
「な、何の事でしょうか」
随分顔色が変わって、目が泳いでる姿は滑稽だな。
下に誰がいるか聞いた、レインがいる事を伏せて…
奴隷…レインがいるところに奴隷がいる、何をしているのかこれで分かった。
下にある施設がどんな施設か分からなかった、もし普通の部屋ならレインはまだ無事だと思えた。
でも、そうじゃないならコイツに付き合ってる暇はない。
エルフの国の話は聞いていた、人間を性奴隷として調教させて売り飛ばしている。
食べる以外で人間を好む物好きな魔物もいる。
そういう魔物相手に商売する魔物はいる、人間をどうしようがどうでもいい…俺達魔物はそういう存在だ。
でも、レインがそこにいるなら話は別になる。
レインは俺にとって他の人間と違う、特別な人間だ。
レインに奴隷と同じ事をさせているとしたら…
エルフの長は目を見開いて、口元を押さえていた。
指の隙間から血が溢れてきて苦しそうにしていた。
俺の殺気に当てられたみたいだが、そんな事はどうでもいい。
レインに手を出したらどうなるか…教えた筈だ。
エルフの長に手をかざすと、部屋の外から騒ぐ声が聞こえた。
「おい!待て!」
ドアが開いて、なにか小さいものが入ってきた。
俺の姿を見て、その生き物は体を返して行こうとしていたが後ろに追いかけてきた男がいて何処にも行けなくなっていた。
レインに刃を向けていたが、レインに懐いていたりもしていた。
俺はやる事がある、少しだけこの子供にレインを任せるか。
レインは強い、こんな子供に負けたりはしないだろう。
入り口にいる男に目を向けて、鋭く目を細めた。
すると、男は首を掻き毟って苦しんで血を流していた。
子供に刺激が強すぎるだろうと、マントで目の前を遮った。
耳障りな声に眉を寄せて、腕を横に振ると力なく地面に倒れた。
下を見ると、子供が不安そうにしていてマントを子供の頭に掛けた。
倒れた男の腰には鞭と鍵があり、もしかしたら奴隷の調教をしているのかもしれない。
鍵を奪い、マントの中でモゾモゾしている子供に渡した。
「レインのところに転送する、必ずレインを助けろ」
「…レインって、あの…」
「行け」
肩を掴んで、子供を一人転送させて床に落ちたマントを拾う。
まだ苦しげに呻いているエルフの長の前に来て、首を掴む。
苦しそうだが、何処か楽しそうに笑っている。
ただ殺す事は生温い、レインを奴隷のように扱ったのだと安易に想像出来る。
大切なものを奪ったお前に、大切なものを奪われる苦しさを味わえばいい。
それをする前に一つだけ、コイツに用事がある。
「お前とは長い付き合いだ」
「ぐっ…ぁ」
「いつもエルフの情報能力は優れている、これからもよろしく」
「…し、りう……あ、あぁぁぁっ!!!!!」
大きな声を上げて、狂ったように暴れ回っていた。
エルフの長から情報能力を奪った、これでコイツが居なくても情報能力は俺の手の中にある。
透明なガラス玉の中には想像を遥かに超えた情報能力がある。
これがあれば、エルフの長には用がなくなる。
エルフの長の家の部屋に来ていた。
テーブルに並べられたティーセットや椅子やテーブルが花柄だ……これを見ていると頭が痛くなりそうだ。
ニコニコ笑う胡散臭い笑顔に反吐が出そうになりながら目の前に出された紅茶を睨みつける。
毒があろうがなかろうが、俺がそんなもので死ぬと思ってんのか?
そういう事ではない、俺はレインを何処に連れて行ったのか言え。
しかし、目の前のこの男は俺の話を無視して自分の事ばかり話していた。
無理矢理吐かす事も出来るが、レインが人質になっているかぎり何も出来ない。
エルフの長はニヤニヤ笑っていて、不快でため息を吐いた。
「紅茶を飲んでくれたら、彼には何もしないよ」
「……」
紅茶が入ったカップを掴んで、においを嗅いだ。
飲む気にはならないが、これを飲まないとレインは…
俺はカップを振り、エルフの長の頭に掛けた。
目を丸くして驚いているエルフの長のセンスの悪い服にシミが出来ていて少しすっきりした。
さすがにこんな事をされるとは思っていなかったみたいだな。
カップをテーブルの上に置いて、立ち上がる。
「お前が飲んだからいいだろ、レインの場所を吐け」
「流石は魔王様、ゾクゾクしてしまいます」
舌なめずりする男に眉を寄せて、まだこの地獄のような時間が続くと思うと目の前の男を殺したくなる。
次はお茶菓子だと、俺にケーキを差し出していた。
今度はちゃんと「シリウス様がお食べ下さい」と言っていた。
またこいつの顔面にお見舞してやろうと思っていたのにな。
さっきにおいを嗅いだら、この男のにおいが微かにした。
つまり、何かしらの自分の体液を飲ませようとした事になる。
魔物の体液は特殊な効果がある、たとえば俺は体液全てに効果がある。
エルフの長にどんな効果があるか知らないが、ろくなものではない。
それに、レイン以外の他の奴の体液なんて虫唾が走るな。
「……おい」
「はい、どうかされましたか?…甘いのが苦手ならこちらは」
「この部屋の下は誰がいるんだ?」
「部屋の下?あぁ、ただの物置ですが」
「俺は誰がいるんだと聞いている」
「…な、何故?」
「人の気配がする、誰かは知らないがな」
「あ、あぁ…奴隷ですよ、人間臭くて申し訳ございません」
「……奴隷」
俺は椅子に座り直して、エルフの長をジッと見つめた。
エルフの長は顔を赤らめていて照れた様子だった。
人差し指を伸ばして上に向けると、ケーキが宙を浮いた。
そのまま手を握ると、ケーキが変形してテーブルに落ちた。
「俺に嘘を付いたんだな」とエルフの長に言うと、赤くなった顔がみるみる青ざめていった。
俺とレインの絆を、お前は見誤ったようだな。
「な、何の事でしょうか」
随分顔色が変わって、目が泳いでる姿は滑稽だな。
下に誰がいるか聞いた、レインがいる事を伏せて…
奴隷…レインがいるところに奴隷がいる、何をしているのかこれで分かった。
下にある施設がどんな施設か分からなかった、もし普通の部屋ならレインはまだ無事だと思えた。
でも、そうじゃないならコイツに付き合ってる暇はない。
エルフの国の話は聞いていた、人間を性奴隷として調教させて売り飛ばしている。
食べる以外で人間を好む物好きな魔物もいる。
そういう魔物相手に商売する魔物はいる、人間をどうしようがどうでもいい…俺達魔物はそういう存在だ。
でも、レインがそこにいるなら話は別になる。
レインは俺にとって他の人間と違う、特別な人間だ。
レインに奴隷と同じ事をさせているとしたら…
エルフの長は目を見開いて、口元を押さえていた。
指の隙間から血が溢れてきて苦しそうにしていた。
俺の殺気に当てられたみたいだが、そんな事はどうでもいい。
レインに手を出したらどうなるか…教えた筈だ。
エルフの長に手をかざすと、部屋の外から騒ぐ声が聞こえた。
「おい!待て!」
ドアが開いて、なにか小さいものが入ってきた。
俺の姿を見て、その生き物は体を返して行こうとしていたが後ろに追いかけてきた男がいて何処にも行けなくなっていた。
レインに刃を向けていたが、レインに懐いていたりもしていた。
俺はやる事がある、少しだけこの子供にレインを任せるか。
レインは強い、こんな子供に負けたりはしないだろう。
入り口にいる男に目を向けて、鋭く目を細めた。
すると、男は首を掻き毟って苦しんで血を流していた。
子供に刺激が強すぎるだろうと、マントで目の前を遮った。
耳障りな声に眉を寄せて、腕を横に振ると力なく地面に倒れた。
下を見ると、子供が不安そうにしていてマントを子供の頭に掛けた。
倒れた男の腰には鞭と鍵があり、もしかしたら奴隷の調教をしているのかもしれない。
鍵を奪い、マントの中でモゾモゾしている子供に渡した。
「レインのところに転送する、必ずレインを助けろ」
「…レインって、あの…」
「行け」
肩を掴んで、子供を一人転送させて床に落ちたマントを拾う。
まだ苦しげに呻いているエルフの長の前に来て、首を掴む。
苦しそうだが、何処か楽しそうに笑っている。
ただ殺す事は生温い、レインを奴隷のように扱ったのだと安易に想像出来る。
大切なものを奪ったお前に、大切なものを奪われる苦しさを味わえばいい。
それをする前に一つだけ、コイツに用事がある。
「お前とは長い付き合いだ」
「ぐっ…ぁ」
「いつもエルフの情報能力は優れている、これからもよろしく」
「…し、りう……あ、あぁぁぁっ!!!!!」
大きな声を上げて、狂ったように暴れ回っていた。
エルフの長から情報能力を奪った、これでコイツが居なくても情報能力は俺の手の中にある。
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