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小さな島
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俺の横を魚のように優雅に泳ぐシリウスを見る。
「シリウス、どのくらいでエルフの国に着くんだ?」
「ここから反対方向の大陸に向かう」
「えっ!?かなり遠そうだな」
「エルフの国ならもっと早く行く方法がある」
シリウスがそう言うと、上に向かっていて俺も上を泳ぐ。
海から顔を出すとシリウスは、そのまま海から上がった。
この場に足が乗せれる場所は何処にもないが、シリウスは立っていた…水面に…
俺にも上がるように言うが、俺にこんな人間離れのような事は出来ない。
首を横に振ると、シリウスが俺の腕を引いて立ち上がらせた。
すると、水の感じはしなくてちゃんと安定して立てた。
不思議な感じで足踏みしてもしっかりしていた。
「レイン、俺から離れたら落ちる」
「うわっ!…マジか…」
シリウスは下を見ていて、俺もシリウスの手を握りながら下を見た。
そこには水面から顔を出す少年が困った顔をしていた。
シリウスに触るのはハードルが高いよな、でも触らないと立てないよな。
シリウスを見ると、俺と握っている手ではない方の手を上げた。
すると、エルフの少年の体が浮いていて…俺の手をエスコートしたまま歩き出した。
少年は不満そうな顔をしていたが、こうやって運ばれるしか出来ないから仕方なく大人しくしていた。
エルフの国は森にあると分かるように、森の魔物で決して魚ではない。
でもこの子は海に居たよな、しかも俺達のように喋れた。
なんでそんな事が…もしかして知らないだけでエラ呼吸が出来るとか?
一歩一歩歩くと、水面が揺れていて潮風が吹いた。
「シリウス、エルフ族ってエラ呼吸が出来るのか?」
「……?」
「いや、さっきこの子が海のところにいただろ?だから海の中でも呼吸が出来るのかと思って」
「エルフの国は魔薬の原料を多く取れる場所だ、だから俺達が使った魔薬を口にしただけだろう」
「…あ、そっか」
普通に考えたら分かるよな、エラ呼吸より現実的だ。
疑問が解決してすっきりした気分で、陸まで歩いた。
泳ぐより歩いた方が体力も消耗しないし、早く着く気がする。
行きは海の底に沈んた大陸があったから、シリウスは歩かなかったのだろう。
歩くとすぐに陸が見えてきて、シリウスに目線を向けると小さく頷いた。
少し早く歩くと、陸に足が着いてシリウスから手を離した。
シリウスは少年を浜辺に落として、小さな声を上げていた。
少年のところに行き、体に付いた砂を落とそうとしゃがんだ。
また逃げられるかと思ったが、その元気はないのか起き上がってボーッとしていた。
もしかしたら酔ったのかもしれない、砂を払って草むらに座らせて背中を撫でた。
ここは陸だが、街があるわけではない小さな島だ。
正直ここに降りて、なにか出来るとか考えられない。
ただ休憩で寄ったとか、俺が最初に向かったから?…だとしたら有り得る。
「シリウス、悪かった…寄り道して」
「寄り道?」
「この島に俺が行きたそうだったから寄ってくれたんじゃないのか?」
「そうだったのか?」
シリウスは首を傾げていて、俺も首を傾げた。
あれ?違った?シリウスもここに来たかったのか?
「シリウス、どのくらいでエルフの国に着くんだ?」
「ここから反対方向の大陸に向かう」
「えっ!?かなり遠そうだな」
「エルフの国ならもっと早く行く方法がある」
シリウスがそう言うと、上に向かっていて俺も上を泳ぐ。
海から顔を出すとシリウスは、そのまま海から上がった。
この場に足が乗せれる場所は何処にもないが、シリウスは立っていた…水面に…
俺にも上がるように言うが、俺にこんな人間離れのような事は出来ない。
首を横に振ると、シリウスが俺の腕を引いて立ち上がらせた。
すると、水の感じはしなくてちゃんと安定して立てた。
不思議な感じで足踏みしてもしっかりしていた。
「レイン、俺から離れたら落ちる」
「うわっ!…マジか…」
シリウスは下を見ていて、俺もシリウスの手を握りながら下を見た。
そこには水面から顔を出す少年が困った顔をしていた。
シリウスに触るのはハードルが高いよな、でも触らないと立てないよな。
シリウスを見ると、俺と握っている手ではない方の手を上げた。
すると、エルフの少年の体が浮いていて…俺の手をエスコートしたまま歩き出した。
少年は不満そうな顔をしていたが、こうやって運ばれるしか出来ないから仕方なく大人しくしていた。
エルフの国は森にあると分かるように、森の魔物で決して魚ではない。
でもこの子は海に居たよな、しかも俺達のように喋れた。
なんでそんな事が…もしかして知らないだけでエラ呼吸が出来るとか?
一歩一歩歩くと、水面が揺れていて潮風が吹いた。
「シリウス、エルフ族ってエラ呼吸が出来るのか?」
「……?」
「いや、さっきこの子が海のところにいただろ?だから海の中でも呼吸が出来るのかと思って」
「エルフの国は魔薬の原料を多く取れる場所だ、だから俺達が使った魔薬を口にしただけだろう」
「…あ、そっか」
普通に考えたら分かるよな、エラ呼吸より現実的だ。
疑問が解決してすっきりした気分で、陸まで歩いた。
泳ぐより歩いた方が体力も消耗しないし、早く着く気がする。
行きは海の底に沈んた大陸があったから、シリウスは歩かなかったのだろう。
歩くとすぐに陸が見えてきて、シリウスに目線を向けると小さく頷いた。
少し早く歩くと、陸に足が着いてシリウスから手を離した。
シリウスは少年を浜辺に落として、小さな声を上げていた。
少年のところに行き、体に付いた砂を落とそうとしゃがんだ。
また逃げられるかと思ったが、その元気はないのか起き上がってボーッとしていた。
もしかしたら酔ったのかもしれない、砂を払って草むらに座らせて背中を撫でた。
ここは陸だが、街があるわけではない小さな島だ。
正直ここに降りて、なにか出来るとか考えられない。
ただ休憩で寄ったとか、俺が最初に向かったから?…だとしたら有り得る。
「シリウス、悪かった…寄り道して」
「寄り道?」
「この島に俺が行きたそうだったから寄ってくれたんじゃないのか?」
「そうだったのか?」
シリウスは首を傾げていて、俺も首を傾げた。
あれ?違った?シリウスもここに来たかったのか?
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