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謎の少年
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「俺は魔王軍の一人じゃないし、そもそも人間だから」
「…う、嘘だ…人間が魔王と一緒にいるわけ…」
さっきの威勢が消えて元気がなくなった声で言っていた。
確かに変だよな、俺が少年の立場でも嘘だと思う。
でも、人間とあまり形が変わらない魔物もいるし…人間だと証明する方法がない。
とりあえず、俺は敵意がないとアピールするために両手を上げた。
まだ疑っていたが、そう簡単に信用出来ないのは分かっているから無理に誤解を解く事はしない。
俺は自分の事を話した、後は少年がどう受け取るかだな。
エルフ族を襲った魔王軍…それって本当に魔王軍だったのかな。
ゲームでは魔王とエルフ族の長は盟友だった。
誰ともつるまないシリウスが唯一友人だと呼べる相手だ。
魔王軍には入っていないが、エルフ族はほとんどが魔王の味方。
俺の仲間になったエルフ族の子も最初は俺の敵だったしな。
シリウスの軍の奴らがシリウスの盟友を知らないとは考えられない。
なにかの理由で殺せとシリウスが命令したのか?盟友の一族を殺せと命令するのはよほどの事だが、覚えていないのも変だ。
「シリウス、エルフ族の長とは盟友なんだよな…じゃあエルフ族を殺していないのか?」
「………」
シリウスは黙って俺の方を見ていて、俺は首を傾げた。
そして自分の失言に気付いて、顔が引つるのが分かる。
ヤバい、シリウスにエルフ族の話を聞いていないのに俺が知っているのは不自然だ。
俺は慌てて「魔王とエルフ族の関係は人間の間でも有名でさ!」と誤魔化した。
魔王とエルフ族の関係を知っている人間なんて、もしかしたらゲームを知っている俺しかいないかもしれないんだけどな。
魔王は謎多き存在で、姿すら出回っていないのにエルフ族の関係なんて知るわけないよな。
シリウスは特に気にした様子はなく、首を傾げていた。
「盟友?誰がだ」
「えっ…シリウスとエルフ族の長?」
「アレとは盟友ではない、ただの知り合いだ」
シリウスは違う違うと首を横に振っていて、今度は俺が首を傾げた。
あれ?ゲームでは確かに盟友だって説明されていたのに…
確かに説明があったのはエルフ族の長の時で、シリウスの時は説明なんてなかった。
まさか、向こうが勝手に思ってるだけで実は仲良くないのか?
シリウスは「利用出来る相手だから利用しているだけだ」と言っていた。
それはこの子の前で言うのはちょっとな…聞いたのは俺だけど…
少年はそれどころではないからか、耳に入っていないようだ。
シリウスは利用出来るから不利になる事はしないと言っていた。
確かにエルフの長を利用出来るなら、エルフを殺したら長の怒りを買い利用どころではなくなる。
シリウスは当然そんな事はしないし、シリウスを全肯定している信者という名の魔王軍がこんな事するとは思えない。
「誰がやったのかは知らないが、俺達は無駄な殺しはしない…無意味だからな」
「……嘘だ」
「信じないなら信じなくて構わない、レイン…行くぞ」
「えっ、良いのか?」
「これ以上ここにいてどうなる?…信じない奴に何を言っても無駄だ」
シリウスは少年に背を向けて、建物から出た。
確かにシリウスの言う事も一理あるが、誤解されたままじゃシリウスも嫌じゃないのか?
魔王だから、そういう誤解には慣れているのだろう。
……そんな慣れ、寂しいだけじゃないのか?…魔王だからって…
少年の方を向くと、シリウスと帰ると思っていたのか驚いていた。
俺に剣を向けて威嚇していたから、俺は少年に向かって目線を合わすようにしゃがんだ。
「く、来るな!魔王軍め!!」
「君が両親を魔物に殺されたから仇討ちしたいって気持ちは当然だと思う……でもシリウスはやっていない」
「信じられるわけない!!魔王なんだぞ!!」
確かにシリウスは魔王だし、ゲームと変わらず残酷な一面もある。
でも、少なくとも…俺といるシリウスが無駄な事をしているところはなかった。
シリウスがなにかする時は俺を助けるためだった。
シリウスに惚れ込んだ魔物が魔王軍に入る、いくら強いとはいえただ大量虐殺しているだけの男に誰かに従う事はない魔物が忠誠を誓うわけがない。
力で服従ではなく、心からシリウスを慕っている。
でも、シリウスと会った事がなさそうな少年にどう言ったらいいのか。
シリウスの魔力で魔王だと分かったみたいだから、シリウスの気持ちも分かればいいのにな。
少年を信用させるには、少年が信用している人物から説得してくれたら聞いてくれるのかもしれない。
俺とシリウスの言葉は少年には届かない…ならエルフはエルフの言葉を聞くかもしれない。
俺は急いで建物を出ると、先に行ったと思っていたからすぐ近くで待っていたシリウスに目を丸くした。
「先に行ったと思ってた」
「レインと共に行くと言ったからな」
シリウスは歩き出そうとしたから、俺はシリウスの腕を掴んだ。
シリウスは宝玉を探したいだろうけど、少し寄り道を提案した。
エルフの国に行って長と話す事にした、そうしたらシリウスだけじゃなく…少年も無駄に警戒しなくていい。
一人で行けたら良いが、俺の中に宝玉があるから一定時間シリウスと離れられない。
それに、人間の俺が話したところで長に面会出来るわけがない。
嫌なら無理強いはしない、この旅はシリウスの目的の旅だからシリウスの答えを尊重したい。
「何処に行くんだ?」
「エルフの国」
「……あの子供のためか?」
シリウスが俺の後ろをチラッと見つめていて、俺も後ろに振り返ると入り口から少年が覗いていた。
俺の背中を狙っているわけではなさそうだが、警戒はしている。
シリウスを見ると「レインが気の済むまでやればいい」と言ってくれた。
エルフの国の場所が分からないからシリウスに案内を頼んだ。
ゲームでは道順まではなかったからな、ちなみにゲームでは魔王とエルフの長が盟友だったからエルフの長に戦いを挑んだストーリーだった。
他のゲームではエルフ族は人間寄りに描かれている事が多い。
でもあのエロゲーは魔物は例外なく人間の敵として描かれている。
エルフの仲間はいるが、エルフの長は人間を奴隷にしている。
エルフの長は仲間のエルフにも酷い事をしていた。
だから魔王同様、エルフの長も苦手なキャラクターだった。
出来る事なら会いたくはないが、やはり人間が奴隷になっていると考えるとこの子の事を頼むのと同時に人を助けたい気持ちもある。
シリウスみたいにゲームとは変わってるかもしれない、そこはやっぱりちゃんと見ないと…
「シリウス、悪い…宝玉を早く取り返したかったのに…」
「気にするな、他の宝玉はレオナルド達に任せている…時間が掛かるからちょうどいい暇つぶしだ」
シリウスはそう言ってくれて、歩き出して俺も泳いで後ろを振り返った。
エルフの少年は戸惑った様子で俺を見てきて、手招きした。
俺の勘違いじゃなければ、なんか迷子になっている気がした。
俺とシリウスが此処に来るなんて彼は知らなかっただろうから待ち伏せはありえない。
宝玉は魔物を引き付ける力がある、だからきっと宝玉を辿ってきたように感じる。
エルフの国は森の中にあるし、涼しい場所にある。
だからこんな砂漠地帯にはないから、きっとエルフの国はここから遠い。
こんな小さな子供が目的があってここに来たとは思えない。
武器の剣も彼の腕に合っていないように感じた、多分俺みたいにあの武器屋から手にしたのだろう。
俺の手を取る事はなかったが、俺が泳ぎ始めると後ろから着いてくる気配がした。
いくら憎い魔王軍だと思い込んでも、国には帰りたいよな。
「…う、嘘だ…人間が魔王と一緒にいるわけ…」
さっきの威勢が消えて元気がなくなった声で言っていた。
確かに変だよな、俺が少年の立場でも嘘だと思う。
でも、人間とあまり形が変わらない魔物もいるし…人間だと証明する方法がない。
とりあえず、俺は敵意がないとアピールするために両手を上げた。
まだ疑っていたが、そう簡単に信用出来ないのは分かっているから無理に誤解を解く事はしない。
俺は自分の事を話した、後は少年がどう受け取るかだな。
エルフ族を襲った魔王軍…それって本当に魔王軍だったのかな。
ゲームでは魔王とエルフ族の長は盟友だった。
誰ともつるまないシリウスが唯一友人だと呼べる相手だ。
魔王軍には入っていないが、エルフ族はほとんどが魔王の味方。
俺の仲間になったエルフ族の子も最初は俺の敵だったしな。
シリウスの軍の奴らがシリウスの盟友を知らないとは考えられない。
なにかの理由で殺せとシリウスが命令したのか?盟友の一族を殺せと命令するのはよほどの事だが、覚えていないのも変だ。
「シリウス、エルフ族の長とは盟友なんだよな…じゃあエルフ族を殺していないのか?」
「………」
シリウスは黙って俺の方を見ていて、俺は首を傾げた。
そして自分の失言に気付いて、顔が引つるのが分かる。
ヤバい、シリウスにエルフ族の話を聞いていないのに俺が知っているのは不自然だ。
俺は慌てて「魔王とエルフ族の関係は人間の間でも有名でさ!」と誤魔化した。
魔王とエルフ族の関係を知っている人間なんて、もしかしたらゲームを知っている俺しかいないかもしれないんだけどな。
魔王は謎多き存在で、姿すら出回っていないのにエルフ族の関係なんて知るわけないよな。
シリウスは特に気にした様子はなく、首を傾げていた。
「盟友?誰がだ」
「えっ…シリウスとエルフ族の長?」
「アレとは盟友ではない、ただの知り合いだ」
シリウスは違う違うと首を横に振っていて、今度は俺が首を傾げた。
あれ?ゲームでは確かに盟友だって説明されていたのに…
確かに説明があったのはエルフ族の長の時で、シリウスの時は説明なんてなかった。
まさか、向こうが勝手に思ってるだけで実は仲良くないのか?
シリウスは「利用出来る相手だから利用しているだけだ」と言っていた。
それはこの子の前で言うのはちょっとな…聞いたのは俺だけど…
少年はそれどころではないからか、耳に入っていないようだ。
シリウスは利用出来るから不利になる事はしないと言っていた。
確かにエルフの長を利用出来るなら、エルフを殺したら長の怒りを買い利用どころではなくなる。
シリウスは当然そんな事はしないし、シリウスを全肯定している信者という名の魔王軍がこんな事するとは思えない。
「誰がやったのかは知らないが、俺達は無駄な殺しはしない…無意味だからな」
「……嘘だ」
「信じないなら信じなくて構わない、レイン…行くぞ」
「えっ、良いのか?」
「これ以上ここにいてどうなる?…信じない奴に何を言っても無駄だ」
シリウスは少年に背を向けて、建物から出た。
確かにシリウスの言う事も一理あるが、誤解されたままじゃシリウスも嫌じゃないのか?
魔王だから、そういう誤解には慣れているのだろう。
……そんな慣れ、寂しいだけじゃないのか?…魔王だからって…
少年の方を向くと、シリウスと帰ると思っていたのか驚いていた。
俺に剣を向けて威嚇していたから、俺は少年に向かって目線を合わすようにしゃがんだ。
「く、来るな!魔王軍め!!」
「君が両親を魔物に殺されたから仇討ちしたいって気持ちは当然だと思う……でもシリウスはやっていない」
「信じられるわけない!!魔王なんだぞ!!」
確かにシリウスは魔王だし、ゲームと変わらず残酷な一面もある。
でも、少なくとも…俺といるシリウスが無駄な事をしているところはなかった。
シリウスがなにかする時は俺を助けるためだった。
シリウスに惚れ込んだ魔物が魔王軍に入る、いくら強いとはいえただ大量虐殺しているだけの男に誰かに従う事はない魔物が忠誠を誓うわけがない。
力で服従ではなく、心からシリウスを慕っている。
でも、シリウスと会った事がなさそうな少年にどう言ったらいいのか。
シリウスの魔力で魔王だと分かったみたいだから、シリウスの気持ちも分かればいいのにな。
少年を信用させるには、少年が信用している人物から説得してくれたら聞いてくれるのかもしれない。
俺とシリウスの言葉は少年には届かない…ならエルフはエルフの言葉を聞くかもしれない。
俺は急いで建物を出ると、先に行ったと思っていたからすぐ近くで待っていたシリウスに目を丸くした。
「先に行ったと思ってた」
「レインと共に行くと言ったからな」
シリウスは歩き出そうとしたから、俺はシリウスの腕を掴んだ。
シリウスは宝玉を探したいだろうけど、少し寄り道を提案した。
エルフの国に行って長と話す事にした、そうしたらシリウスだけじゃなく…少年も無駄に警戒しなくていい。
一人で行けたら良いが、俺の中に宝玉があるから一定時間シリウスと離れられない。
それに、人間の俺が話したところで長に面会出来るわけがない。
嫌なら無理強いはしない、この旅はシリウスの目的の旅だからシリウスの答えを尊重したい。
「何処に行くんだ?」
「エルフの国」
「……あの子供のためか?」
シリウスが俺の後ろをチラッと見つめていて、俺も後ろに振り返ると入り口から少年が覗いていた。
俺の背中を狙っているわけではなさそうだが、警戒はしている。
シリウスを見ると「レインが気の済むまでやればいい」と言ってくれた。
エルフの国の場所が分からないからシリウスに案内を頼んだ。
ゲームでは道順まではなかったからな、ちなみにゲームでは魔王とエルフの長が盟友だったからエルフの長に戦いを挑んだストーリーだった。
他のゲームではエルフ族は人間寄りに描かれている事が多い。
でもあのエロゲーは魔物は例外なく人間の敵として描かれている。
エルフの仲間はいるが、エルフの長は人間を奴隷にしている。
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だから魔王同様、エルフの長も苦手なキャラクターだった。
出来る事なら会いたくはないが、やはり人間が奴隷になっていると考えるとこの子の事を頼むのと同時に人を助けたい気持ちもある。
シリウスみたいにゲームとは変わってるかもしれない、そこはやっぱりちゃんと見ないと…
「シリウス、悪い…宝玉を早く取り返したかったのに…」
「気にするな、他の宝玉はレオナルド達に任せている…時間が掛かるからちょうどいい暇つぶしだ」
シリウスはそう言ってくれて、歩き出して俺も泳いで後ろを振り返った。
エルフの少年は戸惑った様子で俺を見てきて、手招きした。
俺の勘違いじゃなければ、なんか迷子になっている気がした。
俺とシリウスが此処に来るなんて彼は知らなかっただろうから待ち伏せはありえない。
宝玉は魔物を引き付ける力がある、だからきっと宝玉を辿ってきたように感じる。
エルフの国は森の中にあるし、涼しい場所にある。
だからこんな砂漠地帯にはないから、きっとエルフの国はここから遠い。
こんな小さな子供が目的があってここに来たとは思えない。
武器の剣も彼の腕に合っていないように感じた、多分俺みたいにあの武器屋から手にしたのだろう。
俺の手を取る事はなかったが、俺が泳ぎ始めると後ろから着いてくる気配がした。
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