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海底の国
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落ちていた火を起こす道具を見つめると、シリウスはどんどん街の奥に歩いていった。
俺もシリウスの後ろを付いて行こうとしたら、足が浮いてしまい…泳いだ。
シリウスが地上のように歩いているから錯覚してしまった。
「シリウス、ここ…街だよな…もしかして砂漠にあった街か?」
「宝玉の力を手にして、人も街も溺れたのだろう」
「じゃあ街が沈んだのは宝玉がやったって事なのか?」
「人間に制御出来るものではないのに、愚かだ」
シリウスは眉を寄せて、教会のようなところで足を止めた。
強い気配を感じて、俺はこの先に行く事が出来ない。
シリウスが中に入り、教会の前で待つ事にした。
…シリウスの力だ、街一つ沈ませる事なんて簡単だ。
力を悪用しなければこんな事にはならなかった。
そう分かってはいるが、危険なものだと認識出来ないのだろう。
人は、欲深い生き物だ…俺だって例外ではない…目の前に強くなる方法があったらきっと…
実際俺の中に宝玉があっても、強くはならない…シリウスの力を扱えるわけがないんだ。
目の前を見つめていたら、なにかが横切った。
一瞬魚だと思ったが、建物の中から見える影は人のもののように思えた。
まさか、生き残りがいるのか?いや、人間がこんなところで生活出来るとは思えない。
じゃあ魔物か?でも、こんなところで何の用事が…
そう考えていたら、その影は消えてしまい…慌てて建物の近くに寄る。
でも、そこには誰もいなくて…もやもやした気分だけが残った。
この建物になにかあったのか?他の建物と中身は変わらないと思うが…
ここは武器屋だったのか、壁にいろんな武器とかが飾られていた。
海の底に沈んだ武器は使い物にならないだろうが、建物の中に入った。
海用に作られたわけではない武器は、錆びていた。
剣を手に取り、刃を撫でるとなにか文字のようなものが見えた。
知らない国の文字だ、なんて読むんだろう。
「だぁぁぁ!!!!」
「なっ…」
後ろから誰かの気配を感じて、後ろを振り返ると俺に向かって剣を振り上げる人影がいた。
とっさに持っていた剣を盾にすると、海の中だとは思えないくらい早く剣が振り下ろされた。
剣と剣がぶつかり、俺の持つ剣が少し欠けた。
錆び付いた剣では俺の方が不利だ、それにこの剣は水中戦では不利だ。
そう考えながら、足で地面を蹴り上げると体が浮いた。
今の俺は地上にはいない、浮く事だって出来るんだ。
重力を利用して、目の前の襲撃者から距離を取る。
手に持っていた剣は手放してしまったが、護身用として使えなさそうだったから別に構わないだろう。
俺はいきなり襲撃される覚えはない、いったい誰なんだ?
人影は、俺を睨んで再び剣を向けていた。
俺はその人物を見て目を見開いた…知り合いとかではない、あまりにも幼い子供がいたから驚いた。
10代前半くらいの幼い少年が物騒な剣を持って息を吐いていた。
よく見ると、耳が尖っている…普通の子供ではなさそうだ。
その少年は俺に再び襲いかかろうとしていた。
俺よりも海を味方に付けているようで、剣を自在に操れるようだ。
ここは武器屋だ、武器は腐るほどあるから防ぐ事はいくらでも出来る。
彼が何故俺に向かって剣を振り上げているのか理由が分からないと、本気で攻撃出来ない。
魔物だから何でも倒すわけではない、俺にだって賞金首ハンターの誇りがあるんだから…
「父ちゃんと母ちゃんの仇!!!!」
「っ!!」
目に入った武器を手に取って身構えていたら、少年の体が反転した。
どんなアクロバットな攻撃を仕掛けてくるのか分からなかったが、少し経ってもその気配はない。
少年は足に絡まったワカメによって転けて地面に倒れていた。
威勢がなくなり、動かなくなった少年が心配で近付いた。
手にしていた木の棒で、ちょんちょんと軽く突っついた。
とっさに取ったとはいえ木の棒じゃ、やられていただろうな。
転けてくれて命拾いはしたが、少年は動かない。
助け起こそうと手を伸ばそうとしたら、急に少年が体を起こして驚いた。
少年から離れると、少年は下を向いて床に座っていた。
短パンから覗く少年の膝は赤くなっていて、さっき転んで擦りむいたのだと分かる。
ここは海で、海水がさらに傷口を悪化させているのだろう。
俺は上着を脱いで、少年の膝に結びつけた…今はこのくらいしか応急処置が出来ない。
少年は暴れて俺の顔を蹴ったりしたが、押さえつけて落ち着かせた。
仇とかよく分からない事を言っていたが、なにか誤解があるのではないのか?
…それとも、もしかして俺が倒した賞金首の中に…
「お前らが、お前らが父ちゃんと母ちゃんを……お前ら魔王軍が!!」
少年は俺から離れて、再び剣を握り直して襲いかかってきた。
しかし、俺が避ける前に少年の動きは封じられた。
後ろにシリウスがいて、少年の腕を掴んでいた。
少年は「誰だ!離せ!」と叫んでいたが、後ろを見てシリウスだと分かると力が抜けていた。
魔王軍に殺された?シリウスと一緒にいたから俺も魔王軍の仲間だと思われたのか?
シリウスに彼に見覚えがあるのかと目線を向けた。
シリウスは少年を見ると、少年はだんだん顔を青くしていた。
「…誰だ?」
「…ぅ、お…おれ」
「シリウス、助けてくれたのはありがとう…とりあえず離してやれよ」
怯えて話にもならないから、とりあえずシリウスから離れた方がいい。
彼の話を聞かないと、何とも言えない…シリウスは見覚えないみたいだけど…
シリウスが手を離すと、少年はシリウスから離れて剣を向けていた。
俺はシリウスのところに向かって、宝玉がどうなったか聞いた。
するとシリウスは自分の手のひらを開いて小さな光を見せてくれた。
宝玉は無事回収出来たみたいだ、でもこの状態だと良かったと次の宝玉探しには行けそうもない。
魔王軍に両親を殺された……確かに俺もそんな子供を何人か見てきた。
だから魔王軍は恐怖の象徴とされてきた、魔物もそうなのかもしれない。
「お前、エルフ族だな」
「だ、だったらなんだ!?」
エルフ族か、なるほど…だから耳が尖っているのか。
ゲームにもエルフ族はいて、他の魔物と違い美形が多い一族だった筈だ。
確かエルフ族の一人の女の子も俺の仲間になっていた。
…あれ?でも、エルフ族って確か……
シリウスは敵意むき出しの少年に何もする事はなく腕を組んでいた。
少年はシリウスに攻撃をしたいのに、シリウスの魔王のオーラで動けずにいた。
「本当にお前の両親は魔王軍に殺されたのか?」
「だって自分で魔王軍だって言ってたし!!」
「自分の名を名乗る者はいるが、魔王軍を名乗る者は初めて聞いたな…俺の軍にそんなアホがいるとは」
シリウスは呆れてため息を吐いていて、誰がそんな事を言ったのか聞き出そうとしていた。
フードを被っていて、顔は分からないし名前も分からないと言っていた。
シリウスの言葉に涙目になっていて、とうとう手にしていた剣を落とした。
責めている言葉ではないが、小さな少年にとって魔王は毒以外の何者でもないのだろう。
シリウスの肩を掴んで、とりあえず聞き出せる事はないから俺は誤解を解く事にした。
俺は魔王軍ではないし、そもそも本来は魔王軍の敵の立ち位置だったりする。
今は俺の中の宝玉の話もあるし、一緒に旅をしているが…
俺もシリウスの後ろを付いて行こうとしたら、足が浮いてしまい…泳いだ。
シリウスが地上のように歩いているから錯覚してしまった。
「シリウス、ここ…街だよな…もしかして砂漠にあった街か?」
「宝玉の力を手にして、人も街も溺れたのだろう」
「じゃあ街が沈んだのは宝玉がやったって事なのか?」
「人間に制御出来るものではないのに、愚かだ」
シリウスは眉を寄せて、教会のようなところで足を止めた。
強い気配を感じて、俺はこの先に行く事が出来ない。
シリウスが中に入り、教会の前で待つ事にした。
…シリウスの力だ、街一つ沈ませる事なんて簡単だ。
力を悪用しなければこんな事にはならなかった。
そう分かってはいるが、危険なものだと認識出来ないのだろう。
人は、欲深い生き物だ…俺だって例外ではない…目の前に強くなる方法があったらきっと…
実際俺の中に宝玉があっても、強くはならない…シリウスの力を扱えるわけがないんだ。
目の前を見つめていたら、なにかが横切った。
一瞬魚だと思ったが、建物の中から見える影は人のもののように思えた。
まさか、生き残りがいるのか?いや、人間がこんなところで生活出来るとは思えない。
じゃあ魔物か?でも、こんなところで何の用事が…
そう考えていたら、その影は消えてしまい…慌てて建物の近くに寄る。
でも、そこには誰もいなくて…もやもやした気分だけが残った。
この建物になにかあったのか?他の建物と中身は変わらないと思うが…
ここは武器屋だったのか、壁にいろんな武器とかが飾られていた。
海の底に沈んだ武器は使い物にならないだろうが、建物の中に入った。
海用に作られたわけではない武器は、錆びていた。
剣を手に取り、刃を撫でるとなにか文字のようなものが見えた。
知らない国の文字だ、なんて読むんだろう。
「だぁぁぁ!!!!」
「なっ…」
後ろから誰かの気配を感じて、後ろを振り返ると俺に向かって剣を振り上げる人影がいた。
とっさに持っていた剣を盾にすると、海の中だとは思えないくらい早く剣が振り下ろされた。
剣と剣がぶつかり、俺の持つ剣が少し欠けた。
錆び付いた剣では俺の方が不利だ、それにこの剣は水中戦では不利だ。
そう考えながら、足で地面を蹴り上げると体が浮いた。
今の俺は地上にはいない、浮く事だって出来るんだ。
重力を利用して、目の前の襲撃者から距離を取る。
手に持っていた剣は手放してしまったが、護身用として使えなさそうだったから別に構わないだろう。
俺はいきなり襲撃される覚えはない、いったい誰なんだ?
人影は、俺を睨んで再び剣を向けていた。
俺はその人物を見て目を見開いた…知り合いとかではない、あまりにも幼い子供がいたから驚いた。
10代前半くらいの幼い少年が物騒な剣を持って息を吐いていた。
よく見ると、耳が尖っている…普通の子供ではなさそうだ。
その少年は俺に再び襲いかかろうとしていた。
俺よりも海を味方に付けているようで、剣を自在に操れるようだ。
ここは武器屋だ、武器は腐るほどあるから防ぐ事はいくらでも出来る。
彼が何故俺に向かって剣を振り上げているのか理由が分からないと、本気で攻撃出来ない。
魔物だから何でも倒すわけではない、俺にだって賞金首ハンターの誇りがあるんだから…
「父ちゃんと母ちゃんの仇!!!!」
「っ!!」
目に入った武器を手に取って身構えていたら、少年の体が反転した。
どんなアクロバットな攻撃を仕掛けてくるのか分からなかったが、少し経ってもその気配はない。
少年は足に絡まったワカメによって転けて地面に倒れていた。
威勢がなくなり、動かなくなった少年が心配で近付いた。
手にしていた木の棒で、ちょんちょんと軽く突っついた。
とっさに取ったとはいえ木の棒じゃ、やられていただろうな。
転けてくれて命拾いはしたが、少年は動かない。
助け起こそうと手を伸ばそうとしたら、急に少年が体を起こして驚いた。
少年から離れると、少年は下を向いて床に座っていた。
短パンから覗く少年の膝は赤くなっていて、さっき転んで擦りむいたのだと分かる。
ここは海で、海水がさらに傷口を悪化させているのだろう。
俺は上着を脱いで、少年の膝に結びつけた…今はこのくらいしか応急処置が出来ない。
少年は暴れて俺の顔を蹴ったりしたが、押さえつけて落ち着かせた。
仇とかよく分からない事を言っていたが、なにか誤解があるのではないのか?
…それとも、もしかして俺が倒した賞金首の中に…
「お前らが、お前らが父ちゃんと母ちゃんを……お前ら魔王軍が!!」
少年は俺から離れて、再び剣を握り直して襲いかかってきた。
しかし、俺が避ける前に少年の動きは封じられた。
後ろにシリウスがいて、少年の腕を掴んでいた。
少年は「誰だ!離せ!」と叫んでいたが、後ろを見てシリウスだと分かると力が抜けていた。
魔王軍に殺された?シリウスと一緒にいたから俺も魔王軍の仲間だと思われたのか?
シリウスに彼に見覚えがあるのかと目線を向けた。
シリウスは少年を見ると、少年はだんだん顔を青くしていた。
「…誰だ?」
「…ぅ、お…おれ」
「シリウス、助けてくれたのはありがとう…とりあえず離してやれよ」
怯えて話にもならないから、とりあえずシリウスから離れた方がいい。
彼の話を聞かないと、何とも言えない…シリウスは見覚えないみたいだけど…
シリウスが手を離すと、少年はシリウスから離れて剣を向けていた。
俺はシリウスのところに向かって、宝玉がどうなったか聞いた。
するとシリウスは自分の手のひらを開いて小さな光を見せてくれた。
宝玉は無事回収出来たみたいだ、でもこの状態だと良かったと次の宝玉探しには行けそうもない。
魔王軍に両親を殺された……確かに俺もそんな子供を何人か見てきた。
だから魔王軍は恐怖の象徴とされてきた、魔物もそうなのかもしれない。
「お前、エルフ族だな」
「だ、だったらなんだ!?」
エルフ族か、なるほど…だから耳が尖っているのか。
ゲームにもエルフ族はいて、他の魔物と違い美形が多い一族だった筈だ。
確かエルフ族の一人の女の子も俺の仲間になっていた。
…あれ?でも、エルフ族って確か……
シリウスは敵意むき出しの少年に何もする事はなく腕を組んでいた。
少年はシリウスに攻撃をしたいのに、シリウスの魔王のオーラで動けずにいた。
「本当にお前の両親は魔王軍に殺されたのか?」
「だって自分で魔王軍だって言ってたし!!」
「自分の名を名乗る者はいるが、魔王軍を名乗る者は初めて聞いたな…俺の軍にそんなアホがいるとは」
シリウスは呆れてため息を吐いていて、誰がそんな事を言ったのか聞き出そうとしていた。
フードを被っていて、顔は分からないし名前も分からないと言っていた。
シリウスの言葉に涙目になっていて、とうとう手にしていた剣を落とした。
責めている言葉ではないが、小さな少年にとって魔王は毒以外の何者でもないのだろう。
シリウスの肩を掴んで、とりあえず聞き出せる事はないから俺は誤解を解く事にした。
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