28 / 82
シリウスと共に
しおりを挟む
体が怠くて動かないから、正直綺麗にしてくれて助かる。
シリウスに「ありがとう」と言うと「当然の事をしているだけだ」と言っていた。
これが性格もイケメンのする事か、勉強になる。
シリウスは俺のズボンをいつの間にか回収していたのか、手に持っていた。
「シリウス、そのズボン…破けてて」
「みたいだな」
そう言ったシリウスは自分の髪を一本抜いて、魔法で糸にした。
手先の器用さで、どんどん縫っていきズボンの穴が塞がっている。
意外だな、裁縫もやっているなんて…てっきりあの過保護な側近にやらせていると思っていた。
穴がないか確認してからズボンが出来て、シリウスに渡された。
休んだおかげで動けるようになった体を動かしてズボンを穿いてみる。
すると、縫い目も違和感なくて破れる前のズボンのようだった。
「凄い、元通りだ…シリウスって裁縫も出来るんだな」
「今日初めてやった」
「そうなのか!?さすが魔王だな」
「よく分からないが、お前が嬉しそうならいい」
嬉しそう?俺、今無意識に嬉しそうな顔してたのか?
頬に触れてみたが、全然分からない…意識して嬉しそうな顔をした事がないからだろうか。
シリウスを見ると、シリウスも僅かな変化だが嬉しそうな顔をしていて調子が狂う。
心の何処かで魔王と賞金首ハンターという関係があり…それを壊したくない自分がいる。
人間と魔王、決して交わる事のない種族に生まれたんだ。
無防備な背中を見せるシリウスに銃弾を打ち込めば簡単だが、それが出来ない俺は心と矛盾があるのかもしれない。
小屋から出る時、シリウスが俺に手を差し出してきたからハイタッチしといた。
女の子じゃないんだからエスコートなんていらない。
シリウスの前を歩いて、襲撃された馬車に戻る。
御者と馬だけがいなくて、倒れた馬車だけが放置されていた。
荷台に乗り、自分の荷物を掴んでから降りた。
俺はこれから王都に向かうつもりだが、シリウスはこれからどうなるのだろうか。
俺の体には爆弾があるし、なるべくシリウスと一緒にいた方がいい気がする。
「俺は王都に行くけどシリウスはどうするんだ?」
「俺も王都に行く」
「そうなのか?」
「宝玉を全て集めないといけない」
シリウスに宝玉とは俺の腹の中にいる魔力の事なのだと教えてくれた。
そしてその宝玉はシリウスの中から出てきた魔力で、人間に盗まれて悪事に使われたり魔物が寄ってくるから回収するらしい。
シリウスしか触れないからシリウスが全て集めている。
なるほど、あんなにゴブリンが集まってきたのは宝玉を求めてたのか。
ん?宝玉がシリウスの力なら、俺の中にある宝玉ってやっぱりシリウスがなんかしたから俺の体にあるのではないのか?
シリウスを見ると、王都への道が分かるのか迷いなく進んでいた。
俺は馬車で王都まで行く予定だったから王都への方向が分からず助かった。
そういえば奥にうっすらと街みたいのが見えるな。
「シリウス」
「なんだ?」
「もしかしてだけどさ、お前に精液出されたから俺の中にシリウスの宝玉が入ったなんて事は…」
「俺だと思った…ない話ではないな」
「お前のせいじゃねーか!」
「レインも願っていたが?」
ぐっ…それを言われたらあんまり強くは言えないが、でもいつも最初に出したのはシリウスだよな。
ムスッとすると、シリウスは「俺は責任はちゃんと取るよ」と言っていた。
責任?体が爆発しないために抱かれる事か?
まぁそれはありがとう…と言うとなんか変な気がするな。
とりあえず「よろしく?」と言うと、シリウスが小さく笑った。
俺の中の宝玉は魔物を呼ぶ…賞金首ハンターとして喜んでいいのか、無駄な殺生が増えるのを嘆けばいいのか。
「まだ距離がある、レインは歩くの辛くないか?」
「…え?」
「さっき無理をさせた」
「大丈夫、あのくらい…俺は鍛えてるんだから」
今日はあの時みたいに限界を超えるほどイってはいないし、シリウスとする度に体力が付いているから終わった直後より怠さがない。
シリウスが人間の俺を気遣うなんて、なんか変な感じだな。
人間なんてどうでもいいって言ってたのに…まるで俺が特別みたいに錯覚する。
変な事を考えないように「あー!あー!」と大きな声を出すとシリウスは不思議そうな顔をしていた。
俺は役所で賞金首を倒した事を報告して、ついでにシリウスの宝玉も取り返してやる!
王都の前にやって来て、足を止めて大きな門を見上げる。
王都に来るのは初めてではないが、久々に見た王都はあの時よりも大きくなっていた。
シリウスはジッと王都の中心の城を眺めていた。
もしかしてそこにシリウスの宝玉があるのか?
背伸びして見てみても、光ったり怪しいものはない。
シリウスが歩き出して、俺も少し早足に着いていく。
リール村とは違い、人が沢山いて店も活気あった。
美味しそうな匂いが屋台から手招きされてるみたいでフラフラと着いていきそうになる。
そういえば朝から何も食べてなかったな、意識したら腹が減ってきた。
シリウスに「ありがとう」と言うと「当然の事をしているだけだ」と言っていた。
これが性格もイケメンのする事か、勉強になる。
シリウスは俺のズボンをいつの間にか回収していたのか、手に持っていた。
「シリウス、そのズボン…破けてて」
「みたいだな」
そう言ったシリウスは自分の髪を一本抜いて、魔法で糸にした。
手先の器用さで、どんどん縫っていきズボンの穴が塞がっている。
意外だな、裁縫もやっているなんて…てっきりあの過保護な側近にやらせていると思っていた。
穴がないか確認してからズボンが出来て、シリウスに渡された。
休んだおかげで動けるようになった体を動かしてズボンを穿いてみる。
すると、縫い目も違和感なくて破れる前のズボンのようだった。
「凄い、元通りだ…シリウスって裁縫も出来るんだな」
「今日初めてやった」
「そうなのか!?さすが魔王だな」
「よく分からないが、お前が嬉しそうならいい」
嬉しそう?俺、今無意識に嬉しそうな顔してたのか?
頬に触れてみたが、全然分からない…意識して嬉しそうな顔をした事がないからだろうか。
シリウスを見ると、シリウスも僅かな変化だが嬉しそうな顔をしていて調子が狂う。
心の何処かで魔王と賞金首ハンターという関係があり…それを壊したくない自分がいる。
人間と魔王、決して交わる事のない種族に生まれたんだ。
無防備な背中を見せるシリウスに銃弾を打ち込めば簡単だが、それが出来ない俺は心と矛盾があるのかもしれない。
小屋から出る時、シリウスが俺に手を差し出してきたからハイタッチしといた。
女の子じゃないんだからエスコートなんていらない。
シリウスの前を歩いて、襲撃された馬車に戻る。
御者と馬だけがいなくて、倒れた馬車だけが放置されていた。
荷台に乗り、自分の荷物を掴んでから降りた。
俺はこれから王都に向かうつもりだが、シリウスはこれからどうなるのだろうか。
俺の体には爆弾があるし、なるべくシリウスと一緒にいた方がいい気がする。
「俺は王都に行くけどシリウスはどうするんだ?」
「俺も王都に行く」
「そうなのか?」
「宝玉を全て集めないといけない」
シリウスに宝玉とは俺の腹の中にいる魔力の事なのだと教えてくれた。
そしてその宝玉はシリウスの中から出てきた魔力で、人間に盗まれて悪事に使われたり魔物が寄ってくるから回収するらしい。
シリウスしか触れないからシリウスが全て集めている。
なるほど、あんなにゴブリンが集まってきたのは宝玉を求めてたのか。
ん?宝玉がシリウスの力なら、俺の中にある宝玉ってやっぱりシリウスがなんかしたから俺の体にあるのではないのか?
シリウスを見ると、王都への道が分かるのか迷いなく進んでいた。
俺は馬車で王都まで行く予定だったから王都への方向が分からず助かった。
そういえば奥にうっすらと街みたいのが見えるな。
「シリウス」
「なんだ?」
「もしかしてだけどさ、お前に精液出されたから俺の中にシリウスの宝玉が入ったなんて事は…」
「俺だと思った…ない話ではないな」
「お前のせいじゃねーか!」
「レインも願っていたが?」
ぐっ…それを言われたらあんまり強くは言えないが、でもいつも最初に出したのはシリウスだよな。
ムスッとすると、シリウスは「俺は責任はちゃんと取るよ」と言っていた。
責任?体が爆発しないために抱かれる事か?
まぁそれはありがとう…と言うとなんか変な気がするな。
とりあえず「よろしく?」と言うと、シリウスが小さく笑った。
俺の中の宝玉は魔物を呼ぶ…賞金首ハンターとして喜んでいいのか、無駄な殺生が増えるのを嘆けばいいのか。
「まだ距離がある、レインは歩くの辛くないか?」
「…え?」
「さっき無理をさせた」
「大丈夫、あのくらい…俺は鍛えてるんだから」
今日はあの時みたいに限界を超えるほどイってはいないし、シリウスとする度に体力が付いているから終わった直後より怠さがない。
シリウスが人間の俺を気遣うなんて、なんか変な感じだな。
人間なんてどうでもいいって言ってたのに…まるで俺が特別みたいに錯覚する。
変な事を考えないように「あー!あー!」と大きな声を出すとシリウスは不思議そうな顔をしていた。
俺は役所で賞金首を倒した事を報告して、ついでにシリウスの宝玉も取り返してやる!
王都の前にやって来て、足を止めて大きな門を見上げる。
王都に来るのは初めてではないが、久々に見た王都はあの時よりも大きくなっていた。
シリウスはジッと王都の中心の城を眺めていた。
もしかしてそこにシリウスの宝玉があるのか?
背伸びして見てみても、光ったり怪しいものはない。
シリウスが歩き出して、俺も少し早足に着いていく。
リール村とは違い、人が沢山いて店も活気あった。
美味しそうな匂いが屋台から手招きされてるみたいでフラフラと着いていきそうになる。
そういえば朝から何も食べてなかったな、意識したら腹が減ってきた。
14
お気に入りに追加
1,580
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

王弟様の溺愛が重すぎるんですが、未来では捨てられるらしい
めがねあざらし
BL
王国の誇りとされる王弟レオナード・グレイシアは優れた軍事司令官であり、その威厳ある姿から臣下の誰もが畏敬の念を抱いていた。
しかし、そんな彼が唯一心を許し、深い愛情を注ぐ相手が王宮文官を務めるエリアス・フィンレイだった。地位も立場も異なる二人だったが、レオは執拗なまでに「お前は私のものだ」と愛を囁く。
だが、ある日エリアスは親友の内査官カーティスから奇妙な言葉を告げられる。「近く“御子”が現れる。そしてレオナード様はその御子を愛しお前は捨てられる」と。
レオナードの変わらぬ愛を信じたいと願うエリアスだったが、心の奥底には不安が拭えない。
そしてついに、辺境の村で御子が発見されたとの報せが王宮に届いたのだった──。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。


小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる