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雪平@冷淡騎士2nd連載中

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シリウスと共に

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体が怠くて動かないから、正直綺麗にしてくれて助かる。

シリウスに「ありがとう」と言うと「当然の事をしているだけだ」と言っていた。
これが性格もイケメンのする事か、勉強になる。

シリウスは俺のズボンをいつの間にか回収していたのか、手に持っていた。

「シリウス、そのズボン…破けてて」

「みたいだな」

そう言ったシリウスは自分の髪を一本抜いて、魔法で糸にした。
手先の器用さで、どんどん縫っていきズボンの穴が塞がっている。

意外だな、裁縫もやっているなんて…てっきりあの過保護な側近にやらせていると思っていた。

穴がないか確認してからズボンが出来て、シリウスに渡された。

休んだおかげで動けるようになった体を動かしてズボンを穿いてみる。
すると、縫い目も違和感なくて破れる前のズボンのようだった。

「凄い、元通りだ…シリウスって裁縫も出来るんだな」

「今日初めてやった」

「そうなのか!?さすが魔王だな」

「よく分からないが、お前が嬉しそうならいい」

嬉しそう?俺、今無意識に嬉しそうな顔してたのか?
頬に触れてみたが、全然分からない…意識して嬉しそうな顔をした事がないからだろうか。

シリウスを見ると、シリウスも僅かな変化だが嬉しそうな顔をしていて調子が狂う。

心の何処かで魔王と賞金首ハンターという関係があり…それを壊したくない自分がいる。
人間と魔王、決して交わる事のない種族に生まれたんだ。

無防備な背中を見せるシリウスに銃弾を打ち込めば簡単だが、それが出来ない俺は心と矛盾があるのかもしれない。

小屋から出る時、シリウスが俺に手を差し出してきたからハイタッチしといた。
女の子じゃないんだからエスコートなんていらない。

シリウスの前を歩いて、襲撃された馬車に戻る。
御者と馬だけがいなくて、倒れた馬車だけが放置されていた。
荷台に乗り、自分の荷物を掴んでから降りた。

俺はこれから王都に向かうつもりだが、シリウスはこれからどうなるのだろうか。
俺の体には爆弾があるし、なるべくシリウスと一緒にいた方がいい気がする。

「俺は王都に行くけどシリウスはどうするんだ?」

「俺も王都に行く」

「そうなのか?」

「宝玉を全て集めないといけない」

シリウスに宝玉とは俺の腹の中にいる魔力の事なのだと教えてくれた。
そしてその宝玉はシリウスの中から出てきた魔力で、人間に盗まれて悪事に使われたり魔物が寄ってくるから回収するらしい。
シリウスしか触れないからシリウスが全て集めている。

なるほど、あんなにゴブリンが集まってきたのは宝玉を求めてたのか。

ん?宝玉がシリウスの力なら、俺の中にある宝玉ってやっぱりシリウスがなんかしたから俺の体にあるのではないのか?

シリウスを見ると、王都への道が分かるのか迷いなく進んでいた。
俺は馬車で王都まで行く予定だったから王都への方向が分からず助かった。
そういえば奥にうっすらと街みたいのが見えるな。

「シリウス」

「なんだ?」

「もしかしてだけどさ、お前に精液出されたから俺の中にシリウスの宝玉が入ったなんて事は…」

「俺だと思った…ない話ではないな」

「お前のせいじゃねーか!」

「レインも願っていたが?」

ぐっ…それを言われたらあんまり強くは言えないが、でもいつも最初に出したのはシリウスだよな。
ムスッとすると、シリウスは「俺は責任はちゃんと取るよ」と言っていた。
責任?体が爆発しないために抱かれる事か?

まぁそれはありがとう…と言うとなんか変な気がするな。

とりあえず「よろしく?」と言うと、シリウスが小さく笑った。

俺の中の宝玉は魔物を呼ぶ…賞金首ハンターとして喜んでいいのか、無駄な殺生が増えるのを嘆けばいいのか。

「まだ距離がある、レインは歩くの辛くないか?」

「…え?」

「さっき無理をさせた」

「大丈夫、あのくらい…俺は鍛えてるんだから」

今日はあの時みたいに限界を超えるほどイってはいないし、シリウスとする度に体力が付いているから終わった直後より怠さがない。

シリウスが人間の俺を気遣うなんて、なんか変な感じだな。
人間なんてどうでもいいって言ってたのに…まるで俺が特別みたいに錯覚する。

変な事を考えないように「あー!あー!」と大きな声を出すとシリウスは不思議そうな顔をしていた。
俺は役所で賞金首を倒した事を報告して、ついでにシリウスの宝玉も取り返してやる!

王都の前にやって来て、足を止めて大きな門を見上げる。
王都に来るのは初めてではないが、久々に見た王都はあの時よりも大きくなっていた。

シリウスはジッと王都の中心の城を眺めていた。
もしかしてそこにシリウスの宝玉があるのか?

背伸びして見てみても、光ったり怪しいものはない。

シリウスが歩き出して、俺も少し早足に着いていく。

リール村とは違い、人が沢山いて店も活気あった。
美味しそうな匂いが屋台から手招きされてるみたいでフラフラと着いていきそうになる。

そういえば朝から何も食べてなかったな、意識したら腹が減ってきた。
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