エロゲー主人公に転生したのに悪役若様に求愛されております

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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ゲームシナリオ

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「えーっと、それじゃあ始めるか」

「はい!師匠!」

「その師匠ってやめろよ」

翌朝、俺はカウを連れて約束通り草原に来ていた。

依頼を受けるのにはまだカウは弱いから雑魚モンスターでレベルを上げる事を考えた。
まずはリール村付近にいるスライムからやっつけるのがいいだろう。

カウは自分の武器を買ったのか、自分の体力に見合わないハンマーを持っていた。
選んだ理由は単純に強そうだから……らしい。

大丈夫なのか?とずっとハンマーを引きずっているカウを見る。

スパルタをするつもりだが、スライムくらいじゃ別にスパルタにならないから他ので厳しくしようと考えていた。

何も知らないスライムが飛び跳ねながらこちらにやってくる。、
俺は強いから、スライムが見たら逃げるかもしれない…魔物はそういう能力がある。
だから少し離れたところで見守っていた。

スライムを倒すくらい指導はいらないだろう、カウの自分なりの戦いを見せてもらう事にした。

「ふむぅー!!ぐぐぐっ!!」

カウの戦い以前の問題が発生していた。

なんで自分に見合った武器を選ばないんだ?
重いハンマーは持ち上げる事が出来なかった。
足に力を入れて一生懸命持ち上げてもビクともしない。

その間にスライムの体当たりにより、カウは気絶した。

……まさか、スライムに負けるなんて…本当に賞金首ハンターに向いていない。

カウに近付くと、スライムは逃げていきカウとハンマーを持ち上げて村に戻る。
俺ですらハンマーはかなり重い、カウがこれを扱えるようになるには数十年掛かるだろうなと思った。

病院にカウを置いてきて、俺は自分の仕事をしようと肩を動かした。
カウとハンマーはとても重くて疲れた。

俺は賞金首の依頼を取り扱う役所に向かった。

「こんにちはー、カナ」

「あっ、おつかれーレインちゃん!」

見た目幼女のような茶髪のツインテールの女の子の名前はカナ…この役所の所長だ。
見た目幼女、中身成人済の合法ロリというやつだ。

ちなみにゲームでは攻略対象だった。
確かエルフの一族の人で、スタイル抜群の美女に変身する。
お好みでどちらとも出来るらしいが、ゲームをクリアしていない俺はその先は知らない。
大人カナがシリウスに堕とされた姿なら目に焼き付いているんだけどな、トラウマという意味で…

攻略対象とはいえ、現実では所長とハンターという関係でしかない。
親密になるイベントもなければ、サバサバした関係だ。

合法とはいえ、幼い見た目はちょっと抵抗あるからカナとは付かず離れずでいい。

「今日もいろいろ依頼が来てるよー」

「そうか、あ…これなんていいかもな」

「あーそれ?実はそれ、もう先約があってね」

俺はレベルがそこそこで、結構依頼金が払われる依頼を見つけた。
村の物置に潜む蜂の魔物を追い払う仕事だ。
依頼人の家は結構裕福なのかそれだけでも普通の依頼より少し高額だった。

でもこういういい依頼なのは争奪戦が激しい、小さなリール村にだって俺以外の賞金首ハンターは沢山いる。

他の人に取られてしまったのなら別の依頼を探そうと思った。

そこに一つの依頼を見つけて紙を手に取った。

「カナ、これって」

「レインちゃんが珍しいねー、そんな低い依頼やるの」

カナは頬杖をついてそんな事を言っていた。

魔物に階級があるのと同時に、依頼にも階級はある。
俺レベルになるとほとんどA級の依頼ばかりやっていたがこれはC級の依頼だ。
一番低いのはD級だから、それなりに低い事になる。

ちなみに超危険依頼のS級は王都みたいな大きなところに行かないとない…単純に王都に行くのは面倒だからリール村の最高ランクのA級をこなしている。

そんな俺が目に付いたのは、何の変哲もないイタズラゴブリンの退治依頼だった。
人間に悪さをするのが大好きな悪魔であるゴブリンの依頼は下級依頼では結構ある。

俺が見たのはゴブリンではなく、依頼の場所だ。

この場所はゲームの始まり、つまり俺が謎の少女が魔物に襲われているところを助けるストーリーだ。
俺はもう誕生日を迎えているから、彼女に出会っても不思議ではない。

このままゲームとは関係なくダラダラ過ごすのかと思っていたが、この世界的にはゲーム通りに進めたいのだと依頼書が圧を掛けてくる。
それに、誰かが魔物に襲われる未来を知っているのに、無視が出来ない。

俺はゴブリンを退治というより、少女を救うために依頼を受けた。

役所から出ると、もらった地図を広げながら歩き出す。

スライムの草原を少し抜けた先にゴブリンの巣がある森がある。
王都への通り道だからか人もよく通る道だ、そこでゴブリンが悪さをしているのだろう。

街を出て、草原に向かうとスライムは一匹もいなかった。
俺が怖くて逃げたという感じではなく、なにかに怯えるように岩の影に隠れている。

スライムは天気も予報する魔物だと言われているから、雨でも降るのかと空を眺めた。

雨……やはりあのゲームの始まりのシーンだ。

森の中に入るとゴブリンの巣があったが、そこにはゴブリンもいなかった。
いよいよ可笑しな事になってきた、ほとんど巣を動かないゴブリンがいないなんて変だ。

この場所になにか異変が起きていると感じずにはいられない…ゲーム通りだから異変はあるんだけどな。

森の奥で強い光を感じて、そちらに向かって急いだ。
だんだん近付くと、魔物の雄叫びが聞こえた。

腰に下げていたホルダーから銃を取り出して、走る速さを上げる。

そして、森の奥にいたのはあの恐竜の魔物だった。
もう何度目だろうか、この魔物と会うのは…
でも今の俺には武器がある。

魔物が大きく口を開けていて、立ちすくむ黒髪ロングヘアーの女性がいた。

銃で恐竜の目を狙うと、大きな声を出してよろけた。
すぐに女性の前に出て、銃を構えた。

「ここは俺に任せて君は…」

後ろを振り返ると、そこにいる筈の女性の姿はいなかった。
カウ並の逃げ足の速さだ、まぁその方が俺も動きやすいけど…

この前の借りはきっちり返してもらう。

恐竜が首を伸ばして噛み付こうとしてきて、恐竜の頭を台にして飛んだ。
恐竜の弱点は額だ、空中で額に狙いを定めて撃った。

痛みで悶え苦しんでいて、地面に足を付けた。

「これで終わりだ、安らかに眠らせてやる」

銃を撃ち、恐竜の顔面に当たり…そのまま消えていく。

魔物は人間とは違くて、死んだら魂ごと消滅する。
いつ見てもそれは悲しい事だが、この世界では狩る者と狩られる者で成り立っている。

だから俺は人間側として、危害を加えようとしているなら魔物と戦うだけだ。

……シリウスも、敵側だったが…いざという時、シリウスに銃を向けられるのだろうか。
関わりすぎて、気持ちが揺らいでいる……俺はどちら側にいるんだ?

銃を見つめていたら、ガサガサと草を踏む足音が聞こえた。

「…あの」

「あれ?君、逃げたんじゃ」

「助けてくれる人を見捨てたりしないわよ!…ちょっとそこで隠れてた」

女性は自分の後ろにある木を指差した。

そこに居たんだ、恐竜が気付かなくて良かった。

怪我はないか聞いたら首を横に振った。
確かゲームでは身寄りがなくて記憶を失っているから、俺がリール村まで連れて行ったんだ。

瞳が揺れている、不安なんだろう……確かに突然見知らぬ場所に呼ばれたら怖いよな。

俺は女性に向かって手を差し伸ばした。

「とりあえず俺のいる村に来ないか?いろいろ聞きたい事もあるし」

「なっ!私を家に連れ込んで何する気!?」

「……へ?」

「助けてくれた事には感謝するけど、貴方に着いていかないわ!」

そう捨てセリフを吐いて、女性は走って行ってしまった。
ゲームではツンデレ属性だったが、これはツンデレではなくただ単に嫌われているみたいだ。

ゲームの主人公のセリフを思い出して言ったが、反応はゲームとは違った。
普通に着いてきていたのに、現実は誤解をされてフラれてしまった。

彼女は記憶喪失だし、行く場所がないだろうに…ほっとくわけにはいかない。

女性を追いかけるために走ると、女性はすぐに見つかった。
ゴブリン達に囲まれていて、しゃがんでいた。

俺はすぐに銃を構えて、ゴブリン達を倒していく。
しかしここはゴブリンの巣だ、次々と湧いてくる。

俺は女性の腕を掴んで、走り出す。
なにかいいたげの女性だったが、この状態で口を閉ざした。

追いかけてくるゴブリンの集団を見て、追いつきそうなゴブリンは銃で撃ちながら森を抜けた。
イタズラゴブリンはどんなに強い奴が来ても逃げたりしないから厄介だ。
誰でも人間なら遊び相手なのだろう。

それに比べてスライムは本当に素直だな。
ぷるぷるのゼリーみたいで可愛い奴め。
俺がいると怯えるからちょっと可哀想になってきた。

「………なんで助けたの」

「何言ってんだ、困っている人を助けるのは当然だ」

「私、ちょっと誤解してたのかも…ごめんなさい」

「いいよ、俺達はまだ知り合ったばかりなんだから」

「……誤解してたけど、貴方の事信用してませんから!」

なんでこんなに嫌われているんだろう、俺はエロゲーの主人公の筈…
いや、なかなかのエロゲー生活を送っているが相手がシリウスなのはどうなんだ?

俺は知り合いの女性がいるからそこに泊まればいいよと説明した。
元々フローネのところに連れていくつもりだし、ゲームでもそうだったからな。

俺の知り合いが女の子なのか、かなり疑いの眼差しを向けている。
とりあえず村に行ってから考えようと、女性を連れて歩いた。
俺の言葉は何でも嘘だと思ってそうだし、何を言っても女性は疑うだろうな。

リール村に到着したらすぐにカウが飛んできた。
勢いよく俺の方に走り出して、飛びかかってきた。
大型犬のように押し倒されていて、暑苦しく抱きついてきた。

スライムにやられただけだから復活も早いんだろう。

女性はカウを見て顔を引きつっていた。

「まさか知り合いって…」

「違う違う!!コイツじゃない!!」

「…え?何の話?」

カウは分かっていないからか、頭に?が飛んでいた。
カウには関係ないと、押して俺から離れさせる。
しかし、またカウが抱きついてきて離れない。

周りの奴らは俺達をチラッと見て、またやってるよという顔をしていた。
なんでそんな微笑ましそうな顔をしているんだ。

女性は俺達のじゃれあいにイラついているのが見えた。
また怒ってどっか行かれても困るから、カウの腹を殴り黙らせた。

倒れたカウを広場のベンチに寝かせて、フローネのところに行こうと思った。
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