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カウという男
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「ぎゃあぁぁぁーー!!!!???お化けぇぇぇ!!!!」
「誰がお化けだ、生きてるだろ」
体を飛び跳ねさせて、尻餅を付いた。
まるでコントのようだなと冷めた瞳で臆病者を見つめる。
臆病者は俺が祟りに来たと思っているそうで、変な呪文を唱えていた。
あの時本当に殺されてたら、本気で化けて出てくる事も考えていた。
とりあえず、今の俺は幽霊でもゾンビでもない事を説明した。
魔王とのアレとか話すわけにはいかず、とりあえず逃げてきた事を話した。
尊敬した眼差しを向けられて、嫌な予感しかしなかった。
あの時もあの時もこんな顔をしていたからすぐに分かった。
「やっぱり賞金首ハンターは凄いなぁ、またよろしくお願いします!」
「ふざけるな、もう俺は関わらない…別の奴に頼め!」
「あれ?何してるの?」
臆病者が足にまとわりついて来て、足を振り払おうとしたら俺の家のドアが開いた。
誰もいないと思っていたから驚いて固まった。
腰まで長い茶色い髪でフワフワなカールをしている花のカチューシャをしている女性が居て、俺達を見て不思議そうに首を傾げていた。
俺の幼馴染みで近所に住んでいるフローネだ。
フローネはゲームで幼馴染みである主人公に片思いをしている設定だ。
可愛くて、守ってあげたくなるような性格の子だ。
しかし、現実でこんな可愛い幼馴染みがいてもそう都合のいい事は起こらない。
正直、ゲームを知っている俺は少しだけ意識をした事がある。
……もしかしたら彼女は俺を好きなのかな、なんて…
今までそんな素振りは見せないし、元のキャラが天然キャラだからか俺に全く興味がない様子だった。
それどころか、悪意のない嫌がらせを受けている。
だからか、ちょっと近寄りたくない相手になってしまった…ゲームでは可愛かったのに…
ちなみに出会った10歳の頃から被害に遭っている。
「フローネ、どうして俺の家に?」
「だって今日、レインの誕生日で腕によりをかけて料理を作ったんだよ!」
「…………え」
「ほら早くおいでよ」
フローネに導かれるように腕を引っ張られた。
今日が誕生日…すっかり忘れてたな…俺の記念すべき20歳の誕生日なのに…
祝ってくれるのは嬉しいが、家に入った瞬間に鼻を刺激臭が襲う。
眉を寄せて入り口から動かない俺の背中を誰かが押した。
後ろを振り向くと、臆病者がいて「行きましょう!」と言っていた。
なんでお前も当たり前のように一緒に来るんだよ。
フローネは臆病者を見つめて誰ですか?と当たり前の事を言っていた。
「コイツは…」
「あっ、僕はレインの一番弟子のカウと申します!レインの恋人さんですか?」
「……おい、何言って…」
「やだぁ!違うよー、全然タイプじゃないし!」
二人して俺を置いてきぼりにして、盛り上がっていた。
フローネは恋人ではないが、臆病者がいつから俺の一番弟子になったのか問い詰めたい。
その「何言ってるんだ」だったが、フローネは俺の心を抉ってきた。
ゲームではあんなに可愛かったのに、俺…嫌われる事した覚えないんだけどな。
選択肢を間違えてとんでもない事になっていたが、もしかして何処かで選択肢を間違えたのか?
俺が「臆病者の弟子はいらねぇ」と言うと「カウと呼んで下さい師匠!」と調子に乗り出した。
弟子はいらねぇって言ったんだ、誰も名前の話はしていない。
俺が散々言っているのに無視をして、テーブルに近付いた。
テーブルには色とりどりの………赤一色の料理が並んでいた。
カウはつまみ食いをするように、赤い肉団子を口に放り込んだ。
トマトソースの肉団子だと思ってるのか、あんなに大きな肉団子……ご愁傷さま。
カウの顔から大量の汗が流れて、肉団子のように真っ赤になっていた。
そしてそのまま、パタリと意識を失い倒れた。
「大丈夫!?美味し過ぎて倒れたの?」
「いや、辛すぎて気絶したんだよ」
フローネはよく分からないといった顔をしていた。
フローネは何がどうしてそうなるのか、作る料理は必ず激辛になるというとんでもない料理スキルがある。
ドジっ子キャラだからそんな設定があるのかもしれないが俺には迷惑でしかない。
俺は甘党派で、辛いものは一切食べれないほど嫌いなんだ。
当然子供の頃からずっとフローネには伝えてきた。
フローネは辛党かもしれないが、俺は甘党派なんだと…
そして、いつも決まってフローネが言う言葉があった。
物凄い満面の笑みで「そんな事より、新作のお菓子を食べてよ!」と言って俺の口に激辛クッキーを押し付けてきた。
フローネの無意識激辛攻撃でいつも瀕死になっている。
そんな幼馴染みが好きだと愛を叫ぶなら、それはもう極めたマゾなんじゃないかと思う。
俺には無理だ、フローネの愛は辛すぎる……俺に愛なんて微塵も感じてはいないんだろうけど…
そして今も誕生日なのに、激辛ケーキ口に持ってきていて拷問を受けている。
必死に口を閉ざしていると、頬にケーキが当たり辛みの刺激でヒリヒリ痛くなった。
俺の誕生日くらい、俺の好きなもの食べさせてくれよ……
そう毎年思っている、これは毎年の儀式なんだ。
「な、なんじゃ…この料理は」
復活したカウは口をヒリヒリさせながら、ゆっくりと立ち上がった。
そして、蛇口を捻り水を出して何度も飲んでいた。
自分の家に帰ればいいのに、なんで一息ついて俺の向かいの椅子に座ってんだよ。
俺は必死に「今は疲れてるから寝るっ」と口を開いた。
それが、俺を地獄へと誘った。
「誰がお化けだ、生きてるだろ」
体を飛び跳ねさせて、尻餅を付いた。
まるでコントのようだなと冷めた瞳で臆病者を見つめる。
臆病者は俺が祟りに来たと思っているそうで、変な呪文を唱えていた。
あの時本当に殺されてたら、本気で化けて出てくる事も考えていた。
とりあえず、今の俺は幽霊でもゾンビでもない事を説明した。
魔王とのアレとか話すわけにはいかず、とりあえず逃げてきた事を話した。
尊敬した眼差しを向けられて、嫌な予感しかしなかった。
あの時もあの時もこんな顔をしていたからすぐに分かった。
「やっぱり賞金首ハンターは凄いなぁ、またよろしくお願いします!」
「ふざけるな、もう俺は関わらない…別の奴に頼め!」
「あれ?何してるの?」
臆病者が足にまとわりついて来て、足を振り払おうとしたら俺の家のドアが開いた。
誰もいないと思っていたから驚いて固まった。
腰まで長い茶色い髪でフワフワなカールをしている花のカチューシャをしている女性が居て、俺達を見て不思議そうに首を傾げていた。
俺の幼馴染みで近所に住んでいるフローネだ。
フローネはゲームで幼馴染みである主人公に片思いをしている設定だ。
可愛くて、守ってあげたくなるような性格の子だ。
しかし、現実でこんな可愛い幼馴染みがいてもそう都合のいい事は起こらない。
正直、ゲームを知っている俺は少しだけ意識をした事がある。
……もしかしたら彼女は俺を好きなのかな、なんて…
今までそんな素振りは見せないし、元のキャラが天然キャラだからか俺に全く興味がない様子だった。
それどころか、悪意のない嫌がらせを受けている。
だからか、ちょっと近寄りたくない相手になってしまった…ゲームでは可愛かったのに…
ちなみに出会った10歳の頃から被害に遭っている。
「フローネ、どうして俺の家に?」
「だって今日、レインの誕生日で腕によりをかけて料理を作ったんだよ!」
「…………え」
「ほら早くおいでよ」
フローネに導かれるように腕を引っ張られた。
今日が誕生日…すっかり忘れてたな…俺の記念すべき20歳の誕生日なのに…
祝ってくれるのは嬉しいが、家に入った瞬間に鼻を刺激臭が襲う。
眉を寄せて入り口から動かない俺の背中を誰かが押した。
後ろを振り向くと、臆病者がいて「行きましょう!」と言っていた。
なんでお前も当たり前のように一緒に来るんだよ。
フローネは臆病者を見つめて誰ですか?と当たり前の事を言っていた。
「コイツは…」
「あっ、僕はレインの一番弟子のカウと申します!レインの恋人さんですか?」
「……おい、何言って…」
「やだぁ!違うよー、全然タイプじゃないし!」
二人して俺を置いてきぼりにして、盛り上がっていた。
フローネは恋人ではないが、臆病者がいつから俺の一番弟子になったのか問い詰めたい。
その「何言ってるんだ」だったが、フローネは俺の心を抉ってきた。
ゲームではあんなに可愛かったのに、俺…嫌われる事した覚えないんだけどな。
選択肢を間違えてとんでもない事になっていたが、もしかして何処かで選択肢を間違えたのか?
俺が「臆病者の弟子はいらねぇ」と言うと「カウと呼んで下さい師匠!」と調子に乗り出した。
弟子はいらねぇって言ったんだ、誰も名前の話はしていない。
俺が散々言っているのに無視をして、テーブルに近付いた。
テーブルには色とりどりの………赤一色の料理が並んでいた。
カウはつまみ食いをするように、赤い肉団子を口に放り込んだ。
トマトソースの肉団子だと思ってるのか、あんなに大きな肉団子……ご愁傷さま。
カウの顔から大量の汗が流れて、肉団子のように真っ赤になっていた。
そしてそのまま、パタリと意識を失い倒れた。
「大丈夫!?美味し過ぎて倒れたの?」
「いや、辛すぎて気絶したんだよ」
フローネはよく分からないといった顔をしていた。
フローネは何がどうしてそうなるのか、作る料理は必ず激辛になるというとんでもない料理スキルがある。
ドジっ子キャラだからそんな設定があるのかもしれないが俺には迷惑でしかない。
俺は甘党派で、辛いものは一切食べれないほど嫌いなんだ。
当然子供の頃からずっとフローネには伝えてきた。
フローネは辛党かもしれないが、俺は甘党派なんだと…
そして、いつも決まってフローネが言う言葉があった。
物凄い満面の笑みで「そんな事より、新作のお菓子を食べてよ!」と言って俺の口に激辛クッキーを押し付けてきた。
フローネの無意識激辛攻撃でいつも瀕死になっている。
そんな幼馴染みが好きだと愛を叫ぶなら、それはもう極めたマゾなんじゃないかと思う。
俺には無理だ、フローネの愛は辛すぎる……俺に愛なんて微塵も感じてはいないんだろうけど…
そして今も誕生日なのに、激辛ケーキ口に持ってきていて拷問を受けている。
必死に口を閉ざしていると、頬にケーキが当たり辛みの刺激でヒリヒリ痛くなった。
俺の誕生日くらい、俺の好きなもの食べさせてくれよ……
そう毎年思っている、これは毎年の儀式なんだ。
「な、なんじゃ…この料理は」
復活したカウは口をヒリヒリさせながら、ゆっくりと立ち上がった。
そして、蛇口を捻り水を出して何度も飲んでいた。
自分の家に帰ればいいのに、なんで一息ついて俺の向かいの椅子に座ってんだよ。
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