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誕生日前日
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「レイン、もう帰ろうよー」
「ここまで来て何弱気な事言ってんだよ」
後ろから付いて来ていた男は弱気な態度でもう何度目かの弱音を吐く。
自分から賞金首ハンターになりたいって言ったくせにこんなんじゃ少額のスライムでさえ倒せないだろう。
誕生日の前日になんで俺が草原の中でスライムを探さなきゃならないんだよ。
草を蹴り上げると、草や砂が舞い上がって咳き込む。
今日くらい家でのんびりと過ごしたかったのに、家のドアを激しく叩く音で目が覚めた。
いつもの幼馴染みの奇襲かと思ったが、切羽詰まった男の声が聞こえた。
家のドアを開けると、臆病者として街で有名な男が立っていた。
女の子と居てもいつも脅えてなにかあると一人で帰ってくる奴だ。
面倒事は嫌だな…と思いながら話を聞くと、どうやら賞金首ハンターになって臆病者だとバカにした奴らを見返したいと言っていた。
俺には全く関係ない話だが、街で噂の賞金首ハンターとして名が知れてるから頼ってきたらしい。
臆病者を賞金首ハンターに…正直全く興味が湧かないが、この男は臆病者だけではなくしつこい事でも有名だ。
ずっと付き纏われるのは鬱陶しい、さっさとやって諦めればいいさ。
臆病者が賞金首ハンターのような過酷な職業に耐えられるとは思えなかった。
ずっと帰ろう帰ろうとうるさいくらい後ろで叫んでいて、スライムを全く探していない。
ここまで臆病者だと、呆れを通り越して無関心になる。
でも、ここで帰ったら次の日…絶対にまた賞金首ハンターになると家に来るだろう。
…そういう奴なんだ、コイツは…
絶対俺の誕生日は誰にも邪魔させないからな!
20歳というのは、俺にとって大切な歳でもある。
ゲームの主人公の年齢も20歳で、謎の女性と出会う歳でもある。
この世界は俺がやっていたゲームの世界そのものなんだ、絶対にそうだ。
まだ何をしても幼馴染みの好感度は上がっていないような気がしつつも、ゲームが始まればきっと俺はモテモテライフが待っている筈だ!
「スライムちゃーん、出ておいでー」
「うわぁぁぁ!!!!」
「おい、俺がせっかく探してるのにうるさい…」
後ろで騒いでいる声が聞こえて、眉を寄せて後ろを振り返った。
すると、そこにいた男が走って逃げている後ろ姿が見える。
呆然と、小さくなる姿を見つめる事しか出来なかった。
自分でしつこく言ってきたのに、真っ先に逃げるなんて…
それにさっきの叫び声はいったいなんなんだ?まるでなにかを見たような…
前を見ようとして足元に視線を向けていたが、影が見えた。
さっきは影なんてなかった、恐る恐る見上げる。
今度は俺の方が声にならない叫びを上げる事になった。
「キシャアァァァァ!!!!!!」
恐竜の魔物が大きな口を開けて、迫ってきていた。
この魔物はここら辺で生息していない種族だった。
狩った事があるから分かる、確か立ち入り禁止の山が主の生息地だ。
だからこんなレベルの低い魔物が生息している場所にいるわけがない。
もしかして、スライムが見当たらなかったのってコイツがいるからか?
早く倒さないと、腰に下げていた銃のホルダーに手を伸ばす。
慌ててしまい、銃を落とすという間抜けなミスをしてしまう。
こんな至近距離で魔物を見たのは初めてで、冷静さを失っていた。
あ、もう死んだな…と俺はゲームオーバーを覚悟した。
しかし、まだ始まってもいないのにゲームオーバーってあるものなのか?
口から覗く鋭い牙がキラリと光っているのを最後に俺の意識は真っ暗になった。
生暖かいものに包まれている感じがするが、魔物の胃の中だったら嫌だな。
まさか二度も童貞のまま、死ぬなんて…俺は一生童貞の呪いにでも掛かっているのだろうか。
俺の疑問に答える人などいなくて、虚しく散っていくだけだった。
あぁ…可愛い彼女候補達が走馬灯のように流れてくる。
まだ会っていない少女達はどんな子だったのかな。
ゲーム通りの性格だろうが、見た目はリアルになっているから顔がよく分からない。
まぁ、可愛いのは保証されているから会えなかった事が心残りだ。
アイツは…別に会いたくない、この世界でまで女の子達を奪われたらトラウマどころじゃなくなる。
アイツにだけは会いたくない、絶対に会いたくない。
なんか、フラグを立ててる気もしなくもないが…心を込めて拒絶した。
俺の人生に、主役を奪うイケメンキャラクターなんて必要ないんだ!
「ここまで来て何弱気な事言ってんだよ」
後ろから付いて来ていた男は弱気な態度でもう何度目かの弱音を吐く。
自分から賞金首ハンターになりたいって言ったくせにこんなんじゃ少額のスライムでさえ倒せないだろう。
誕生日の前日になんで俺が草原の中でスライムを探さなきゃならないんだよ。
草を蹴り上げると、草や砂が舞い上がって咳き込む。
今日くらい家でのんびりと過ごしたかったのに、家のドアを激しく叩く音で目が覚めた。
いつもの幼馴染みの奇襲かと思ったが、切羽詰まった男の声が聞こえた。
家のドアを開けると、臆病者として街で有名な男が立っていた。
女の子と居てもいつも脅えてなにかあると一人で帰ってくる奴だ。
面倒事は嫌だな…と思いながら話を聞くと、どうやら賞金首ハンターになって臆病者だとバカにした奴らを見返したいと言っていた。
俺には全く関係ない話だが、街で噂の賞金首ハンターとして名が知れてるから頼ってきたらしい。
臆病者を賞金首ハンターに…正直全く興味が湧かないが、この男は臆病者だけではなくしつこい事でも有名だ。
ずっと付き纏われるのは鬱陶しい、さっさとやって諦めればいいさ。
臆病者が賞金首ハンターのような過酷な職業に耐えられるとは思えなかった。
ずっと帰ろう帰ろうとうるさいくらい後ろで叫んでいて、スライムを全く探していない。
ここまで臆病者だと、呆れを通り越して無関心になる。
でも、ここで帰ったら次の日…絶対にまた賞金首ハンターになると家に来るだろう。
…そういう奴なんだ、コイツは…
絶対俺の誕生日は誰にも邪魔させないからな!
20歳というのは、俺にとって大切な歳でもある。
ゲームの主人公の年齢も20歳で、謎の女性と出会う歳でもある。
この世界は俺がやっていたゲームの世界そのものなんだ、絶対にそうだ。
まだ何をしても幼馴染みの好感度は上がっていないような気がしつつも、ゲームが始まればきっと俺はモテモテライフが待っている筈だ!
「スライムちゃーん、出ておいでー」
「うわぁぁぁ!!!!」
「おい、俺がせっかく探してるのにうるさい…」
後ろで騒いでいる声が聞こえて、眉を寄せて後ろを振り返った。
すると、そこにいた男が走って逃げている後ろ姿が見える。
呆然と、小さくなる姿を見つめる事しか出来なかった。
自分でしつこく言ってきたのに、真っ先に逃げるなんて…
それにさっきの叫び声はいったいなんなんだ?まるでなにかを見たような…
前を見ようとして足元に視線を向けていたが、影が見えた。
さっきは影なんてなかった、恐る恐る見上げる。
今度は俺の方が声にならない叫びを上げる事になった。
「キシャアァァァァ!!!!!!」
恐竜の魔物が大きな口を開けて、迫ってきていた。
この魔物はここら辺で生息していない種族だった。
狩った事があるから分かる、確か立ち入り禁止の山が主の生息地だ。
だからこんなレベルの低い魔物が生息している場所にいるわけがない。
もしかして、スライムが見当たらなかったのってコイツがいるからか?
早く倒さないと、腰に下げていた銃のホルダーに手を伸ばす。
慌ててしまい、銃を落とすという間抜けなミスをしてしまう。
こんな至近距離で魔物を見たのは初めてで、冷静さを失っていた。
あ、もう死んだな…と俺はゲームオーバーを覚悟した。
しかし、まだ始まってもいないのにゲームオーバーってあるものなのか?
口から覗く鋭い牙がキラリと光っているのを最後に俺の意識は真っ暗になった。
生暖かいものに包まれている感じがするが、魔物の胃の中だったら嫌だな。
まさか二度も童貞のまま、死ぬなんて…俺は一生童貞の呪いにでも掛かっているのだろうか。
俺の疑問に答える人などいなくて、虚しく散っていくだけだった。
あぁ…可愛い彼女候補達が走馬灯のように流れてくる。
まだ会っていない少女達はどんな子だったのかな。
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まぁ、可愛いのは保証されているから会えなかった事が心残りだ。
アイツは…別に会いたくない、この世界でまで女の子達を奪われたらトラウマどころじゃなくなる。
アイツにだけは会いたくない、絶対に会いたくない。
なんか、フラグを立ててる気もしなくもないが…心を込めて拒絶した。
俺の人生に、主役を奪うイケメンキャラクターなんて必要ないんだ!
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