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召喚士の仕事
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召喚士の仕事はいろいろある。
召喚した魔物達で、人探しや荷物運び、用心棒や畑仕事の手伝いまで何でも出来る。
何でも屋と言えばいいのかな、俺は街の便利屋として近所でちょっとした有名人だ。
「ナギくん、ちょっと看板直してくれる?」と酒場のお姉さんに言われて、召喚する。
昔と違って、いろいろ召喚出来るようになっていて鷹の姿をした魔物を二羽、俺の召喚に応えてくれた。
ずれた酒場の看板を器用にくちばしで調整していた。
高さを確認して、綺麗に看板が元通りになった。
鷹の魔物に「ありがとう」とお礼を言って、魔物の好物である木の実を渡した。
手伝ってくれたお礼でいつも渡していて、魔物の住む森の中に帰した。
貴重な木の実だから、報酬として十分なんだけど申し訳ない気持ちもある。
召喚士って、自分の魔力で魔物を召喚するけど何にもしてないって言われたら何も言えない。
この仕事を選んだのは他の誰でもない俺自身なんだけどね。
だから召喚士は、自分自身で手柄を取りたい魔術師には不人気な職業なんだ。
「ありがとうね、はいこれ」
「ありがとうございます」
「またなにかあったらよろしくね」
お姉さんはそう言って、酒場の中に入っていった。
お酒が飲める年齢だけど、未だに俺は酒が苦手だ。
ニオイだけで酔ってしまうから、酒場の営業時間である夜はなるべく近付かないようにしている。
工房に戻って、ポストの中身を全部取り出した。
仕事の依頼もあるけど、フレンさんとユズからも手紙が来ている。
なにかあったら手紙のやり取りをしていて、俺達の絆は大人になっても変わらなかった。
フレンさんは新しい魔道具を作って、コンクールで優勝したようだ。
今度国に帰ってきたらあげると書いてあって、楽しみだなとお礼の返事を考える。
ユズの手紙には死者との交信方法が見つかったからディアのお墓参りのついでに試すと書いてあった。
その死者との交信方法って大丈夫なのかな、ディアのお墓になにかするわけじゃないならいいけど。
どうせなら三人でお墓参りをしよう、日時を合わせるように手紙を書こうと思いついて工房の扉を開こうとした。
何処からか悲鳴のような声が聞こえて、手に持っていた手紙を机の上に置いて家を出た。
街の広場に近付くと、誰かが「黒影が出た!!」と声を上げていた。
逃げる人混みの真ん中に、黒い物体が動いていた。
「皆さん!すぐに建物の中に隠れて下さい!」
俺が大声で言って、大量のひよこの魔物を出して避難誘導させる。
大勢の人を守れる自信がない、巻き込まないように建物の中が安全だ。
大勢の人で賑わっていた広場は、静まり返っていた。
大きく息を吸って、吐き出して両手を前に出した。
俺の全魔力を集中させて、召喚する…俺の相棒を…
魔力が強まり、黒影は魔力に引き寄せられるようにこちらに向かってきた。
狼の姿になった黒影は、俺に噛みつこうと口を開けていた。
集中を途切れさせたら終わりだ、俺は俺の相棒を信じている。
黒影よりも大きなものが、黒影を噛み砕いて空を飛んでいた。
竜の姿をした魔物は、俺の前に着地して駆け寄る。
俺が一年掛けて、やっと召喚に成功した相棒である竜の「リグマ」が来てくれた。
木の実をあげると、木の実には見向きもせずに集まってきた黒影達を見ていた。
相変わらず黒影を食べる方が好きなんだな、だから黒影退治にはリグマが必要なんだけど…
俺が命令すると、空を飛び次々と黒影を食べていった。
リグマが満足した時には黒影はいなくなっていて、リグマも飛び立ってしまった。
リグマとひよこは魔物の住む森には帰らず、俺の工房で一緒に住んでいる。
さすがに2m以上のリグマが工房で住むのは窮屈だから、リグマは外にいる。
外に居ても屋根があるし、俺の火の魔術で快適にしている。
先に工房に帰ったんだろう、ひよこ達を呼ぶと街の人達も恐る恐る出てきた。
広場に人が戻ってきていて、俺の周りを囲んだ。
黒影退治は仕事でやっているわけじゃないから、お礼の品とかは受け取れない。
ダメと言っているが、足元とかに置いていかれると困る。
まるで、俺へのお供物状態になってしまって苦笑いする。
「おい、そこのお前」
「……へ?」
このままここに置いておくわけにもいかず、食べ物は近所の子供達に渡してお金は身寄りのない子達に寄付しようかなと考えていた。
その時、後ろから声を掛けられてお礼の品を両手いっぱいに抱えて後ろを振り返った。
一人の男がそこにいた、服からして騎士団の人だろう。
呼び止められるような悪い事はしてないんだけどな、とひよこ達にお礼の品を預けて騎士団の人に向き直った。
「あの、どうかしたんですか?」
「さっきのはなんだ」
「魔物を召喚…」
「魔物だと!?」
「違います違います!ちゃんと制御出来ます!召喚士ですから」
召喚した魔物達で、人探しや荷物運び、用心棒や畑仕事の手伝いまで何でも出来る。
何でも屋と言えばいいのかな、俺は街の便利屋として近所でちょっとした有名人だ。
「ナギくん、ちょっと看板直してくれる?」と酒場のお姉さんに言われて、召喚する。
昔と違って、いろいろ召喚出来るようになっていて鷹の姿をした魔物を二羽、俺の召喚に応えてくれた。
ずれた酒場の看板を器用にくちばしで調整していた。
高さを確認して、綺麗に看板が元通りになった。
鷹の魔物に「ありがとう」とお礼を言って、魔物の好物である木の実を渡した。
手伝ってくれたお礼でいつも渡していて、魔物の住む森の中に帰した。
貴重な木の実だから、報酬として十分なんだけど申し訳ない気持ちもある。
召喚士って、自分の魔力で魔物を召喚するけど何にもしてないって言われたら何も言えない。
この仕事を選んだのは他の誰でもない俺自身なんだけどね。
だから召喚士は、自分自身で手柄を取りたい魔術師には不人気な職業なんだ。
「ありがとうね、はいこれ」
「ありがとうございます」
「またなにかあったらよろしくね」
お姉さんはそう言って、酒場の中に入っていった。
お酒が飲める年齢だけど、未だに俺は酒が苦手だ。
ニオイだけで酔ってしまうから、酒場の営業時間である夜はなるべく近付かないようにしている。
工房に戻って、ポストの中身を全部取り出した。
仕事の依頼もあるけど、フレンさんとユズからも手紙が来ている。
なにかあったら手紙のやり取りをしていて、俺達の絆は大人になっても変わらなかった。
フレンさんは新しい魔道具を作って、コンクールで優勝したようだ。
今度国に帰ってきたらあげると書いてあって、楽しみだなとお礼の返事を考える。
ユズの手紙には死者との交信方法が見つかったからディアのお墓参りのついでに試すと書いてあった。
その死者との交信方法って大丈夫なのかな、ディアのお墓になにかするわけじゃないならいいけど。
どうせなら三人でお墓参りをしよう、日時を合わせるように手紙を書こうと思いついて工房の扉を開こうとした。
何処からか悲鳴のような声が聞こえて、手に持っていた手紙を机の上に置いて家を出た。
街の広場に近付くと、誰かが「黒影が出た!!」と声を上げていた。
逃げる人混みの真ん中に、黒い物体が動いていた。
「皆さん!すぐに建物の中に隠れて下さい!」
俺が大声で言って、大量のひよこの魔物を出して避難誘導させる。
大勢の人を守れる自信がない、巻き込まないように建物の中が安全だ。
大勢の人で賑わっていた広場は、静まり返っていた。
大きく息を吸って、吐き出して両手を前に出した。
俺の全魔力を集中させて、召喚する…俺の相棒を…
魔力が強まり、黒影は魔力に引き寄せられるようにこちらに向かってきた。
狼の姿になった黒影は、俺に噛みつこうと口を開けていた。
集中を途切れさせたら終わりだ、俺は俺の相棒を信じている。
黒影よりも大きなものが、黒影を噛み砕いて空を飛んでいた。
竜の姿をした魔物は、俺の前に着地して駆け寄る。
俺が一年掛けて、やっと召喚に成功した相棒である竜の「リグマ」が来てくれた。
木の実をあげると、木の実には見向きもせずに集まってきた黒影達を見ていた。
相変わらず黒影を食べる方が好きなんだな、だから黒影退治にはリグマが必要なんだけど…
俺が命令すると、空を飛び次々と黒影を食べていった。
リグマが満足した時には黒影はいなくなっていて、リグマも飛び立ってしまった。
リグマとひよこは魔物の住む森には帰らず、俺の工房で一緒に住んでいる。
さすがに2m以上のリグマが工房で住むのは窮屈だから、リグマは外にいる。
外に居ても屋根があるし、俺の火の魔術で快適にしている。
先に工房に帰ったんだろう、ひよこ達を呼ぶと街の人達も恐る恐る出てきた。
広場に人が戻ってきていて、俺の周りを囲んだ。
黒影退治は仕事でやっているわけじゃないから、お礼の品とかは受け取れない。
ダメと言っているが、足元とかに置いていかれると困る。
まるで、俺へのお供物状態になってしまって苦笑いする。
「おい、そこのお前」
「……へ?」
このままここに置いておくわけにもいかず、食べ物は近所の子供達に渡してお金は身寄りのない子達に寄付しようかなと考えていた。
その時、後ろから声を掛けられてお礼の品を両手いっぱいに抱えて後ろを振り返った。
一人の男がそこにいた、服からして騎士団の人だろう。
呼び止められるような悪い事はしてないんだけどな、とひよこ達にお礼の品を預けて騎士団の人に向き直った。
「あの、どうかしたんですか?」
「さっきのはなんだ」
「魔物を召喚…」
「魔物だと!?」
「違います違います!ちゃんと制御出来ます!召喚士ですから」
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