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三人の部員
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「新入生なのに食虫植物をよく知ってるね!」
「召喚士になりたくて、いろいろと使うものを調べてたんです」
「召喚士!?」
フレン部長は目を輝かして、俺の方に身を乗り出した。
確かに召喚士を目指す人は少ないかもしれない。
でも、そんな珍しいものを見るような顔をして見なくても…
フレン部長はいかに魔術研究が素晴らしいか、召喚士に必要な事も学べると熱弁していた。
俺もそう思ったから、この部活動を探していた。
学園で認めてくれるなら入りたいが、無許可がやはり引っかかる。
俺が考えている間にも畳み掛けるように、フレン部長が説明してきた。
必死なフレン部長を見ていると、心が苦しくなる。
フレン部長も分かってる筈だ、このままでいいわけない。
机の上に積み重なっている本を一つ一つ崩しながら確認している。
「えっと、召喚に必要な本が確かここに…」
「フレン部長、この部活動って何人いるんですか?」
「君を合わせて三人だよ、後一人で部活動として認められるから頑張って探して……うわっ!!」
「フレン部長!」
本が崩れてきて、フレン部長目掛けて落ちてきた。
とっさに、フレン部長を庇って肩に痛みが走る。
勢いよく立ち上がった衝撃で、椅子が倒れた。
フレン部長は慌てて救急箱を探そうと、机の上に置いてあるものを退かそうとしている。
また積み重ねられた物が落ちて、フレン部長が怪我をしたら大変だ。
痛みで腕が痺れているが、このくらい大丈夫だとフレン部長を止めた。
フレン部長の大きな瞳から涙が溢れてきてびっくりした。
部長は大変なんだなと、それだけで分かる。
今はまだ部活動ではないけど、いつか部活動になるならフレン部長を信じてみよう。
「ご、ごめんね…本当にごめんね、こんな危ないところ嫌だよね…ごめんなさい」
「俺は大丈夫ですから、それにちゃんとした部活動になるために俺も協力します」
「……え?」
「俺はもう部員なんですよね」
フレン部長は一瞬なにが起きたか分かっていなかったが、顔が明るくなった。
利き手の方で庇ってしまったから、もう片方の手で入部届けに書き込む。
書きづらいが、読めるから大丈夫だろう。
フレン部長に渡すと、それを受け取ってくれた。
「ありがとう、ナギくん」と笑ってくれた。
俺こそ召喚士の事を学べるんだ、お礼を言いたい。
床に落とした本を綺麗に机に並べていく。
その時、カーテンの向こう側から音が聞こえた。
驚いた俺とは違い、フレン部長は冷静な顔をしていた。
そういえば、もう一人部員がいたんだっけ。
「フーちゃん先輩がいたの忘れてた」
「もう一人の部員の事?」
「うん、本当はフーちゃん先輩が作った部活だったんだけど、面倒だからって部長を僕にしたんだ…この部活動も最初魔術研究同好会じゃなくて先輩が昼寝するための場所だったし」
「召喚士になりたくて、いろいろと使うものを調べてたんです」
「召喚士!?」
フレン部長は目を輝かして、俺の方に身を乗り出した。
確かに召喚士を目指す人は少ないかもしれない。
でも、そんな珍しいものを見るような顔をして見なくても…
フレン部長はいかに魔術研究が素晴らしいか、召喚士に必要な事も学べると熱弁していた。
俺もそう思ったから、この部活動を探していた。
学園で認めてくれるなら入りたいが、無許可がやはり引っかかる。
俺が考えている間にも畳み掛けるように、フレン部長が説明してきた。
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フレン部長も分かってる筈だ、このままでいいわけない。
机の上に積み重なっている本を一つ一つ崩しながら確認している。
「えっと、召喚に必要な本が確かここに…」
「フレン部長、この部活動って何人いるんですか?」
「君を合わせて三人だよ、後一人で部活動として認められるから頑張って探して……うわっ!!」
「フレン部長!」
本が崩れてきて、フレン部長目掛けて落ちてきた。
とっさに、フレン部長を庇って肩に痛みが走る。
勢いよく立ち上がった衝撃で、椅子が倒れた。
フレン部長は慌てて救急箱を探そうと、机の上に置いてあるものを退かそうとしている。
また積み重ねられた物が落ちて、フレン部長が怪我をしたら大変だ。
痛みで腕が痺れているが、このくらい大丈夫だとフレン部長を止めた。
フレン部長の大きな瞳から涙が溢れてきてびっくりした。
部長は大変なんだなと、それだけで分かる。
今はまだ部活動ではないけど、いつか部活動になるならフレン部長を信じてみよう。
「ご、ごめんね…本当にごめんね、こんな危ないところ嫌だよね…ごめんなさい」
「俺は大丈夫ですから、それにちゃんとした部活動になるために俺も協力します」
「……え?」
「俺はもう部員なんですよね」
フレン部長は一瞬なにが起きたか分かっていなかったが、顔が明るくなった。
利き手の方で庇ってしまったから、もう片方の手で入部届けに書き込む。
書きづらいが、読めるから大丈夫だろう。
フレン部長に渡すと、それを受け取ってくれた。
「ありがとう、ナギくん」と笑ってくれた。
俺こそ召喚士の事を学べるんだ、お礼を言いたい。
床に落とした本を綺麗に机に並べていく。
その時、カーテンの向こう側から音が聞こえた。
驚いた俺とは違い、フレン部長は冷静な顔をしていた。
そういえば、もう一人部員がいたんだっけ。
「フーちゃん先輩がいたの忘れてた」
「もう一人の部員の事?」
「うん、本当はフーちゃん先輩が作った部活だったんだけど、面倒だからって部長を僕にしたんだ…この部活動も最初魔術研究同好会じゃなくて先輩が昼寝するための場所だったし」
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