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魔術研究同好会

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黒魔術はローブを着て呪文を唱えると生前に見た本に書いてある。
怪しい感じも魔術師みたいだ、今度俺も着てみようかな。

ジロジロと見過ぎて、ローブを着ている子が振り返って驚いて、心臓がドキッとした。
いや、いくら可愛いとはいえ男の子なんだから、しっかりしろ俺!

「そういえば名前聞いてなかったね!新入部員なら知らないと…僕は部長のフレンだよ」

「……ぶ、部長!?じゃあ、先輩…ですか?」

「よく初対面の人に間違われるんだよね、気にしなくていいよ!親しみやすいし」

「…じゃあ、俺はナギ…よろしくフレン部長」

まさかの先輩で失礼な事ばかり言っていたかもしれない。
許してくれて良かったが、なるべく先輩という事を忘れないようにしよう。

フレン部長がとある教室の前で足を止めた。

何処を見ても、部活動の名前は書いていなかった。
これだと、自力で見つけるには一つ一つドアを開けるしかない。
他の部活動の人に迷惑が掛かるから、やりたくはない。

部活動を把握している学生会の人達も、フレン部長は嫌がっていたから風紀委員会と同じだろう。
なんでそんなに嫌われているのか分からない、フレン部長は優しそうなのに…

「さぁ、入って入って!」

「お邪魔します」

「もう部員だから、他人行儀にならなくていいんだよ!」

フレン部長が先に入って、俺も部室に入った。
まだ入部届けを出していないんだけどな。
堅苦しいのは俺も苦手だから、フレン部長の優しさに安心した。

新入生でも、入りやすくしてくれたんだよな。
他の先輩達も、優しい人ならいいな…皆同じ魔術研究をしてるからいろいろと聞きたい。

初めて部室に入った第一印象は、とても狭い。

普通の教室の半分くらいしかなくて、その中で机や大釜とかを置いてあるから余計に狭く感じる。
大きなカーテンもあり、その奥にもなにか置いてありそうだ。

フレン部長は床に散らばった紙を拾い集めていた。

俺は端にあった丸椅子を持ってきて座った。

机の上を漁るフレン部長は紙とペンを持って俺に見せた。

「はい、一応カタチだけ入部届け書いてね」

「カタチだけ?」

「あー、ごめん…言ってなかったね、実はこの部活動、学生会に許可もらってないんだ」

フレン部長は笑っているが、それってかなり問題なんじゃないか?
何となく、風紀委員会と学生会を警戒していた理由が分かった。

この部活動は、無許可でやっているから怒っていたんだ。
しかもそれだけではなく、他の部活動に紛れてチラシを貼っていたから引き剥がしていたのか。

この部活動大丈夫なのかな…という不安はあるが、この部活動くらいしかやりたい部活動がない。
でも、許可されていない部活動に入って入部した事になるのかな。

入部届けを書くのを躊躇っていたら、フレン部長がお茶を出してくれた。
紫色の見た事がないお茶で、香りはいいが味は無味だった。

「そのお茶はラーン草を絞って、水の魔術を入れて作ったんだよ」

「ラーン草って、食虫植物ですよね…人も食べるって聞いてたけど、飲めるのは知らなかった」

「普通に調理してもダメだから、魔術の微調整を繰り返して飲めるまでになったんだ!まだ味の方は未完成だけど、これも研究の一つなんだ!」

「なるほど、これも研究か」
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