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入学生
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年々召喚士になる人も減ってきていると聞いた事がある。
派手な魔術が好きな人が多いのもそうだが、やはり今は人々を守る職業である騎士に憧れる人が多い。
凶悪な魔物が国に住み着いているから、その影響もある。
確かに騎士はかっこいいけど、俺の力じゃ誰も守れないし…召喚士がいい。
魔術を研究しているなら、召喚術の事もなにか分かるかもしれない。
何処で部活動やっているのか、見てみようと思ったら横から誰かの手が出てきた。
驚いて、ポスターから離れると力任せにポスターを引きちぎった。
片手で力いっぱい握りしめて丸めている姿を呆然と見る事しか出来なかった。
「アイツら、またこんなもん貼り付けやがって!!」
風紀委員と書かれたワッペンを腕に巻いている人は、周りが近付けないほどに目付きを鋭くさせていた。
この学園の風紀委員会の人だという事は分かった。
憎悪を抱くかのように紙を握りしめて、ゴミ箱に投げ捨ててその人は後ろにいた人達を連れて行ってしまった。
嵐の去った後のように静かだったが、再び廊下は騒がしくなった。
何処に部活があるのか分からない、そもそも風紀委員会があんなに怒る部活っていったいどんな部活なんだ?
他の部活にしようかと見てみたが、あまり興味が湧かず今日は諦める事にした。
まだ入学したばかりだし、これから探せばいいよな。
そう思って一年の名簿表が張り出されている掲示板を見て、自分の名前が書いてある教室を目指した。
ゲームで見た事があるキャラクターはいるかなと周りを見渡して確認してみたが、全校生徒が集まる大きな講堂では見つけるのは難しかった。
唯一見つける事が出来たのは同じ入学生のウルだけだ。
学園にいる人以外にも攻略キャラクターはいるから、仕方ないのかもしれない。
俺と二つ違いだからディアもまだ学園にいる筈だ。
しかし、先輩のところまでは人が多くて見られない。
前を向いて、校長の長い話を聞いていた。
俺が興味あるのは魔術だ、生前の世界ではフィクションとして描かれていた。
今使う事が出来るなら、とことん魔術師人生を謳歌したい。
そのためにはあの部活がやっぱり気になる。
放課後に探してみよう、部室の前に部活の名前が書かれたなにかがあるかもしれない。
入学式は終わり、教室に戻るとそれぞれで自己紹介したり雑談をしていた。
俺も近くの人と仲良くなり、話していた。
ゲームとは関係ない人達だから、気が楽だ。
ずっとこのキャラがこうだとか、考えるのは苦しい。
少しはそんな事も考えないで過ごしたい。
今日は授業がないから皆部活見学をしに教室を出て行った。
部活に入るのが必須だから、全員まだ帰らない。
俺も新しく出来た友人に誘われたが、行くところが決まっているから断った。
一つの部活を目指すから、探す時間を考えて一人で探す事にした。
俺に合わせてもらうのも申し訳ない、魔術研究同好会と言っても興味なさそうだったし…
部室マップという分かりやすい地図が壁に貼られていて、確認する。
何処にもない、そもそも同好会そのものが見当たらない。
風紀委員会があんなに怒っていたから、なにかあったのかもしれない。
広い校舎を隅々まで確認したが、魔術研究同好会は何処にもなかった。
外はすっかり夕陽に染まってきていて、歩き疲れた。
早めに終わって部活を探していた筈なのに、もうこんな時間になっていたのか。
一週間で決めればいいみたいだし、今日は帰ろうかな。
この時間なら、もう終わっている部活動もある。
魔術研究同好会も活動が終わっているかもしれない。
廊下を歩いていたら、目の前に怪しい人が見えた。
真っ黒なローブを着ていて、深々と被ったフードからは素顔が見えない。
周りを気にした挙動不審な姿に、怪しいと誰もが口を揃えて言うだろう。
壁に向かって、両手を動かしてなにかをしている。
不思議に思っていたが、そのまま行こうと思った。
すれ違う時、真っ正面からそれを見て思わず声を出した。
「…それ」
「ぎゃうっ!!」
ローブを着ている子は、変な声を出して俺の方を振り返った。
大きなメガネが勢いあまってずれていて、両手で直していた。
俺より頭一つ分小さな身長に大きなメガネの奥の瞳も大きい。
あれ?ここって男子校舎じゃなかったっけ…隣の女子校舎と間違えたのか?
そう思うほどに、女の子だと言われても違和感はなかった。
でも、制服は男のものだから男子校舎の生徒だろう。
いくら男でも、こんなに可愛かったら少しでも話題になりそうなものだけど、聞いた事がない。
もしかして、この子は入学生ではないのか?
その子は俺を見るなり、大きな目を精一杯キリッと力を入れて、身構えていた。
「風紀の人!?」
「え、いや…俺は」
「それとも学生会の人!?」
「ただの、新入生だよ」
ローブを着ている子は、俺の言葉に脱力していた。
廊下に座り込むほど安心していた。
手を差し伸ばすと、素直に掴んでくれて起き上がるのを手伝った。
もう俺の事を敵視しているわけじゃないみたいだ。
やっぱり、今朝の風紀委員会の態度からして仲は良くないみたいだ。
彼がさっき壁に貼っていたのは、魔術研究同好会のポスターだ。
これを貼りに来たって事は、彼はこの部活動に関係があるって事だ。
まさか、こんな運がいいなんて…不幸体質だった生前とは天と地の差くらいはある。
彼も魔術研究同好会に入る新入生で、先輩に言われて来たのかもしれない。
いくら彼の噂がなくても、だれがどう見ても先輩には見えない。
むしろ俺よりも年下に見えるほど、見た目が幼い。
「勘違いしてごめんね、新入生だったんだ」
「そのポスター…君も魔術研究同好会の人?」
「そうだけど、もしかして入部希望者!?」
眼鏡の奥の瞳がキラキラと輝いてきて、そこまで期待されると思ってなくて呆然とする。
俺がなにか言う前に、腕を掴んで引っ張っていく。
部室まで連れて行ってくれるのかと、ローブを着ている子に付いて行く。
このローブも研究に必要だから着ているのか?
派手な魔術が好きな人が多いのもそうだが、やはり今は人々を守る職業である騎士に憧れる人が多い。
凶悪な魔物が国に住み着いているから、その影響もある。
確かに騎士はかっこいいけど、俺の力じゃ誰も守れないし…召喚士がいい。
魔術を研究しているなら、召喚術の事もなにか分かるかもしれない。
何処で部活動やっているのか、見てみようと思ったら横から誰かの手が出てきた。
驚いて、ポスターから離れると力任せにポスターを引きちぎった。
片手で力いっぱい握りしめて丸めている姿を呆然と見る事しか出来なかった。
「アイツら、またこんなもん貼り付けやがって!!」
風紀委員と書かれたワッペンを腕に巻いている人は、周りが近付けないほどに目付きを鋭くさせていた。
この学園の風紀委員会の人だという事は分かった。
憎悪を抱くかのように紙を握りしめて、ゴミ箱に投げ捨ててその人は後ろにいた人達を連れて行ってしまった。
嵐の去った後のように静かだったが、再び廊下は騒がしくなった。
何処に部活があるのか分からない、そもそも風紀委員会があんなに怒る部活っていったいどんな部活なんだ?
他の部活にしようかと見てみたが、あまり興味が湧かず今日は諦める事にした。
まだ入学したばかりだし、これから探せばいいよな。
そう思って一年の名簿表が張り出されている掲示板を見て、自分の名前が書いてある教室を目指した。
ゲームで見た事があるキャラクターはいるかなと周りを見渡して確認してみたが、全校生徒が集まる大きな講堂では見つけるのは難しかった。
唯一見つける事が出来たのは同じ入学生のウルだけだ。
学園にいる人以外にも攻略キャラクターはいるから、仕方ないのかもしれない。
俺と二つ違いだからディアもまだ学園にいる筈だ。
しかし、先輩のところまでは人が多くて見られない。
前を向いて、校長の長い話を聞いていた。
俺が興味あるのは魔術だ、生前の世界ではフィクションとして描かれていた。
今使う事が出来るなら、とことん魔術師人生を謳歌したい。
そのためにはあの部活がやっぱり気になる。
放課後に探してみよう、部室の前に部活の名前が書かれたなにかがあるかもしれない。
入学式は終わり、教室に戻るとそれぞれで自己紹介したり雑談をしていた。
俺も近くの人と仲良くなり、話していた。
ゲームとは関係ない人達だから、気が楽だ。
ずっとこのキャラがこうだとか、考えるのは苦しい。
少しはそんな事も考えないで過ごしたい。
今日は授業がないから皆部活見学をしに教室を出て行った。
部活に入るのが必須だから、全員まだ帰らない。
俺も新しく出来た友人に誘われたが、行くところが決まっているから断った。
一つの部活を目指すから、探す時間を考えて一人で探す事にした。
俺に合わせてもらうのも申し訳ない、魔術研究同好会と言っても興味なさそうだったし…
部室マップという分かりやすい地図が壁に貼られていて、確認する。
何処にもない、そもそも同好会そのものが見当たらない。
風紀委員会があんなに怒っていたから、なにかあったのかもしれない。
広い校舎を隅々まで確認したが、魔術研究同好会は何処にもなかった。
外はすっかり夕陽に染まってきていて、歩き疲れた。
早めに終わって部活を探していた筈なのに、もうこんな時間になっていたのか。
一週間で決めればいいみたいだし、今日は帰ろうかな。
この時間なら、もう終わっている部活動もある。
魔術研究同好会も活動が終わっているかもしれない。
廊下を歩いていたら、目の前に怪しい人が見えた。
真っ黒なローブを着ていて、深々と被ったフードからは素顔が見えない。
周りを気にした挙動不審な姿に、怪しいと誰もが口を揃えて言うだろう。
壁に向かって、両手を動かしてなにかをしている。
不思議に思っていたが、そのまま行こうと思った。
すれ違う時、真っ正面からそれを見て思わず声を出した。
「…それ」
「ぎゃうっ!!」
ローブを着ている子は、変な声を出して俺の方を振り返った。
大きなメガネが勢いあまってずれていて、両手で直していた。
俺より頭一つ分小さな身長に大きなメガネの奥の瞳も大きい。
あれ?ここって男子校舎じゃなかったっけ…隣の女子校舎と間違えたのか?
そう思うほどに、女の子だと言われても違和感はなかった。
でも、制服は男のものだから男子校舎の生徒だろう。
いくら男でも、こんなに可愛かったら少しでも話題になりそうなものだけど、聞いた事がない。
もしかして、この子は入学生ではないのか?
その子は俺を見るなり、大きな目を精一杯キリッと力を入れて、身構えていた。
「風紀の人!?」
「え、いや…俺は」
「それとも学生会の人!?」
「ただの、新入生だよ」
ローブを着ている子は、俺の言葉に脱力していた。
廊下に座り込むほど安心していた。
手を差し伸ばすと、素直に掴んでくれて起き上がるのを手伝った。
もう俺の事を敵視しているわけじゃないみたいだ。
やっぱり、今朝の風紀委員会の態度からして仲は良くないみたいだ。
彼がさっき壁に貼っていたのは、魔術研究同好会のポスターだ。
これを貼りに来たって事は、彼はこの部活動に関係があるって事だ。
まさか、こんな運がいいなんて…不幸体質だった生前とは天と地の差くらいはある。
彼も魔術研究同好会に入る新入生で、先輩に言われて来たのかもしれない。
いくら彼の噂がなくても、だれがどう見ても先輩には見えない。
むしろ俺よりも年下に見えるほど、見た目が幼い。
「勘違いしてごめんね、新入生だったんだ」
「そのポスター…君も魔術研究同好会の人?」
「そうだけど、もしかして入部希望者!?」
眼鏡の奥の瞳がキラキラと輝いてきて、そこまで期待されると思ってなくて呆然とする。
俺がなにか言う前に、腕を掴んで引っ張っていく。
部室まで連れて行ってくれるのかと、ローブを着ている子に付いて行く。
このローブも研究に必要だから着ているのか?
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