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魔術師育成学園
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青空が広がる春の訪れ。
この国に桜はないが、ぽかぽかとした陽だまりのにおいが春だと感じた。
家の前で背伸びをして、日光を浴びていたら後ろから衝撃が来た。
前に数歩進むと、俺の横を誰かが通り過ぎた。
玄関前にいたわけじゃないから、普通に通れるのにわざとぶつかってきた相手を見る。
双子の弟のウルは一言「邪魔」とだけ言って歩いて行った。
相変わらずの弟にため息も出ず、俺も行こうと思った。
指には魔力が宿った真っ赤な宝石が埋め込まれた指輪が光っている。
15歳の誕生日に俺の宝石を加工して作った指輪をお母さんからもらった。
炎の魔術が使える宝石に、かっこよく使う自分を想像してワクワクしていた。
しかし、所詮はスポットライトが当たらないキャラクター…かっこいい力なんて用意されているわけがなかった。
ライターくらいの火しか使えない弱い力だ。
だけど、あったらいいなってくらいでちょうどいい。
この世界に生まれたからには、思う存分魔術を使ってやる。
戦うなんて怖い事はしなくて、遠くでゲームの世界を見守るだけでいい。
ちなみにウルは水の魔術を使えて、お母さんに頼み込んでピアスにしてもらっていた。
今のウルの力はバケツをひっくり返すほどの力しかない。
それでもウルはメインキャラクター、これから成長していくんだろうな。
だから、俺が必死に独学で魔力をコントロールした火を消すのをやめてほしい。
しかもいつも全身びしょ濡れになるから、風邪を引く。
双子なのに、俺とウルの魔力は相性が最悪だ。
遺伝子で親の魔力を引き継ぐ子がほとんどなのに、何故だ?
歩いていると、同じ制服の人達と何人かすれ違った。
この国は学校が三つあるけど、俺が通うところは一番大きなところだ。
魔術師育成学園AC、Academy.Castleの略だったな。
名前に恥じない、城のような外観の学園が出てきた。
ゲームのメインは学園を卒業してからだが、学園の話もある。
ディアが覚醒したのも学園に通っていた時だ。
世界に数人しか希少魔術である光属性の力。
ディアはずっと魔力がないと思っていたけど、実は光属性が隠れていただけなんだ。
光属性は成長しないと現れない力で、覚醒するのが遅かった。
今まで馬鹿にしていた人達も特殊な力のディアに態度を変えて慕っていたな。
馬鹿にされるよりはずっといいけど、微妙な気持ちにもなる。
ディアの事を変わらず愛している攻略キャラクターが一番だ。
ウルだってずっと会いたいと口癖のように言っている。
会わせてあげたいけど、この国の地図を全て把握しているわけではない。
ディアの家が何処にあるのか、さっぱり分からない。
それと、両親の仕立て屋の手伝いや勉強が忙しくて探しにも行けなかった。
学園では必ず会えるから、焦る事ないかと思った。
ウルも仕立て屋の手伝いをしているから、自由がないと言っていた。
だから学園に通って寮暮らしになるから、嬉しいんだろう。
俺にぶつかってストレス発散はやめてほしいけど…
ディアはもう光属性が覚醒したのかな、いつからかは正直覚えていない。
大事な記憶なのに、数年も経てば新しい知識が入ってきて昔の記憶がだんだん薄れてくる。
少しだけ、それが怖いと感じた…俺が俺ではなくなるような…俺は俺である筈なのに…
学園に入ると、廊下の壁にびっしりと部活動の勧誘ポスターが貼ってあった。
確かディアは選択肢で部活動が決まるから、何処にいるのか分からない。
ゲームなら、今は誰の好感度が高いのかとすぐに分かるのにな。
学年が二つ違うから、ディアが何をしているのか全く分からないしディアが卒業するまで分からないままなのかもしれない。
元々ウルを通して知り合う当て馬だから、これが自然だ。
友達になりたかったからちょっと寂しいけど、それも仕方ない。
俺は自分の興味が惹かれる部活に入ろうと、一つ一つ丁寧に見て行く。
派手な部活を好むのか、部活動のポスターを見て友人達と話している会話を聞いてみると魔術を使いたそうだった。
これから授業で嫌というほど使うのに、やっぱり自分の魔術を自慢したいよな。
俺のようなしょぼい魔力でもないだろうし、羨ましい。
がやがやとした会話が耳に入ってくる中、ポスターを見ると下の方に剥がれかかっている紙が見えた。
今にも落ちてしまいそうな紙を手で固定して、よく見てみる。
「魔術研究同好会?」
その部活は他のポスターと違い、同好会と書かれていた。
魔術研究か、この世界に生まれたからには魔術を堪能したい俺は興味が惹かれた。
勉強している時も、ゲームでは詳しく書かれていなかった歴史を学ぶのは楽しかった。
その中でも、魔力が弱くても勉強さえ出来ればなれる仕事がある。
魔術に触れる仕事で魔力の力が関係ないなんて最高だ。
それが召喚士と呼ばれる特殊職業だった。
召喚士はいろいろな生き物を呼び出し、従わせてあらゆる職業の手助けが出来る。
何でも屋と言えばいいだろうか、生き物だけではなく物も生み出す事が出来る。
錬金術師も出来るなんて、一石二鳥の職業だ。
本を見て勉強して見よう見まねで何度かやった事があるけど、一度も召喚に成功した事がない。
学園の授業でも召喚の授業はない、特殊職業だから学校では教えられないみたいだ。
召喚士になるには自分で勉強をひたすらするしかない。
それで出来なかったら、単純に才能がないから諦めるしかない。
この国に桜はないが、ぽかぽかとした陽だまりのにおいが春だと感じた。
家の前で背伸びをして、日光を浴びていたら後ろから衝撃が来た。
前に数歩進むと、俺の横を誰かが通り過ぎた。
玄関前にいたわけじゃないから、普通に通れるのにわざとぶつかってきた相手を見る。
双子の弟のウルは一言「邪魔」とだけ言って歩いて行った。
相変わらずの弟にため息も出ず、俺も行こうと思った。
指には魔力が宿った真っ赤な宝石が埋め込まれた指輪が光っている。
15歳の誕生日に俺の宝石を加工して作った指輪をお母さんからもらった。
炎の魔術が使える宝石に、かっこよく使う自分を想像してワクワクしていた。
しかし、所詮はスポットライトが当たらないキャラクター…かっこいい力なんて用意されているわけがなかった。
ライターくらいの火しか使えない弱い力だ。
だけど、あったらいいなってくらいでちょうどいい。
この世界に生まれたからには、思う存分魔術を使ってやる。
戦うなんて怖い事はしなくて、遠くでゲームの世界を見守るだけでいい。
ちなみにウルは水の魔術を使えて、お母さんに頼み込んでピアスにしてもらっていた。
今のウルの力はバケツをひっくり返すほどの力しかない。
それでもウルはメインキャラクター、これから成長していくんだろうな。
だから、俺が必死に独学で魔力をコントロールした火を消すのをやめてほしい。
しかもいつも全身びしょ濡れになるから、風邪を引く。
双子なのに、俺とウルの魔力は相性が最悪だ。
遺伝子で親の魔力を引き継ぐ子がほとんどなのに、何故だ?
歩いていると、同じ制服の人達と何人かすれ違った。
この国は学校が三つあるけど、俺が通うところは一番大きなところだ。
魔術師育成学園AC、Academy.Castleの略だったな。
名前に恥じない、城のような外観の学園が出てきた。
ゲームのメインは学園を卒業してからだが、学園の話もある。
ディアが覚醒したのも学園に通っていた時だ。
世界に数人しか希少魔術である光属性の力。
ディアはずっと魔力がないと思っていたけど、実は光属性が隠れていただけなんだ。
光属性は成長しないと現れない力で、覚醒するのが遅かった。
今まで馬鹿にしていた人達も特殊な力のディアに態度を変えて慕っていたな。
馬鹿にされるよりはずっといいけど、微妙な気持ちにもなる。
ディアの事を変わらず愛している攻略キャラクターが一番だ。
ウルだってずっと会いたいと口癖のように言っている。
会わせてあげたいけど、この国の地図を全て把握しているわけではない。
ディアの家が何処にあるのか、さっぱり分からない。
それと、両親の仕立て屋の手伝いや勉強が忙しくて探しにも行けなかった。
学園では必ず会えるから、焦る事ないかと思った。
ウルも仕立て屋の手伝いをしているから、自由がないと言っていた。
だから学園に通って寮暮らしになるから、嬉しいんだろう。
俺にぶつかってストレス発散はやめてほしいけど…
ディアはもう光属性が覚醒したのかな、いつからかは正直覚えていない。
大事な記憶なのに、数年も経てば新しい知識が入ってきて昔の記憶がだんだん薄れてくる。
少しだけ、それが怖いと感じた…俺が俺ではなくなるような…俺は俺である筈なのに…
学園に入ると、廊下の壁にびっしりと部活動の勧誘ポスターが貼ってあった。
確かディアは選択肢で部活動が決まるから、何処にいるのか分からない。
ゲームなら、今は誰の好感度が高いのかとすぐに分かるのにな。
学年が二つ違うから、ディアが何をしているのか全く分からないしディアが卒業するまで分からないままなのかもしれない。
元々ウルを通して知り合う当て馬だから、これが自然だ。
友達になりたかったからちょっと寂しいけど、それも仕方ない。
俺は自分の興味が惹かれる部活に入ろうと、一つ一つ丁寧に見て行く。
派手な部活を好むのか、部活動のポスターを見て友人達と話している会話を聞いてみると魔術を使いたそうだった。
これから授業で嫌というほど使うのに、やっぱり自分の魔術を自慢したいよな。
俺のようなしょぼい魔力でもないだろうし、羨ましい。
がやがやとした会話が耳に入ってくる中、ポスターを見ると下の方に剥がれかかっている紙が見えた。
今にも落ちてしまいそうな紙を手で固定して、よく見てみる。
「魔術研究同好会?」
その部活は他のポスターと違い、同好会と書かれていた。
魔術研究か、この世界に生まれたからには魔術を堪能したい俺は興味が惹かれた。
勉強している時も、ゲームでは詳しく書かれていなかった歴史を学ぶのは楽しかった。
その中でも、魔力が弱くても勉強さえ出来ればなれる仕事がある。
魔術に触れる仕事で魔力の力が関係ないなんて最高だ。
それが召喚士と呼ばれる特殊職業だった。
召喚士はいろいろな生き物を呼び出し、従わせてあらゆる職業の手助けが出来る。
何でも屋と言えばいいだろうか、生き物だけではなく物も生み出す事が出来る。
錬金術師も出来るなんて、一石二鳥の職業だ。
本を見て勉強して見よう見まねで何度かやった事があるけど、一度も召喚に成功した事がない。
学園の授業でも召喚の授業はない、特殊職業だから学校では教えられないみたいだ。
召喚士になるには自分で勉強をひたすらするしかない。
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