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第22話
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不意に浩太の声が聞こえ、田辺は頷く。
「相変わらず、岡島さんは鋭いですね」
「達也が手にかけたっていう女医の名前を調べてるときと同じ顔してたよ。けどさ、俺が言えたことじゃないけど、田辺さんはよくやってくれてるよ。俺達にも、そして、野田の娘にもな……それと、一つ尋ねたいんだけど良いか?」
田辺は再度、頷いて先を促す。その仕種を認めてから浩太が口を開く。
「ここに来る前、ニュースで献花台を設置したって流れてたが、あれは田辺さんが?」
首を横に振った田辺は、落ち着いた口調で返す。
「いえ、あれは浜岡さんが用意した物です。僕は場所の相談を受けただけですよ」
「俺もあれからいろいろと聞いてるけど、あの公園って……確か野田の奥さんが……」
浩太の暗い声とは逆に、田辺はきわめて明るく答えた。
「ええ、良子さんの遺体が発見された場所であり、あの事件が発生する原因ともなった公園です。けどね、岡島さん……僕らはこの一年を乗り越えてここにいます。それは新たなスタートを切る為にです。ならば、あの公園には僕らが乗り越えるべき最初の壁であり、世界が新たな一歩を踏み出す場所でもある。野田さんと良子さんの話しは絡んでいませんよ」
澱みなくハッキリと言い切った田辺に、浩太は短く、そうか、とだけ残して煙草に火を点けた。
「そういえば、平山って奴とは連絡とれたのか?」
「いえ、どこにいるのか検討もつきません……常識の通じない仕事をしているようでしたし……まあ、いずれ再会できますよ。そんな予感がします」
香炉に残った煙草が半分ほどになり、ポロリと灰が落ちたとき、一台の車からクラクションが響く。一斉に顔を向け、車から降りてくる人物に浩太が手を振った。
「達也!こっちだ!」
ジーパンとシャツというカジュアルな服装で現れた達也は、短い返事をして歩いてくる。その途中、二人の装いに気付いたようだ。自身の格好を一度見直す。
「なあ……俺が間違えたのか、お前らが間違えたのか、この場合どっちだ?」
裕介と亜里沙が吹き出す中、浩太が達也の胸を小突いて言った。
「どっちもだよ、馬鹿野郎」
達也は笑い、改めて碑石へと向き、その間に、助手席から私服の浜岡が線香や花などの一式を持って降りてくる。浩太と田辺の一礼を受け、浜岡は裕介の足元にある線香のセットを見た。
「ああ、やはり、持ってきていたね。不慣れだろうからと用意してきたのだけど不要だったね」
「いえ、お気持ちはありがたく頂きます」
裕介が腰を折り、亜里沙もそれに倣う。年齢のわりには立派だと浜岡が感心していると、浩太が声を掛けた。
「相変わらず、岡島さんは鋭いですね」
「達也が手にかけたっていう女医の名前を調べてるときと同じ顔してたよ。けどさ、俺が言えたことじゃないけど、田辺さんはよくやってくれてるよ。俺達にも、そして、野田の娘にもな……それと、一つ尋ねたいんだけど良いか?」
田辺は再度、頷いて先を促す。その仕種を認めてから浩太が口を開く。
「ここに来る前、ニュースで献花台を設置したって流れてたが、あれは田辺さんが?」
首を横に振った田辺は、落ち着いた口調で返す。
「いえ、あれは浜岡さんが用意した物です。僕は場所の相談を受けただけですよ」
「俺もあれからいろいろと聞いてるけど、あの公園って……確か野田の奥さんが……」
浩太の暗い声とは逆に、田辺はきわめて明るく答えた。
「ええ、良子さんの遺体が発見された場所であり、あの事件が発生する原因ともなった公園です。けどね、岡島さん……僕らはこの一年を乗り越えてここにいます。それは新たなスタートを切る為にです。ならば、あの公園には僕らが乗り越えるべき最初の壁であり、世界が新たな一歩を踏み出す場所でもある。野田さんと良子さんの話しは絡んでいませんよ」
澱みなくハッキリと言い切った田辺に、浩太は短く、そうか、とだけ残して煙草に火を点けた。
「そういえば、平山って奴とは連絡とれたのか?」
「いえ、どこにいるのか検討もつきません……常識の通じない仕事をしているようでしたし……まあ、いずれ再会できますよ。そんな予感がします」
香炉に残った煙草が半分ほどになり、ポロリと灰が落ちたとき、一台の車からクラクションが響く。一斉に顔を向け、車から降りてくる人物に浩太が手を振った。
「達也!こっちだ!」
ジーパンとシャツというカジュアルな服装で現れた達也は、短い返事をして歩いてくる。その途中、二人の装いに気付いたようだ。自身の格好を一度見直す。
「なあ……俺が間違えたのか、お前らが間違えたのか、この場合どっちだ?」
裕介と亜里沙が吹き出す中、浩太が達也の胸を小突いて言った。
「どっちもだよ、馬鹿野郎」
達也は笑い、改めて碑石へと向き、その間に、助手席から私服の浜岡が線香や花などの一式を持って降りてくる。浩太と田辺の一礼を受け、浜岡は裕介の足元にある線香のセットを見た。
「ああ、やはり、持ってきていたね。不慣れだろうからと用意してきたのだけど不要だったね」
「いえ、お気持ちはありがたく頂きます」
裕介が腰を折り、亜里沙もそれに倣う。年齢のわりには立派だと浜岡が感心していると、浩太が声を掛けた。
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