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第13話
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しばらく誰もが黙然として顔を伏せた。公園の隣、いつもは家族連れやペットの散歩を楽しむ場所が、途方もない程に血濡れになっているような気がして、浩太は目を逸らし口火を切った。
「......良い報告は?」
「ああ、それはな......」
真一に代わり、トラックの荷台から祐介が持ってきたのは大きな鞄だ。どれも、歪に歪んでいる。
さすがだろ、と真一は口角をあげた。鞄の中は銃で満たされている。
「AK74にM16、それにイングラムに加えて手榴弾が七、ベレッタ五挺にサプレッサー二つ......さすがヤクザだな......見栄っ張りが多い」
浩太の皮肉を真一は聞き流すと、ベレッタ一挺をサプレッサー付きで彰一に渡す。
緊張した手つきで受け取った彰一は、銃を握ると深く息を吐いた。
「コレなら銃声もある程度は抑えられるぜ......反応される機会も減る」
「......有り難く受けとるよ」
何に、もしくは誰に、そう断定した言い方をしなかったのは、達也の件が絡んでいるのだろうか。歯にものが挟まったような面持ちの彰一を置いて、その背後に座っていた阿里沙にも、ベレッタを渡す。
「使い方はあとで教える。持っておくだけでも良いから」
真一は、阿里沙ではなく加奈子を横目で見ながら言った。その意図を汲み取った阿里沙は、右手を伸ばして受けとる。祐介には渡さなかった。それは、警察署での会話からだろう。それに対して異論を唱える者はいない。
浩太は自分で武器をとり、動作の確認を行うと残ったイングラムとM16を車の後部座席に鞄ごと投げ入れた。
「真一はAKで良いだろ?イングラムは彰一に持たせる」
「ああ、それで良いぜ。手榴弾は三つ貰う」
「OK」
短い会話をしつつ、武器の振り分けを終えると、阿里沙が本題を切り出した。
「祐介君、実はもう一つ話しておかなきゃいけないことがあるんだけど......」
「ん?なに?」
彰一は歩み寄る祐介の前に立つと、阿里沙の言葉を引き継いだ。
「お前らはここに来る前に妙な音を聞かなかったか?」
「......妙な音?」
祐介が小首を傾げると、武器の整理を終えた浩太が言った。
「妙な音というか、強烈な破壊音だな。爆発したみたいな......」
祐介と真一は、揃って首を振った。
だが、報告が一段落した後に持ってきたということは、この「妙な音」が本質なのだろう。
真一は、浩太から煙草を受け取り火を点けた。
「そりゃ気になる話しだぜ......死者にそんな響く音がだせるとは思えないし......どっかに生き残りの団体があるってことだと思うぜ」
彰一が同意して口を開く。
「俺もそう考えた。それに、ここら一帯は死者の数が極端に少ない。だとしたら......」
「坂本君はどこかに死者が集まってるって思うの?」
「......良い報告は?」
「ああ、それはな......」
真一に代わり、トラックの荷台から祐介が持ってきたのは大きな鞄だ。どれも、歪に歪んでいる。
さすがだろ、と真一は口角をあげた。鞄の中は銃で満たされている。
「AK74にM16、それにイングラムに加えて手榴弾が七、ベレッタ五挺にサプレッサー二つ......さすがヤクザだな......見栄っ張りが多い」
浩太の皮肉を真一は聞き流すと、ベレッタ一挺をサプレッサー付きで彰一に渡す。
緊張した手つきで受け取った彰一は、銃を握ると深く息を吐いた。
「コレなら銃声もある程度は抑えられるぜ......反応される機会も減る」
「......有り難く受けとるよ」
何に、もしくは誰に、そう断定した言い方をしなかったのは、達也の件が絡んでいるのだろうか。歯にものが挟まったような面持ちの彰一を置いて、その背後に座っていた阿里沙にも、ベレッタを渡す。
「使い方はあとで教える。持っておくだけでも良いから」
真一は、阿里沙ではなく加奈子を横目で見ながら言った。その意図を汲み取った阿里沙は、右手を伸ばして受けとる。祐介には渡さなかった。それは、警察署での会話からだろう。それに対して異論を唱える者はいない。
浩太は自分で武器をとり、動作の確認を行うと残ったイングラムとM16を車の後部座席に鞄ごと投げ入れた。
「真一はAKで良いだろ?イングラムは彰一に持たせる」
「ああ、それで良いぜ。手榴弾は三つ貰う」
「OK」
短い会話をしつつ、武器の振り分けを終えると、阿里沙が本題を切り出した。
「祐介君、実はもう一つ話しておかなきゃいけないことがあるんだけど......」
「ん?なに?」
彰一は歩み寄る祐介の前に立つと、阿里沙の言葉を引き継いだ。
「お前らはここに来る前に妙な音を聞かなかったか?」
「......妙な音?」
祐介が小首を傾げると、武器の整理を終えた浩太が言った。
「妙な音というか、強烈な破壊音だな。爆発したみたいな......」
祐介と真一は、揃って首を振った。
だが、報告が一段落した後に持ってきたということは、この「妙な音」が本質なのだろう。
真一は、浩太から煙草を受け取り火を点けた。
「そりゃ気になる話しだぜ......死者にそんな響く音がだせるとは思えないし......どっかに生き残りの団体があるってことだと思うぜ」
彰一が同意して口を開く。
「俺もそう考えた。それに、ここら一帯は死者の数が極端に少ない。だとしたら......」
「坂本君はどこかに死者が集まってるって思うの?」
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