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第7話
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「いえ、分かりますよ。震災や災害が起きた時、集まる場所といえば?」
再び東は考え込んだ。そして、はっ、と顔をあげ、鄙俗な哄笑をあげた。
「ひゃははは!何てこと考えてやがんだよ!最高に頭がぶっ飛んでやがんなぁ!俺なんかより、よっぽどイカれてやがんぜぇ!」
東の発言に、安部は不服そうに返す。
「生粋の人殺しに言われたくはありませんね。それに、私は救済をするのですから、人殺しという訳ではありません」
東はひとしきり笑った後に、言い訳だろ、と挟んで唇の左端を歪めた。
「安部さんよぉ、なら、良い事を教えてやるよ。良いか?人殺しの思想ってのは、同じ人殺しでも理解できないんだよ」
今度は安部が首を傾げる番になった。どうにも矛盾している気がしてならなかったからだ。
「人殺しは、人殺しを理解できるから人を殺せるのでは?」
東は、はっ、と短く笑う。
「ちげぇよ。なら、世の中にいたサイコパスや大量殺人犯どもも同じか?奴等は同じ思想や思考で行動していたか?」
分からない、と口にした安部に構わずに東は続ける。
「一人殺せば犯罪者だが、百万人なら英雄になれる。ベイルビー・ポーテューズだったか?この大量殺人が肝だ。結局のところ、殺人は殺人なんだよ。俺はそれがいつなのかってことが重要なんだと思ってる」
東は胸ポケットから煙草を取り出した。火を点けると、運転席側のドアガラスを半分だけ落とした。
「さっきの言葉は、戦争を痛烈に批判した神父の弁だ。だがよ、戦争においては殺人が正当化されてたのも事実だろ?それを今に当てはめてみろよ。正に、その状況にあると思わねえか?」
サイドミラーで後ろを確認した東は車を止め、尻に敷いていた黒塗りの拳銃を取り出す。P220単発銃だ。
半分だけ落としたドアガラスから銃口だけを覗かせると、空に向けて一発撃ち、使徒の注目を集めてから、煙草を大きく吸ってドアガラスを閉めた。まるで、慙愧の念に苛まれているような使徒の双眸が窓越しに光っている。こびりつく血を見ながら安部が口を開く。
「大量殺人が許される。そういう意味ですか?」
「ぶっぶーー、残念だが、半分不正解。安部さんは大量殺人をした奴がヤバイ、とか思ってんだろ?」
お返しとばかりに嘲笑った東は、アクセルを再び踏んだ。
「違うんだなぁこれが。例えば、そうだな……エド・ゲインって知ってるか?半端じゃねぇイカれ野郎だが、実は二人、他の殺人鬼にしては少ない人数しか殺してねぇんだよ。だが、有名なホラー映画の題材になるほど世間に衝撃を与えた……何したと思う?」
安部は、そんな話しを悦に入ったように、また、楽しそうに生き生きと語る東に対して悪寒が走り、何も答えられなくなっていた。何度、味わっても、この感覚には馴れそうにない。
使徒の呻きだけが聞こえる空間で、東の低い声が響いた。
「殺人に入る前から、埋葬された死体を掘り起こして身体を切り刻んだ挙げ句、人間の皮膚や骨で家具を作ってやがったんだよ!そんなイカれ野郎の思想なんか理解したくねぇっての!ひゃはははは!」
再び東は考え込んだ。そして、はっ、と顔をあげ、鄙俗な哄笑をあげた。
「ひゃははは!何てこと考えてやがんだよ!最高に頭がぶっ飛んでやがんなぁ!俺なんかより、よっぽどイカれてやがんぜぇ!」
東の発言に、安部は不服そうに返す。
「生粋の人殺しに言われたくはありませんね。それに、私は救済をするのですから、人殺しという訳ではありません」
東はひとしきり笑った後に、言い訳だろ、と挟んで唇の左端を歪めた。
「安部さんよぉ、なら、良い事を教えてやるよ。良いか?人殺しの思想ってのは、同じ人殺しでも理解できないんだよ」
今度は安部が首を傾げる番になった。どうにも矛盾している気がしてならなかったからだ。
「人殺しは、人殺しを理解できるから人を殺せるのでは?」
東は、はっ、と短く笑う。
「ちげぇよ。なら、世の中にいたサイコパスや大量殺人犯どもも同じか?奴等は同じ思想や思考で行動していたか?」
分からない、と口にした安部に構わずに東は続ける。
「一人殺せば犯罪者だが、百万人なら英雄になれる。ベイルビー・ポーテューズだったか?この大量殺人が肝だ。結局のところ、殺人は殺人なんだよ。俺はそれがいつなのかってことが重要なんだと思ってる」
東は胸ポケットから煙草を取り出した。火を点けると、運転席側のドアガラスを半分だけ落とした。
「さっきの言葉は、戦争を痛烈に批判した神父の弁だ。だがよ、戦争においては殺人が正当化されてたのも事実だろ?それを今に当てはめてみろよ。正に、その状況にあると思わねえか?」
サイドミラーで後ろを確認した東は車を止め、尻に敷いていた黒塗りの拳銃を取り出す。P220単発銃だ。
半分だけ落としたドアガラスから銃口だけを覗かせると、空に向けて一発撃ち、使徒の注目を集めてから、煙草を大きく吸ってドアガラスを閉めた。まるで、慙愧の念に苛まれているような使徒の双眸が窓越しに光っている。こびりつく血を見ながら安部が口を開く。
「大量殺人が許される。そういう意味ですか?」
「ぶっぶーー、残念だが、半分不正解。安部さんは大量殺人をした奴がヤバイ、とか思ってんだろ?」
お返しとばかりに嘲笑った東は、アクセルを再び踏んだ。
「違うんだなぁこれが。例えば、そうだな……エド・ゲインって知ってるか?半端じゃねぇイカれ野郎だが、実は二人、他の殺人鬼にしては少ない人数しか殺してねぇんだよ。だが、有名なホラー映画の題材になるほど世間に衝撃を与えた……何したと思う?」
安部は、そんな話しを悦に入ったように、また、楽しそうに生き生きと語る東に対して悪寒が走り、何も答えられなくなっていた。何度、味わっても、この感覚には馴れそうにない。
使徒の呻きだけが聞こえる空間で、東の低い声が響いた。
「殺人に入る前から、埋葬された死体を掘り起こして身体を切り刻んだ挙げ句、人間の皮膚や骨で家具を作ってやがったんだよ!そんなイカれ野郎の思想なんか理解したくねぇっての!ひゃはははは!」
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