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雀の糠喜び
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「ーーやった・・・・・・?」
アスハの口からこぼれた一言により、絶望に静まり返っていた冒険者達の中に歓声が広がる。
「やった‼︎ やりやがったぜ‼︎ ランクEのヘタレ冒険者が‼︎」
「すげぇぜ‼︎ ただのヘタレの裏切り者じゃなかったんだな‼︎」
「魔王軍の手先の裏切り者でヘタレのゲロやろうの癖にやりやがったぜ‼︎ 俺は信じてたぜ‼︎」
「ーー魔王軍の手先の癖に、魔王の側近らしき奴を倒してよかったのか? ヘタレクソゲロ野郎?」
冒険者達は、口々にアスハを罵倒しながら周囲に集まってきて、アスハを胴上げし始める。
「てめぇら‼︎ 顔覚えたからなっ‼︎」
そう叫ぶアスハに呼応するように冒険者達がサッと身を翻す。
「ひぃっ⁉︎ 殺される⁉︎」
「やっぱり魔王の手先なんだ‼︎‼︎」
「このヘタレクソゲロ野郎‼︎」
「ーーやはり裏切り者は裏切り者だったな‼︎」
結果、アスハはそのまま地面に落とされる。
「グェッ⁉︎」
そして、冒険者達は少し離れた位置から小石を投げはじめた。
「いって⁉︎ ちょっ⁉︎ やめろぉっ⁉︎ ぶっとばすぞ‼︎」
エクスカリバーで弾こうとしながらも、地味に小石を喰らいつつ、アスハが叫ぶ。
「ーーおめでたい頭でなによりですね?」
そんな冒険者達に地面から話しかけるものがあった。
「首がしゃべったぁあぁぁぁああああ⁉︎⁉︎⁉︎‼︎」
それは、切り飛ばしたはずのマリベルの頭部であった。
マリベルの頭部は、ケタケタと笑いながら空中へ浮かぶ。
「どうやら、今回は私の負けです。ーーまさか貴方のような、なんの取り柄もなさそうな人間に首を落とされるとは思いませんでしたよ。これは、私に傷をつけた貴方への褒美です。ありがたく受け取ってください」
マリベルの頭部はそう言うと引き裂かれたように口元を広げる。
「ーーそこの娘は、魔法を無効化できるようですが、はたして、魔法の余波によって発生した現象までも無効化できるのでしょうかねぇ?」
そして、マリベルの頭部が光り輝きはじめる。
「アスハ⁉︎ あれ、ヤバいですよ‼︎ 魔力が急上昇しています‼︎ 自爆するつもりですよ‼︎」
ラプティが叫ぶ。
「なっ⁉︎ そ、そんなことしたら、そこの魔王だってただじゃ済まないはずだろ⁉︎」
アスハがティータイムに興じているはずのフィアに視線を移す。
「ーーお帰り、くださいませ、ご主人、さま・・・・・・」
給仕をしていたはずのユキは地面に倒れながら、末期の言葉をこぼしていた。
「ユキーっ⁉︎⁉︎」
フィアは首のないマリベルにお姫様抱っこされながら、空間に発生したゲートに身体を滑り込ませようとしているところであった。
「ーー次は絶対リロの仇をとるから‼︎」
フィアは、去り際にそう宣言すると親指を下に向けてブーイングしながら、空間の切れ目に消えていく。
「ーーに、逃げろー‼︎⁉︎‼︎」
「無理です⁉︎ 間に合いません⁉︎」
アスハが叫び、ラプティが絶望の声を上げる。それに呼応したように、冒険者達が口々に叫びだす。
「嫌だー⁉︎⁉︎ 死にたくないっ⁉︎⁉︎」
「あぁあぁあああああぁあ⁉︎⁉︎ 僕の店の残骸がぁっ⁉︎⁇‼︎⁉︎⁈」
「ーーそんなのどうでもいいから、酒場を守ってください‼︎‼︎ ほら、そっち持って‼︎ みんなで運んでください⁉︎⁉︎」
「無茶だにゃっ⁉︎ 落ち着くにゃ⁉︎ リスト⁉︎」
酒場の角を掴んで持ち上げようと頑張るリストの肩をガクガクと揺らすミケ。
「なにか⁉︎ なにかないのか⁉︎ ラプティ⁉︎」
「なにかって⁉︎ ないですよ⁉︎ーーいやでも、もしかしたら、そのエクスカリバーなら?」
ラプティは、顎に手をあて、何かを探るように考え込む。
「エクスカリバー? これ? ただの切れ味の良い剣じゃないのか?」
アスハはエクスカリバーを素振りするように振るが、特に何も起こらない。
「エクスカリバーは、選定の剣なんです。その剣に選ばれたものはそれまでからは考えられないほどの能力を振るうことができると言われています。ーー勇者ヒロシゲは、無理矢理引き抜いたようですが、本当はーー弱者が強者を打ち倒すための剣なんです」
「ーーそういえば、なんか体が軽いような?ーーでも、身体能力が上がった所で、あんなのどうすんだよ⁉︎」
「ーー打ち上げましょう‼︎ 花火です‼︎ 打ち上げ花火です‼︎」
ラプティは、ビシッと指を突きつける。
「いや、無理だろ⁉︎ 衝撃で爆発したらどうする⁉︎」
「その時はその時です‼︎ ほら、早く‼︎ 身体強化魔法かけてあげますから‼︎ーーストレングス‼︎」
ラプティが魔法を重ね掛けする。
「ちょっ⁉︎ まだやるとは言ってーーナンダコレ? ナンカスゴイイケルキガスル⁉︎⁉︎ーーイケル‼︎ イケルゾォォオオオ‼︎‼︎‼︎」
アスハは、焦点の定まらない目をしながら、エクスカリバーをブンブンと振り回し、マリベルの頭部へ向かっていく。
「ーーちょっと魔法掛けすぎましたか?」
ラプティの頬を一筋の汗が流れる。
「フハハハハハハッヒャッハーーーーーーーッ‼︎⁉︎‼︎⁉︎‼︎‼︎‼︎」
アスハがエクスカリバーを振りかぶる。
その足元で意識の朦朧としているミリアがアスハのズボンを引っ張る。
「ーーエクスカリバーは、私が・・・・・・」
アスハはバランスを崩しながら、野球のバットを振るようにマリベルの頭部を打ち上げる。
軌道がそれたマリベルの頭部は街の中央へ向けて斜めに飛んでいく。そして、轟音を響かせながら空中で爆発した。
爆発の余波をうけてアスハは意識を失った。
アスハの口からこぼれた一言により、絶望に静まり返っていた冒険者達の中に歓声が広がる。
「やった‼︎ やりやがったぜ‼︎ ランクEのヘタレ冒険者が‼︎」
「すげぇぜ‼︎ ただのヘタレの裏切り者じゃなかったんだな‼︎」
「魔王軍の手先の裏切り者でヘタレのゲロやろうの癖にやりやがったぜ‼︎ 俺は信じてたぜ‼︎」
「ーー魔王軍の手先の癖に、魔王の側近らしき奴を倒してよかったのか? ヘタレクソゲロ野郎?」
冒険者達は、口々にアスハを罵倒しながら周囲に集まってきて、アスハを胴上げし始める。
「てめぇら‼︎ 顔覚えたからなっ‼︎」
そう叫ぶアスハに呼応するように冒険者達がサッと身を翻す。
「ひぃっ⁉︎ 殺される⁉︎」
「やっぱり魔王の手先なんだ‼︎‼︎」
「このヘタレクソゲロ野郎‼︎」
「ーーやはり裏切り者は裏切り者だったな‼︎」
結果、アスハはそのまま地面に落とされる。
「グェッ⁉︎」
そして、冒険者達は少し離れた位置から小石を投げはじめた。
「いって⁉︎ ちょっ⁉︎ やめろぉっ⁉︎ ぶっとばすぞ‼︎」
エクスカリバーで弾こうとしながらも、地味に小石を喰らいつつ、アスハが叫ぶ。
「ーーおめでたい頭でなによりですね?」
そんな冒険者達に地面から話しかけるものがあった。
「首がしゃべったぁあぁぁぁああああ⁉︎⁉︎⁉︎‼︎」
それは、切り飛ばしたはずのマリベルの頭部であった。
マリベルの頭部は、ケタケタと笑いながら空中へ浮かぶ。
「どうやら、今回は私の負けです。ーーまさか貴方のような、なんの取り柄もなさそうな人間に首を落とされるとは思いませんでしたよ。これは、私に傷をつけた貴方への褒美です。ありがたく受け取ってください」
マリベルの頭部はそう言うと引き裂かれたように口元を広げる。
「ーーそこの娘は、魔法を無効化できるようですが、はたして、魔法の余波によって発生した現象までも無効化できるのでしょうかねぇ?」
そして、マリベルの頭部が光り輝きはじめる。
「アスハ⁉︎ あれ、ヤバいですよ‼︎ 魔力が急上昇しています‼︎ 自爆するつもりですよ‼︎」
ラプティが叫ぶ。
「なっ⁉︎ そ、そんなことしたら、そこの魔王だってただじゃ済まないはずだろ⁉︎」
アスハがティータイムに興じているはずのフィアに視線を移す。
「ーーお帰り、くださいませ、ご主人、さま・・・・・・」
給仕をしていたはずのユキは地面に倒れながら、末期の言葉をこぼしていた。
「ユキーっ⁉︎⁉︎」
フィアは首のないマリベルにお姫様抱っこされながら、空間に発生したゲートに身体を滑り込ませようとしているところであった。
「ーー次は絶対リロの仇をとるから‼︎」
フィアは、去り際にそう宣言すると親指を下に向けてブーイングしながら、空間の切れ目に消えていく。
「ーーに、逃げろー‼︎⁉︎‼︎」
「無理です⁉︎ 間に合いません⁉︎」
アスハが叫び、ラプティが絶望の声を上げる。それに呼応したように、冒険者達が口々に叫びだす。
「嫌だー⁉︎⁉︎ 死にたくないっ⁉︎⁉︎」
「あぁあぁあああああぁあ⁉︎⁉︎ 僕の店の残骸がぁっ⁉︎⁇‼︎⁉︎⁈」
「ーーそんなのどうでもいいから、酒場を守ってください‼︎‼︎ ほら、そっち持って‼︎ みんなで運んでください⁉︎⁉︎」
「無茶だにゃっ⁉︎ 落ち着くにゃ⁉︎ リスト⁉︎」
酒場の角を掴んで持ち上げようと頑張るリストの肩をガクガクと揺らすミケ。
「なにか⁉︎ なにかないのか⁉︎ ラプティ⁉︎」
「なにかって⁉︎ ないですよ⁉︎ーーいやでも、もしかしたら、そのエクスカリバーなら?」
ラプティは、顎に手をあて、何かを探るように考え込む。
「エクスカリバー? これ? ただの切れ味の良い剣じゃないのか?」
アスハはエクスカリバーを素振りするように振るが、特に何も起こらない。
「エクスカリバーは、選定の剣なんです。その剣に選ばれたものはそれまでからは考えられないほどの能力を振るうことができると言われています。ーー勇者ヒロシゲは、無理矢理引き抜いたようですが、本当はーー弱者が強者を打ち倒すための剣なんです」
「ーーそういえば、なんか体が軽いような?ーーでも、身体能力が上がった所で、あんなのどうすんだよ⁉︎」
「ーー打ち上げましょう‼︎ 花火です‼︎ 打ち上げ花火です‼︎」
ラプティは、ビシッと指を突きつける。
「いや、無理だろ⁉︎ 衝撃で爆発したらどうする⁉︎」
「その時はその時です‼︎ ほら、早く‼︎ 身体強化魔法かけてあげますから‼︎ーーストレングス‼︎」
ラプティが魔法を重ね掛けする。
「ちょっ⁉︎ まだやるとは言ってーーナンダコレ? ナンカスゴイイケルキガスル⁉︎⁉︎ーーイケル‼︎ イケルゾォォオオオ‼︎‼︎‼︎」
アスハは、焦点の定まらない目をしながら、エクスカリバーをブンブンと振り回し、マリベルの頭部へ向かっていく。
「ーーちょっと魔法掛けすぎましたか?」
ラプティの頬を一筋の汗が流れる。
「フハハハハハハッヒャッハーーーーーーーッ‼︎⁉︎‼︎⁉︎‼︎‼︎‼︎」
アスハがエクスカリバーを振りかぶる。
その足元で意識の朦朧としているミリアがアスハのズボンを引っ張る。
「ーーエクスカリバーは、私が・・・・・・」
アスハはバランスを崩しながら、野球のバットを振るようにマリベルの頭部を打ち上げる。
軌道がそれたマリベルの頭部は街の中央へ向けて斜めに飛んでいく。そして、轟音を響かせながら空中で爆発した。
爆発の余波をうけてアスハは意識を失った。
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