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伝家の宝刀
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くそっ⁉︎ どうする⁉︎ ピエロ仮面に唯一対抗できそうなヒロシゲはラプティのせいで戦闘不能だし、なぜか魔法打ち消せるミリアは気絶してる・・・・・・これ、もしかして積んだ?
「こちら、お茶請けのふわふわパンケーキ~春告げる再会の喜び~になります」
「わぁ~‼︎ 本当にふわふわだ~‼︎ すご~い‼︎」
いつのまに用意したのか、白いテーブルクロスをかけた丸いテーブルの上にユキが香ばしく甘い香りを漂わせるパンケーキを置く。
フィアは用意された琥珀色のハチミツと溶かしバターをたっぷりかけると、ナイフとフォークを使って一口サイズにしたものを口へ運ぶ。
「ちょっとそこの駄メイド⁉︎ なにしてんの⁉︎」
「駄メイド⁉︎ーー接待しておいた方がよろしいかと思いまして・・・・・・」
一瞬ショックを受けたものの、気を取り直したように小首を傾げながら、悪びれた様子もなく答えるユキにアスハは苛立つ。
「そいつ魔王だからな⁉︎ 敵だぞ⁉︎ それと今戦闘中だから‼︎ 緊張感もって‼︎」
「魔王って呼ばないで‼︎」
フィアは、その呼称がよほど気に入らないのか、ぷくっと頬を膨らませてテーブルを勢いよく叩く。
「お言葉ですがアスハ様。私はメイドです。メイドにとっては、主人に尽くすことが至上目的。ーーいわば、これが私の戦場なのです」
当然のことを言ったとでもいうような表情のユキにアスハが意を唱える。
「尽くす相手がおかしい‼︎ せめて、俺に尽くしてくれませんかねぇ⁉︎」
「いえ、アスハ様はどうやら、これから死ぬ予定のようなので、新しい主人に取り入ろうかと。ーーあ、後ろ危ないですよ?」
「⁉︎ーーあっぶねぇ⁉︎」
マリベルの放った魔法がアスハの体スレスレを通過し、目の前の服屋らしき建物を吹き飛ばす。
「僕の店がぁああああ⁉︎⁉︎‼︎‼︎」
ショートボブの男性冒険者が絶望の叫びをあげる。
「戦闘中に仲間割れとは随分と余裕があるようですね。ーーそれと魔王様‼︎ 敵からの施しなど受けてはなりません‼︎ 毒が入ってたらどうするんですか‼︎」
マリベルは、ホットケーキで懐柔されつつあるフィアが気になるようで、足元で倒れる二人へのとどめをいまだにさしていない。
「ーーえっ?ーーでも、美味しいよ?」
フィアは頬をリスのように膨らませながらパンケーキを口に詰め込む。
「失礼な事を言わないでください。このパンケーキは、コック長が、久しぶりに元気な姿が見れた古参の冒険者にと腕を振るってくださったものです」
ギルドの奥の厨房でコック長らしき左腕がサムズアップしているのが見えた。
「ーーコック長・・・・・・」
フィアは目を潤ませながら、パンケーキの最後の一切れを口に運ぶ。
「コック長・・・・・・? いえ、そんなことはどうでもいいです! 魔王様! そんな人間の甘言に惑わされてはいけません‼︎ お忘れですか‼︎ 人間達があなたに一体何をしたか‼︎ こいつらは必ずあなたを悲しませる‼︎ それが人間の本質です‼︎」
マリベルの声に炎のような激しい感情が灯る。それと相反するように、フィアの声からは、感情が消えていく。
「ーーわかってるよ。だから、マリベルーー」
ーー全部消して?
仮面の奥のマリベルの目が感情を失ったように静かになる。
「ーー仰せのままに」
マリベルの両手に先ほどと同じ黒い球体が出現する。
「ディストラクションノヴァ」
「させるか‼︎」
「なっ⁉︎ 小娘⁉︎」
気を失っていたはずのミリアの身体がマリベルの両手の黒い球体に触れる。
放たれれば全てを闇に飲み込む大技ディストラクションノヴァ。それが打ち消される事で、魔法使用者にできた、一瞬の隙。
エクスカリバーを両手に持った男は、それを見逃さなかった。
一振りでドラゴンすら屠る必殺の剣撃。それが、マリベルの仮面を両断する。
「ぐっ⁉︎ があぁぁあぁあああ⁉︎‼︎‼︎」
仮面がマリベルの足元でいまだに倒れ伏すヒロシゲの鎧にぶつかり、硬質な音をあげる。
「くそっ‼︎ 浅かった‼︎」
「ーーこのっ⁉︎ 人間風情がぁああぁあぁあ‼︎‼︎⁈‼︎⁉︎」
仮面を破壊され顕になった顔を憤怒に染め、マリベルは己の顔に深い傷をつけた男の顔を睨みつける。
勇者が落としたエクスカリバーを両手で持ち、緊張で引きつった顔をしたアスハは、投げ飛ばしたミリアの無事を確認すると、叫ぶ。
「ラプティ‼︎」
ラプティのパラライズショックが、激昂し反撃に移ろうとするマリベルの動きを一瞬止める。
「ーーこれで、さっきのは帳消しですよね‼︎」
「それはそれこれはこれ‼︎」
「なんでですか‼︎」
ラプティの叫びを聞き流しながら、振るわれたエクスカリバーの一撃は、今度こそマリベルの首を両断した。
「こちら、お茶請けのふわふわパンケーキ~春告げる再会の喜び~になります」
「わぁ~‼︎ 本当にふわふわだ~‼︎ すご~い‼︎」
いつのまに用意したのか、白いテーブルクロスをかけた丸いテーブルの上にユキが香ばしく甘い香りを漂わせるパンケーキを置く。
フィアは用意された琥珀色のハチミツと溶かしバターをたっぷりかけると、ナイフとフォークを使って一口サイズにしたものを口へ運ぶ。
「ちょっとそこの駄メイド⁉︎ なにしてんの⁉︎」
「駄メイド⁉︎ーー接待しておいた方がよろしいかと思いまして・・・・・・」
一瞬ショックを受けたものの、気を取り直したように小首を傾げながら、悪びれた様子もなく答えるユキにアスハは苛立つ。
「そいつ魔王だからな⁉︎ 敵だぞ⁉︎ それと今戦闘中だから‼︎ 緊張感もって‼︎」
「魔王って呼ばないで‼︎」
フィアは、その呼称がよほど気に入らないのか、ぷくっと頬を膨らませてテーブルを勢いよく叩く。
「お言葉ですがアスハ様。私はメイドです。メイドにとっては、主人に尽くすことが至上目的。ーーいわば、これが私の戦場なのです」
当然のことを言ったとでもいうような表情のユキにアスハが意を唱える。
「尽くす相手がおかしい‼︎ せめて、俺に尽くしてくれませんかねぇ⁉︎」
「いえ、アスハ様はどうやら、これから死ぬ予定のようなので、新しい主人に取り入ろうかと。ーーあ、後ろ危ないですよ?」
「⁉︎ーーあっぶねぇ⁉︎」
マリベルの放った魔法がアスハの体スレスレを通過し、目の前の服屋らしき建物を吹き飛ばす。
「僕の店がぁああああ⁉︎⁉︎‼︎‼︎」
ショートボブの男性冒険者が絶望の叫びをあげる。
「戦闘中に仲間割れとは随分と余裕があるようですね。ーーそれと魔王様‼︎ 敵からの施しなど受けてはなりません‼︎ 毒が入ってたらどうするんですか‼︎」
マリベルは、ホットケーキで懐柔されつつあるフィアが気になるようで、足元で倒れる二人へのとどめをいまだにさしていない。
「ーーえっ?ーーでも、美味しいよ?」
フィアは頬をリスのように膨らませながらパンケーキを口に詰め込む。
「失礼な事を言わないでください。このパンケーキは、コック長が、久しぶりに元気な姿が見れた古参の冒険者にと腕を振るってくださったものです」
ギルドの奥の厨房でコック長らしき左腕がサムズアップしているのが見えた。
「ーーコック長・・・・・・」
フィアは目を潤ませながら、パンケーキの最後の一切れを口に運ぶ。
「コック長・・・・・・? いえ、そんなことはどうでもいいです! 魔王様! そんな人間の甘言に惑わされてはいけません‼︎ お忘れですか‼︎ 人間達があなたに一体何をしたか‼︎ こいつらは必ずあなたを悲しませる‼︎ それが人間の本質です‼︎」
マリベルの声に炎のような激しい感情が灯る。それと相反するように、フィアの声からは、感情が消えていく。
「ーーわかってるよ。だから、マリベルーー」
ーー全部消して?
仮面の奥のマリベルの目が感情を失ったように静かになる。
「ーー仰せのままに」
マリベルの両手に先ほどと同じ黒い球体が出現する。
「ディストラクションノヴァ」
「させるか‼︎」
「なっ⁉︎ 小娘⁉︎」
気を失っていたはずのミリアの身体がマリベルの両手の黒い球体に触れる。
放たれれば全てを闇に飲み込む大技ディストラクションノヴァ。それが打ち消される事で、魔法使用者にできた、一瞬の隙。
エクスカリバーを両手に持った男は、それを見逃さなかった。
一振りでドラゴンすら屠る必殺の剣撃。それが、マリベルの仮面を両断する。
「ぐっ⁉︎ があぁぁあぁあああ⁉︎‼︎‼︎」
仮面がマリベルの足元でいまだに倒れ伏すヒロシゲの鎧にぶつかり、硬質な音をあげる。
「くそっ‼︎ 浅かった‼︎」
「ーーこのっ⁉︎ 人間風情がぁああぁあぁあ‼︎‼︎⁈‼︎⁉︎」
仮面を破壊され顕になった顔を憤怒に染め、マリベルは己の顔に深い傷をつけた男の顔を睨みつける。
勇者が落としたエクスカリバーを両手で持ち、緊張で引きつった顔をしたアスハは、投げ飛ばしたミリアの無事を確認すると、叫ぶ。
「ラプティ‼︎」
ラプティのパラライズショックが、激昂し反撃に移ろうとするマリベルの動きを一瞬止める。
「ーーこれで、さっきのは帳消しですよね‼︎」
「それはそれこれはこれ‼︎」
「なんでですか‼︎」
ラプティの叫びを聞き流しながら、振るわれたエクスカリバーの一撃は、今度こそマリベルの首を両断した。
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