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ああ言えばこういう 「改」
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連れて行かれたのは、品よく手入れされた庭園をもつ大きな屋敷だった。
「薄々そうじゃないかと思ってはいたが、お前貴族なの?」
「違うが?」
ミリアはアスハの問いかけに否定を返し、我が物顔で屋敷の庭園を進む。
その時、屋敷の一部屋が爆発し、火の手が上がる。
「⁉︎ おい! なんか爆発したぞ‼︎」
「気にするな。いつものことだ」
なんだと。
「屋敷が爆発するのがいつものことって・・・・・・帰っていい?」
「いいのか? それ売らなくて?」
ミリアの顔とモクモクとあがる黒煙を交互に見た後、ため息を吐く。
「危険はないんだよな?」
「保証はしない」
してくれよ。おかしい。何故服を売りに来ただけで危険に巻き込まれるのか。
その時、煙があがっていた部屋から、青い髪とメイド服を煤で汚した女性が、咳をしながら出てきた。
「あれ? この人、なんか見覚えが」
その青い髪の女性は、アスハがこの世界に来たばかりの頃、人間不信になりかけていた時に声をかけてくれた人だった。
「そいつが爆発の原因だな。間違いない」
「は? なんでそんな事がわかるんだよ?」
ミリアは肩をすくめると、青い髪の女性に話しかける。
「おい、ユキ。今度はなにをやらかしたんだ?」
咳込みながらも、ユキと呼ばれた女性は答える。
「何もしてません。鍋が何故か爆発したのです。私は料理をしていただけなのに」
「お前、料理は禁止されてなかったか? 食材がもったいないからって」
ミリアの指摘に、ユキは目を逸らす。
「今日はクロエさんが所用で出掛けていますので、私が代わりに皆様の昼食を準備しようかと」
「あの完璧主義者がよくお前にそんな大役を任せたな?」
ユキは明後日の方向を見ながら、口笛を吹こうとして細く息だけを吐き出している。
口笛吹けてないぞこの人。
「ユ~キ~?」
ユキの背後から、可愛らしい小鳥のような声が聞こえる。
「ア、アリア様・・・・・・違うんです。私はサンドイッチを作ろうとしただけなんです! これは何かの陰謀です!」
ユキの影から姿を現したのは、ミリアに似た金髪に、ゴシックロリータなドレスを纏った少女だった。
その姿を見た途端、ユキは涼しげな顔に冷や汗を滲ませながら、言い訳を始める。
「どうしてサンドイッチを作ろうとして鍋が爆発するのかしら? パンを切って薫製のお肉と野菜を挟むだけよね?」
「アリア様は普段料理をなされないので、サンドイッチと鍋の関係性に関する深淵な理由はお分かりにならないのです」
アリアはニコリと微笑むと背伸びをして、ユキの両頬を摘み思いっきり引っ張る。
「馬鹿にしてるのかしら?」
「めっほおほはひえふ」
滅相もないです。と言おうとするが言葉にならないユキが涙目で続ける。
「ほんはほほおい、おひゃふははへふ! はひははは!」
そんなことより、お客様です! アリア様! そう早口に言いながらアスハ達を示すユキ。
「あら、久しぶりねミリア。相変わらず冒険者なんて無謀なこと続けてるの? そのうち死ぬわよ? 冗談ではなく」
「ふん。言ってろ。私は最強だからな。魔王ですら私には傷一つつけられない。この前だってドラゴンと戦ったしな!」
ミリアは薄い胸をはる。それを訝しげに見ながら、ユキの頬をグニグニと弄ぶアリア。
「ドラゴン? 嘘でしょ? ぬこにすら勝てないあなたがそんなのと戦って生き残れる訳が・・・・・・ま、さか? あな、た・・・・・・ゴースト?」
「そんなわけあるか‼︎ ゴーストにこんなことができるか?」
ミリアはアリアの頬を摘むと思いっきり引っ張る。
「ははひははい」
話しなさい。と呟くアリア。それを見たユキが、ミリアの頬をプニッと摘む。
「はにほふふ」
何をする。とユキを睨むミリア。
「ふひはへふ、はんほはふ」
すみません、なんとなく。とユキが呟くのと、影達が、
「ミリア様きゃわわっ‼︎」
と叫ぶのは同時だった。
「お前らいたのかよ⁉︎」
アスハの叫びが庭園に響いた。
「薄々そうじゃないかと思ってはいたが、お前貴族なの?」
「違うが?」
ミリアはアスハの問いかけに否定を返し、我が物顔で屋敷の庭園を進む。
その時、屋敷の一部屋が爆発し、火の手が上がる。
「⁉︎ おい! なんか爆発したぞ‼︎」
「気にするな。いつものことだ」
なんだと。
「屋敷が爆発するのがいつものことって・・・・・・帰っていい?」
「いいのか? それ売らなくて?」
ミリアの顔とモクモクとあがる黒煙を交互に見た後、ため息を吐く。
「危険はないんだよな?」
「保証はしない」
してくれよ。おかしい。何故服を売りに来ただけで危険に巻き込まれるのか。
その時、煙があがっていた部屋から、青い髪とメイド服を煤で汚した女性が、咳をしながら出てきた。
「あれ? この人、なんか見覚えが」
その青い髪の女性は、アスハがこの世界に来たばかりの頃、人間不信になりかけていた時に声をかけてくれた人だった。
「そいつが爆発の原因だな。間違いない」
「は? なんでそんな事がわかるんだよ?」
ミリアは肩をすくめると、青い髪の女性に話しかける。
「おい、ユキ。今度はなにをやらかしたんだ?」
咳込みながらも、ユキと呼ばれた女性は答える。
「何もしてません。鍋が何故か爆発したのです。私は料理をしていただけなのに」
「お前、料理は禁止されてなかったか? 食材がもったいないからって」
ミリアの指摘に、ユキは目を逸らす。
「今日はクロエさんが所用で出掛けていますので、私が代わりに皆様の昼食を準備しようかと」
「あの完璧主義者がよくお前にそんな大役を任せたな?」
ユキは明後日の方向を見ながら、口笛を吹こうとして細く息だけを吐き出している。
口笛吹けてないぞこの人。
「ユ~キ~?」
ユキの背後から、可愛らしい小鳥のような声が聞こえる。
「ア、アリア様・・・・・・違うんです。私はサンドイッチを作ろうとしただけなんです! これは何かの陰謀です!」
ユキの影から姿を現したのは、ミリアに似た金髪に、ゴシックロリータなドレスを纏った少女だった。
その姿を見た途端、ユキは涼しげな顔に冷や汗を滲ませながら、言い訳を始める。
「どうしてサンドイッチを作ろうとして鍋が爆発するのかしら? パンを切って薫製のお肉と野菜を挟むだけよね?」
「アリア様は普段料理をなされないので、サンドイッチと鍋の関係性に関する深淵な理由はお分かりにならないのです」
アリアはニコリと微笑むと背伸びをして、ユキの両頬を摘み思いっきり引っ張る。
「馬鹿にしてるのかしら?」
「めっほおほはひえふ」
滅相もないです。と言おうとするが言葉にならないユキが涙目で続ける。
「ほんはほほおい、おひゃふははへふ! はひははは!」
そんなことより、お客様です! アリア様! そう早口に言いながらアスハ達を示すユキ。
「あら、久しぶりねミリア。相変わらず冒険者なんて無謀なこと続けてるの? そのうち死ぬわよ? 冗談ではなく」
「ふん。言ってろ。私は最強だからな。魔王ですら私には傷一つつけられない。この前だってドラゴンと戦ったしな!」
ミリアは薄い胸をはる。それを訝しげに見ながら、ユキの頬をグニグニと弄ぶアリア。
「ドラゴン? 嘘でしょ? ぬこにすら勝てないあなたがそんなのと戦って生き残れる訳が・・・・・・ま、さか? あな、た・・・・・・ゴースト?」
「そんなわけあるか‼︎ ゴーストにこんなことができるか?」
ミリアはアリアの頬を摘むと思いっきり引っ張る。
「ははひははい」
話しなさい。と呟くアリア。それを見たユキが、ミリアの頬をプニッと摘む。
「はにほふふ」
何をする。とユキを睨むミリア。
「ふひはへふ、はんほはふ」
すみません、なんとなく。とユキが呟くのと、影達が、
「ミリア様きゃわわっ‼︎」
と叫ぶのは同時だった。
「お前らいたのかよ⁉︎」
アスハの叫びが庭園に響いた。
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