この悪縁に祝杯を

口は災いの元 「改」

　世界は不平等だ。
　生まれ持っての才能だとか、容姿だとか財産だとか血筋だとか。

　普通に生活している中ではみんな気にしないように、考えないようにしているけど、受験や就職活動の人生の今後を左右するような転機では嫌でも思い知らされる。

　圧迫面接での失敗で笑い者にされ涙目でその場から逃げ出した後フラフラと街をさまよっていた俺は、そんなことをブツブツ呟きながら駅のベンチに落ち着いた。

｢つーかなんだよ、貴方の短所はなんですかって！　普通長所も聞くだろ‼︎　なんで短所オンリー⁉︎｣

　緊張で、ガチガチになっていた俺はもはや、何をしゃべっているのかもわからないまま自らの短所というより失敗談をつらつらと繰り返していたところを、みかねた面接官の一人に止められ我に返ったところで自らの失敗に気づき涙目で逃げ出したのであった。

｢なんだこれ、ただ、恥だけを世間様に晒して帰ってきただけ・・・・・・｣

｢もうやだ、死にたい・・・・・・｣

『把握』

｢・・・・・・はっ？｣

　刹那、視界は黒に包まれた。