140字小説〜ロスタイム〜

初瀬四季[ハツセシキ]

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抽象画

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 抽象画家は三歳の息子が描いたラクガキを眺めるのが日課だった。

 ある日画商が訪ねてきた。

 画商は発注していた絵を受け取り帰った。

「続いてかの有名画家の傑作です!」

 オークションに出品された絵には過去最高額がついたが画家に連絡すると、絵画を買い戻したいと言う。
 理由を聞くと。

「それ、息子の」

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