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韓国の人たち
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加藤は、帽子を深くかぶり気付かれないように羽田空港の国際線ターミナルまで雪乃たちを尾行して来た。 彼らがこれから韓国に行くと確信していた。 全員が集まったタイミングで写真を撮ると、パソコンで記事をフライデーに送り小さくほくそ笑んでいた。
レオン、ギルバート、吉原たちも含め全てのメンバーが羽田空港国際線ターミナルに集っていた。 愛花からの「私も2曲歌うわ。綱島くん、問題ない?」との提案にみんなが嬉しそうな表情を浮かべえた。 朝から気難しい顔をしている千鶴は、おもむろに尋ねて来た。
「私、元慰安婦の人たちに、これからそういう世界がなくなるように共に活動して行きたいと、提案しようと思うのだけど。これは、私の意見を押し付けることになるかな?」
雪乃に「そんなことはない。だけど、望まない者に押し付けることはいけないよ。」と諭され、頷いた千鶴はほっとしたように、嬉しそうに笑った。
キムジウも「私も思っていた。」と言うと、ダイスケは「それでいい。」と言い、みな笑顔を見せた。 吉原が、
「そういう考えを我々も持っていたが、政府批判ばかりに目が向いていたのかもしれないね。」と言い、葉山の顔を見ていた。 ギルバートが早速メモを取ると、レオンが俺もとばかりにパソコンを叩いた。
韓国に向かう飛行機の中は静かで、日本語ばかりが聞こえてきた。 ニュースに書かれているように韓国人の日本旅行が激減している影響によるものと思われた。 飛行機の中でも綱島はパソコンを叩いていたが、他のものは久しぶりにパソコンから離れた時間を楽しんでいるようであった。 雪乃がキムジウに「両親やおじさんに会う時に同席しようか?」と提案すると、「一人でやってみる。」と笑顔で答えた。
ダイスケはキムジウから渡されたスケジュールに目を通しながら、韓国の会議をどのように組み立てるか思案していた。 キムジウにまだ公開されていない我々のホームページをハングルに翻訳してもらっており、それをキムジウに説明してもらうのでも良いのだがと、考えているうち眠気に襲われ、眠ってしまった。
ソウルに着くとダイスケたちはタクシーでキムジウが用意したホテルの会議室へ向かった。 滞在中、キムジウはそのホテルにそれぞれの部屋と会議室とを予約していた。
ダイスケが、キムジウに「会議室は、時間貸しなのだから滞在期間を通して借りるのではなく使う時間だけ借りればいい。」と言うと、キムジウがしょんぼりした様子になった。
ダイスケは、慌てて「今後注意すればいいから。」と優しい表情で言うと、キムジウは、こくりと頷いた。 今日は2時間後に、基金から支給を受けなかった元慰安婦のひとりに会うことになっていた。 徐々に重い空気に支配されて行った。
会議室に着くと会場の設営を素早く終えて、面談の手順を確認した。 まず、千鶴とキムジウのメッセージが流され、我々の活動目的が話される。 その後、元慰安婦の話を聞いたうえで、彼女に我々がやれることがないか否か協議することとなる。 空港での千鶴の提案を基に二人のメッセージは取りなおされた。 ほかの人のメッセージはDVDに焼かれ手渡す予定になっていた。 ダイスケから「威圧しないよう、元慰安婦と話をするのは千鶴とキムジウの二人でね。」と言われ、二人は緊張した様子になった。
時間になるとドアが叩かれ、当の彼女が弁護士と共に現れた。
彼女は、椅子に座ると流暢な日本語で自分の名前を語り、葉山と吉原に「久しぶりね、元気にしていた?」と言った。 葉山が「お互い年を取りましたね。懐かしいわ。」と言うと、吉原も頷いた。 なるほど、二人は、ずっと活動をしていたのでつながりがあることは、自明の理といえるが、ダイスケは、自分たちに黙っていたのは少し意地悪だなと思いつつ、葉山を見ると、いたずらっ子のような表情でにこりと笑った。
二人のメッセージが流され、活動目的が話されると、彼女から「大筋は理解したよ。」と話し始めた。 彼女が受けた仕打ちや、日本人が朝鮮人に行ったことについて、淡々と話が続いた。 千鶴の目には涙が浮かび、何度も「すみません。」と謝罪することになった。 そのたび彼女は「あなたを責めているわけではないし、日本人を責めているわけではないよ。」と言った。 彼女の話が終わって、千鶴が「私たちが、贖罪の為にできることはないですか?」と聞くと、彼女は、「何もできることはないし、葉山や吉原たちの日本人が私たちに今まで、協力してくれたよ。 でも、日本政府と天皇に謝罪してもらえたらと思うね。 それが、悲願だよ。」と答えた。
キムジウが「でも、それは、私たちはすることができない。 けれど見て。」とユーチューブの動画を立ち上げた。 そして「おばあさんの想いを我々は多くの人に届けることができるの。」と言った。 続いて千鶴が立ち上がり、「私たちは貴方たちに許されることはないかもしれないけど、その思いを記録し、後世まで紡いでいくことで、おばあさんみたいな被害者がいない世界を作っていきたいの。 だからこれからもどうか話を聞かせてください。気が済むまでお願いします。」と頭を深く下げた。
「共感したよ。」と彼女は、千鶴の言葉に押されるように、手を差し出した。 三人ががっちりと手を取りあり、笑顔になった。 この後の計画を彼女に報告すると、この次に作られる歌を先に見せて欲しいと彼女が提案したので、皆同意した。
その後、暫くみんなで会話を交わした。 彼女から他の慰安婦に対して、個別に我々と面談できるように連絡を取ってくれるとの話が出て、渡りに船とお願いした。 最後に彼女が 「私も元々慰安婦にさせられたことを時代のせいと諦めていたよ。 確かに慰安婦は不条理だが、その時代は死という最大の不条理がそこかしこにあった時代だったよ。 だけど、いつの間にか周りに人が集まり、日本政府や日本人への憎しみへ変化していった。 あなたたちも気を付けてね。 あなたが言う理不尽な大人たちが、あなたたちの周りにたくさんいるよ。 この利権にしがみつき、巣くう者が一杯いる。」と連れてきた弁護士を見つめた。弁護士は視線を逸らし、気まずそうに咳ばらいをした。
彼女に再会を約束して別れると、千鶴とキムジウは、気が抜けたのかテーブルに伏せていた。 千鶴が「うまく行った?」と聞いたので、全員が称賛の声を送った。 ダイスケは、「二人とももう一人立ちできてる、俺の出番はなくなっている。 そろそろグダグダな生活に戻ろうかな。」というと、
「逃さないわ。」とキムジウが言い、「最後まで付き合うのが大人の振る舞いよ。」と指摘した。 いずれにしも計画は、足早に成功に向かっている。 というよりもダイスケが考えていた以上に、その成果ははるかに大きいものになっていた。 但し、彼女が言った巣くう者の正体が気になりだしてきた。 そしてダイスケは彼女たちを守る手段を考える必要があると強く思った。
キムジウは、ダイスケたちと別れ、実家への帰途についた。 この活動を通して彼女が知ったことは共感できることであり、共感がある種の集団をつくる原動力となることである。「おじさんに共感してもらえるだろうか?」と考えてみたが、結論はでなかった。 ただ、今日おばあさんにあって自分のしていることに十分自信が持てた。 学校の友達も含めダイスケたち日本人のほとんどが誠実であり、優しかった。 おじさんの日本に対する感情は、日本人を知らないことに端を発しているのではないかと思った。 いずれにしても目の前にある課題をこなすことが未来への一歩になると思っていた。
キムジウは、結局一睡もできなかった。昨晩、叔父と対峙したものの、結局、理解されることはなかった。 怒った叔父は、両親に対し絶縁状を突きつけて、キムジウの日本留学を即刻中止するようにと、捨て台詞を残し出て行った。 両親には認められたものの、これでいいわけはなかった。 何がいけなかったのだろうか?と考えても答えは出なかった。
怒り狂い激しい罵倒を繰り返している叔父の目が恐ろしかった。 自分は論理的に話していたのに、理解してもらえないという現実がこれからも続くのであろうか。 そこは共存も共栄も何もない不毛の大地だった。もはや暴力や憎悪でしか解決し得ない世界なのだろうかと? 沈む気持ちを抑えつつ、昨晩、愛花がアップした新曲の歌詞を、動画を見ながら歌っていた。 もしかしたらダイスケや雪乃であれば解決の糸口を見出しているかもしれない。 ともかく仲間に会いたい、一秒でも早く。
愛花は、自作した3曲を動画にアップした後、キムジウにメールで歌詞と動画のリンクを送った。 彼女の話を聞いて、日本で自分が作った歌詞を一部、変更していた。 動画の撮影は、綱島が探してきた山間の廃村で行うことになっていた。 それまでに千鶴やキムジウにレッスンを付けて、歌を自分のものにしてもらう必要があった。 歌に自信はあったが、本当にあのおばあさの心に届けられるのか不安があった。 曲をイメージして小さな声で繰り返し口ずさんだ。
約束の時間に集まったみんなにダイスケは、「今日は頑張って行こう。」と声を掛けた。
キムジウの落ち込んでいる顔が気になり、「大丈夫?」と聞くと彼女は首を横に振り、昨日の叔父との対峙を話した。 ダイスケは、「それなら問題ないよ。」と言った。
「ジウちゃんがおじさんの嫌いな日本人と与して活動を行っているという怒りが、今のおじさんの心を突き動かしている。 この状況では通常なんにも聞き耳を持てないはずだ。しかし、おじさんは罵倒しながらも最後まで話は聞いてくれた。でいいかな?」
キムジウは、「はい」と小さく頷いた。
「それであれば、次につながる。 これから我々の活動をおじさんは注視するはずだし、明日会うことになっている、賛同してくれた韓国の人や彼女のような同胞が活動に加わって行く姿も目にするわけだ。 それでも彼にとって我々の活動が正しいことになるかはわからないが、でも日本と韓国の架け橋の一つになって行くかことは理解できると思う。そうなればまた会話できるさ。」とダイスケが言うと、
キムジウが嬉しそうに「頑張る。」と笑った。
レオン、ギルバート、吉原たちも含め全てのメンバーが羽田空港国際線ターミナルに集っていた。 愛花からの「私も2曲歌うわ。綱島くん、問題ない?」との提案にみんなが嬉しそうな表情を浮かべえた。 朝から気難しい顔をしている千鶴は、おもむろに尋ねて来た。
「私、元慰安婦の人たちに、これからそういう世界がなくなるように共に活動して行きたいと、提案しようと思うのだけど。これは、私の意見を押し付けることになるかな?」
雪乃に「そんなことはない。だけど、望まない者に押し付けることはいけないよ。」と諭され、頷いた千鶴はほっとしたように、嬉しそうに笑った。
キムジウも「私も思っていた。」と言うと、ダイスケは「それでいい。」と言い、みな笑顔を見せた。 吉原が、
「そういう考えを我々も持っていたが、政府批判ばかりに目が向いていたのかもしれないね。」と言い、葉山の顔を見ていた。 ギルバートが早速メモを取ると、レオンが俺もとばかりにパソコンを叩いた。
韓国に向かう飛行機の中は静かで、日本語ばかりが聞こえてきた。 ニュースに書かれているように韓国人の日本旅行が激減している影響によるものと思われた。 飛行機の中でも綱島はパソコンを叩いていたが、他のものは久しぶりにパソコンから離れた時間を楽しんでいるようであった。 雪乃がキムジウに「両親やおじさんに会う時に同席しようか?」と提案すると、「一人でやってみる。」と笑顔で答えた。
ダイスケはキムジウから渡されたスケジュールに目を通しながら、韓国の会議をどのように組み立てるか思案していた。 キムジウにまだ公開されていない我々のホームページをハングルに翻訳してもらっており、それをキムジウに説明してもらうのでも良いのだがと、考えているうち眠気に襲われ、眠ってしまった。
ソウルに着くとダイスケたちはタクシーでキムジウが用意したホテルの会議室へ向かった。 滞在中、キムジウはそのホテルにそれぞれの部屋と会議室とを予約していた。
ダイスケが、キムジウに「会議室は、時間貸しなのだから滞在期間を通して借りるのではなく使う時間だけ借りればいい。」と言うと、キムジウがしょんぼりした様子になった。
ダイスケは、慌てて「今後注意すればいいから。」と優しい表情で言うと、キムジウは、こくりと頷いた。 今日は2時間後に、基金から支給を受けなかった元慰安婦のひとりに会うことになっていた。 徐々に重い空気に支配されて行った。
会議室に着くと会場の設営を素早く終えて、面談の手順を確認した。 まず、千鶴とキムジウのメッセージが流され、我々の活動目的が話される。 その後、元慰安婦の話を聞いたうえで、彼女に我々がやれることがないか否か協議することとなる。 空港での千鶴の提案を基に二人のメッセージは取りなおされた。 ほかの人のメッセージはDVDに焼かれ手渡す予定になっていた。 ダイスケから「威圧しないよう、元慰安婦と話をするのは千鶴とキムジウの二人でね。」と言われ、二人は緊張した様子になった。
時間になるとドアが叩かれ、当の彼女が弁護士と共に現れた。
彼女は、椅子に座ると流暢な日本語で自分の名前を語り、葉山と吉原に「久しぶりね、元気にしていた?」と言った。 葉山が「お互い年を取りましたね。懐かしいわ。」と言うと、吉原も頷いた。 なるほど、二人は、ずっと活動をしていたのでつながりがあることは、自明の理といえるが、ダイスケは、自分たちに黙っていたのは少し意地悪だなと思いつつ、葉山を見ると、いたずらっ子のような表情でにこりと笑った。
二人のメッセージが流され、活動目的が話されると、彼女から「大筋は理解したよ。」と話し始めた。 彼女が受けた仕打ちや、日本人が朝鮮人に行ったことについて、淡々と話が続いた。 千鶴の目には涙が浮かび、何度も「すみません。」と謝罪することになった。 そのたび彼女は「あなたを責めているわけではないし、日本人を責めているわけではないよ。」と言った。 彼女の話が終わって、千鶴が「私たちが、贖罪の為にできることはないですか?」と聞くと、彼女は、「何もできることはないし、葉山や吉原たちの日本人が私たちに今まで、協力してくれたよ。 でも、日本政府と天皇に謝罪してもらえたらと思うね。 それが、悲願だよ。」と答えた。
キムジウが「でも、それは、私たちはすることができない。 けれど見て。」とユーチューブの動画を立ち上げた。 そして「おばあさんの想いを我々は多くの人に届けることができるの。」と言った。 続いて千鶴が立ち上がり、「私たちは貴方たちに許されることはないかもしれないけど、その思いを記録し、後世まで紡いでいくことで、おばあさんみたいな被害者がいない世界を作っていきたいの。 だからこれからもどうか話を聞かせてください。気が済むまでお願いします。」と頭を深く下げた。
「共感したよ。」と彼女は、千鶴の言葉に押されるように、手を差し出した。 三人ががっちりと手を取りあり、笑顔になった。 この後の計画を彼女に報告すると、この次に作られる歌を先に見せて欲しいと彼女が提案したので、皆同意した。
その後、暫くみんなで会話を交わした。 彼女から他の慰安婦に対して、個別に我々と面談できるように連絡を取ってくれるとの話が出て、渡りに船とお願いした。 最後に彼女が 「私も元々慰安婦にさせられたことを時代のせいと諦めていたよ。 確かに慰安婦は不条理だが、その時代は死という最大の不条理がそこかしこにあった時代だったよ。 だけど、いつの間にか周りに人が集まり、日本政府や日本人への憎しみへ変化していった。 あなたたちも気を付けてね。 あなたが言う理不尽な大人たちが、あなたたちの周りにたくさんいるよ。 この利権にしがみつき、巣くう者が一杯いる。」と連れてきた弁護士を見つめた。弁護士は視線を逸らし、気まずそうに咳ばらいをした。
彼女に再会を約束して別れると、千鶴とキムジウは、気が抜けたのかテーブルに伏せていた。 千鶴が「うまく行った?」と聞いたので、全員が称賛の声を送った。 ダイスケは、「二人とももう一人立ちできてる、俺の出番はなくなっている。 そろそろグダグダな生活に戻ろうかな。」というと、
「逃さないわ。」とキムジウが言い、「最後まで付き合うのが大人の振る舞いよ。」と指摘した。 いずれにしも計画は、足早に成功に向かっている。 というよりもダイスケが考えていた以上に、その成果ははるかに大きいものになっていた。 但し、彼女が言った巣くう者の正体が気になりだしてきた。 そしてダイスケは彼女たちを守る手段を考える必要があると強く思った。
キムジウは、ダイスケたちと別れ、実家への帰途についた。 この活動を通して彼女が知ったことは共感できることであり、共感がある種の集団をつくる原動力となることである。「おじさんに共感してもらえるだろうか?」と考えてみたが、結論はでなかった。 ただ、今日おばあさんにあって自分のしていることに十分自信が持てた。 学校の友達も含めダイスケたち日本人のほとんどが誠実であり、優しかった。 おじさんの日本に対する感情は、日本人を知らないことに端を発しているのではないかと思った。 いずれにしても目の前にある課題をこなすことが未来への一歩になると思っていた。
キムジウは、結局一睡もできなかった。昨晩、叔父と対峙したものの、結局、理解されることはなかった。 怒った叔父は、両親に対し絶縁状を突きつけて、キムジウの日本留学を即刻中止するようにと、捨て台詞を残し出て行った。 両親には認められたものの、これでいいわけはなかった。 何がいけなかったのだろうか?と考えても答えは出なかった。
怒り狂い激しい罵倒を繰り返している叔父の目が恐ろしかった。 自分は論理的に話していたのに、理解してもらえないという現実がこれからも続くのであろうか。 そこは共存も共栄も何もない不毛の大地だった。もはや暴力や憎悪でしか解決し得ない世界なのだろうかと? 沈む気持ちを抑えつつ、昨晩、愛花がアップした新曲の歌詞を、動画を見ながら歌っていた。 もしかしたらダイスケや雪乃であれば解決の糸口を見出しているかもしれない。 ともかく仲間に会いたい、一秒でも早く。
愛花は、自作した3曲を動画にアップした後、キムジウにメールで歌詞と動画のリンクを送った。 彼女の話を聞いて、日本で自分が作った歌詞を一部、変更していた。 動画の撮影は、綱島が探してきた山間の廃村で行うことになっていた。 それまでに千鶴やキムジウにレッスンを付けて、歌を自分のものにしてもらう必要があった。 歌に自信はあったが、本当にあのおばあさの心に届けられるのか不安があった。 曲をイメージして小さな声で繰り返し口ずさんだ。
約束の時間に集まったみんなにダイスケは、「今日は頑張って行こう。」と声を掛けた。
キムジウの落ち込んでいる顔が気になり、「大丈夫?」と聞くと彼女は首を横に振り、昨日の叔父との対峙を話した。 ダイスケは、「それなら問題ないよ。」と言った。
「ジウちゃんがおじさんの嫌いな日本人と与して活動を行っているという怒りが、今のおじさんの心を突き動かしている。 この状況では通常なんにも聞き耳を持てないはずだ。しかし、おじさんは罵倒しながらも最後まで話は聞いてくれた。でいいかな?」
キムジウは、「はい」と小さく頷いた。
「それであれば、次につながる。 これから我々の活動をおじさんは注視するはずだし、明日会うことになっている、賛同してくれた韓国の人や彼女のような同胞が活動に加わって行く姿も目にするわけだ。 それでも彼にとって我々の活動が正しいことになるかはわからないが、でも日本と韓国の架け橋の一つになって行くかことは理解できると思う。そうなればまた会話できるさ。」とダイスケが言うと、
キムジウが嬉しそうに「頑張る。」と笑った。
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