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序章
しおりを挟む「暑いな。」ダイスケは、目を覚ますと同時につぶやいた。
窓を閉め切った部屋は、既に30℃を超えていて、寝汗で濡れた肌着が身体にまとわりついていて不快だった。大量の寝酒のせいで、乾いた喉が不快さを加速させていた。
昨晩からつけっぱなしのテレビでは、「台風が明日列島を直撃するでしょう」と、暴風圏に近い地域にいるレポーターが興奮した表情で話していた。
ダイスケは、窓を開け空気を入れ替えると、たばこに火をつけて一気に煙を吸い込んだ。
軽くむせながらも、いつもの朝に満足していた。台風もこれだけ離れていれば静かなものであった。
テレビからは連日の日韓問題のニュースが流れていた。
「本当に、日本政府も韓国政府も不毛なことをしているものだな。」
ダイスケは、この4月に54歳で退職した。いい選択であったかどうか疑問であったが、独り身で、これ以上意味があるとは思えない仕事を続けることができないと思ったからであった。その後のことを考えていないわけではなかったが、進路を決めての退職ではなかったので、この数か月だらだらと過ごしていた。時計を見ると7時を回っていた。
ネットで収集した情報によると、今日は横浜にあるパチンコ店が強い旧イベント日であるうえ、パチスロ情報サイトの取材日になっていた。昨日、ダイスケは、閉店時の台の状況も確認しており、そこから4台と一つの島に狙いを絞っていた。入場抽選が8時半からであることを考慮すると、そろそろ出かけなければならなかった。
ダイスケが、けだるい身体に鞭を打ち愛車のPCXにまたがると、ちょうど家から出てきた大家の雪乃と目が合った。
「おはようございます。」ダイスケが挨拶すると、雪乃が深刻そうな顔で言った。
「明日、家賃入れてよね。それといい男が毎日だらだらしているのは、見ていて感じの良いものじゃないよ。そろそろ何か始めないと・・・」
ダイスケは、「分かっています。」と軽く雪乃をいなし、頭を下げてスロットルを回した。
パチンコ屋のダイスケの入店番号は、143番で狙い台を取ることが難しい状況であったが、他の店に強い魅力もなかったためそのまま並ぶことにした。
ダイスケの後ろには情報サイトの動画の演者が並んでいて、この店について大声で話していた。その情報によると旧イベント日には全台リセットが掛かるようで、ダイスケの狙いが間違っていないことが分かった。9時になり入場が始まった。予想通り、ダイスケの狙い台は空いていなかったが、天井まで回さずに席を離れる人もいるかと思い、見(けん)に回ることにして、椅子に座りネットニュースを閲覧しながら考えていた。
若いころからダイスケは、世界の状況は変えられると思っていた。この理不尽な状況が横行する世の中は、マルクスとエンゲルスが言った通り支配階級の思想によりかたち作られており、弱者に対し救済のない世界のように映るが、個々の人びとは思ったより善人であり、話し合いにより多くのことが解決できるものではないかなと強く信じていた。
だから、日朝問題も政府間の協議のみで解決し得る問題ではなく、被害者に向き合い丁寧に対応することが重要だと思っていた。 あれこれ考えていると2時間ほど時間が経っていた。狙い島を見に行くと既に千ゲーム以上回っている台が見受けられ、他に強い台もないようであった。 「がせか。」ダイスケは、そう呟いて店を後にした。
そしてPCXを横須賀方面に向かって走らせた。横浜駅から山下公園前を抜け、国道357号に合流した。国道357号は、制限速度60キロの、ほとんどが快適な広い片側2車線道路で、特に三渓園から根岸にかけての首都高湾岸線の下を走る高架から、工場群が見える景色が近未来つぽく見え、気に入っているドライビングロードだ。 暑くはなかったが、台風のせいで時おり激しい雨が降ってびっしょり濡れた。
午後から横須賀で麻雀を打つ予定にしていたが、濡れた服が乾くまで流そうと思い、国道357号から金沢で16号に合流し観音崎方面に向かった。 馬堀から東京湾が一望できるこの道路から、大型の貨物船やタンカーが悠々と航海する様子は、ダイスケが子供心に持っていた原風景で、懐かしい気持ちを思い出させてくれた。
今日は、天然ガスタンカーと自衛隊の「いずも」級の護衛艦まで見ることができた。
「ラッキーだったな」と思いながらもダイスケは、いつか横須賀のベースに「フォード」級空母が入港することになったら、必ずここで待ち構えようと決めていた。
観音崎を過ぎると、服も乾いたので横須賀中央の駐輪場にバイクを止めた。
近くの行きつけの居酒屋で昼飯に釜めしを頬張った。ビールが飲みたかったが、我慢した。
これから長時間麻雀をすることを思えばビール1本ぐらいは問題ないように思ったが、飲酒運転で捕まるリスクを思ってあきらめた。
ダイスケは博打好きであったが、パチスロは期待値、麻雀はパイ効率を考慮すれは負けない博打であることが理論的に理解できていたため、他の博打は行わなかった。 店を出て、立ち食いの焼き鳥店で3本ほど豚バラを頬張り、横須賀中央口の近くの雀荘に入った。
「すぐ、入れますよ。東2局、持ち点26000点、1本場南家です。」店に入ると店長が、満面の笑みで迎えた。
「入ります。」とダイスケが答えると、「麦茶でいいですか。」と聞いてきたので、ダイスケは頷いた。席に着くと手配が3巡目で2面子完成していたが、親からリーチが入ったところであった。親は、常連の山田で、どんな手でもリーチを掛けて強引に積もる上に強打する打ち手だった。デジタル派のダイスケは、強引な流れ論者で強打の山田を苦手にしていたが、対戦成績は悪くなかった。
「参ったよ。山田さん絶好調で裏ドラ乗りまくりだから、注意だよ。」そう下家の後藤が言った。まだ昼を過ぎたばかりだが、もう顔が赤くなっていた。サイドテーブルにはビールが乗っていた。状況から判断すると、昨日から打ち続けている様子だった。
麻雀は、不思議なゲームで打ち手に想像を絶するほどの過労を強いることがある。
後藤は60歳をゆうに超えているが、その後藤が卓では徹夜を厭わない状況に追い込む。
そもそも、古くから徹満マンという言葉があるところが、彼はそれを体現していた
ダイスケも72時間打ち続けたこともある。なぜそこまでするのかと、打たない人は言うかもしれないが、麻雀には人をそこまでさせる魔力を持つ魅力があった。
とにかく、まだ早い巡目で安パイもほとんどない中で、リーチに対応する必要があるが、当たりハイは1つか2つであることや持ち手がリャンシャンテンであることを考慮すると自分の都合で進めるべきだと思った。ドラ側の3満を切ると、山田から「相変わらず強気だな。」との声が飛んだ。結局、ダイスケに聴牌は入らず、流局になったが、山田はドラの4万のカンチャン待ちであった。山田はリーチを待てば、その後もっと良い待ちに渡ってゆけたのに自摸(つも)っていた。ダイスケだったら、そうしていただろうに。
回数を重ねるとダイスケの勝ちが積みあがってきて、後藤の顔がさらに赤くなっていった。酔いもさらに進んできたこともあったが、負けが嵩んだことにより不機嫌さが顔に現れていた。
「全く、韓国の奴ら本当にしょうがないよな。日本はきちんと対応しているのに、いつまでたってもイチャモン付けてきてよー。謝罪すれば、また謝罪。賠償すれば、また賠償って。な、いつまで引きずってんの。国民性かよ。」後藤がそう言うと、山田が頷きながら続けた。
「もう、国交断絶してもいいんじゃないか。本当によ。日本は日韓請求権協定に基づき対応しているのに、いつまでやってるんだよ。」
すると対面に座っていた初めて見る若者が口を挟んだ。若者は180センチはあろうかと思える身長で、髪をピンと立たせた、ジャニーズにいてもおかしくないほどイケメンの風貌に、今どきの細身のスタイルで決めていた。
「俺、19歳で大学一年生なんですけど、K-POP好きだし・・・、俺の友達にも韓国人留学生いるけど、そんな悪い奴でもないし・・・。もっと仲良くすればいいのにって、思ってるんですよ。そもそも今回の問題は、徴用工の裁判に乗っかって日本政府が仕掛けている感が半端ないし・・・」
「それは、違うぞ。」山田が横やりを入れた。
「今回の輸出規制は、安全保障貿易管理の枠組みのなかで、大量破壊兵器及び通常兵器の開発等に使われる可能性がある貨物の輸出や技術の提供行為などを行う際の、届け出及び許可を受けることを義務付けた、いわゆる補完的貿易規制について3年前から経産省が指摘してきた問題点に対し、韓国側から回答がないことについての対応であって君が言うような報復措置ではないことを理解しなければいけないよ。大体、どっちの見方よ。」
「そういわれても・・・」
「綱島さん。この子3回目だからあんまりきついこと言わないでね。特に、後藤さん。」
すかさず、困っている店長が若者へ救いの手を差し伸べた。
「じゃあ、ダイスケは、どう思っているの。」そう尋ねる後藤に対し、ダイスケは持論を展開するかどうか迷っていたが、若者の思いに答えたいと思い口を開いた。
「慰安婦問題についてどう考えるか、以前から思っていることがある。」
「ロン、満貫。あれ、なんかいつもと違うな。」酔って呂律も怪しくなりつつある後藤が絡んできたが、ダイスケは慎重に言葉を選びながら続けた。
「まだ、13、4歳とかの子供も含め、自分の意志に係わらず慰安婦として強要された人たちがいたことは曲げられない事実だ。これは、もちろん韓国人だけでなく、日本人や他の国の人達も含めてだ。」
「それ、チョンボ。頭ないよ。」山田の指摘に、後藤が悔しそうに点棒を投げつけてきた。
かまわず、なおもダイスケは続けた。
「その屈辱や恐怖は想像を絶するもので、今でも、業火に焼かれる思いをしながら生き続けている人も少なくないと思う。もちろん、彼女たちの本当の気持ちを、僕が語ることはできないと思うけど・・・」 言葉を強めるダイスケに対し、山田が言った。
「ダイスケ、アメリカの教科書でも、14歳からになっているよ。小学生慰安婦問題もあったから真意はわからないけど。まあ、日本政府が言うように強制連行を示す根拠もなかったし、過去のことは取り返しがつかない。そのために日韓請求権協定に基づき経済協力の名のもと、日本政府は8億ドルもの賠償を行ったのだから。しかも1993年に宮澤内閣の“いわゆる従軍慰安婦問題について”の調査結果に基づいて、アジア女性基金が発足し、元慰安婦に対し宮澤総理が謝罪とともに賠償を行った。」
「前々から疑問に思っていたんだけど、」と綱島が聞いた。「総理大臣が謝罪したにも関わらず、なぜ韓国は、誠意なる謝罪をと繰り返すのですか。」
「それについては個人見解だが、」と前置きをしてダイスケが語った。
「韓国にとっては、戦争の責任は、国の象徴である天皇にあると考えていた。そもそも、ころころ変わる総理大臣が謝罪しても、それが誠意ある謝罪とは判断しないスタンスだったのかもしれない。また日本政府も、日本の責任を認めつつも、時の政権によって解釈を覆してきた。こうなると韓国にとっては、天皇から謝罪を引き出したうえで、有利なかたちで新たな国家間の枠組みを作ることが残された道となった。韓国にとっては日本に支配されていたという事実は、歴史的背景からみてとても受け入れ難い事実だったからだ。」
「歴史的な背景ってなんですか。」綱島が聞くと、山田が答えた。
「若者よ、韓国が強烈な儒教国家であることは知っているよな。古くから韓国にとっては、日本は、様々な文化や技術を教えてやった弟分という考え方が強く、儒教では弟が兄に意見することすら許されないのに、侵略されたのだから、それはあり得ない屈辱であり、その史実についてはどこかで雪辱を果たさなくてはいけないと考えている。一方日本政府には、巨額な賠償を支払ったおかげで韓国がここまで成長したのだからという思いがあり、協定に基づき全て解決済みとのスタンスを崩すわけにはいかない。ちなみに、慰安婦問題については協定締結後に発覚した問題であり、設立した基金も韓国政府は認めていないけど。」
韓国が強烈な儒教国家であることを、綱島が知っていたか否かは別として、話を聞いて納得したのか頷いた。
「話を戻すけれども、日本政府は協定と基金で十分に義務を果たしたと思っていたにも関わらず、慰安婦問題は、なおも続いていった。そこで安倍政権と朴政権下で、慰安婦問題日韓合意がなされ、両国間の問題は政府間では解決したことになった。」 とダイスケは、続けた。 「そこに今回、文大統領政権の合意破棄と徴用工の最高裁判決の問題が起こった。」
「そりゃー、安倍さんもかんかんだ。」後藤が口を挟んできた。
「俺ら国民もかんかんだ。もう、嫌韓だよ。」
二人を軽くたしなめ、ダイスケは言った。
「確かに、政府間での問題も含め色々な問題が山積しているが、大きく何かの視点に欠けていることに気付かないか、綱島さん。」
綱島が突然の質問に戸惑っていたが、少し考えた後に切り出した。
「元慰安婦の人たちの気持ちですか。」
ダイスケは、この若者の答えに対し嬉しそうに答えた。
「その通り、ここで一番考える必要があるのが、慰安婦であった被害者の人たちの気持ちだよ。であるにも関わらず日本は、政府間の問題と捉え、無視し続けた。言い方は悪いかもしれないが、韓国はそれを利用している。」
「でも、政府ができないならどうしようもないことでしょう。」綱島の質問にダイスケが答えた。
「そうだな。もうこうなると、国民に対し政府が植え続けたイデオロギーの対決だ。一歩も引けないチキンレース的な様相を呈しているな。だけど、人は話し合いで状況を変えることができる。政府ができないならば、できる人がすればいい。」
山田が、もうこの話は止めてとばかりに、高校野球の大船渡の決勝戦の話を持ち出してきた。綱島は、不満そうな顔をしていたが、麻雀に集中していったのかその後の会話に口を開くことはなかった。しかし夜が更けて来ると、「なにか僕にできることがあれば・・・、ラインのID交換をしてください。」と言い出した。 ダイスケが、[ラインはやっていないし他のSNSもやっていないので。]というと、携帯番号をメモして渡してきた。
ダイスケは、綱島の意見も聞きたかったので、飯にでも誘おうかとも思ったが、雨に当たったせいで疲れていたので、店長にラス半と伝え、帰途に就いた。
昨日と概ね同じ時間に起きると、付けっぱなしのテレにから、上陸した台風情報とその影響による公共交通機関の運行状況が繰り返されていた。
「今日の韓国報道は、一休みか。」ダイスケは、呟いて、携帯に目を移した。
韓国の反日運動のニュースを数件閲覧していたらニュースサイトが韓国の情報に埋め尽くされていた。 ネットでは以前から、ネットウヨと呼ばれるヘイト発言を厭わない輩が執拗に反韓運動を繰り返し流していたが、連日のテレビ報道によりその発言が支持されるようになってきた。 ヤフーニュースのコメント欄では、国交断絶や韓国人の国外退去など、不可能でありえもしない言葉の数々に「そう思う」のコメント数が増えてきていて、「そう思わない」の数が減ってきていた。 それに呼応するように一部の週刊誌のネットニュースは韓国へのネガティブキャンペーンを展開していた。
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