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狼心狗肺の報
76. ダリルフェルド、食い下がる
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セイファー歴 756年 10月8日
リベルト達が出立した二日後。セルジュは大きな相手と戦っていた。
「なぁ、やっぱりオレたちも出陣した方が良いと思わないか? こんなチャンス、滅多にないぜ」
ダリルフェルドがずっと食い下がってくるのである。これはダリルフェルドが部隊の調練をしていない間、ずっと続いていた。
これにしびれを切らしたセルジュは仕方なしにダリルフェルドにあることをお願いすることにした。彼を呼び寄せてアシュティア領の周辺地図を挟んで対峙する。
「ここ。ここに砦を築いて。ダナを連れて行って良いから。出来る?」
セルジュがある一点を指差した。それはファート領の領都であるアルマナの北西の位置である。コンコール村から北西に約五キロ進んだ地点だ。
ここを奪うことが出来ればリベルトの領土を超えてジャッド=リスの領土を囲む形になる。東に進むことはできないので今後は西に進むしかないだろう。これは大きな一歩になると考えていた。
「おう! 任せとけ。そう簡単に落ちない砦を築いてみせよう」
「無理だけはしないでよー!」
ダリルフェルドはセルジュの言葉に対して手を振って答えると、出陣の用意をするために執務室を後にした。それからダナを呼び出す。
「はぁい、坊ちゃん。何か用?」
ドロテアと一緒に入室したダナは眠そうな目を擦っていた。既に昼だというのに未だ眠っていたようだ。
「悪いんだけどさダリルフェルドと一緒に砦を築いて欲しいんだ。場所はこの辺り。お願いできる? 形はこだわらないから好きにして良いよ」
「もちろん! 資材さえあれば素敵な砦を築きますよー」
寝ぼけているのか本気なのか分からない返答で快諾する。そのまま自室に戻って工具を背負うと表に出て歩いて行ってしまった。
心配になったセルジュが窓から表の様子を窺うと、ダリルフェルドの部隊がきちんとダナを本人もろとも荷車に積んだ。それを見て安堵する。
荷車には他にも食糧や釘や木材などの資材、スコップや斧などの道具が積まれていた。もちろん、兵たちはフル装備である。
「じゃあ、セルジュ。行ってくる」
「援軍要請があるかもしれないんだから、それも考えて行動してよ?」
セルジュの小言を聞いているのかいないのか。全体駆け足で目的地へと足を運んでいた。それを見届けた後、セルジュは地図にもう一度視線を落としてコンコール村を起点に南西に線を引いた。
その線はコンコール村の西の森の上を通っており、ここの木を伐って資材とするためコンコール村にお使いを出したのであった。
リベルト達が出立した二日後。セルジュは大きな相手と戦っていた。
「なぁ、やっぱりオレたちも出陣した方が良いと思わないか? こんなチャンス、滅多にないぜ」
ダリルフェルドがずっと食い下がってくるのである。これはダリルフェルドが部隊の調練をしていない間、ずっと続いていた。
これにしびれを切らしたセルジュは仕方なしにダリルフェルドにあることをお願いすることにした。彼を呼び寄せてアシュティア領の周辺地図を挟んで対峙する。
「ここ。ここに砦を築いて。ダナを連れて行って良いから。出来る?」
セルジュがある一点を指差した。それはファート領の領都であるアルマナの北西の位置である。コンコール村から北西に約五キロ進んだ地点だ。
ここを奪うことが出来ればリベルトの領土を超えてジャッド=リスの領土を囲む形になる。東に進むことはできないので今後は西に進むしかないだろう。これは大きな一歩になると考えていた。
「おう! 任せとけ。そう簡単に落ちない砦を築いてみせよう」
「無理だけはしないでよー!」
ダリルフェルドはセルジュの言葉に対して手を振って答えると、出陣の用意をするために執務室を後にした。それからダナを呼び出す。
「はぁい、坊ちゃん。何か用?」
ドロテアと一緒に入室したダナは眠そうな目を擦っていた。既に昼だというのに未だ眠っていたようだ。
「悪いんだけどさダリルフェルドと一緒に砦を築いて欲しいんだ。場所はこの辺り。お願いできる? 形はこだわらないから好きにして良いよ」
「もちろん! 資材さえあれば素敵な砦を築きますよー」
寝ぼけているのか本気なのか分からない返答で快諾する。そのまま自室に戻って工具を背負うと表に出て歩いて行ってしまった。
心配になったセルジュが窓から表の様子を窺うと、ダリルフェルドの部隊がきちんとダナを本人もろとも荷車に積んだ。それを見て安堵する。
荷車には他にも食糧や釘や木材などの資材、スコップや斧などの道具が積まれていた。もちろん、兵たちはフル装備である。
「じゃあ、セルジュ。行ってくる」
「援軍要請があるかもしれないんだから、それも考えて行動してよ?」
セルジュの小言を聞いているのかいないのか。全体駆け足で目的地へと足を運んでいた。それを見届けた後、セルジュは地図にもう一度視線を落としてコンコール村を起点に南西に線を引いた。
その線はコンコール村の西の森の上を通っており、ここの木を伐って資材とするためコンコール村にお使いを出したのであった。
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