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狼心狗肺の報
72. 反乱の報
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セイファー歴 756年 10月6日
セルジュはジョルトとジョイの帰りを今や遅しと待っていたところ、全く別の人物がセルジュの元を訪ねてきた。
「セルジュは居るか!?」
飛び込んできたのはリベルトであった。セルジュは表の畑に水をあげていたのだが、見落として館の中へと入ってきてしまったようだ。
「ボクはこっちだよ。どうしたの?」
リベルトの後ろから声を掛けるセルジュ。リベルトはセルジュをすぐに見つけると両肩をガッチリとホールドして「大変なことになったぞ!」と声を張り上げた。
リベルトを応接間に通して即席のムグィ茶でもてなす。これはムグィダを炒って煎じたものである。その間にバルタザークとダリルフェルドを応接間に呼び出した。
「それで、何が大変なんだって?」
出されたムグィ茶を一気に飲み干すと、リベルトは火急の用件を切り出した。
「ファート領が襲われてる!!」
セルジュもバルタザークもダリルフェルドも何を言ってるのか全く理解できなかった。そこでリカルドは地図を持ってこさせると地図を指差しながら説明を始めた。
「今、オレのところに早ホンスで報告が来たんだが、どうやらキャスパーが謀反を起こしたらしい。言い分はキャスパーが大切に開拓したコンコール村を父上が独断でセルジュに割譲したことらしい」
そう言われて良心が痛むセルジュ。それを目敏く見つけたのかバルタザークがセルジュの背中を叩く。そうだ。戦乱の世でそんな甘いことは言っていられない。
「いいか? 話を続けるぞ。それでキャスパーが兵を一〇〇率いて領都のアルマナを襲っているようだ。他にも盗賊なんかがここぞとばかりに一斉に蜂起しているみたいだ。他にもナグィスが居ないことを良いことにヤラサワ村も襲われているとか」
ここまで聞いて、流石にセルジュも第三者の介入を感じた。第一、キャスパーが一人で兵を一〇〇も集められる訳がない。そして兵が居ないタイミングを狙っている。
「留守を狙われたね。リベルトは何処が裏で手を引いていると?」
「おそらくはココだな」
そうしてリベルトが指差したのはファート領の南に領土を持つミゲル伯爵だ。
「鎮圧の名目で兵を侵入させて、そのまま実効支配するつもりだろう。それであれば同派閥の争いごとではないと言い訳することが出来る」
確かに同派閥の村人を救うために侵攻であれば面目が立つだろう。そしてセルジュもこのままこの機会を見過ごすのは少々勿体無い気がしていた。
「じゃあ、こっちもリベルトを担ぎ上げてファート領に侵攻でもする? サーヤラ村の方とかリベルトの領土として組み込めたりしないの?」
「うーん、難しいだろうな。だが、やることはやってみよう」
「兵は何人出せる?」
「オレの方は五人が限界だな。それにオレとゲティスを含めて七人だ。それでラドリクのところへ行ってみよう。面識もあるし快く迎え入れてくれるはずだ」
問題はセルジュである。コンコール村を取ってしまったセルジュとしてはアルマナへと攻め込む以外に旨味はない。そもそも、セルジュはゲルブムと停戦協定を結んでいた。なので、セルジュは驚愕の提案をリベルトに持ち掛けた。
「ねえ、リベルト」
「なんだ?」
「兵、欲しくない?」
「へ?」
セルジュはリベルトに対して突拍子もない提案をするのであった。
セルジュはジョルトとジョイの帰りを今や遅しと待っていたところ、全く別の人物がセルジュの元を訪ねてきた。
「セルジュは居るか!?」
飛び込んできたのはリベルトであった。セルジュは表の畑に水をあげていたのだが、見落として館の中へと入ってきてしまったようだ。
「ボクはこっちだよ。どうしたの?」
リベルトの後ろから声を掛けるセルジュ。リベルトはセルジュをすぐに見つけると両肩をガッチリとホールドして「大変なことになったぞ!」と声を張り上げた。
リベルトを応接間に通して即席のムグィ茶でもてなす。これはムグィダを炒って煎じたものである。その間にバルタザークとダリルフェルドを応接間に呼び出した。
「それで、何が大変なんだって?」
出されたムグィ茶を一気に飲み干すと、リベルトは火急の用件を切り出した。
「ファート領が襲われてる!!」
セルジュもバルタザークもダリルフェルドも何を言ってるのか全く理解できなかった。そこでリカルドは地図を持ってこさせると地図を指差しながら説明を始めた。
「今、オレのところに早ホンスで報告が来たんだが、どうやらキャスパーが謀反を起こしたらしい。言い分はキャスパーが大切に開拓したコンコール村を父上が独断でセルジュに割譲したことらしい」
そう言われて良心が痛むセルジュ。それを目敏く見つけたのかバルタザークがセルジュの背中を叩く。そうだ。戦乱の世でそんな甘いことは言っていられない。
「いいか? 話を続けるぞ。それでキャスパーが兵を一〇〇率いて領都のアルマナを襲っているようだ。他にも盗賊なんかがここぞとばかりに一斉に蜂起しているみたいだ。他にもナグィスが居ないことを良いことにヤラサワ村も襲われているとか」
ここまで聞いて、流石にセルジュも第三者の介入を感じた。第一、キャスパーが一人で兵を一〇〇も集められる訳がない。そして兵が居ないタイミングを狙っている。
「留守を狙われたね。リベルトは何処が裏で手を引いていると?」
「おそらくはココだな」
そうしてリベルトが指差したのはファート領の南に領土を持つミゲル伯爵だ。
「鎮圧の名目で兵を侵入させて、そのまま実効支配するつもりだろう。それであれば同派閥の争いごとではないと言い訳することが出来る」
確かに同派閥の村人を救うために侵攻であれば面目が立つだろう。そしてセルジュもこのままこの機会を見過ごすのは少々勿体無い気がしていた。
「じゃあ、こっちもリベルトを担ぎ上げてファート領に侵攻でもする? サーヤラ村の方とかリベルトの領土として組み込めたりしないの?」
「うーん、難しいだろうな。だが、やることはやってみよう」
「兵は何人出せる?」
「オレの方は五人が限界だな。それにオレとゲティスを含めて七人だ。それでラドリクのところへ行ってみよう。面識もあるし快く迎え入れてくれるはずだ」
問題はセルジュである。コンコール村を取ってしまったセルジュとしてはアルマナへと攻め込む以外に旨味はない。そもそも、セルジュはゲルブムと停戦協定を結んでいた。なので、セルジュは驚愕の提案をリベルトに持ち掛けた。
「ねえ、リベルト」
「なんだ?」
「兵、欲しくない?」
「へ?」
セルジュはリベルトに対して突拍子もない提案をするのであった。
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