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暖衣飽食の夢
66. 先の先
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「レフェル様、どうするので?」
「うーん、兵数差ではこちらが買っているから今日の夜に仕留めに行くか。兵は神速を貴ぶってね」
副官の質問にレフェルはすっぱりと答えた。また、眼前に敵を何時までも布陣させておくのは村人の精神衛生上、よろしくないという判断からであった。
「あの捕まえた奴らは如何します?」
「そのまんま捕縛しといて。無益に殺す必要はないでしょ」
そう指差された場所には簀巻きにされたダンドンとデグ、それからドージェの姿があった。糧秣を探っているのがバレて捕まってしまったのであった。
「よし! じゃあ、出撃の準備を。村人にも出撃の準備をさせて」
「む、村人にもですか?」
「そう。被害を抑えるためにも策を用いて行こう。いやぁ、兵が多いと取れる策が多くて良いなぁ」
レフェルはニヤつきながらそう独り言ちていた。副官は夕日に照らされていたレフェルが血に染まったように見えて恐ろしく見えたと言う。
「て、てきしゅうー! 敵襲ー!!」
兵士の一人がそう叫んだ。まさに寝耳に水とはこのことである。バルタザークはすぐに飛び起き、傍に置いてあった鎧を着こむと槍を手にした。
陣内は混乱の最中にある。まさか自分たちが攻撃されるとは露ほども考えていなかったからだ。攻め込んできた兵はおよそ一〇〇。半分は正規兵で半分は民兵と言ったところだろう。
「慌てるな。敵は同数ぞ! しかも半分は民兵じゃ! 冷静に固まって対処せよ!!」
村に近い場所に陣取っていたフィーゴとコスタが兵たちに指示を出していく。特にコスタは歴戦の雄と言うだけはあって混戦にも慣れた様子である。
「慌てるな! まずは隊列を組みなおせ! それから右半分の三〇名はコスタの援護を、残りの左半分の三〇名はフィーゴの援護に回れ!!」
バルタザークは兵を慌てさせずに立て直させると、両方の増援として送り込んだ。ちなみにゲティスは既に最前線に躍り出て槍を躍動させている。
すると敵兵は大人しく撤退を始めた。民兵なんかは武器を捨てて全力で駆け出している。その必死さに釣られたのかフィーゴとコスタは追撃の構えを取った。
「馬鹿! 追撃なんてするな! まずは自軍の立て直しを!!」
バルタザークの声も虚しく、二つの隊は村へと猛進していった。そして案の定、味方全員を収納し終えた村からは無数の矢が飛んで来て兵たちが次々と倒れていった。
「よぉーし! 今だ!! 突っ込むぞー!!」
それを合図に村の正面からレフェルが先陣を切りながら正規兵四〇名を率いてコスタ目掛けて突進していく。また、村の左右の出入り口から民兵たちが五十五名――うち五名は正規兵だったが――ずつがコスタとフィーゴたちを囲むように突撃してきた。
ああ、これはもうダメだな。
そう思ったバルタザークは纏めてあった荷物を手に取り、残った数名を引き連れて帰路へと着いた。バルタザークにとっては苦々しい敗戦となってしまったのであった。
「うーん、兵数差ではこちらが買っているから今日の夜に仕留めに行くか。兵は神速を貴ぶってね」
副官の質問にレフェルはすっぱりと答えた。また、眼前に敵を何時までも布陣させておくのは村人の精神衛生上、よろしくないという判断からであった。
「あの捕まえた奴らは如何します?」
「そのまんま捕縛しといて。無益に殺す必要はないでしょ」
そう指差された場所には簀巻きにされたダンドンとデグ、それからドージェの姿があった。糧秣を探っているのがバレて捕まってしまったのであった。
「よし! じゃあ、出撃の準備を。村人にも出撃の準備をさせて」
「む、村人にもですか?」
「そう。被害を抑えるためにも策を用いて行こう。いやぁ、兵が多いと取れる策が多くて良いなぁ」
レフェルはニヤつきながらそう独り言ちていた。副官は夕日に照らされていたレフェルが血に染まったように見えて恐ろしく見えたと言う。
「て、てきしゅうー! 敵襲ー!!」
兵士の一人がそう叫んだ。まさに寝耳に水とはこのことである。バルタザークはすぐに飛び起き、傍に置いてあった鎧を着こむと槍を手にした。
陣内は混乱の最中にある。まさか自分たちが攻撃されるとは露ほども考えていなかったからだ。攻め込んできた兵はおよそ一〇〇。半分は正規兵で半分は民兵と言ったところだろう。
「慌てるな。敵は同数ぞ! しかも半分は民兵じゃ! 冷静に固まって対処せよ!!」
村に近い場所に陣取っていたフィーゴとコスタが兵たちに指示を出していく。特にコスタは歴戦の雄と言うだけはあって混戦にも慣れた様子である。
「慌てるな! まずは隊列を組みなおせ! それから右半分の三〇名はコスタの援護を、残りの左半分の三〇名はフィーゴの援護に回れ!!」
バルタザークは兵を慌てさせずに立て直させると、両方の増援として送り込んだ。ちなみにゲティスは既に最前線に躍り出て槍を躍動させている。
すると敵兵は大人しく撤退を始めた。民兵なんかは武器を捨てて全力で駆け出している。その必死さに釣られたのかフィーゴとコスタは追撃の構えを取った。
「馬鹿! 追撃なんてするな! まずは自軍の立て直しを!!」
バルタザークの声も虚しく、二つの隊は村へと猛進していった。そして案の定、味方全員を収納し終えた村からは無数の矢が飛んで来て兵たちが次々と倒れていった。
「よぉーし! 今だ!! 突っ込むぞー!!」
それを合図に村の正面からレフェルが先陣を切りながら正規兵四〇名を率いてコスタ目掛けて突進していく。また、村の左右の出入り口から民兵たちが五十五名――うち五名は正規兵だったが――ずつがコスタとフィーゴたちを囲むように突撃してきた。
ああ、これはもうダメだな。
そう思ったバルタザークは纏めてあった荷物を手に取り、残った数名を引き連れて帰路へと着いた。バルタザークにとっては苦々しい敗戦となってしまったのであった。
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