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暖衣飽食の夢
55. 遠征の準備
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セイファー歴 756年 9月15日
「そうか、やはり戦になっちゃったか」
心底イヤそうな表情をするセルジュ。しかし、この流れはもう止められないだろうとも考えていた。
「イヤだよな、全く。父上とだけは戦いたくないな」
不傾館に遊びに来ていたリベルトが答える。いや、遊びに来たと言うと語弊があるので訂正すると、食糧を強請りに来たと言った方が正しいだろう。
「リベルトたちは何人くらいを派遣するの?」
「あの時の兵たちはほとんど父上に返してしまったからなぁ。ゲティスと他四人の五名を送るのが精いっぱいだ」
リベルトは地方領主の家格になるので五名を派兵しておけば問題ないだろう。もちろん、それ以上送れるのであればそれに越したことはないが。
「どの辺りが戦場となるかな?」
「前回はここから西に進んだところにあるカラッサ平原だったな。恐らく今回も同じかその近くじゃないか?」
カラッサ平原はリス領の隣に広がっている広大な平原だ。スポジーニ東辺境伯麾下のドゴス男爵の領土だ。
「今回はスポジーニ東辺境伯側が攻め込む形になるからカラッサ平原の南に位置するティモテ子爵領のこの辺じゃないかな」
セルジュは地図を見ながら指を差した。セルジュの後ろから「正解だ」と言う声が聞こえてきた。その声の主はバルタザークであった。
「坊。なんとか頭数を揃えましたぜ。ざっと一〇名の傭兵だ」
「よし、これでいつでも出発できるな」
「だが、坊はお留守番だ」
勇んで立ち上がったセルジュをバルタザークが肩を押してイスに座らせた。ここで感情的に反論しそうになったセルジュは一度、深呼吸を挟んでからバルタザークに理由を尋ねた。
「毛も生え揃ってないガキを戦場に連れて行けるか。行くのはオレと三馬鹿トリオと傭兵一〇名の計十四名だ」
三馬鹿トリオというのはダンドンとドージェのデグのことだろう。どうやらバルタザークもセルジュと同じく戦場には子どもを連れて行く気がないようだ。
「……わかった。だが、絶対に死ぬなよ。最悪、バルタだけでも何としてでも帰って来て」
セルジュは唇を噛みながらバルタザークにそう懇願するのだった。
「そうか、やはり戦になっちゃったか」
心底イヤそうな表情をするセルジュ。しかし、この流れはもう止められないだろうとも考えていた。
「イヤだよな、全く。父上とだけは戦いたくないな」
不傾館に遊びに来ていたリベルトが答える。いや、遊びに来たと言うと語弊があるので訂正すると、食糧を強請りに来たと言った方が正しいだろう。
「リベルトたちは何人くらいを派遣するの?」
「あの時の兵たちはほとんど父上に返してしまったからなぁ。ゲティスと他四人の五名を送るのが精いっぱいだ」
リベルトは地方領主の家格になるので五名を派兵しておけば問題ないだろう。もちろん、それ以上送れるのであればそれに越したことはないが。
「どの辺りが戦場となるかな?」
「前回はここから西に進んだところにあるカラッサ平原だったな。恐らく今回も同じかその近くじゃないか?」
カラッサ平原はリス領の隣に広がっている広大な平原だ。スポジーニ東辺境伯麾下のドゴス男爵の領土だ。
「今回はスポジーニ東辺境伯側が攻め込む形になるからカラッサ平原の南に位置するティモテ子爵領のこの辺じゃないかな」
セルジュは地図を見ながら指を差した。セルジュの後ろから「正解だ」と言う声が聞こえてきた。その声の主はバルタザークであった。
「坊。なんとか頭数を揃えましたぜ。ざっと一〇名の傭兵だ」
「よし、これでいつでも出発できるな」
「だが、坊はお留守番だ」
勇んで立ち上がったセルジュをバルタザークが肩を押してイスに座らせた。ここで感情的に反論しそうになったセルジュは一度、深呼吸を挟んでからバルタザークに理由を尋ねた。
「毛も生え揃ってないガキを戦場に連れて行けるか。行くのはオレと三馬鹿トリオと傭兵一〇名の計十四名だ」
三馬鹿トリオというのはダンドンとドージェのデグのことだろう。どうやらバルタザークもセルジュと同じく戦場には子どもを連れて行く気がないようだ。
「……わかった。だが、絶対に死ぬなよ。最悪、バルタだけでも何としてでも帰って来て」
セルジュは唇を噛みながらバルタザークにそう懇願するのだった。
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