6 / 6
コーヒーが飲みたい
しおりを挟む
店の扉を開けると、ここしばらくぶりの晴れ間がのぞいていた。
両脇に植わった紫陽花が青と紫の鮮やかな花を咲かせていた。
中の常連とマスター夫妻に挨拶して、直之は扉を閉めた。
さて今日はキャンパスに寄ろうか、まっすぐ帰ろう。
直之が考えていると、
「高屋さん」
店の角から例の女の子が姿を見せた。
今日も来店して、ついさきほど見送ったのだが、もしかしたら、ここで待っていたのだろうか。
やや固い調子の声と表情に、直之の緊張も高まった。
予感があった。
そう遠くないうちに、こんな日が来るに違いないと、心の準備もしてあった。
目の前の少女は小さく胸を上下させると、真剣な面持ちで、口を開いた。
そして、そのまま時が止まった。
丸い瞳は見開かれたまま、直之を通り越して、その背中の向こうを見据えている。
直之が振り返ると、そこにはそっくり同じ表情をした、女性の姿があった。
ネルシャツにジーンズ、スニーカーというラフな格好、ファンデーションくらいしかしていないシンプルな化粧、髪の毛は地毛の色そのままに、肩より上でサッパリと切りそろえられていた。
右手を手刀の形につくって、中途半端に掲げたまま、女性の視線もまた、直之を通り抜けて、向こうの少女に向けられていた。
直之が何かを言うよりも先に、
「ごめん、邪魔した」
一目散に逃げ出した。
すぐさま後を追おうとして、後ろの少女のことを思い出した。
不安そうな瞳で見つめてくる少女に、直之は歯を食いしばって、頭を下げた。
「ごめん」
少女がその時、どんな顔をしていたか。
直之にそれを知るすべは、もうない。
顔をあげることなく、振り返ることなく、直之は走りだした。
遠く坂の向こうに先輩の後ろ姿が小さく見えた。
人混みの中を右に左に避けながら、驚くべき速度で遠ざかっている。
せめて今日くらい、走りづらいヒールとか、スカートを履いてくれていればよかったのにと、勝手な文句を浮かべつつ、直之も必死で追いかけた。
道は駅に近づくほど人通りを増していった。
動かない人だかりを前に、小さな背中が右往左往している。
そのまま動かないでくれ、という直之の願いは虚しく、先輩は横の小道に入り込む。
直之もまた、付近の地図を頭に思い描きつつ、すぐさま脇道に飛び込んだ。
角をひとつふたつと折れて、小路の先に先輩の背中を捉えた。
「先輩」
ビクリと震えた背中が、右に左に迷って、路地のさらに入り組んだ方へと入って行こうとする。
直之は残りの力を振り絞って、全速力で距離をつめた。
まさに今、角を曲がろうとした彼女の腕を、すんでのところで掴みとった。
幸い抵抗はなく、先輩は腕を掴まれたまま、そっぽを向いて、息を荒げている。
痛む肺に顔を歪めながら、直之が問いかける。
「なんで、逃げるんですか」
「だって、良いとこ邪魔しちゃって、気まずくって」
顔をそむけたまま、茶化すような声色で言う。
「高屋こそ、こんなところにいていいの。早く戻らないと。ピチピチの女子高生が待ってるよ。カワイイ子で良かったじゃん。性格も良さそうだし、それに」
「先輩」
矢継ぎ早の言葉を直之が遮る。
「こっち向いて下さい」
「ヤダ」
「いいから」
掴んだままの腕を引いて、やや強引にこちらを向かせた。
小さな雫がこぼれた。
慌てて先輩が空いた腕で顔を隠す。
「うわやばい、鼻水垂れた。今年は花粉症がひどくてやんなっちゃうな。もうずっと垂れ流しだし」
そう言う間にも、顎から雫が次々と落ちていく。
直之がもう一方の手で顔を隠す手を除けようとすると、先輩は身を捩って抵抗した。
「やめてよ。バカ、ヘンタイ、チカン、サイテイ」
周囲に人がいれば誤解されてもおかしくない単語をわめく。
直之は構わず、掴んだ腕を無理矢理引き下ろした。
挑むような瞳が、直之を正面から射抜いた。
鬼のような形相だった。
釣り上がった両の瞳が、直之を睨みつけている。眼尻からは今も涙が流れて、頬のファンデーションに薄っすらと跡を刻んでいく。噛み締めた口唇の合間から、形の良い犬歯がのぞいていて、唸り声まで聞こえる。鼻水も、たしかにちょっと出ていた。
「ひどい顔ですね」
「ほっといて。放して」
身を捩って逃れようとする両の腕を、直之は離すまいと力いっぱい握りしめた。
「先輩」
「なによ」
「好きです」
抵抗が止んだ。
鋭角につり上がっていた眼尻が、今度は逆に落ちた。無言で首を横に振っている。
「ダメですか」
また大きく首を横に振る。
「じゃあ、付き合ってくれますか」
首を横に振りかけて、俯き、絞りだすようなうめき声を上げた。
「分かんない。今は好きとかそういうの、分かんない」
「わかりました。それなら、いいです」
先輩がはっと顔をあげた。
「好きとか嫌いとか、それはこの際、どうでもいい。俺は先輩と一緒にいたい。先輩の一番近くにいたい。それはダメですか」
見つめた瞳が、右に左に揺れて、それからポツリと、
「でも、好きって言った」
「好きですよ、死ぬほど。でも、べつにいい。先輩が俺のこと好きじゃなくてもいい。一緒にいられるなら、何だって」
視界の先で口唇がわなないていた。
つぶった瞼の両端から、新たな雫がいくつも落ちる。犬歯をむき出しにして、唸り声をあげている。
「そんなんだったら、私だってそうだよ」
震える唇で叫ぶように、
「一緒に遊んで、出かけて、ケンカして、四六時中だって一緒にいたいよ」
「だったら、それでいいじゃないですか」
あっけらかんと、直之が言った。
「一緒にいて下さい。今だけでも、いいですから」
ほんのりと、寂しさを口元に浮かべた。
それを見て、目の前の鬼は一際鋭い唸り声を上げると、直之の胸に頭突きを食らわせた。
う、と呻く直之に、何度も頭突きをぶつける。掴まれた手で服の袖を握り返して、何度も額をぶつけた。
最後は顔を埋めたまま、声をあげて泣き始めた。
雑居ビルとライブハウスとラブホに囲まれた狭い路地裏で、二人は立ち尽くした。
薄曇りの合間から差す日の光は、狭い路地裏までは届かないが、身を寄せ合った二人の間は、十分なほどに温かかった。
日が差して、陰って、また差して。
幾度か路地裏の光景が変わった後に、先輩の泣き声は止んでいた。
「花粉症、治まりましたか」
すすり上げるつむじに、直之が尋ねる。
「高屋の服で鼻水拭いてやった」
先輩は顔を隠したまま、リュックサックからティッシュを取り出して、鼻を噛んだ。
「喉かわいた。コーヒー飲みたい」
泣き涸れたしゃがれ声で言う。
「店まで戻りますか」
先輩は首を横に振った。
「高屋のコーヒーが飲みたい」
顔を上げて、きれいな八重歯をのぞかせた。
・ ・ ・
陰り始めた春の陽の下で、少女はひとり、立ち尽くしていた。
想い人の走り去った坂の先をにじむ瞳で見つめていた。
彼のために通った喫茶店の扉を振り返る。
やがて力なく、少女は歩き出した。
雑踏の中に小さな背中が消えていく。
その後ろ姿を追う、少年の姿があった。
(おわり)
両脇に植わった紫陽花が青と紫の鮮やかな花を咲かせていた。
中の常連とマスター夫妻に挨拶して、直之は扉を閉めた。
さて今日はキャンパスに寄ろうか、まっすぐ帰ろう。
直之が考えていると、
「高屋さん」
店の角から例の女の子が姿を見せた。
今日も来店して、ついさきほど見送ったのだが、もしかしたら、ここで待っていたのだろうか。
やや固い調子の声と表情に、直之の緊張も高まった。
予感があった。
そう遠くないうちに、こんな日が来るに違いないと、心の準備もしてあった。
目の前の少女は小さく胸を上下させると、真剣な面持ちで、口を開いた。
そして、そのまま時が止まった。
丸い瞳は見開かれたまま、直之を通り越して、その背中の向こうを見据えている。
直之が振り返ると、そこにはそっくり同じ表情をした、女性の姿があった。
ネルシャツにジーンズ、スニーカーというラフな格好、ファンデーションくらいしかしていないシンプルな化粧、髪の毛は地毛の色そのままに、肩より上でサッパリと切りそろえられていた。
右手を手刀の形につくって、中途半端に掲げたまま、女性の視線もまた、直之を通り抜けて、向こうの少女に向けられていた。
直之が何かを言うよりも先に、
「ごめん、邪魔した」
一目散に逃げ出した。
すぐさま後を追おうとして、後ろの少女のことを思い出した。
不安そうな瞳で見つめてくる少女に、直之は歯を食いしばって、頭を下げた。
「ごめん」
少女がその時、どんな顔をしていたか。
直之にそれを知るすべは、もうない。
顔をあげることなく、振り返ることなく、直之は走りだした。
遠く坂の向こうに先輩の後ろ姿が小さく見えた。
人混みの中を右に左に避けながら、驚くべき速度で遠ざかっている。
せめて今日くらい、走りづらいヒールとか、スカートを履いてくれていればよかったのにと、勝手な文句を浮かべつつ、直之も必死で追いかけた。
道は駅に近づくほど人通りを増していった。
動かない人だかりを前に、小さな背中が右往左往している。
そのまま動かないでくれ、という直之の願いは虚しく、先輩は横の小道に入り込む。
直之もまた、付近の地図を頭に思い描きつつ、すぐさま脇道に飛び込んだ。
角をひとつふたつと折れて、小路の先に先輩の背中を捉えた。
「先輩」
ビクリと震えた背中が、右に左に迷って、路地のさらに入り組んだ方へと入って行こうとする。
直之は残りの力を振り絞って、全速力で距離をつめた。
まさに今、角を曲がろうとした彼女の腕を、すんでのところで掴みとった。
幸い抵抗はなく、先輩は腕を掴まれたまま、そっぽを向いて、息を荒げている。
痛む肺に顔を歪めながら、直之が問いかける。
「なんで、逃げるんですか」
「だって、良いとこ邪魔しちゃって、気まずくって」
顔をそむけたまま、茶化すような声色で言う。
「高屋こそ、こんなところにいていいの。早く戻らないと。ピチピチの女子高生が待ってるよ。カワイイ子で良かったじゃん。性格も良さそうだし、それに」
「先輩」
矢継ぎ早の言葉を直之が遮る。
「こっち向いて下さい」
「ヤダ」
「いいから」
掴んだままの腕を引いて、やや強引にこちらを向かせた。
小さな雫がこぼれた。
慌てて先輩が空いた腕で顔を隠す。
「うわやばい、鼻水垂れた。今年は花粉症がひどくてやんなっちゃうな。もうずっと垂れ流しだし」
そう言う間にも、顎から雫が次々と落ちていく。
直之がもう一方の手で顔を隠す手を除けようとすると、先輩は身を捩って抵抗した。
「やめてよ。バカ、ヘンタイ、チカン、サイテイ」
周囲に人がいれば誤解されてもおかしくない単語をわめく。
直之は構わず、掴んだ腕を無理矢理引き下ろした。
挑むような瞳が、直之を正面から射抜いた。
鬼のような形相だった。
釣り上がった両の瞳が、直之を睨みつけている。眼尻からは今も涙が流れて、頬のファンデーションに薄っすらと跡を刻んでいく。噛み締めた口唇の合間から、形の良い犬歯がのぞいていて、唸り声まで聞こえる。鼻水も、たしかにちょっと出ていた。
「ひどい顔ですね」
「ほっといて。放して」
身を捩って逃れようとする両の腕を、直之は離すまいと力いっぱい握りしめた。
「先輩」
「なによ」
「好きです」
抵抗が止んだ。
鋭角につり上がっていた眼尻が、今度は逆に落ちた。無言で首を横に振っている。
「ダメですか」
また大きく首を横に振る。
「じゃあ、付き合ってくれますか」
首を横に振りかけて、俯き、絞りだすようなうめき声を上げた。
「分かんない。今は好きとかそういうの、分かんない」
「わかりました。それなら、いいです」
先輩がはっと顔をあげた。
「好きとか嫌いとか、それはこの際、どうでもいい。俺は先輩と一緒にいたい。先輩の一番近くにいたい。それはダメですか」
見つめた瞳が、右に左に揺れて、それからポツリと、
「でも、好きって言った」
「好きですよ、死ぬほど。でも、べつにいい。先輩が俺のこと好きじゃなくてもいい。一緒にいられるなら、何だって」
視界の先で口唇がわなないていた。
つぶった瞼の両端から、新たな雫がいくつも落ちる。犬歯をむき出しにして、唸り声をあげている。
「そんなんだったら、私だってそうだよ」
震える唇で叫ぶように、
「一緒に遊んで、出かけて、ケンカして、四六時中だって一緒にいたいよ」
「だったら、それでいいじゃないですか」
あっけらかんと、直之が言った。
「一緒にいて下さい。今だけでも、いいですから」
ほんのりと、寂しさを口元に浮かべた。
それを見て、目の前の鬼は一際鋭い唸り声を上げると、直之の胸に頭突きを食らわせた。
う、と呻く直之に、何度も頭突きをぶつける。掴まれた手で服の袖を握り返して、何度も額をぶつけた。
最後は顔を埋めたまま、声をあげて泣き始めた。
雑居ビルとライブハウスとラブホに囲まれた狭い路地裏で、二人は立ち尽くした。
薄曇りの合間から差す日の光は、狭い路地裏までは届かないが、身を寄せ合った二人の間は、十分なほどに温かかった。
日が差して、陰って、また差して。
幾度か路地裏の光景が変わった後に、先輩の泣き声は止んでいた。
「花粉症、治まりましたか」
すすり上げるつむじに、直之が尋ねる。
「高屋の服で鼻水拭いてやった」
先輩は顔を隠したまま、リュックサックからティッシュを取り出して、鼻を噛んだ。
「喉かわいた。コーヒー飲みたい」
泣き涸れたしゃがれ声で言う。
「店まで戻りますか」
先輩は首を横に振った。
「高屋のコーヒーが飲みたい」
顔を上げて、きれいな八重歯をのぞかせた。
・ ・ ・
陰り始めた春の陽の下で、少女はひとり、立ち尽くしていた。
想い人の走り去った坂の先をにじむ瞳で見つめていた。
彼のために通った喫茶店の扉を振り返る。
やがて力なく、少女は歩き出した。
雑踏の中に小さな背中が消えていく。
その後ろ姿を追う、少年の姿があった。
(おわり)
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。

失われた君の音を取り戻す、その日まで
新野乃花(大舟)
ライト文芸
高野つかさの恋人である朝霧さやかは、生まれた時から耳が全く聞こえなかった。けれど彼女はいつも明るく、耳が聞こえない事など一切感じさせない性格であったため、つかさは彼女のその姿が本来の姿なのだろうと思っていた。しかしある日の事、つかさはあるきっかけから、さやかが密かに心の中に抱えていた思いに気づく。ある日つかさは何のけなしに、「もしも耳が聞こえるようになったら、最初に何を聞いてみたい?」とさかかに質問した。それに対してさやかは、「あなたの声が聞きたいな」と答えた。その時の彼女の切なげな表情が忘れられないつかさは、絶対に自分がさかやに“音”をプレゼントするのだと決意する。さやかの耳を治すべく独自に研究を重ねるつかさは、薬を開発していく過程で、さやかの耳に隠された大きな秘密を知ることとなる…。果たしてつかさはいつの日か、さやかに“音”をプレゼントすることができるのか?

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
私たちは、お日様に触れていた。
柑実 ナコ
ライト文芸
《迷子の女子高生》と《口の悪い大学院生》
これはシノさんが仕組んだ、私と奴の、同居のお話。
◇
梶 桔帆(かじ きほ)は、とある出来事をきっかけに人と距離を取って過ごす高校2年生。しかし、バイト先の花屋で妻のために毎月花を買いにくる大学教授・東明 駿(しのあき すぐる)に出会い、何故か気に入られてしまう。お日様のような笑顔の東明に徐々に心を開く中、彼の研究室で口の悪い大学院生の久遠 綾瀬(くどお あやせ)にも出会う。東明の計らいで同居をする羽目になった2人は、喧嘩しながらも友人や家族と向き合いながら少しずつ距離を縮めていく。そして、「バカンスへ行く」と言ったきり家に戻らない東明が抱えてきた秘密と覚悟を知る――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる