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25話 ( ;・`д・´)ナ、ナンダッテー!!(`・д´・(`・д´・; ) (´・ω・`;)エ、チョット
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「申し訳ありません。お嬢様が心配でついてきてしまいました」
思わず姿を現してしまったセレスの護衛が小さくなった。
平民の三人は、セレスの偉業がどれくらい凄い事かわからないようで、「セレスちゃんの家の執事さんは過保護だねぇ」と微笑ましい会話を繰り広げ、隠密の術でジャン以外に姿が見えないジャンの護衛はプルプルと震え顔を真っ青にしている。
セレスの護衛が姿を現したのは無理もない。
古代に作られた魔道具は現在の知識では誰も解明できていない。
魔道機関車も、過去に作られたもので、部品交換などはできるが、根本的なプログラムの書き換えなどは出来なかったのである。よって路線も決められた路線しか走れずに、過去にプログラムされた場所しか走れない。なので路線拡張などができず、線路の通る土地はどこも高値がついた。
ジャンも魔道具に詳しくないため、セレスが何を言っているのか半分以上理解できなかったが、どれくらい凄い事なのかは理解できる。
もしセレスの言っている事が本当なら……魔道具の技術は飛躍的に進歩するだろう。
「もし本当に、スクロールが自動で書き写せる機械が作れるなら、そんな凄い事ができるのに貴方は何故かくしていたのです?」
ジャンがセレスに聞けば、
「そんな事も理解できないのですか」
と、答えたのは何故かクライムだった。
「そんな事?」
「もしスクロールが量産できるとなれば、リーチェのような写経のスキルで細々と稼いでいる者達の職を奪う事になる。
セレス様はそれを危惧したのです」
と、感動で潤んだ瞳を隠しながらクライムがつぶやいた。
「ありがとう!セレスちゃん!確かにその機械が出回ってたら、私、バイトができなくて学校にこれなかった!」
と、リーチェがセレスに抱き着く。
……まさかそんな事まで?
ジャンは愕然とする。
スクロールを書き写せる技術を独占しておけば聖王国はもっと巨大な国家になっただろう。
けれどセレスはそれを望まなかった。
写経のスキル持ちが職を失えば、確かにかなりの数の失業者がでるだろう。
彼女は“技術の進歩・富の独占”より、全国にいるスキル持ちの人々の生活を守ることを選んだのだ。
それこそ世界を変えるくらいの大きな力持ち、誰もがその力を持てば浮かれてしまうのに――聖王国の王族は常に周りの事に気をかけて世界全体を見ている。
クライムの言う通りだ――剣王国の事しか考えてなかった自分と聖王国の彼らは器が違う。
違い過ぎる。
「す、素晴らしいです!セレス様!!」
と、ジャンは感動した面持ちで叫ぶのだった。
思わず姿を現してしまったセレスの護衛が小さくなった。
平民の三人は、セレスの偉業がどれくらい凄い事かわからないようで、「セレスちゃんの家の執事さんは過保護だねぇ」と微笑ましい会話を繰り広げ、隠密の術でジャン以外に姿が見えないジャンの護衛はプルプルと震え顔を真っ青にしている。
セレスの護衛が姿を現したのは無理もない。
古代に作られた魔道具は現在の知識では誰も解明できていない。
魔道機関車も、過去に作られたもので、部品交換などはできるが、根本的なプログラムの書き換えなどは出来なかったのである。よって路線も決められた路線しか走れずに、過去にプログラムされた場所しか走れない。なので路線拡張などができず、線路の通る土地はどこも高値がついた。
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もしセレスの言っている事が本当なら……魔道具の技術は飛躍的に進歩するだろう。
「もし本当に、スクロールが自動で書き写せる機械が作れるなら、そんな凄い事ができるのに貴方は何故かくしていたのです?」
ジャンがセレスに聞けば、
「そんな事も理解できないのですか」
と、答えたのは何故かクライムだった。
「そんな事?」
「もしスクロールが量産できるとなれば、リーチェのような写経のスキルで細々と稼いでいる者達の職を奪う事になる。
セレス様はそれを危惧したのです」
と、感動で潤んだ瞳を隠しながらクライムがつぶやいた。
「ありがとう!セレスちゃん!確かにその機械が出回ってたら、私、バイトができなくて学校にこれなかった!」
と、リーチェがセレスに抱き着く。
……まさかそんな事まで?
ジャンは愕然とする。
スクロールを書き写せる技術を独占しておけば聖王国はもっと巨大な国家になっただろう。
けれどセレスはそれを望まなかった。
写経のスキル持ちが職を失えば、確かにかなりの数の失業者がでるだろう。
彼女は“技術の進歩・富の独占”より、全国にいるスキル持ちの人々の生活を守ることを選んだのだ。
それこそ世界を変えるくらいの大きな力持ち、誰もがその力を持てば浮かれてしまうのに――聖王国の王族は常に周りの事に気をかけて世界全体を見ている。
クライムの言う通りだ――剣王国の事しか考えてなかった自分と聖王国の彼らは器が違う。
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「す、素晴らしいです!セレス様!!」
と、ジャンは感動した面持ちで叫ぶのだった。
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