【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜

てんてんどんどん

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3章 魔獣と神々

24.ナスターシャ

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 まさかこんな事になるなんて……。

 身体を再生させながらナスターシャは一人毒づいた。
 天界の神殿がシステムの影響下が少ない場所で助かった。
 もしシステムが作動している場所だったらナスターシャの復活は叶わなかっただろう。

 ほとんどの神力はなぜかあのエルフにもっていかれてしまったが、残りわずかな神力でなんとか生き返れたのだ。

 何故こんなことになったのだろう。
 審判の御子に滅ぼされる前の世界は、こんな世界ではなかった。
 レベルなどというくだらないものもなく、神力も普通に使えたのだ。

 だがどうだ。

 一度審判の御子の最後の裁きで滅んだ世界が復活したと思えば、「ゲーム」などというよくわからないシステムに支配されていた。

 レベルなどというものが出来上がり、下級神といえども、人間やエルフなどからみれば絶大な力を行使できたはずの自分の力は封じられてしまったのだ。

 あのプレイヤー達とてそうだ。

 レベルなどというくだらないシステムさえなければ、赤子の手をひねるより容易く殺せたはずなのに。
 レベルのせいで神である自分よりも強くなっているではないか。

 不意をつかれ殺されてしまったが、神力でなんとか身体と魂を復元できた。

 だが守護天使が操れる事がバレてしまった今、もうあのプレイヤー連中を殺す手立てがナスターシャにはない。
 もうナスターシャよりレベルが上なのだ。

 プレイヤーよりレベルが高いはずの魔王も、何故かあのプレイヤー達を殺す気はないらしい。

 自分よりレベルが低く、頭の悪い双子の妹クリファがあのプレイヤーを殺すのは無理だろう。

 そんな時。

「……まさか、まだ生きていたとはな」

 声が聞こえる。聞きなれた声。

「その声はエルちゃん……?」

 まだ目の復元が終わっていないせいで姿は見えない。
 けれど聞こえる声は確かに魔王エルギフォスのものだった。

 何故天界に魔王であるエルギフォスがきているのだろうか?
 確か神々の張った結界でエルギフォスは山からでられないと聞いていたのに。

 けれど、助かった。

 エルギフォスなら自分を復元してくれるはずだ。
 ナスターシャがそう思った瞬間。

「お前の役目は終わったのだよ。異界の女神よ。
 大人しくそこで滅びろ」

 とても冷たい声とともに――ナスターシャは再びこの世界から消え失せるのだった。


 ▲△▲


 既にこの世界から存在が消えたナスターシャを見つめたあと、消滅を確認すると興味がなさそうに視線を移した。
 そこに浮かぶのは――情けなくも異界の神に闘う事すらなく世界を譲ってしまった神々。
 かつて魔王を封じておきながら、自分たちはあっさりと闘う事なくその世界を異界の神々に譲ってしまったのだ。

 ゲーム化する以前。

 エルフを煽動し、異界の神々と戦わせなんとか異界の神々の呪縛から逃れ復活を果たしたが、すでに世界は異界の神々の手に落ち――事もあろうに審判の御子が誕生してしまっていた。
 滅びるしかない未来が待っていたのである。

 そしてそれは今も変わらない。
 今の世界は仮初の平和を享受しているにすぎないのだ。
 これから始まる狂乱に、再び世界は絶望に包まれるだろう。

「――さぁ、これでもう後戻りはできぬ。
 仮初の平和に酔いしれる世界にまた混沌と絶望がおとずれる。

 見ているがいい。神々よ。
 何も出来ぬ自分の不甲斐なさを呪いながら。
 この世界の行く末を」

 言って魔王はそのまま神々の水晶に手を伸ばすのだった。
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